変圧器の効率は「鉄損は一定、銅損はI²」だけで全部解ける
電験三種「機械」科目で頻出の変圧器の効率を、長い公式の丸暗記ではなく『鉄損は一定、銅損はI²、効率は損失しだい』という1つの魔法のフレーズで攻略。1/n負荷時の銅損の2乗、全日効率の24PiとPcTの使い分け、効率最大の条件まで一気通貫で解説します。
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この記事で身につくこと
電験三種「機械」科目の変圧器分野で、9割の受験生が手を止めるのが 変圧器の効率公式。 分母分子に項が並ぶ長い分数式が3パターンも登場し、「どれに 1/n をかけるんだっけ?」「24 と T はどっちだ?」と毎回パニックになる単元です。
しかし本質は、たった1つの魔法のフレーズ に集約できます。
本記事を読み終えたら、
- 鉄損と銅損の性格の違いを即答できる
- 1/n負荷時・全日効率の式を、丸暗記ゼロで組み立てられる
- 効率最大の条件「鉄損=銅損」を計算問題で武器にできる
ようになります。
暗記フレーズ:鉄損は一定、銅損はI²、効率は損失しだい
鉄損は一定、銅損はI²、効率は損失しだい
これだけ。変圧器の効率公式がどんなに長く見えても、見るべき場所は 鉄損Pi と 銅損Pc の2箇所だけ です。 この2つの「性格の違い」さえ押さえれば、3つの公式を別々に覚える必要はなくなります。
鉄損と銅損:性格がまったく違う2つの損失
変圧器の損失は、ほぼこの2つで決まります。
| 損失 | 別名 | 性質 | キャラ |
|---|---|---|---|
| 鉄損 Pi | 無負荷損 | 電圧をかけるだけで発生・負荷によらず一定 | じーっと不動 |
| 銅損 Pc | 負荷損 | 巻線抵抗で発生・電流の2乗(I²R)に比例 | 暴れん坊 |
- 鉄損 はコンセントに繋いだ瞬間からずっと発生し続けます。負荷がゼロでも、夜中でも、ずっと一定です。
- 銅損 は流れる電流次第。負荷が増えれば一気に増え、負荷が減れば激減します。
この 「鉄損は不動、銅損は暴れん坊」 という性格の違いが、後のすべての式の基礎になります。
Step 1:効率の基本式は「出力 ÷ 入力」
効率の出発点は、拍子抜けするほどシンプルです。
η = 出力 / 入力 × 100
= 出力 / (出力 + 損失) × 100
= 出力 / (出力 + Pi + Pc) × 100
入力されたエネルギーから損失(鉄損+銅損)が漏れて、残りが出力になる。当たり前の話です。 損失が小さいほど効率が良い、ただそれだけの式です。
変圧器の効率がややこしく見えるのは、負荷率によって銅損が動く から。出力(分子)が変われば、銅損(分母)も同時に動くため、式が長く見えてしまうだけなのです。
Step 2:1/n負荷時は「銅損だけ」が(1/n)²倍になる
ここが多くの受験生が一番混乱するポイント。1/n負荷時(=定格の1/nしか出力していない状態)の効率式です。
η(1/n) = (1/n)・V·I·cosθ / { (1/n)・V·I·cosθ + Pi + (1/n)² · Pc } × 100
長く見えますが、押さえるのは2箇所だけ。
- 分子の (1/n):出力そのものが 1/n になっただけ
- 分母の (1/n)²·Pc:銅損が (1/n)² 倍に「激減」する
なぜ銅損だけ2乗がかかるのか? ここで魔法のフレーズを思い出します。
銅損は I² に比例
電圧Vはほぼ一定なので、出力 P = V·I が 1/n になるということは、電流 I が 1/n になるということ。
銅損は I² に比例するため、Pc → (1/n)² · Pc と一気に激減します。
一方、鉄損は電流に関係なく一定 なので、Pi はそのまま残ります。
💡 ここで迷わない!軽負荷では銅損が激減し、一定である鉄損が支配的 になる。
Step 3:効率最大の条件は「鉄損=銅損」
ここは試験で超頻出のボーナス問題。
効率最大の条件:Pi = Pc
天秤の左に鉄損Pi、右に銅損Pcを乗せて、ピタッと釣り合った瞬間に効率はピークを迎えます。 数学的にも、損失の合計 Pi + Pc が最小になるのが、ちょうどこの「鉄損 = 銅損」の点になります。
計算問題では、Pi = I²R と置いて方程式を立てるだけで確実に得点できます。
Step 4:全日効率は「鉄損は24時間、銅損はT時間」
配電用変圧器で頻出の 全日効率 ηd は、1日(24時間)トータルの効率を見る指標です。
ηd = PT / (PT + 24·Pi + Pc·T) × 100
- P:負荷時の出力
- T:負荷がかかっている時間
- 24·Pi:鉄損は 24時間ずっと一定 で発生 → 24倍する
- Pc·T:銅損は 負荷時間Tの間だけ 発生 → T倍する
ここも魔法のフレーズの応用です。
鉄損は常に一定 → 24時間分(24Pi) 銅損は負荷しだい → 稼働時間分(PcT)
鉄損は24時間戦士、銅損はバイト時間だけ働く、というイメージで覚えると忘れません。
過去問アレンジ:負荷率50%を一瞬で出す
ある変圧器の鉄損が200W、定格時の銅損が800Wである。効率が最大となる負荷率はいくらか。
魔法のフレーズと Step 3 を組み合わせれば、複雑な計算は不要です。
- 効率最大の条件:鉄損 = 銅損 → 銅損を 800W から鉄損と同じ 200W まで落としたい
- 銅損は (1/n)² に比例:
(1/n)² × 800 = 200 - 解くと:
(1/n)² = 1/4→1/n = 1/2
✅ 正解:負荷率 50%(1/2)
電流を半分にすれば銅損は (1/2)² = 1/4 になり、800W → 200W に落ちて鉄損と一致する。 公式の丸暗記ゼロで、理屈だけで一瞬で解けてしまいます。
まとめ
- 変圧器の効率は 「出力 ÷ (出力+損失)」 が全ての基本
- 鉄損Pi は負荷によらず一定、銅損Pc は電流の2乗(I²R)に比例
- 1/n負荷時:銅損だけが (1/n)²倍 に激減、鉄損は変わらず
- 効率最大の条件:鉄損 = 銅損(試験で超頻出のボーナス問題)
- 全日効率:鉄損は24時間分(24Pi)、銅損は稼働時間分(PcT)
暗記フレーズ:鉄損は一定、銅損はI²、効率は損失しだい
このフレーズさえ唱えれば、長い分数式に惑わされず、変圧器の効率は確実な得点源に変わります。
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