BWRとPWRの違いは「蒸気の作り方」だけで全部解ける
電験三種「電力」科目の原子炉BWR・PWRの違いを、9割が混同する独立暗記からの脱出をテーマに整理。『BWR=直接蒸気、PWR=二次系蒸気』という1つの法則で、圧力・制御棒・放射線管理区域まで論理的につながる完全保存版の比較記事です。
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この記事で身につくこと
電験三種「電力」科目の原子力分野で、9割の受験生が混同するのが BWR(沸騰水型)とPWR(加圧水型)の違い。 構造・圧力・制御棒・放射線管理区域…と覚えることが多すぎて、本番で「あれ、どっちがどっちだっけ?」と手が止まる定番論点です。
本記事を読み終えたら、
- BWRとPWRの違いを たった1つの法則 から論理的に説明できる
- 圧力・制御棒の向き・出力調整・放射線管理区域まで全部つながる
- 知識問題で確実に得点できる「比較表」が頭に入る
ようになります。
暗記フレーズ:BWR=直接蒸気、PWR=二次系蒸気
BWR は炉内で直接蒸気/PWR は二次系で蒸気
これだけ。BWRとPWRの違いは、蒸気をどこで作るか という一点から、すべて論理的に派生します。 独立した単語として丸暗記しようとした瞬間にゲームオーバー。「なぜそうなるのか?」を1つ理解すれば、暗記量は劇的に減ります。
ここで挫折する3つの罠
多くの受験生が、原子炉でハマるパターンはほぼこの3つです。
- 構造や安全設備を 独立した単語 として丸暗記しようとする
- 制御棒の挿入方向(上から/下から)が、どっちがどっちか分からなくなる
- 放射線管理区域の違いを 感覚 で覚えて本番で迷う
このすべてが、「蒸気の作り方」という1本の幹に繋げてしまえば一発で解消します。
蒸気の作り方が核心 ― 最大の違い
| 方式 | 蒸気の作り方 | 流れ |
|---|---|---|
| BWR(沸騰水型) | 炉心の水を 直接沸騰 させる | 炉心 → タービン → 復水器 → 炉心(1ループ) |
| PWR(加圧水型) | 炉心は 沸騰させず加熱、蒸気発生器で二次系に熱を渡す | 一次系(高圧水)⇄ 蒸気発生器 ⇄ 二次系(蒸気) |
BWRは「鍋から出た湯気でそのままタービンを回す」イメージ。 PWRは「一次系で熱だけ運んできて、二次系で初めて蒸気が立つ」イメージ。
⚠️ ここがすべての出発点。BWRは炉心の水が直接タービンに届く、この事実だけで放射線管理区域の話まで一気に通ります。
圧力:BWR約7MPa / PWR約15MPa
蒸気の作り方が分かれば、圧力の違いも当然見えてきます。
- BWR:約7MPa(低め) ― 炉内で 沸騰させたい ので、沸騰する圧力でよい
- PWR:約15MPa(超高圧) ― 炉内で 絶対に沸騰させたくない ので、加圧器で押さえつける
普通の鍋(BWR)と圧力鍋(PWR)の関係。PWRはBWRの倍以上の圧力 と覚えておけば一発です。
制御棒の挿入方向:BWRは下から、PWRは上から
「どっちから挿入?」も、蒸気の場所を考えれば迷いません。
- BWR:下から挿入 ― 炉心 上部で直接蒸気 が発生するため、上から差し込むスペースが取れない
- PWR:上から挿入 ― 炉内で蒸気を作らないため上部に空きがあり、重力で自然落下 できて安全性も高い
福島第一原子力発電所はBWR方式でした。津波による電源喪失で下から制御棒を挿入できなかったことが、最終的にメルトダウンを招いた一因とされています。PWRの上から自然落下できる構造が、安全性で評価される所以です。
出力調整:BWRは物理(流量)、PWRは化学(濃度)
制御棒の出し入れに加えて、それぞれ違う方法で反応度を調整します。
- BWR:再循環ポンプ+ボイド効果 ― 炉内の 水の流量 を変えて、沸騰による泡(ボイド)の量で反応度を制御
- PWR:ホウ酸水濃度 ― 一次冷却水に溶かす 可溶性ホウ素(中性子吸収材) の濃度で反応度を制御
対比で覚えるのがコツ:BWRは物理的に流量、PWRは化学的に濃度。
冷却材ループ:BWRは1ループ、PWRは3ループ
- BWR:1ループ ― 炉心 → タービン → 復水器 → ポンプ → 炉心、で完結。山手線のように1本の輪
- PWR:3ループ ― 一次系(炉心⇄蒸気発生器、高圧水・放射性)/二次系(蒸気発生器⇄タービン、非放射性)/三次系(復水器を冷やす海水)
この 分離構造 が、後で出てくる放射線管理区域の話に効いてきます。
特殊設備:名前を覚えれば得点になる
| 方式 | 主な特殊設備 |
|---|---|
| BWR | 主蒸気隔離弁(MSIV)/非常用炉心冷却装置(ECCS)/圧力抑制プールを備えるマーク1・2型格納容器 |
| PWR | 加圧器(一次系の高圧維持)/蒸気発生器(一次系と二次系の分離)/大型の円筒形格納容器 |
BWRはタービンに放射性蒸気が行くので 隔離弁(MSIV) が必須。PWRは加圧水型というだけあって 加圧器 が心臓部。名前と役割をセットで覚えれば、知識問題で素直に得点になります。
放射線管理区域:BWRはタービン系も含む、PWRは不要
「魔法の法則」の真骨頂はここです。
- BWR:タービン・復水器も放射線管理区域 ― 炉心を通った水が 直接 タービンへ行くため、タービン系も放射性を帯びる
- PWR:二次側(タービン側)は非放射性 ― 蒸気発生器で 完全に分離 されているため、二次系には放射性物質が回らない
つまり、放射能で汚染されるエリアはPWRの方が狭い。すべては「直接蒸気か、二次系蒸気か」の一点から繋がっています。
完全保存版:BWR・PWR比較表
| 比較項目 | BWR(沸騰水型) | PWR(加圧水型) |
|---|---|---|
| 蒸気の作り方 | 炉内で 直接蒸気 → タービン | 蒸気発生器経由の 二次系蒸気 |
| 圧力・温度 | 約 7MPa(低め) | 約 15MPa(加圧器で高圧維持) |
| 制御棒の挿入 | 下から | 上から(自然落下可) |
| 出力調整 | 再循環ポンプ+ボイド効果(物理) | ホウ酸水濃度(化学) |
| 冷却材ループ | 1ループ | 3ループ(一次/二次/三次) |
| 放射線管理 | タービン系も 管理区域 | 二次側は 非放射性 |
| 特殊設備 | MSIV/ECCS/圧力抑制プール | 加圧器/蒸気発生器 |
まとめ
- BWRとPWRの違いは、「蒸気をどこで作るか」 の一点からすべて派生
- 暗記フレーズ:BWR=直接蒸気、PWR=二次系蒸気
- 圧力(7 vs 15MPa)、制御棒(下 vs 上)、出力調整(流量 vs ホウ酸)、放射線管理(タービンも vs 二次側は不要)― 全部この法則で導ける
- 特殊設備の名前(MSIV/加圧器/蒸気発生器)は知っているだけで得点源
迷ったらこの言葉:「BWR=直接蒸気、PWR=二次系蒸気」、すべてはここから繋がる
この基礎が固まれば、BWRとPWRの問題は確実な得点源になります。
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