工事計画の届出は「30・10・20・500」の4つの数字で攻略
電験三種「法規」科目で頻出の工事計画の届出を、4つの数字「30・10・20・500」だけで攻略する記事。着工30日前という期限、需要設備10kV、遮断器20%、発電所500kWという基準値を一覧化し、ひっかけ選択肢に騙されないコツまで整理しました。
🎥 動画でも解説しています > YouTubeで開く
この記事で身につくこと
法規の勉強をしていて、「工事計画の届出」のページで手が止まった経験はありませんか。条文を開くと「主務省令で定めるものをしようとする者は……」という独特の言い回しが続き、数字だけがバラバラと目に入ってくる。読み終わっても何も残らない。あの感覚です。
ですが安心してください。この単元、実は法規のなかでもかなり「おいしい」部類に入ります。理由は単純で、問われる数字が4つしかないからです。
| 数字 | 意味 |
|---|---|
| 30 | 着工の30日前までに届け出る |
| 10 | 需要設備・遮断器の基準は10,000V(10kV)以上 |
| 20 | 遮断器などの容量・定格を20%以上変更するとき |
| 500 | 発電所は出力500kW以上 |
この4つを、対象と一緒に頭の引き出しに入れるだけ。理屈を理解してから覚えるので、試験直前でも思い出せます。この記事では次のことができるようになります。
- 工事計画の届出が「なぜ」必要なのかを一言で説明できる
- 需要設備・遮断器・発電所の3つの対象別に、基準値を言える
- 「20%以上」「50kWと500kW」という2大ひっかけを回避できる
- 令和1年 問2のような穴埋め問題を、迷わず解ける
暗記フレーズ:10kV以上は30日前
今日の合言葉は、これひとつです。
10kV以上は30日前
たった10文字ちょっとですが、この中に最重要の2つの数字が入っています。穴埋め問題の空欄の多くは、この2つで埋まってしまいます。声に出して3回、唱えてみてください。通勤中でも、寝る前でも構いません。「10kV以上は30日前」。

残りの「20」と「500」は、このフレーズにぶら下げる形で覚えていきます。まずは幹を1本、太く育てるイメージで進めましょう。
ステップ1:なぜ国に届け出るのか

理屈はとてもシンプルです。事業用電気工作物のうち、一定規模以上のものは、工事中や工事後に事故が起これば周囲に大きな被害が及びます。だから工事を始める前に、国(経済産業省)へ「こういう工事をします」と申告させる。それが工事計画の届出です。
つまり、事後報告では意味がない手続きだということ。ここが後で効いてくる大事な感覚です。
そして条文が言う「一定規模以上」の中身が、先ほどの4つの数字です。
| 覚える数字 | どこで使うか |
|---|---|
| 30 | 期限(いつまでに) |
| 10 | 需要設備・遮断器(電圧) |
| 20 | 遮断器の変更(割合) |
| 500 | 発電所(出力) |
ステップ2:期限は「着工の30日前」

流れは「計画を立てる → 届け出る → 審査・待機期間 → 着工」の順です。届出をしてから着工までに、国が内容をチェックする時間を確保する。この待機期間が30日、というわけです。
穴埋め問題では、この「30日」がほぼ必ず狙われます。そして選択肢には、必ずと言っていいほど紛らわしいものが混ざります。
| 選択肢 | 正誤 |
|---|---|
| 工事の開始の30日前まで | ⭕ 正しい |
| 工事の開始後30日以内 | ❌ 事後報告では意味がない |
| 工事の開始の14日前まで | ❌ 別の手続きの数字が混ざっている |
「事前に安全を確認するための制度なのだから、事後であるはずがない」。この一言で判断できるようにしておけば、選択肢を見比べる時間すらいりません。
ステップ3:需要設備の壁は「10kV」

1つ目の対象は需要設備、つまり電気を受け取って使う側の設備です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 基準 | 受電電圧 10,000V(10kV)以上 |
| 対象工事 | 設置工事(新設) |
| イメージ | 特別高圧を受電する大きな工場・ビル |
「需要設備」という言葉が出てきた時点で、一般家庭の話ではないと分かります。特別高圧を引き込むような規模の需要家が対象、と押さえてください。新設のときは必ず届出が必要、というのもセットで覚えておきましょう。
なお、この「10,000V」という数字は、電気主任技術者まわりの制度でもたびたび顔を出します。選任・許可選任の話があやふやな方は、先に免許なしでも電気主任技術者になれる!?「許可選任」を完全攻略を読んでおくと、数字の住み分けがはっきりします。
ステップ4:遮断器の罠は「20%」

2つ目の対象は、遮断器などの主要機器です。ここが、この単元で最も落とし穴の多いところ。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 基準 | 10,000V(10kV)以上の遮断器などの主要機器 |
| 対象工事 | 設置・取替・20%以上の容量/定格の変更 |
式にすると、こうなります。
なぜ多くの人が落とすのか
「10,000V」の部分はみなさんしっかり覚えてきます。ところが「20%」がおざなりになる。ここが差のつくポイントです。設置や取替だけでなく、容量や定格を20%以上いじる場合も届出の対象になります。「取り替えていないから関係ない」と思い込むと、そこで1点落とします。
そしてもうひとつ。「20%以上」であって「20%を超える」ではありません。ちょうど20%の変更も対象に含まれます。法規の問題文は、この「以上」「超える」「未満」の書き分けで受験者をふるいにかけてきますので、読むときは指でなぞるくらいの慎重さで臨んでください。
ステップ5:発電所のボーダーは「500kW」

3つ目の対象は発電所です。太陽光、風力、水力……種類はいろいろありますが、試験対策としてはまず1本のラインを引いてください。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 基準 | 出力 500kW以上 |
| 対象工事 | 設置・変更工事 |
| 注意 | 種別により細かい数値は異なる |
厳密には発電所の種類ごとに数値が違うのですが、試験で問われるのは圧倒的に「500kW」です。まずは500kWで固めて、余裕が出てきた段階で種別ごとの数値に手を広げる。この順番が、独学では最も効率がいいはずです。
「50」と「500」を絶対に混ぜない
ここが、この単元で2番目に大きな罠です。
| 数字 | 何の話か |
|---|---|
| 50kW未満 | 小規模発電設備(まったく別の法体系) |
| 500kW以上 | 工事計画の届出が必要 |
桁がひとつ違うだけなのに、意味はまるで別物。試験本番で「あれ、50だったか500だったか」と迷った経験のある方は、ここで一度整理しておきましょう。小規模発電設備は50、工事計画は500。ゼロの数を数えるクセをつけると、迷いが減ります。
ステップ6:届出書に書く「4つのWと1つのH」

届出書の記載事項も、たまに問われます。5W1Hの届出版だと思ってください。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 目的 | なぜその工事をやるのか |
| 方法 | どうやって工事するのか |
| 機器 | 使用する機器の種類・定格 |
| 期間 | いつからいつまで |
| 保安 | 保安対策と、主任技術者による保安監督体制 |
結論としては、「何を、どうやって、どの機器で、どう安全に行うか」を明記するということ。実務では図面などの添付書類も求められますが、試験対策としてはこの5項目を押さえておけば十分です。
工事する段階なら当然決まっているはずの内容ばかりなので、丸暗記というより「言われてみればそうだ」と納得する形で覚えるのがおすすめです。
なお、この最後の「保安」の項目は、保安規程や主任技術者の話と地続きになっています。保安規程の中身がぼんやりしている方は、保安規程、ここで9割が挫折します|「5本柱」で一気に攻略を先に通しておくと、届出書の記載事項も自然に頭に入ってきます。
ステップ7:直前復習用マトリクス

ここまでの内容を1枚にまとめます。試験直前は、この表だけ見返せば大丈夫です。
| 設備・機器 | 対象となる工事 | 基準となる数値 |
|---|---|---|
| 需要設備 | 設置 | 10,000V(10kV)以上 |
| 遮断器など | 設置・取替・変更 | 10kV以上 かつ 20%以上の変更 |
| 発電所(種別により数値は異なる) | 設置・変更 | 出力 500kW以上 |
そして、この表の上に大きく貼っておく期限が、
届出の期限は、着工の30日前まで
縦の3行と、上に乗る「30日」。この形で覚えると、記憶が崩れにくくなります。スマートフォンで撮っておいて、試験会場の休憩時間に眺めるだけでも効果があります。
まとめ
工事計画の届出は、条文で読むと難しく見えますが、構造はきわめて単純でした。
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 制度の趣旨 | 危険を伴う工事は、着工前に国へ申告させる |
| 期限 | 着工の30日前まで |
| 対象1 | 需要設備 … 10kV以上の設置 |
| 対象2 | 遮断器など … 10kV以上かつ20%以上の変更 |
| 対象3 | 発電所 … 出力500kW以上の設置・変更 |
| 届出書の中身 | 目的・方法・機器・期間・保安 |
法規は暗記科目と言われますが、正確には「理屈で束ねてから覚える科目」です。バラバラの数字を100個覚えるのは苦行ですが、「事前申告のための制度」という幹に4つの数字をぶら下げるだけなら、今日1日で終わります。
まずは「10kV以上は30日前」。この一言から始めてください。
⚠ ここを間違える人が多い
この単元は、隣接する制度と数字が似ているせいで取り違えが起こります。実際に受験者が混乱しやすい3つを挙げておきます。
❌ 電圧の基準と、容量の基準をごちゃまぜにする
法規には「受電電圧が1万V以上」で線を引く制度と、「容量が○○kW以上」で線を引く制度の両方が登場します。どちらも同じ受電設備の話をしているので、記憶の中で溶け合ってしまうのです。
✅ 正しくは、工事計画の届出における需要設備の基準は受電電圧10,000V以上。kWではなく、Vで判断します。問題文を読むときは、まず単位(V なのか kW なのか)に丸をつける習慣をつけてください。単位さえ合っていれば、数字の取り違えは起きません。
❌ 届出先や審査する人を「電気主任技術者」だと思ってしまう
保安に関わる話がずっと続くので、つい「主任技術者が確認するもの」と思い込みがちです。
✅ 正しくは、届け出る相手も、内容を審査するのも主務大臣(国)です。主任技術者は、あくまで届出書のなかで「保安監督体制」として記載される側。国に対して手続きをするのは事業者本人であって、主任技術者が許可を出すわけではありません。ここは選択肢のすり替えとして本当によく使われます。
❌ 「20%を超える変更」と読んでしまう
✅ 正しくは「20%以上の変更」。ちょうど20%も対象に含まれます。法規は「以上/超える/未満/以下」の書き分けで得点差がつく科目です。数字だけを覚えて、その後ろについている言葉を読み飛ばさないでください。
過去問ではこう出た
この単元は、令和1年 問2で出題されています。
出題のされ方には、はっきりした傾向があります。
- 条文をほぼそのまま引いた穴埋め形式で、「30日」「10,000V」「20%」といった数値を空欄にしてくる
- 選択肢には、「着工後」「14日前」など、趣旨から考えればあり得ないものが必ず混ざる
- 需要設備・遮断器・発電所のうち複数をまたいで問い、数字の取り違えを誘う
裏を返せば、4つの数字と対象の組み合わせさえ正確なら、その場で計算するものは何もありません。法規のなかでは確実に取りに行くべき問題です。
ちなみに、外部委託承認まわりの数字(5・2・1と7000V)とも近い場所にありますので、まとめて整理しておくと得点効率が上がります。詳しくは外部委託の数字を「5-2-1法則+7000V」で一瞬攻略をどうぞ。
実際に手を動かして確認したい方は、こちらから同じ範囲の問題に挑戦できます。
よくある質問
Q. 届出を出さずに工事を始めてしまったら、どうなるのですか?
制度の趣旨から考えれば答えは明らかで、事後の届出では制度が成立しません。国が事前に内容を確認して安全性を担保する仕組みなので、着工してしまった時点で「事前申告」という前提が崩れます。試験対策としては、「着工後」という選択肢が出てきたら即座に切る、と覚えておけば十分です。実務ではもちろん、そうならないよう工程表を逆算して届出日を先に押さえます。
Q. 発電所は「種別により数値が異なる」とありますが、全部覚える必要がありますか?
結論から言うと、最初は500kWだけで大丈夫です。試験で問われる頻度が圧倒的に高いのが500kWだからです。学習の順番としては、まず4つの数字(30・10・20・500)を完璧にして、他の単元も一周してから、余力があるときに種別ごとの数値へ手を広げる。この順番を守ってください。先に細かい数値へ行くと、幹である500kWまであやふやになります。
Q. 「設置」「取替」「変更」は、それぞれ何が違うのですか?
ざっくりとしたイメージで構いません。設置は新しく作ること(新設)、取替は既にあるものを別のものに入れ替えること、変更は容量や定格などの中身を変えることです。
| 用語 | 意味 | 主に問われる対象 |
|---|---|---|
| 設置 | 新しく作る | 需要設備・遮断器・発電所 |
| 取替 | 別のものに入れ替える | 遮断器など |
| 変更 | 容量・定格などを変える | 遮断器(20%以上)・発電所 |
需要設備は「設置」、遮断器は「設置・取替・変更」、発電所は「設置・変更」。この対象工事の違いも、たまに問われます。マトリクスの真ん中の列として、数字とセットで眺めておいてください。
Webの何倍も覚えやすい
紙のフルラミネート加工の
暗記シートがあります
実績2,000部突破。
お風呂や電車のスキマ時間でサクッと勉強できます。
付属の練習用紙で無限に練習できます♪

🛒関連教材ショーケース
学習の効率を上げる、紙の本格教材ラインナップ。


この記事を読み終えたら、進捗を記録しましょう




