資格LABO
資格LABO
ズルい勉強法ラボ
理論 第19回 ⏱ 約21分で読めます

静電力の公式は『真空=9×10⁹、真空以外=1/4πε』で一発攻略

電験三種「理論」科目で9割が混同する静電力の2公式(真空・真空以外)を、『真空=9×10⁹、真空以外=1/4πε』の魔法のフレーズで一発攻略。クーロンの法則・誘電率・比誘電率の関係から、比誘電率εrのひっかけ問題まで丁寧に整理する1記事です。

🃏 暗記フレーズ:真空=9×10⁹、真空以外=1/4πε

🎥 動画でも解説しています > YouTubeで開く

この記事で身につくこと

電験三種「理論」科目の電磁気で、必ず最初の関門になるのが 静電力(クーロンの法則)の2つの公式 です。

「真空のときの式」と「真空以外(媒質中)のときの式」。この2つが並んでいるのを本番で見た瞬間、多くの受験生が「あれ、どっちだったっけ?」と手が止まります。ギリシャ文字の ε(イプシロン)が、ε₀ だ εr だと増えていくのも、混乱に拍車をかけます。

でも、安心してください。この単元は 覚えることが驚くほど少ない 分野です。実は2つの公式、違うのは頭についている係数だけ。後ろ半分はまったく同じ形をしています。そこに気づいた瞬間、「難しい電磁気」が「ただの穴埋め」に変わります。

本記事を読み終えたら、次の状態になっています。

身につくこと到達レベル
静電力の2公式の使い分け問題文を見て0.5秒で選べる
真空の誘電率 ε₀ と比誘電率 εr の役割「どっちが固定値か」を即答できる
比誘電率が大きいときの力の変化「弱くなる」と理由つきで言える
過去問での問われ方出題パターンを知ったうえで解ける

暗記量はたった1フレーズ。それだけで、電磁気の入口が得点源に変わります。

暗記フレーズ:真空=9×10⁹、真空以外=1/4πε

真空イコール 9×10⁹、真空以外(媒質)イコール 1/(4πε)

これだけです。声に出して3回読んでみてください。もうこの単元の半分は終わったようなものです。

なぜこの一言で足りるのか

静電力の公式は、前につく『係数』が違うだけで、後ろの骨格はまったく同じ だからです。

「係数」の中身が、真空なら 9.0×10⁹、真空以外なら 1/(4πε) に入れ替わる。ただそれだけの話なのです。

迷う原因は、公式を丸ごと2本、別々のものとして覚えようとするから。共通部分を1本にまとめてしまえば、記憶の負担は半分以下になります。

静電力の2つの公式 ─ 最大の壁

電験の参考書を開くと、いきなり2つの公式が並んで立ちはだかります。

条件公式
真空中
真空以外(媒質中)

パッと見、ほとんど同じです。違うのは 前の係数だけ

それでも本番で迷子になる人が多いのは、次の3つの罠があるからです。

つまずきの罠何が起きるか
①「真空」と「真空以外」で式が2本あるどちらを選ぶかで一瞬固まる
② 記号が ε・ε₀・εr と3つ出てくるどれが定数でどれが問題文の値か混乱する
③ 本番の緊張で頭が真っ白になる覚えていたはずの式が出てこない

この3つをまとめて潰す装置が、さきほどの暗記フレーズです。「係数だけが違う」と分かっていれば、①は消えます。②と③は、このあとの節で1つずつほどいていきましょう。

なお、そもそも「電荷って何? 電界って何?」というところが少しあやふやな方は、先に〈静電気の公式、丸暗記はもう終わり。「点電荷→電界→力→エネルギー」で9割が救われる〉に目を通しておくと、この先の理解がぐっと速くなります。急がば回れです。

共通の骨格を見抜けば、覚えるのは『係数』だけ

実は2つの公式、後ろの部分は 完全に同じ です。

条件「ここだけ変わる」の中身
真空中
真空以外(媒質中)

つまり覚えるべきは、前につく係数2種類だけ。

後ろの は、どちらの場合でも共通で登場します。ここは「電荷の積を、距離の2乗で割る」と、意味で覚えてしまいましょう。

  • 電荷 Q が大きいほど、力は強くなる(かけ算=比例)
  • 距離 r が離れるほど、力は急激に弱くなる(2乗で割る=2乗に反比例)

この2つは、磁石を近づけたときの感覚とまったく同じです。強い磁石ほど強く、離すほど急に弱くなる。日常の感覚がそのまま使えます。

🃏 暗記シート
Q. 静電力の2つの公式(真空・真空以外)で、共通の骨格になる部分はどこか?

真空時の係数:9.0×10⁹ という具体的な数字

問題文に「真空中に…」と書かれていれば、迷わずこちらを使います。

この式のありがたいところ

ポイントは、係数が「9.0×10⁹」という具体的な数字 になっていることです。

文字が1つも入っていません。ということは、Q₁・Q₂・r の3つを代入すれば、あとは電卓を叩くだけ。判断が入る余地がゼロなのです。電磁気の中では、いちばん機械的に処理できる部類の計算だと言えます。

覚え方のコツ

「9×10⁹」は「キュー・かける・10の9乗」。9が2回出てくる と覚えると、桁数を間違えません。10の8乗や10の10乗と書き間違える人がときどきいますが、「9と9のペア」で結びつけておけば防げます。

なお、この 9.0×10⁹ という数字は、実は次の節で出てくる 1/(4πε₀) を計算した結果そのものです。まったく別の2つの式ではなく、真空という条件で係数を計算し終えた形が上の式 ─ そう捉えておくと、記憶が1本につながります。

真空以外の係数:1/(4πε) と 誘電率の正体

問題文に「比誘電率 εr の媒質中に…」と書かれていれば、こちらの公式の出番です。

誘電率 ε は「2階建て」でできている

ここで重要なのが、誘電率 ε の正体 です。

誘電率 = 真空の誘電率 × 比誘電率

3つの ε を、役割ごとに整理しておきましょう。ここが整理できれば、この単元の山場は越えたも同然です。

記号読み方正体試験でどう与えられるか
εイプシロンその媒質の誘電率ε₀ × εr で自分で作る
ε₀イプシロンゼロ真空の誘電率(約 8.85×10⁻¹² F/m)物理定数。問題文か公式集に載る
εrイプシロンアール比誘電率(真空の何倍か)問題文に「εr = 2」などと提示される

「基準 × 倍率」で読む

真空の誘電率 ε₀ を 基準 として、その媒質ならではの 倍率 である εr をかけると、媒質中の誘電率 ε ができ上がる。これが ε = ε₀ × εr の意味するところです。

身長でたとえるなら、ε₀ が「平均身長」、εr が「平均の何倍か」、ε が「実際の身長」。基準と倍率をかけると実物になる、という、ごく素直な関係です。

だから、真空そのもの(εr = 1)なら ε = ε₀ となり、係数は 1/(4πε₀) = 9.0×10⁹ に戻ります。2つの公式は、やはり地続きなのです。

🃏 暗記シート
Q. クーロンの法則において、真空以外(媒質中)の静電力Fの公式と、誘電率εの正体は?

比誘電率 εr のワナ:「大きいほど強い」は不正解

ここが電験三種で 最頻出のひっかけポイント です。

問:比誘電率 εr が大きくなると、静電力 F はどうなるか?

「電気っぽい何かの数値が大きい=力も強そう」と直感で答えると、まんまと不正解になります。

正解は 「力は弱くなる」

理由は公式を展開すれば一目瞭然

ε を ε₀ × εr に展開して、省略せずに書き下してみます。

εr は 分母 にいます。分母が大きくなれば、答えは小さくなる ─ つまり 反比例 です。

εr の値静電力 F
εr = 1(真空)基準(F)
εr = 21/2 倍に弱まる
εr = 51/5 倍に弱まる
εr = 101/10 倍に弱まる

イメージで押さえる

媒質という邪魔者が濃いほど、電界が広がりにくく、力が伝わりにくい」と捉えるとしっくり来ます。水の中では声が届きにくいのと同じ感覚です。

そして実務的な対策としては、省略せずに分母まで丁寧に書く。これに尽きます。ε のまま暗算しようとすると εr の居場所を見失いますが、分母に εr を書き出してしまえば、間違えようがありません。

🃏 暗記シート
Q. 静電力(クーロン力)において、比誘電率 εr が大きくなると力Fはどうなるか?
💡 公式の分母を見る

クイズ:εr = 2 のとき、静電力は何倍?

真空中に置かれた2つの電荷の間に働く静電力を F とする。 まったく同じ条件で、比誘電率 εr = 2 の媒質中に電荷を置いた場合、静電力は何倍になるか?

少し考えてみてください。ここまで読んできたなら、もう手が動くはずです。

正解は 1/2倍

展開した式

より、F は εr に反比例します。εr が 1 から 2 になれば分母も2倍。よって F は 1/2倍 に弱くなる、というわけです。

この「何倍になるか」を問う形は、電験でとても好まれる出題です。値をすべて代入して計算する必要はありません。変わった文字だけを見て、比例か反比例かを判断する ─ これができれば、10秒で答えが出ます。

🃏 暗記シート
Q. 静電力(クーロン力)について、真空中で働く力をFとする。同条件で比誘電率εr=2の媒質中に置くと、静電力は何倍になるか?

まとめ

押さえるポイント内容
公式の本数2種類だけ。後ろは共通の
真空中の係数9.0×10⁹
真空以外の係数1/(4πε)
誘電率の中身ε = ε₀ × εr
εr の位置分母。大きいほど力は弱くなる

暗記フレーズ:真空=9×10⁹、真空以外=1/(4πε)

このフレーズと「分母の εr」さえ押さえれば、静電力は確実な得点源になります。

🃏 暗記シート
Q. 静電力の計算における誘電率 ε は、どのように表されるか?

⚠ ここを間違える人が多い

この単元で失点する人は、決まって同じ3か所で足をすくわれます。逆に言えば、この3つを避けるだけで正答率は跳ね上がります。

❌「誘電率が高い=電気をよく通す=力も強い」と考えてしまう

✅ 正しくは です。誘電率の「誘電」は、電気を通す性質ではありません。公式の分母に居座っている以上、値が大きくなれば力は弱まる ─ 感覚ではなく、式の形で判断してください。「分母にいる文字は、大きくなると結果を小さくする」。これは電験全体で使える鉄則です。

❌ εr が距離 r のように2乗で効くと思い込む

✅ 2乗になっているのは 距離 r だけ です。εr は1乗のまま。名前に r が入っているせいで距離と混同する人がいますが、εr の r は relative(比)の r であって、距離とは何の関係もありません。εr が2倍なら力は 1/2 倍、1/4 倍ではありません。

❌ 媒質を変えたとき「関係する量が全部そろって変わる」と考える

✅ 変わるものと変わらないものが混在します。静電力・電界・電位は εr が大きいほど弱くなりますが、電束密度は媒質を変えても変わりません。「まとめて εr 倍」「まとめて 1/εr 倍」と一括処理せず、量ごとに分けて考える癖をつけましょう。このあたりが不安なら、〈電気力線と電界|「見える化」で9割が一発理解する5大ルール〉で電界と電気力線の関係を先に固めておくと、混乱がほどけます。

過去問ではこう出た

この単元は、電験三種の理論で 定期的に顔を出す常連 です。動画にひも付けられた過去問・電験ジムの収録範囲では、次の3問が該当します。

出題年度問番号
令和3年問2
令和6年 上期問1
令和7年 上期問2

いずれも理論科目の 序盤(問1〜問2) に配置されているのが特徴です。つまり、試験開始直後に出会う問題ということ。ここでスムーズに処理できるかどうかが、その後の時間配分と気持ちの余裕を大きく左右します。

問われ方も、本記事で扱った内容とほぼ重なります。「真空か媒質か」を読み取って公式を選び、比誘電率が力にどう効くかを判断する ─ この2ステップです。数値をすべて代入させる計算問題より、「何倍になるか」「強くなるか弱くなるか」を問う形が目立ちます。

3年に1度は出ると考えて、確実に取りにいきましょう。

電験ジムで実際に解いてみる

よくある質問

Q. 9.0×10⁹ という数字は、暗記するしかないのでしょうか?

覚えてしまうのがいちばん速いです。ただし丸暗記が苦手な方は、「1/(4πε₀) を計算した結果」と理解しておくと安心できます。ε₀ ≒ 8.85×10⁻¹² を代入して計算すれば、確かに約 9×10⁹ になります。試験本番では公式集に載っていることもありますが、その場で計算する時間はもったいないので、やはり「キュー・かける・10の9乗」と口に出して覚えてしまうのが得策です。

Q. 真空と空気は、区別しなくてよいのですか?

実用上はほぼ同じものとして扱います。空気の比誘電率はほぼ 1 に近い値なので、εr = 1、つまり真空とみなして 9.0×10⁹ の式を使って構いません。問題文に「空気中」とあれば、真空の公式でよい ─ そう覚えておいてください。逆に「比誘電率 εr の媒質中」「油中」「ガラス中」のように、明確に別の材料が指定されたときだけ 1/(4πε) の式に切り替えます。

Q. 電荷の符号が違う場合、公式に変化はありますか?

公式の形は変わりません。Q₁Q₂ の部分に符号をそのまま入れると、答えの符号で向きが分かります ─ 同符号なら反発、異符号なら引き合う、という結果になります。ただし電験の計算問題では、力の 大きさ を求めさせるケースがほとんどです。まずは絶対値で大きさを出し、向きは「同じ符号は反発、違う符号は引き合う」という原則で別途判断する。この手順のほうが、符号ミスを減らせます。

なお、この「電荷どうしが力を及ぼし合う」という考え方を押さえておくと、次の単元である〈静電遮蔽は『導体で囲えば電界は影響しない』で一発攻略〉が驚くほどスムーズに理解できます。静電力 → 電界 → 遮蔽、と話がきれいにつながっていますので、勢いのあるうちに続けて読んでみてください。

📖 ここまで読んだあなたへ

Webの何倍も覚えやすい
紙のフルラミネート加工の
暗記シート
があります

実績2,000部突破
お風呂や電車のスキマ時間でサクッと勉強できます。
付属の練習用紙で無限に練習できます♪

📋ラミネート加工 🎨フルカラー 💧防水 🛁お風呂でもOK 🚃電車でもOK ♾️練習用紙で無限練習

この記事を読み終えたら、進捗を記録しましょう

この記事をシェア

読んだ内容を、過去問で試す

理論の過去問を解いてみませんか?

過去問対策Webサービス「電験ジム」なら、 平成27年〜令和8年上期の1,400問超を、 すべて解説つきで解けます。わからない所はその場でAIに質問でき、苦手は自動で色分けされます。

電験ジムで解いてみる

14日間 無料でお試し・月額980円・いつでも解約できます

📱 この記事を読んだ方限定

LINE公式アカウントを追加して、トークに「サイト理論ノート」と送ると、 「理論科目 導入編ノート」(第1章 直流回路)を無料でお渡しします。

LINEで友だち追加する →
資格LABO

この記事を書いた人

資格LABO

電験三種を含め、さまざまな資格を一発合格した経験をもとに、 忙しい社会人が最短距離で受かるための教材とYouTube解説を作っています。 暗記シート・講義ノートは累計2,000部を突破し、 多くの合格報告をいただいています。

保有資格

電気主任技術者電気工事士公害防止管理者放射線取扱主任者中学校・高等学校 教員免許
  • ⚡ 電験三種・電験二種の解説動画をYouTubeで公開中
  • 📚「勉強の過程」より「結果を重視」した教材の制作・販売
  • 🏋️ 過去問対策Webサービス「電験ジム」を開発・運営

スポンサーリンク

📚 理論科目の他の記事も読む

次は…(ローテーション順)
機械
単巻変圧器は「差分だけ」で攻略 — 自己容量と負荷容量の罠を一発回避

機能追加のご要望・バグ報告をお待ちしています

サイトをより良くするため、お気付きの点・「こんな機能が欲しい」「このページが見にくい」など、お気軽にご意見をお寄せください。