電気用品安全法を「魔法の2大フレーズ」で即攻略
電験三種「法規」科目で頻出の電気用品安全法(PSE法)を、目的の呪文『危険・障害の発生防止』と定義の呪文『一般用に接続+携帯発電機+蓄電池』の2大フレーズで一瞬攻略。特定電気用品の菱形PSEと丸PSEの判別法まで一気にマスターする1記事。
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この記事で身につくこと
法規の勉強をしていて、「電気用品安全法」のページで手が止まった経験はありませんか。
条文を開くと、細かい文字がびっしり。「危険」「障害」「安全性の確保」「製造」「販売」……似たような単語が並んでいて、どれが穴埋めで狙われるのかさっぱり分からない。そのうえ、どこまでが「電気用品」なのかという境界線も曖昧で、極めつけがPSEマークの丸と菱形です。
正直に言ってしまうと、この単元でつまずく人のほとんどは「条文を最初から最後まで丸暗記しよう」としています。そして必ず途中で力尽きます。文字量が多すぎるからです。
でも、安心してください。電気用品安全法は、覚える中身そのものは驚くほど少ない単元です。実際に試験で問われるポイントは、たった2つのフレーズと、1つの形の対応関係に集約できます。ここを押さえてしまえば、法規の中でもかなり「おいしい」得点源に変わります。
この記事を読み終える頃には、次の3つができるようになります。
- 電気用品安全法の目的の条文を、穴埋めで狙われる語ごと再現できる
- どこまでが電気用品なのか、境界線を迷わず判定できる
- 菱形PSEと丸PSEを、理屈で(=忘れても導けるように)区別できる
苦手意識の正体は「量が多そうに見えること」だけです。実際の中身は、これから見ていくとおり、拍子抜けするくらいシンプルですよ。

暗記フレーズ:目的は危険・障害の発生防止/定義は一般用に接続+携帯発電機+蓄電池
まず、この記事のいちばん大事なところから先にお渡しします。声に出して2回読んでください。
目的は危険・障害の発生防止 定義は一般用に接続+携帯発電機+蓄電池
これだけです。本当にこれだけで、電気用品安全法の問題は大半が解けます。
なぜこの2つなのか。理由は単純で、試験で問われるのが「目的」と「定義」に偏っているからです。法律の条文というのは、たいてい第1条が目的、第2条が定義という構成になっています。電気用品安全法もその例に漏れません。そして出題者は、この冒頭2条から穴埋めを作るのが大好きなのです。
法律の「目的」の読み方そのものに不安がある方は、先に電気事業法の目的を扱った回を復習しておくと、この先の理解が一段速くなります。目的の条文は、どの法律も「何を防ぐために、何を規制するのか」という同じ骨格でできているからです。
ここから先は、この2大フレーズを3つのステップに分けて、中身を肉付けしていきます。

ステップ1:目的の条文を「原因 → 対策」の2段で捉える

電気用品安全法の目的は、次の2段構えで理解すると一気に頭に入ります。
| 段 | 内容 | キーワード |
|---|---|---|
| 原因(何を防ぐか) | 電気用品による危険および障害の発生を防止する | 危険・障害 |
| 対策(そのために何をするか) | 電気用品の安全性の確保と、製造・販売を規制する | 安全性の確保/製造・販売の規制 |
上の段が「困りごと」、下の段が「そのための手段」です。困りごとがあるから手段がある。この順番で覚えれば、丸暗記ではなく理屈で再現できます。
そして、試験で圧倒的に狙われるのが「危険」と「障害」の2語です。ここは断言してよいレベルで頻出です。
やっかいなのは、この2語がとても似ていること。日常語の感覚では、どちらも「よくないこと」でひとくくりにしてしまいがちです。でも条文では、感電や火災といった直接的な危険と、電波障害のように周囲へ及ぼす障害が、きちんと並列で書かれています。セットで、順番どおりに覚えてください。「危険・障害」と口に出して唱えるのが最短です。
ステップ2:電気用品の定義は「一般用に接続+携帯発電機+蓄電池」

次は定義です。ここが、多くの受験者が境界線で迷うところ。でも、覚えるカテゴリは3つしかありません。
| # | カテゴリ | 具体例 |
|---|---|---|
| 1 | 一般用電気工作物に接続して用いる機械器具・材料 | 家庭用の電気機械器具、照明器具、600V以下の電線など |
| 2 | 携帯発電機(政令で定めるもの) | 可搬型の小型発電機 |
| 3 | 蓄電池 | リチウムイオン電池など |
最大のポイントは、1番の「一般用電気工作物に接続して用いる」という条件です。事業用や高圧の設備に接続するものではなく、家庭など一般用の側に接続するものがターゲットになります。
これは考えてみれば当然の話で、事業用電気工作物には主任技術者という専門家がついていて、保安規程に基づいて管理されています。一方、一般家庭には専門家がいません。だからこそ、製品そのものの安全性を法律で担保しておく必要があるわけです。ここを「誰が守ってくれるのか」という視点で理解しておくと、定義がただの暗記項目ではなくなります。
なお、「一般用電気工作物ってそもそも何だったっけ」と少しでも引っかかった方は、先に一般用電気工作物の回に戻ってから読み進めるほうが、結果的に速いです。この単元は一般用電気工作物の定義に完全に乗っかっているので、土台が緩いままだと必ずどこかで崩れます。
そして2番と3番。ここが引っかけの舞台です。携帯発電機と蓄電池は、一般用電気工作物に接続していなくても、それ単体で電気用品として定義されています。「接続して用いる」という条件が付いているのは1番だけ、という点を強く意識してください。
ちなみに携帯発電機には「政令で定めるもの」という限定が付いています。何でもかんでも対象というわけではないのですが、裏を返せば、対象なのに登録されていない製品が輸入品として紛れ込むこともある、ということでもあります。安さにつられて素性の分からないメーカーの製品を買ったら実は違法だった、という話は税関まわりで実際に見受けられます。法律の条文が、身近な買い物の安全に直結している例ですね。
ステップ3:PSEマークは「菱形=危ない/丸=普通」で判別する

最後が、多くの人が最後まで迷い続けるPSEマークです。電気用品は、次の2つに分けられます。
| 区分 | 定義 | 例 | マーク |
|---|---|---|---|
| 特定電気用品 | 特に危険または障害の発生するおそれが多いもの | 変圧器、電流調整器、スイッチ類、ヒューズなど | 菱形PSE |
| 特定電気用品以外の電気用品 | 上記以外の電気用品 | 一般的な家電・照明器具など | 丸形PSE |
定義の文言にも「危険」「障害」が出てくることに注目してください。ステップ1で覚えたフレーズが、ここでもう一度効いてきます。目的で防ぎたかった危険と障害、そのおそれが特に多いものを特別扱いしているのが特定電気用品、という筋道です。
さて、丸と菱形をどう覚えるか。おすすめは形のイメージで結びつける方法です。
- 菱形は角が尖っていて、触ると痛そう。だから危ないもの=特定電気用品
- 丸はツルツルしていて安全そう。だからそれ以外の電気用品
理屈っぽくない覚え方ですが、こういう感覚的な紐付けのほうが、試験本番の緊張状態では圧倒的に強いです。文字で「特定=菱形」と覚えると、本番で一瞬「逆だっけ?」と迷う。でも「尖っている=危ない」は、迷いようがありません。
そして、忘れてはいけない実務上の効力がひとつ。この表示(マーク)が無い電気用品は、販売・輸入・陳列・使用のすべてが禁止されます。「売ってはいけない」だけでなく、店頭に並べることも、使うことも禁止です。表示制度は、流通の入口そのものを塞ぐ仕組みだと捉えてください。
身近なところでは、今この記事を読んでいるスマホやパソコンの充電器にもPSEマークが付いています。勉強の合間に一度、手元のACアダプタを裏返してみてください。丸か菱形か、実物で確認すると記憶の定着が段違いです。
確認テスト
ここまでの内容が入っているか、2問だけ確かめておきましょう。答えを見る前に、必ず自分で口に出して答えてみてください。
確認1:携帯発電機は対象になるか

問:携帯発電機やリチウムイオン蓄電池は、一般用電気工作物に接続していなくても電気用品安全法の対象になる?ならない?
答:対象になる。
一般用電気工作物に接続するかどうかにかかわらず、この2つは単体で「電気用品」として法律に定義されています。「接続して用いる」という条件に引きずられて「接続していないから対象外」と判断してしまうのが、この単元で最も多い失点パターンです。定義の3カテゴリのうち、接続条件が付くのは1番だけ、と何度でも確認してください。
確認2:変圧器のPSEマークはどちら

問:変圧器やスイッチ類、開閉器に付けられるPSEマークは、丸と菱形のどっち?
答:菱形PSE(特定電気用品)。
変圧器やスイッチ類は「特に危険または障害の発生するおそれが多いもの」に該当するため、より厳しい菱形マークの対象です。ここでも「尖っている=危ない」の感覚が効きます。
まとめ
電気用品安全法で覚えるべきことを、1枚にまとめておきます。試験直前はここだけ見返せば十分です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 目的 | 危険・障害の発生防止/安全性の確保/製造・販売の規制 |
| 定義(電気用品) | ①一般用電気工作物に接続して用いる機械器具・材料 ②携帯発電機(政令で定めるもの) ③蓄電池 |
| 分類 | 特定電気用品=特に危険・障害のおそれが多いもの → 菱形PSE/それ以外 → 丸形PSE |
| 表示が無い場合 | 販売・輸入・陳列・使用がすべて禁止 |
改めて、暗記フレーズはこの2つです。
目的は危険・障害の発生防止 定義は一般用に接続+携帯発電機+蓄電池
条文を1文字ずつ追いかける必要はありません。骨格を先に立てて、そこに具体例をぶら下げていく。この順番で勉強すれば、法規は「読むのが苦痛な科目」から「取りこぼしのない得点源」に変わります。
⚠ ここを間違える人が多い
この単元で実際に失点が集中するのは、次の3か所です。事前に知っておくだけで、かなり防げます。
❌「規制されるのは製造と販売だから、輸入は関係ない」と思い込む → ✅ これがいちばん危ない思い込みです。目的の条文に「製造・販売」という言葉が出てくるため、そこだけが頭に残ってしまうのですが、実際の規制の網はもっと広く、輸入も明確に対象です。表示の無い電気用品は、販売だけでなく輸入も陳列も使用も禁止でしたよね。選択肢に「輸入」と「販売」が並んでいたら、条文の目的で覚えた語につられて反射的に「販売」を選ばないこと。何の行為が問われているのかを一度立ち止まって読み直してください。
❌「携帯発電機や蓄電池は、家の配線につながっていなければ対象外」と考える → ✅ 定義の3カテゴリのうち、「接続して用いる」という条件が付くのは1番のカテゴリだけです。携帯発電機と蓄電池は、単体で電気用品。ここは出題者が引っかけを作る定番の場所なので、「接続」という単語を見たら、それがどのカテゴリにかかっているのかを必ず確認しましょう。
❌「安全にかかわる電圧といえば30Vだろう」と数字を思い出しで埋める → ✅ 法規には電圧の数値がいくつも出てきます。低圧の境目、絶縁性能、接地の条件……そしてそれぞれ違う数字です。ある場所で見た数字を別の条件に流用すると、まず外れます。電気用品の細目に出てくる電圧・電流の条件は、その条文専用の数字として、条件とセットで覚えてください。「なんとなく見覚えのある数字」は、選択肢に必ず紛れ込ませてあります。
過去問ではこう出た
電気用品安全法は、単独で1問まるごと出題されることもある単元です。直近では、平成27年 問2で出題されています。
出題のされ方には、はっきりした傾向があります。
- 目的の条文の穴埋め:「危険」「障害」「安全性の確保」といった語が空欄になり、似た語との選択で迷わせてくる
- 規制される行為の選択:製造・輸入・販売・陳列・使用のうち、どれが問われているのかを正確に読ませる
- 電気用品の細目:電線などについて、電圧・電流の条件を数値で問う
いずれも計算は不要で、知っているかどうかだけで決まる問題です。裏を返せば、準備した人は必ず取れる問題ということ。法規は選択肢の文章が長く、本番では焦りがちですが、この単元に限っては「目的」「定義」「マーク」のどれを聞かれているかを見分けた瞬間に答えが決まります。
なお、電気用品にまつわる出題は安全法だけではありません。事業を始めるときの届出のルールもよく狙われるので、電気用品の届出は『製造・輸入は30日以内/販売ではない!』で即攻略の回とセットで押さえておくと、取りこぼしがなくなります。
よくある質問
Q. PSEマークの丸と菱形、どうしても本番で迷ってしまいます
文字で覚えようとしているのが原因です。「特定電気用品=菱形」と文字列で記憶すると、緊張したときに反転します。おすすめは、形そのものに意味を持たせること。菱形は角が尖っていて危険そう、丸はツルツルで安全そう。この感覚は、文字の記憶より圧倒的に壊れにくいです。加えて、特定電気用品の定義そのものが「特に危険または障害の発生するおそれが多いもの」ですから、「危ない → 尖った形」という連想は定義とも一致しています。理屈と感覚の両方から支えれば、もう迷いません。
Q. 電気事業法や電気工事士法と、どう区別すればいいですか
誰を・何を規制する法律なのかで切り分けるのが確実です。電気用品安全法が見ているのは「モノ」、つまり製品そのものの安全性と、その製造・輸入・販売という流通です。一方、電気工事士法が見ているのは「人」、工事をする人の資格です。同じ電気の安全でも、入口が違うわけですね。人の側のルールが曖昧な方は、電気工事士法は「目的1つ・義務3つ」の魔法フレーズで一発攻略の回で整理しておくと、両者が混ざらなくなります。法規全体を通して、「この法律はモノを見ているのか、人を見ているのか、設備を見ているのか」と自問する癖をつけると、条文が驚くほど整理されますよ。
Q. 電気用品の具体的な品目は、全部覚えないといけませんか
いいえ、全部を暗記する必要はありません。品目は非常に数が多く、それを網羅するのは現実的ではないですし、試験もそこを求めていません。押さえるべきは、特定電気用品の代表例である変圧器・電流調整器・スイッチ類・ヒューズ、そして「特に危険または障害のおそれが多いもの」という判定の基準です。この基準さえ持っていれば、知らない品目が出てきても「感電や火災に直結しそうか」で当たりを付けられます。同じ発想で、届出や表の読み取りが求められる単元も攻略できます。表の構造で迷いやすい方は、太陽光の届出表は『魔法の反転法則』で一撃攻略の回の考え方が応用できますので、あわせてどうぞ。
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