免許なしでも電気主任技術者になれる!?「許可選任」を完全攻略
電験三種「法規」科目で頻出の『電気主任技術者の許可選任』を完全図解。原則は国家免許必須、例外は『小さな設備+有資格者=許可で選任OK』。500kW未満/10kV未満/第1種電気工事士/経済産業大臣など、試験で狙われる数値と権限者を一気に整理します。
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この記事で身につくこと
法規の勉強をしていて、こんな条文に出会って手が止まった経験はありませんか。
「主任技術者免状の交付を受けていない者を主任技術者として選任することができる」
いやいや、免状がないと主任技術者になれないはずでは?——そう思ったなら、あなたの理解は正しいです。原則は、たしかに免状が必要。ただし法規には、この原則にきちんと例外が用意されています。それが今回の主役、許可選任です。
この論点は、条文の見た目こそ難しそうですが、実は覚えることが数個しかありません。しかも試験では、その数個をそのまま聞いてくる。つまり、苦手意識さえ外せば、法規の中でもかなり「取りやすい」論点なのです。
この記事を読み終えると、次の3つが自分の言葉で言えるようになります。
| 身につくこと | 具体的に言えるようになること |
|---|---|
| 原則と例外の関係 | なぜ免状なしでも選任できる制度があるのか |
| 3つの数値 | 発電所・需要設備は500kW未満、変電所は10kV未満 |
| 許可権者と人の条件 | 経済産業大臣または産業保安監督部長/第1種電気工事士 |

暗記フレーズ:小さな設備 + 有資格者 = 許可で選任OK
今日はこの1行だけ持って帰ってください。
小さな設備 + 有資格者 = 許可で選任OK
足し算の形になっているのがミソです。「小さな設備」だけでもダメ、「有資格者」だけでもダメ。両方そろって初めて、許可という出口にたどり着ける。この構造が頭に入っていると、選択肢を読んだ瞬間に「あ、設備の条件しか書いていないな」と欠けている側に気づけるようになります。

そしてもうひとつ、この式には書かれていない主語があります。「誰が許可するのか」です。ここが試験の狙い目なので、後のステップでしっかり潰しましょう。
ステップ1:まず「原則」を押さえる — なぜ免状が要るのか

例外を覚える前に、原則を1行で言えるようにしておきます。
原則:免状を持つ者から選任する
事業用電気工作物を設置する者は、その保安を監督させるため、主任技術者免状の交付を受けている者のうちから主任技術者を選任しなければなりません。これが大原則です。
なぜこんなルールがあるのか。高圧・特別高圧の設備は、扱いを誤れば人命に関わります。だから国が試験で能力を確認し、免状という形で「この人なら任せられる」と保証している。国家免許を必須にすることで、保安の水準を全国一律に担保しているわけです。
そもそも「どんな設備に主任技術者が必要なのか」という土台があやふやな方は、先に〈大規模=主任技術者+保安規程:事業用電気工作物4つの絶対ルールと境界線〉を読んでおくと、今日の話が一段クリアになります。
例外:条件つきで、免状なしでも選任できる
とはいえ、世の中の電気設備はすべてが大規模ではありません。小さな自家用設備にまで一律に免状保有者を求めると、なり手が見つからず、かえって現場が回らなくなります。
そこで法規は、規模が小さく、かつ一定の技術力が確認できる人に限って、免状なしの選任を認めました。ただし自動でOKになるわけではなく、国の許可というチェックを1枚はさみます。これが許可選任です。
| 原則 | 例外(許可選任) | |
|---|---|---|
| 必要なもの | 主任技術者免状(国家免許) | 許可 + 設備の条件 + 人の条件 |
| 対象設備 | 制限なし | 小規模な設備に限る |
| 手続き | 選任して届出 | あらかじめ許可を受ける |
ステップ2:許可を出すのは誰か — ここが最大の得点源

許可選任の許可を出すのは、経済産業大臣、または産業保安監督部長です。
「国が出す」という感覚をつかむ
電気保安は国の所管です。だから許可を出すのも国の側。全国レベルの案件は経済産業大臣、地域単位の案件は各地の産業保安監督部長が担当する、という役割分担になっています。
産業保安監督部というのは、経済産業省の地方機関です。名前が長くて覚えにくいのですが、「経済産業」という言葉が入っていない選択肢は、まず疑うという読み方をすると、消去法が一気にラクになります。
| 選択肢に出たら | 判定 |
|---|---|
| 経済産業大臣 | ⭕️ 正しい |
| 産業保安監督部長 | ⭕️ 正しい |
| 都道府県知事 | ❌ よくある引っかけ |
| 市町村長・所轄の警察署長・消防署長 | ❌ 明らかに畑違い |
「知事」という言葉は、他の法令ではそれらしく見えてしまうのが厄介なところ。電気の許可は国、と結びつけて覚えてしまいましょう。
ステップ3:条件① 設備の規模 — 500kWと10kVの使い分け

「小さな設備」の中身は、次の3パターンです。
| 設備の種類 | 条件 | 判断に使う量 |
|---|---|---|
| 発電所 | 出力 500kW未満 | 出力(kW) |
| 需要設備 | 出力 500kW未満 | 出力(kW) |
| 変電所 | 電圧 10kV未満 | 電圧(kV) |
変電所だけ「単位が違う」理由
発電所と需要設備は出力で線を引くのに、変電所だけは電圧で線を引きます。理不尽に見えますが、考えてみれば自然です。変電所は電気を「作る」場所でも「使う」場所でもなく、電圧を変える通り道。その規模を表すのに最もふさわしい量が、電圧だからです。
この「変電所だけkV」という点は、試験で必ず突かれます。変電所=電圧=10kV未満と、3つセットで唱えておくのが安全です。
「未満」であって「以下」ではない
もう一つの落とし穴が、境界のことばです。条文は未満。つまり、ちょうど500kWの需要設備は許可選任の対象外です。
| 出力 | 判定 |
|---|---|
| 400kW | ⭕️ 500kW未満なので対象 |
| 499kW | ⭕️ 対象 |
| 500kW | ❌ ちょうどは「未満」に入らない |
| 600kW | ❌ 対象外 |
法規は、この「以上・以下・未満・超える」の書き分けで受験者をふるいにかける科目です。数字の並びを数字で覚える練習としては、〈工事計画の届出は「30・10・20・500」の4つの数字で攻略〉のような数値まとめ記事と併せて読むと、境界の読み方に強くなれます。
ステップ4:条件② 人の条件 — 第1種か、電気系の学校卒か

設備が小さければ誰でもよい、というわけではありません。人の側にも条件があります。
| 認められる人 | 補足 |
|---|---|
| 第1種電気工事士 | 免状を持っていること |
| 電気系の学校の卒業者 | 所定の実務経験等の条件あり |
なぜ「第2種」ではダメなのか
第2種電気工事士が扱えるのは、原則として一般用電気工作物、つまり低圧の範囲です。一方、許可選任で監督することになる自家用電気工作物には、高圧の受電設備が含まれます。扱える範囲が違う以上、そのまま保安の監督役には据えられない——そう考えると、第1種でなければならない理由が腑に落ちます。
試験では、条件の他の部分はすべて正しく書いておいて、「第1種」を「第2種」にだけ差し替えた選択肢が出てきます。文章が長いと最後まで気が回らず、うっかり見逃しがちです。人の条件が出てきたら、まず「何種か」を指差し確認するクセをつけてください。
ステップ5:3つの要素を1枚に束ねる
ここまでの内容を、許可までの流れとして並べ直します。
- 設備の条件:発電所500kW未満/変電所10kV未満/需要設備500kW未満のいずれかに当てはまるか
- 人の条件:第1種電気工事士、または電気系の学校の卒業者(条件あり)か
- 許可:経済産業大臣または産業保安監督部長の許可を受ける
この3段構えが、そのまま試験の解き方になります。問題文を読んだら、①設備の数値、②人の資格、③許可権者、の順に指差し確認する。3つのうち1つでも欠けたり、すり替えられたりしていれば、その選択肢は誤りです。
| チェック順 | 見るところ | 引っかけの典型 |
|---|---|---|
| ① | 数値と単位 | 500kW以下/変電所10kW未満 |
| ② | 資格の種別 | 第2種電気工事士 |
| ③ | 許可を出す人 | 都道府県知事 |
なお、主任技術者を選任した後には保安規程という別のルールが待っています。選任と保安規程はセットで問われることが多いので、〈保安規程、ここで9割が挫折します|「5本柱」で一気に攻略〉も続けて確認しておくと、法規の前半がひとつながりになります。
ステップ6:本番形式で確かめる
実際の出題イメージで、2問だけ解いてみましょう。
例題1
免許を持たない者を選任できる「変電所」の条件は、電圧何kV未満か。 A. 7kV未満 B. 10kV未満 C. 20kV未満
答えは B. 10kV未満。7kVは高圧・特別高圧の境界(7,000V)に引きずられた誤答、20kVは単なる数値違いです。変電所は電圧、しかも10kV未満。ここで「500」が頭をよぎった人は、発電所・需要設備と混ざっています。
例題2
出力400kWの需要設備において、免許を持たない第1種電気工事士を選任する場合、誰の許可が必要か。 A. 都道府県知事 B. 経済産業大臣 または 産業保安監督部長 C. 所轄の警察署長
答えは B。ここで大事なのは、許可権者を答えて終わりにしないことです。400kW < 500kWで設備の条件を満たし、第1種電気工事士で人の条件も満たしている。だからこそ許可という話が成立します。本番でもこの確認を挟むクセをつけると、条件がわざと崩された問題に強くなれます。
まとめ

今日の内容を、一枚の表に畳んでおきます。
| 要素 | 覚えること |
|---|---|
| 原則 | 主任技術者免状を持つ者から選任する |
| 例外 | 小規模設備に限り、免状なしでも許可で選任できる |
| 設備① | 発電所 出力500kW未満 |
| 設備② | 需要設備 出力500kW未満 |
| 設備③ | 変電所 電圧10kV未満 |
| 人 | 第1種電気工事士、または電気系学校卒業者(条件あり) |
| 許可 | 経済産業大臣 または 産業保安監督部長 |
覚える量は、たったこれだけです。法規には条文が入り組んで手強い論点もありますが、許可選任はその中で明らかに「軽い」部類。数値と権限者をセットで頭に入れておけば、本番で見た瞬間に処理できます。
小さな設備 + 有資格者 = 許可で選任OK
このフレーズを、試験当日の朝にもう一度つぶやいてください。それだけで1点が守れます。
⚠ ここを間違える人が多い
この論点で失点する人のつまずき方は、だいたい決まっています。
❌ 「500kW以下」だと思っている → ✅ 正しくは「500kW未満」
法規は境界のことばで差がつく科目です。「以下」なら500kWちょうどが含まれ、「未満」なら含まれません。選択肢に500kWちょうどの設備が出てきたら、それは対象外。ここを曖昧に覚えていると、正誤どちらの選択肢を出されても判断できなくなります。
❌ 変電所も500kWで覚えている → ✅ 変電所だけ電圧10kV未満
3つの設備のうち、変電所だけが電圧で線を引きます。しかも出題側はここを知っていて、「変電所 10kW未満」のように単位だけをすり替えた選択肢を混ぜてきます。kWとkVは見た目が似ているので、急いで読むと素通りしてしまう。数値を確認したら、必ずその隣の単位まで目で追う——この一手間が、そのまま1点になります。
❌ 「電気の許可だから知事でもよさそう」 → ✅ 許可を出すのは国
自治体が出てくる許認可は世の中に多いので、都道府県知事という選択肢は妙にもっともらしく見えます。しかし電気保安の許認可は国の所管で、実務上は各地の産業保安監督部長が担当します。電気=国という結びつきを一度作ってしまえば、以後は迷いません。
❌ 条件を1つ確認して満足してしまう → ✅ 設備・人・許可の3点セットで見る
設備の数値だけ、あるいは資格の種類だけを見て正誤を判断すると、もう一方をこっそり崩された選択肢に引っかかります。暗記フレーズが足し算の形をしているのは、「両方そろって初めて許可にたどり着く」という構造を忘れないためです。
過去問ではこう出た
電気主任技術者の選任に関する出題は、法規で繰り返し登場しています。テーマで照合できる範囲では、次のような出題実績があります。
| 年度 | 問番号 |
|---|---|
| 平成28年 | 問1 |
| 平成29年 | 問10 |
| 平成30年 | 問2 |
| 令和2年 | 問1 |
| 令和5年 上期 | 問1 |
問1・問2という並びを見て気づいた方もいるかもしれません。この論点は、法規の冒頭付近に置かれやすいのです。つまり、本番の最初の数分で出会う可能性が高い。ここをスッと処理できると、残り時間にも気持ちにも余裕が生まれます。
出題の形は、条文の空欄を埋めさせるものと、具体的な設備の数値を示して選任の可否を判断させるものの2通り。どちらにせよ、問われているのは今日整理した数値・資格・許可権者の3点です。
よくある質問
Q. 許可選任で選任された人は、免状を持つ主任技術者と同じ仕事をするのですか?
保安を監督する立場という点では同じです。ただし、許可はあくまでその設備・その人についての個別の許可であり、免状のように全国どこでも通用する資格になるわけではありません。許可を受けたからといって主任技術者免状が交付されるわけでもないので、そこは切り分けて理解しておきましょう。
Q. 「500kW未満」の500kWは、他の論点で出てくる500kWと同じものですか?
数字は同じでも、意味は別物です。法規には500という数字が複数の場面で登場するため、「何の500なのか」を必ずセットで覚える必要があります。今日の500kWは、あくまで許可選任の対象となる発電所・需要設備の出力の上限。数字だけを裸で覚えると、別の論点の500と混ざって取り違えます。
Q. 電気系の学校の卒業者なら、卒業しただけで選任できますか?
できません。学歴に加えて、所定の実務経験等の条件を満たす必要があります。試験では「電気系の学校の卒業者」とだけ書かれることが多いのですが、背後にはこの条件がぶら下がっている、という理解でいてください。逆に言えば、この制度は現場で電気に触れてきた人の実力を評価するための道でもあります。
Q. 変電所の10kVという数値は、覚えにくいのですが何かコツはありますか?
「変電所は電圧を変える場所だから、電圧で判断する」と、意味から入るのが一番の近道です。そのうえで、発電所と需要設備の500kWと並べて「kW・kW・kV」とリズムで唱えると、単位のすり替えに気づきやすくなります。数字だけを暗記しようとすると混ざりますが、理由とセットにすると混ざりません。
Q. 選任されると、何かいいことはありますか?
試験対策の外の話になりますが、実務経験の数え方で大きな差がつきます。
電気管理技術者として独立するには決められた年数の実務経験が必要で、 選任されていた期間は「1年働けば1年」とそのまま数えられます。 一方、補助者として働いた期間は「21件の点検で1か月」という数え方になります。
同じ5年でも、立場によって届く年数がまったく違うわけです。
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