電気事業法 第1条を「2つの手段 × 4本の柱」で穴埋め完全攻略
電験三種「法規」科目で文章そのままの穴埋めが頻出する電気事業法 第1条(目的条文)を、丸暗記ではなく『2つの手段 × 4つの目的』の論理構造で攻略。利益保護・健全発達・安全確保・環境保全の4本柱を、手段とセットで記憶に定着させて確実に得点する1記事です。
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この記事で身につくこと
法規の勉強を始めて、最初に手が止まるのが電気事業法の第1条です。理論や電力のように計算で答えが出るわけでもなく、ただ長い一文が並んでいる。読んでも頭に残らない。そこで「とりあえず丸暗記」と言われて、余計に苦しくなる——この流れ、覚えがある方は多いはずです。
でも安心してください。第1条が覚えられないのは記憶力のせいではありません。切り分け方を教わっていないだけです。この記事を読み終えるころには、次のことができるようになります。
| 身につくこと | ゴールの姿 |
|---|---|
| 第1条の全文を、意味の切れ目で読める | 「及び」の多さに惑わされなくなる |
| 手段と目的を分けて説明できる | どの言葉がどこに掛かるかを言える |
| 4本の柱を順番に言える | 穴埋め問題で選択肢を見る前に答えが浮かぶ |
| ひっかけを見抜ける | 「設置」と「維持」のような差し替えに気づく |
第1条は、法規のなかでもっとも投資対効果が高いところです。覚える量はわずかなのに、ほぼ毎年、しかも問1という一番落ち着いて解ける位置に出ます。ここを固めておくと、試験開始直後の1問を確実に取れて、そのあとの計算問題に落ち着いて進めます。
暗記フレーズ:運営を適正に・工作物を規制して、利益保護・健全発達・安全確保・環境保全
この一行が、この記事のすべてです。前半が手段、後半が目的。第1条は、この2つの塊でできています。
手段は2つ(運営の適正化/工作物の規制)。 目的は4つ(利益保護/健全発達/安全確保/環境保全)。 2つの入口から、4つの出口へ。
条文をそのまま暗唱しようとすると100文字を超えますが、この構造だけなら10秒で言えます。まずはこのフレーズを声に出してから、以下を読み進めてください。
ステップ1:第1条は「建付け」から入る

法律の第1条には、必ずと言っていいほど「目的」が書かれています。その法律が何のために存在するのかを、最初に宣言しておくわけです。
そして目的条文には決まった型があります。「◯◯することによって、△△を図ることを目的とする」——つまり、手段と目的が必ずセットになっている、という型です。
なぜセットになるのか。目的だけを掲げても、それをどうやって実現するのかが書いていなければ、法律として動かないからです。逆に手段だけを書いても、何のためにやるのかが分かりません。だから第1条は必ず「何によって、何を達成するか」の形になります。
この型さえ知っていれば、初めて見る条文でも読む向きが決まります。文中の「〜によって」を探せば、その前が手段、その後ろが目的です。
なお、電気事業法がそもそも法令全体のどのあたりに位置する存在なのかがピンと来ない方は、先に法規攻略の第一歩!『電技 = 解釈 = 細かさ最上級』で法令ピラミッドを丸ごと理解に目を通しておくと、この先の話がぐっと入りやすくなります。憲法から電技解釈までの階段のなかで、電気事業法は「法律」の段に立っています。
ステップ2:全文を、意味の切れ目で読む

まずは全文です。一度、声に出して読んでみてください。
この法律は、電気事業の運営を適正かつ合理的ならしめることによって、電気の使用者の利益を保護し、及び電気事業の健全な発達を図るとともに、電気工作物の工事、維持及び運用を規制することによって、公共の安全を確保し、及び環境の保全を図ることを目的とする。
読みにくいですよね。「及び」が3回も出てきて、どこで息継ぎをすればいいのか分かりません。これは法律文特有の書き方で、皆さんの読解力の問題ではありません。
「とともに」で真っ二つに割る
この長い一文には、実ははっきりした折り返し地点があります。「〜を図るとともに、」の部分です。ここでハサミを入れると、条文は前半と後半のきれいな2ブロックに分かれます。
| ブロック | 手段(〜によって) | 目的 |
|---|---|---|
| 前半 | 電気事業の運営を適正かつ合理的ならしめること | 電気の使用者の利益を保護/電気事業の健全な発達 |
| 後半 | 電気工作物の工事、維持及び運用を規制すること | 公共の安全を確保/環境の保全 |
こうして並べると、前半と後半がまったく同じ形をしていることが見えてきます。どちらも「手段 → 目的2つ」。同じ型が2回繰り返されているだけなのです。
覚えるのは太字の部分だけ
表の太字だけを拾えば、覚えるべき語は「運営/適正かつ合理的/利益を保護/健全な発達/工事、維持及び運用/公共の安全/環境の保全」。これだけです。残りは接続の言葉なので、意味の骨格が入っていれば自然に埋まります。
ステップ3:4本の柱として立て直す

条文を分解できたら、今度は覚えやすい形に組み直します。動画では、第1条を支える要素を「4本の柱」として整理しました。
| 柱 | 内容 | 条文中の言葉 |
|---|---|---|
| 第1の柱 | 運営の適正化 | 運営を適正かつ合理的ならしめること |
| 第2の柱 | 使用者の保護 | 電気の使用者の利益を保護 |
| 第3の柱 | 産業の発展 | 電気事業の健全な発達 |
| 第4の柱 | 規制による守り | 工作物の規制による公共の安全確保と環境保全 |
この4本を、意味のつながりで眺めてみましょう。電気は生活にも産業にも欠かせないインフラですから、まず事業がきちんと運営されることが土台になります(第1の柱)。運営が適正であれば、電気を使う人が不当な扱いを受けずに済み(第2の柱)、事業者の側も健全に育っていく(第3の柱)。そのうえで、電気は扱いを誤れば人命に関わり、環境にも影響を与えますから、設備そのものを規制して守る必要がある(第4の柱)。
こうして意味で追えるようになると、4つの語がバラバラの単語ではなく、一本の筋道として頭に残ります。
ステップ4:手段と目的の相関を、線でつなぐ

ここまでで試験対策としては十分な水準ですが、もう一段だけ深く見ておくと、ひっかけ問題への耐性が一気に上がります。どの手段から、どの目的へ線が伸びているかを確認する作業です。
ルート1:運営の適正化から伸びる2本
「事業運営の適正化・合理化」という手段からは、2本の線が伸びます。
- 目的A ── 電気の使用者の利益を保護すること
- 目的B ── 電気事業の健全な発達を図ること
使う側の利益と、供給する側の健全さ。どちらか一方に偏らせないところが、この法律の性格です。
ルート2:工作物の規制から伸びる1本
「電気工作物の工事・維持・運用の規制」という手段からは、もう1本の線が伸びます。
- 目的C ── 公共の安全を確保し、環境の保全を図ること
こちらは設備の話です。ものを規制することで、人の安全と自然環境を守る。ルート1が経済・経営の側面、ルート2が保安の側面、と対にして覚えると混ざりません。
なぜ線でつなぐと強いのか
穴埋め問題では、正しい語が別の場所に置かれた選択肢が必ず混ざります。語だけを覚えていると「見たことがある言葉だ」で選んでしまい、線の向きが違うことに気づけません。逆に「利益保護は運営側から伸びる線だ」と分かっていれば、工作物の規制の後ろに利益保護が置かれた瞬間に違和感が走ります。
ステップ5:暗記フレーズを、記憶に定着させる
最後の仕上げです。試験直前に見返すべきキーワードは、次の4つに絞れます。
| キーワード | もとの条文表現 | ひもづく手段 |
|---|---|---|
| 利益保護 | 電気の使用者の利益を保護し | 運営の適正化 |
| 健全発達 | 電気事業の健全な発達を図る | 運営の適正化 |
| 安全確保 | 公共の安全を確保し | 工作物の規制 |
| 環境保全 | 環境の保全を図る | 工作物の規制 |
ただし、この4語を文字列としてだけ暗記するのは危険です。試験本番では、緊張から「覚えていたはずの言葉が出てこない」ということが本当に起こります。単語だけの記憶は、緊張の前ではあっけなく飛びます。
飛ばないようにする方法はひとつだけ。2つの手段と必ずセットで思い出すことです。「運営の適正化 → 利益保護・健全発達」「工作物の規制 → 安全確保・環境保全」。この2セットで唱える習慣をつけておけば、片方が出れば芋づる式にもう片方が出てきます。記憶が1本の紐でつながっている状態にしておく、というイメージです。
この第1条が頭に入ったら、次は「では、その電気事業とは具体的に何を指すのか」に進むのが自然な流れです。電気事業の5分類と規制(許可・登録・届出)を完全マスターで、第1条の言う「電気事業」の中身を押さえておきましょう。第1条とセットで出題されることも珍しくありません。
まとめ
電気事業法 第1条は、長い一文に見えて、中身はきわめて単純な構造をしています。
| 押さえどころ | 内容 |
|---|---|
| 条文の型 | 「〜によって、〜を図ることを目的とする」=手段と目的のセット |
| 割り方 | 「〜を図るとともに、」で前半・後半に真っ二つ |
| 手段(2つ) | 運営の適正化・合理化/電気工作物の工事、維持及び運用の規制 |
| 目的(4つ) | 利益保護・健全発達/安全確保・環境保全 |
| 覚え方 | 4語を単独で覚えず、手段とセットで想起する |
「法規は暗記科目だから苦手」と感じていた方ほど、この記事の効果は大きいはずです。暗記が苦手なのではなく、構造を渡されないまま暗記させられていただけなのですから。構造さえ手に入れば、法規は理論よりずっと短時間で得点源になります。
⚠ ここを間違える人が多い
第1条は素直な条文ですが、それでも取りこぼす人がいます。原因はいつも同じ場所です。
❌ 目的の4語だけを、順番に丸暗記する
→ ✅ 手段と必ずペアで覚える。 「利益保護・健全発達・安全確保・環境保全」を呪文のように並べて覚えた人は、穴埋めの空欄が手段側(「運営を〔 〕かつ〔 〕ならしめる」)に開いた瞬間に手が止まります。出題者は目的側ばかりを空欄にしてくれるとは限りません。手段の言葉——「適正かつ合理的」「工事、維持及び運用」——も、同じ重みで押さえておく必要があります。
❌ 「工事・維持・運用」のうち、どれか1つを落とす
→ ✅ 3つで1セット。 ここは並列の語をわざと1つ欠けさせる、あるいは別の語に差し替える形で問われやすいところです。「設置」「点検」「管理」といった、日常感覚では自然に響く言葉が置かれていても、条文の語でなければ誤りです。条文は設備を作るときだけでなく、作った後も維持し運用し続ける間ずっと規制の対象にしています。この「後々まで続く」という感覚を持っておくと、語の抜けに気づきやすくなります。
❌ 目的の線を、左右で取り違える
→ ✅ 経済は運営側、保安は設備側。 「使用者の利益保護」を工作物の規制から伸ばしてしまう、あるいは「公共の安全確保」を運営の適正化にぶら下げてしまう取り違えです。語としてはどちらも第1条に登場するので、うろ覚えだと見分けがつきません。お金と事業の話は運営から、人命と環境の話は設備から。この一行だけ覚えておけば防げます。
過去問ではこう出た
電気事業法の目的条文まわりは、本試験の問1に置かれる常連です。テーマで照合すると、電験ジムの収録範囲だけで31問が該当します。
| 年度 | 問番号 |
|---|---|
| 令和7年 上期/下期 | 問1/問1 |
| 令和6年 上期/下期 | 問1/問1 |
| 令和5年 上期/下期 | 問1/問1 |
| 令和4年 上期/下期 | 問1/問1 |
直近4年、上期・下期のすべてで問1に出ています。これは「出るかもしれない」ではなく「出る」と考えて準備すべき水準です。
出題の形はほぼ一定で、条文の一部を空欄にした穴埋めが中心です。空欄は目的側だけでなく手段側にも開きますし、電気事業法の他の条文(技術基準への適合義務や使用制限命令など)と組み合わせて、複数の条文をまたいで問われることもあります。裏を返せば、条文を構造で理解している人にとっては、試験開始直後にほぼ確実に1問取れる場所ということです。
よくある質問
Q. 条文は一言一句、そのまま暗記しないとダメですか?
必ずしもそこまでは必要ありません。ただしキーワードは条文どおりの言葉で押さえてください。穴埋め問題は、意味が同じでも語が違えば不正解になります。「適正かつ合理的」を「適切で効率的」と覚えていては得点になりません。
おすすめは、構造(手段2つ・目的4つ)を先に頭に入れて、そこにキーワードを条文どおりの形で貼り付けていくやり方です。全文を丸ごと唱えるより、はるかに短時間で、しかも崩れにくい記憶になります。
Q. 「使用者の利益を保護」というのは、具体的に何を守っているのですか?
電気を使う側が、不当に高い料金を押しつけられたり、供給を一方的に止められたりしないよう守る、という趣旨です。だからこそ、この目的は設備の規制ではなく事業の運営面から伸びています。
たとえば電圧や周波数を一定の範囲に保つ義務も、突き詰めれば使用者の利益を守るための仕組みです。この具体的な数値については200V・100Vの電圧許容範囲とは?101±6V/202±20Vで扱っていますので、第1条の理念が実際の数字にどう落ちるのかを見ておくと、法規全体の見通しがよくなります。
Q. 第1条を覚える時間は、どのくらい見ておけばいいですか?
構造で覚えるなら、初回に30分ほど、その後は1回5分の復習を数回で十分です。理論や機械の1テーマにかける時間と比べれば、圧倒的に軽い投資で確実な1問に変わります。
大切なのは、間を空けすぎないことです。1日目に覚えたら、翌日・1週間後・試験前と、短い復習を挟んでください。仕事を持ちながら独学されている方にとって、こういう「隙間時間で回せる単元」は貴重な得点源になります。通勤中に暗記フレーズを一度唱える、それだけでも記憶は保てます。
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