電技その1:電圧の種別と最大使用電圧『ナナロク!直流750・交流600』で感電火災を防ぐ第一歩
電験三種「法規」電技の入口、電気設備技術基準 第2条の『電圧の種別』をスッキリ整理。低圧・高圧・特別高圧の境目(直流750V/交流600V/7000V)と、最大使用電圧の計算式『×1.15/1.1』を、暗記フレーズと表で一気に攻略します。数字がゴチャゴチャになる人ほど読んでほしい一本です。
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この記事で身につくこと
法規の勉強を始めて、最初に「うっ」となるのがこの単元だと思います。低圧・高圧・特別高圧。言葉は知っている。でも、いざ「交流で低圧の上限は?」と聞かれると、600だったか750だったか、指が止まる。そんな経験、ありませんか。
安心してください。ここは覚えることが本当に少ない単元です。数字は3つだけ。しかもその3つを、たった一息の暗記フレーズで言い切れるようにします。
ただし、少ないからといって軽く扱ってはいけない場所でもあります。電圧の3区分は、法規の中だけの話ではありません。理論でも、電力でも、機械でも、「高圧の場合は」「低圧屋内配線では」という形で顔を出し続けます。区分ごとにルールが丸ごと違うので、ここが曖昧だと、他の科目で読んでいる条文や問題文の意味が半分しか入ってこないのです。
逆に言えば、ここを固めるだけで全科目の見通しが良くなります。投資対効果は、法規の中でも最上位クラスです。
この記事を読み終えると、次のことができるようになります。
| ゴール | 具体的にできるようになること |
|---|---|
| 境界値を即答できる | 直流750V・交流600V・7,000V超という3つの数字を、迷わず言える |
| 公称電圧を分類できる | 100V・200V・400Vがすべて低圧だと、自信を持って答えられる |
| 最大使用電圧を計算できる | 公称電圧 × 1.15 ÷ 1.1 という式を使い分けられる |
| 条文の「なぜ」が分かる | 電技第1条の3大原則から、個々の規定の目的を逆算できる |

法規は「暗記科目」と言われがちですが、実際に得点が安定するのは、丸暗記した人ではなく理由から理解した人です。この記事は、その入口にあたります。
暗記フレーズ:直七交六 なな超え特別
先に結論から渡します。今日覚えて帰るのは、この一行だけです。
直七交六(ちょくなな こうろく) なな超え特別(ななごえ とくべつ)
読み解くと、こうなります。
| フレーズ | 意味する内容 |
|---|---|
| 直七(ちょくなな) | 直流は七百五十V以下が低圧 |
| 交六(こうろく) | 交流は六百V以下が低圧 |
| なな超え特別 | 七千Vを超えたら特別高圧 |
「直・七・交・六・七・特」。この6つのキーワードだけで、電圧区分の表がまるごと復元できます。試験会場で表を思い出せなくなったとき、頭の中でこのフレーズを唱えれば、そこから逆算して書き出せる。そういう作りにしてあります。
声に出して3回。急いでいる人はこの先を読み飛ばしても構いませんが、フレーズだけは持って帰ってください。
ステップ1:電圧の3区分は「両端」から固める

電気設備技術基準では、電圧を次の3つに区分しています。まずはこの表が正本です。
| 区分 | 直流 | 交流 |
|---|---|---|
| 低圧 | 750V以下 | 600V以下 |
| 高圧 | 750Vを超え7,000V以下 | 600Vを超え7,000V以下 |
| 特別高圧 | 7,000Vを超えるもの | 7,000Vを超えるもの |
覚える順番にコツがある
この表を上から順に丸暗記しようとすると、たいてい途中で混ざります。おすすめは両端から攻めるやり方です。
まず、表のいちばん大きな境界である7,000Vを先に固めます。ここは直流も交流も同じ値なので、覚える負担がありません。「7,000V以下は高圧、7,000Vを超えたら特別高圧」。これで表の下半分が確定します。
残るは低圧の上限だけ。ここに「直流750V・交流600V」を差し込めば、表は完成です。真ん中の高圧は、上下から挟まれて自動的に決まる──だから覚える必要すらありません。
低圧だけ直流と交流で違う理由
「なぜ低圧だけ数字が2つあるのか」は、多くの人が引っかかる点です。
直流と交流では人体への影響の出方が違い、そこに歴史的な経緯も重なって、別々の境界値が定められています。試験では理由よりも数字の正確さが優先されますが、「直流のほうが上限が高い(750 > 600)」という大小関係だけ頭に入れておくと、本番で迷ったときの手がかりになります。
そして高圧・特別高圧の側には、この直流・交流の区別はありません。7,000Vは共通です。「違うのは低圧だけ」と割り切ってしまいましょう。
ステップ2:400Vも「低圧」──公称電圧の落とし穴

ここが、この単元でいちばん多くの人がつまずくポイントです。
実際に電気を使う場所での電圧を公称電圧と呼びます。基本になるのは次の3つです。
| 公称電圧 | 主な使用場所 | 電圧区分 |
|---|---|---|
| 100V | 一般家庭のコンセント | 低圧 |
| 200V | 家庭のエアコン・IH、小規模な動力 | 低圧 |
| 400V | 工場・ビルの動力設備 | 低圧 |
そう、400Vも低圧です。
「工場で使う400Vなんだから高圧だろう」と思っていた方、正直に手を挙げてください。私も最初はそう思いました。でも、交流の低圧上限は600V。400Vはその内側に、余裕を持って収まっています。
「数字が大きい=高圧」ではない
高圧・特別高圧というのは、基本的に送る側の話です。発電所から変電所へ、変電所から街へと電気を運ぶ区間や、工場の受電設備。そこが高圧・特別高圧の世界です。
一方、実際に機器を動かす場所まで降りてきた電圧は、原則として低圧に落とされています。使用場所で高圧をそのまま使うケースがゼロというわけではありませんが、試験で問われる主戦場ではありません。
送電・受電の区間 → 高圧・特別高圧 実際に使う場所 → 低圧(100V・200V・400V)
この線引きが頭に入ると、「公称電圧の分類は?」という問いに、迷いなく「低圧」と答えられるようになります。
なお、電技を読み進めていくと「人が触れられる高さかどうか」で規定が変わる場面が出てきます。そのあたりが怪しい方は、先に〈電技その1|接触防護措置と簡易接触防護措置を『2.3/2.5・1.8/2.0』で一発整理〉に目を通しておくと、この先の条文がぐっと読みやすくなります。
ステップ3:公称電圧と最大使用電圧は別物

もう一段だけ深く掘ります。ここも試験に直結する話です。
電気は、負荷の状況によって電圧が多少変動します。ずっと寸分違わず100Vが来ているわけではないのです。この変動を見込んだ上限の値が最大使用電圧です。
つまり、こういう関係になります。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 公称電圧 | その電線路を呼ぶための基準の値(100V、6,600Vなど) |
| 最大使用電圧 | 変動を見込んだ、実際にかかりうる上限の値 |
計算式
公称電圧が1,000Vを超え7,000V以下の範囲にある場合、最大使用電圧は次の式で求めます。
ここで が公称電圧、 が最大使用電圧です。
およそ 1.05倍。ほんの少しだけ高い値が上限として想定されている、というイメージで掴んでおくと忘れにくいです。
たとえば公称電圧6,600Vの高圧配電線なら、
となり、6,900Vが最大使用電圧です。7,000V以下なので、区分はきちんと高圧のままですね。
なぜこれが問われるのか
試験では「電圧区分を判断するとき、どちらの値で見るのか」という形で狙われることがあります。公称電圧と最大使用電圧という2つの概念があること自体が、まず問われる知識なのです。
「×1.15÷1.1」は、正直なところ一度読んだだけでは定着しません。過去問を数回まわして、手を動かしているうちに指が覚えます。今の段階では「そういう式がある」で十分です。
ステップ4:電技第1条の3大原則──条文の「なぜ」を先に掴む

ここからは、法規の勉強そのものを楽にしてくれる話です。
電気設備技術基準、略して電技。その根っこには、「電気設備がやってはいけないこと」が3つ据えられています。
| 3大原則 | 守ろうとしているもの |
|---|---|
| 感電の防止 | 人が電気に触れて傷つかないこと |
| 火災の防止 | 電気が火元にならないこと |
| 人体危害・物件損傷の防止 | 人にも物にも害を与えないこと |
電技の膨大な条文は、すべてこの3つのどれかのために存在していると思って読んでください。
丸暗記の量が激減する
たとえば接地に関する規定が出てきたとします。ここで「これは感電を防ぐための条文だな」と見抜けると、細かい数値まで意味を持って頭に入ってきます。逆に3大原則を知らないまま条文だけ読むと、意味のない文字列を暗記する苦行になります。
法規を「ただの暗記科目」と感じてしまう人と、そうでない人の分かれ目は、まさにここです。目的があるから法律がある。当たり前のことですが、この当たり前を先に押さえておくだけで、条文の吸収速度が変わります。
具体例で確かめる
3大原則が実際にどう条文になっているのか、いくつか例を見ておきましょう。
- 電路は絶縁する → 感電の防止(漏れた電気に人が触れないように)
- 過電流を遮断する → 火災の防止(過熱を止める)
- 危険な設備には囲いを設ける → 人体危害・物件損傷の防止
この視点を持ったうえで〈電技その1|電路の絶縁は「構造上不可」か「技術上困難」か!2分類ツリーで例外を丸ごと整理〉を読むと、「なぜ例外が認められるのか」まで筋道が通って見えてくるはずです。
同じように、高圧・特別高圧の機器に人が近づけないようにする規定も、根っこは3大原則です。〈電技その1|高圧・特高機器の『触れるな3点セット』で危険防止をスッキリ攻略〉は、まさに感電防止という目的から条文を整理した内容になっています。
ステップ5:フレーズで表を復元する練習
ここまでの内容を、暗記フレーズから逆に組み立て直してみましょう。実際の試験会場で使うのは、この手順です。
- 頭の中で「直七交六 なな超え特別」と唱える
- 「なな超え特別」から、7,000V超=特別高圧を書く
- 「直七」から、直流の低圧上限750Vを書く
- 「交六」から、交流の低圧上限600Vを書く
- 残った真ん中が高圧──自動的に埋まる
この5手順で、表が復元できます。白紙から表を書き起こす練習を、一度でいいのでやってみてください。「思い出せる」と「書ける」の間には、思っている以上の差があります。
そして書けるようになったら、この単元はもう卒業です。次の条文へ進みましょう。工事の種類を扱う〈電技その1|どんな場所でもOK『オールマイティ工事4種』を一気に攻略〉あたりが、無理なく続けられる次の一歩になります。
まとめ
今日の内容を3行に圧縮します。
| チェック | 内容 |
|---|---|
| ① 境界値 | 低圧は直流750V以下・交流600V以下。7,000Vを超えたら特別高圧 |
| ② 公称電圧 | 100V・200V・400Vはすべて低圧。数字の大きさに惑わされない |
| ③ 電技第1条 | 3大原則は感電・火災・損傷の防止。条文の「なぜ」の答え |
電技の範囲は、電験三種の中でも屈指の広さです。この先は絶縁・接地・離隔距離と、覚えるべき数値がどんどん増えていきます。だからこそ、いま自分が何を学んでいるのかを見失わないでください。
そして安心してほしいのは、今日やった3区分と3大原則が、その全部の土台になるということです。土台さえ据わっていれば、上に積む知識は何度でも積み直せます。一度で全部覚えられなくても構いません。忘れたら、またここへ戻ってきてください。何度でもお迎えします。
⚠ ここを間違える人が多い
この単元は素直に見えて、選択肢の作り方次第で正答率が落ちます。特に次の2つは、本番で差がつくところです。
❌「7,000V以上が特別高圧」と覚えてしまう
✅ 正しくは 「7,000Vを超えるもの」が特別高圧です。
「以上」と「超える」は、日常会話ではほぼ同じ意味で使いますが、法令ではまったく別物です。7,000Vちょうどは、この境界のどちら側でしょうか。答えは高圧。7,000V以下が高圧なので、ちょうどの値は高圧側に入ります。
問題文が「7,000V以上」と書いてあったら、それは誤りの選択肢である可能性が高い、という嗅覚を持っておいてください。同じことは低圧側にも言えます。交流600Vちょうどは低圧(600V以下だから)、600.1Vは高圧です。
| 電圧(交流) | 区分 |
|---|---|
| 600V ちょうど | 低圧 |
| 600Vを超える | 高圧 |
| 7,000V ちょうど | 高圧 |
| 7,000Vを超える | 特別高圧 |
❌ 直流と交流の数字を逆にしてしまう
✅ 正しくは 直流750V・交流600V。直流のほうが大きい数字です。
これは本当によく起きる取り違えです。対策はシンプルで、暗記フレーズの語順を守ること。「直七交六」──直流が先、交流が後。この順番でしか唱えないようにしておけば、数字が入れ替わりません。
さらに保険をかけるなら、「直流のほうが上限が高い」という大小関係を一緒に覚えておきます。仮に数字そのものを忘れても、「750と600のどっちが直流だったか」で迷わずに済みます。
よくある質問
Q. 電圧の3区分は、法規以外の科目でも使いますか?
はい、全科目で使います。理論・電力・機械のどこにでも「高圧の場合は」「低圧屋内配線では」という前提が登場し、区分によってルールや扱いが変わります。
法規の1単元というより、電験三種全体の共通言語だと考えてください。ここを曖昧にしたまま先へ進むと、他の科目で問題文の意味が半分しか取れない、という状態になりがちです。逆に、ここを最初に固めてしまえば、あとの学習がずっと楽になります。
Q. 電圧区分は、公称電圧と最大使用電圧のどちらで判断するのですか?
問題文の指示に従うのが原則です。ここで大事なのは、2つの値が存在すること自体を知っていることです。
たとえば公称電圧6,600Vの線路の最大使用電圧は6,900V。どちらも7,000V以下なので、この場合はどちらで見ても高圧です。ただし境界付近の値が出題されたときは、どちらの値で判定するのかが正誤を分けます。問題文に「最大使用電圧」と書いてあるのに公称電圧のつもりで解く──これが典型的な失点パターンです。用語を読み飛ばさないこと、これに尽きます。
Q. 3大原則は、条文の言い回しまで正確に覚える必要がありますか?
一字一句の暗記までは不要です。感電・火災・損傷という3つのキーワードが出てくれば、まず対応できます。
ただし、この3つを「暗記項目」として持つのではなく、条文を読む時のレンズとして使ってほしいのです。新しい規定に出会うたびに「これは3つのうちどれを防ぐための決まりだろう」と自問する。この習慣がついた人は、法規の後半で覚える量が目に見えて減ります。丸暗記に頼る人との差は、勉強が進むほど開いていきます。
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