燃料電池の4種類は『コ・リン・ヨウ・コで温度UP』で攻略
電験三種「電力」科目の燃料電池発電を、『電池ではなく発電装置』という本質と、4種類の動作温度の並び順から一気に攻略。水素と酸素で直流を生む仕組み、インバータ必須の理由、固体高分子・リン酸・溶融炭酸塩・固体酸化物の温度順と燃料の違いまで整理し、文章問題で確実に得点するための1記事です。
🎥 動画でも解説しています > YouTubeで開く
この記事で身につくこと
「燃料電池は4種類ある」――ここまでは、たいていの人が覚えています。
ところが試験本番で「約650℃なのはどれ?」「COが使えるのはどれ?」と聞かれた瞬間、名前と温度と燃料がぐるぐる混ざって手が止まる。固体高分子形・リン酸形・溶融炭酸塩形・固体酸化物形……どれも漢字が似ていて、どれも「〜形」で終わる。これでは混ざって当然です。
でも安心してください。この単元は、並び順をひとつ覚えるだけで、温度も燃料も効率も、まとめて引き出せるようになります。実際、燃料電池は電力科目の中でも「覚えることが少ないのに配点は同じ」という、かなりお得な範囲です。
この記事を読み終えると、次のことができるようになります。
| 身につくこと | ゴール |
|---|---|
| 4種類の並び順 | 温度の低い順に、迷わず4つを言える |
| 各種類のデータ | 電解質・燃料・動作温度・効率を対応づけられる |
| 燃料電池の本質 | 「電池」ではなく「発電装置」だと説明できる |
| インバータの必要性 | なぜ必須なのかを、理由まで答えられる |
| COが使える条件 | 高温型だけCOが使える理由を言える |

近年は電源の分散化という流れもあり、燃料電池の出題は静かに存在感を増しています。ここは落とせない一問です。
暗記フレーズ:コ・リン・ヨウ・コで温度UP
この単元の攻略は、この一言に尽きます。
コ・リン・ヨウ・コで温度UP
読み解くとこうなります。
| フレーズ | 種類 | 略号 | 動作温度 |
|---|---|---|---|
| コ | 固体高分子形 | PEFC | 常温〜約90℃ |
| リン | リン酸形 | PAFC | 約200℃ |
| ヨウ | 溶融炭酸塩形 | MCFC | 約650℃ |
| コ | 固体酸化物形 | SOFC | 約1000℃ |
この順番で、動作温度がどんどん上がっていきます。しかも上がるのは温度だけではありません。発電効率も、出力も、おおむね右にいくほど大きくなる。つまり並び順ひとつで、表の縦の列がまるごと復元できるということです。
覚え方は何でも構いません。動画では「韓国のようこさん」という語呂も出てきましたが、ご自身が忘れないなら、それが最強の覚え方です。こういうものは、覚えたもん勝ちです。
ステップ1:なぜ4種類がごちゃ混ぜになるのか

苦手の正体は、はっきりしています。覚える項目が「4種類 × 5項目」で20マスあるのに、どこから覚えるかが決まっていないことです。
電解質から覚えようとした人は、温度を忘れます。温度から覚えた人は、燃料がどっちだったか怪しくなる。バラバラに20個を丸暗記しようとすれば、混乱するのが当たり前です。
そこで、覚える順番を1つに固定します。まず温度の並びだけを覚え、あとの項目はその並びにぶら下げる。これが「コ・リン・ヨウ・コ」を最初に持ってきた理由です。土台が1本通れば、あとの情報は勝手に整理されていきます。
ステップ2:燃料電池は「電池」ではない

最大の勘違いが、ここです。
乾電池やスマホのバッテリーは、あらかじめ電気エネルギーを蓄えています。だから使い切れば切れる。ところが燃料電池は違います。水素と酸素を外から入れ続け、その化学反応で電気をつくり出しているのです。
| 一次電池・二次電池 | 燃料電池 | |
|---|---|---|
| 中身 | 電気を蓄えている | 蓄えていない |
| 動き方 | 放電すると切れる | 燃料がある限り発電し続ける |
| 分類 | 蓄電デバイス | 発電装置 |
名前に「電池」と付いているせいで誤解しやすいのですが、実態は小さな発電所です。燃料を入れれば電気が出てくる。止まるのは燃料が切れたときだけ。ここを押さえておくと、選択肢に「充電が必要」「使い切ると寿命」といった表現が混ざっていても、すぐ切れます。
ステップ3:出力は直流。だからインバータが要る

ここが、試験で最も狙われるポイントです。
燃料電池が生み出す電気は直流(DC)です。ところが私たちの商用系統は交流(AC)。このままではつなげません。だから間にインバータ(直交変換装置)を入れ、直流を交流に変換してから系統に連系します。
同じ事情は太陽光発電にもあります。太陽電池の出力も直流なので、やはりインバータ(パワーコンディショナ)が必要です。「直流で発電するもの=インバータとセット」と覚えておけば、どちらの単元でも使えます。インバータ側の保護装置まで含めて整理したい方は、風力発電 9割が公式で挫折『Vの3乗の法則』で一発攻略と合わせて、新エネルギー系をまとめて復習しておくと効率が良いです。
燃料電池のもう一つの強み
燃料電池には、タービンや発電機のような回転する機械がありません。ここから、次の特徴が出てきます。
| 特徴 | 理由 |
|---|---|
| 騒音・振動が少ない | 回転機がないため |
| 街中・家庭に置ける | 静かで設置場所を選びにくい |
| 排出物が少ない | 反応の生成物は基本的に水(H₂O) |
| 負荷変動への応答が早い | 化学反応で直接発電するため |
「静かで、きれいで、応答が早い」。この3点セットは、選択肢の正誤判定でそのまま使えます。
ステップ4:固体高分子形(PEFC)― 一番低温で、一番身近

「コ・リン・ヨウ・コ」の1つめ、コ=固体高分子形です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 電解質 | 固体高分子膜(イオン交換膜) |
| 燃料 | H₂ のみ |
| 動作温度 | 常温〜約90℃(最も低い) |
| 発電効率 | 約30〜40% |
注目したいのは、これがすでに私たちの生活の中で動いていることです。燃料電池自動車や、家庭用のエネファームに採用されているのがこのタイプ。低温で動くということは、起動が早く、扱いやすいということでもあります。
勉強している内容が、街を走る車や隣の家の給湯器で本当に動いている。そう思うと、暗記も少し楽しくなりませんか。
ステップ5:リン酸形(PAFC)― 約200℃のベテラン選手

2つめ、リン=リン酸形です。名前がそのまま電解質なので、ここは覚える負担がほとんどありません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 電解質 | リン酸(H₃PO₄) |
| 燃料 | H₂ のみ |
| 動作温度 | 約200℃ |
| 発電出力 | 1000kWクラス |
| 発電効率 | 35〜42% |
固体高分子形より温度が上がり、効率も少し上がりました。そして1000kWクラスという、業務用として十分な出力が取り出せます。比較的早い時期から実用化が進んだ、実績のあるタイプです。
ここまでの2つ(コ・リン)は、燃料が H₂ だけ。この共通点が、後の問題を解く鍵になります。
ステップ6:溶融炭酸塩形(MCFC)― 約650℃、ここからCOが使える

3つめ、ヨウ=溶融炭酸塩形。ここで温度が一気に跳ね上がります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 電解質 | 炭酸リチウム等 |
| 燃料 | H₂ + CO(一酸化炭素) |
| 動作温度 | 約650℃ |
| 発電効率 | 40〜60% |
燃料の欄が変わったことに気づいたでしょうか。約650℃以上の高温になると、水素だけでなく一酸化炭素も燃料として使えるようになるのです。使える燃料の幅が広がり、発電効率も40〜60%へと大きく上がります。
これは燃料電池に限った話ではありません。発電設備は一般に、高温にするほど、大型にするほど、効率も出力も上がる傾向があります。その代わり、材料は過酷な条件にさらされ、メンテナンスの負担も増える。ここは地熱発電の蒸気の扱いとよく似た構図なので、地熱発電は『高温ならフラッシュ、低温ならバイナリー』で攻略を読んだ方は、同じ「温度で使い分ける」感覚で理解できるはずです。
ステップ7:固体酸化物形(SOFC)― 約1000℃、効率最強

最後、コ=固体酸化物形。4種類で最も熱く、最も効率が高いタイプです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 電解質 | 安定化ジルコニア |
| 燃料 | H₂ + CO |
| 動作温度 | 約1000℃(最高) |
| 発電効率 | 最大65% |
約1000℃という灼熱の世界で動き、発電効率は最大65%。他のタイプとは桁違いの数字です。この高温と高効率を活かし、業務用のコージェネレーション(熱電併給)――発電で出た熱も同時に利用する使い方――で注目されている次世代型です。
「一番熱くて、一番効率がいい」。この一文で、SOFCは覚えきれます。
ステップ8:実戦チェック ― この2問が解ければ合格圏
問1:燃料電池を商用系統に連系するとき、必ず設置しなければならない装置は?またその理由は?
答えはインバータ(直交変換装置)。理由は、燃料電池の出力が直流で、商用系統が交流だからです。
装置名だけでなく、理由までセットで言えるかどうか。ここで差がつきます。
問2:4種類のうち、H₂だけでなくCOも燃料にできるものを2つ挙げよ
答えは溶融炭酸塩形(MCFC)と固体酸化物形(SOFC)。約650℃以上の高温型が該当します。
ここで「コ・リン・ヨウ・コ」が効いてきます。並び順を覚えていれば、後ろの2つ=高温型=COが使えると、機械的に答えが出せる。フレーズひとつで、温度の問題も燃料の問題も同時に片づくわけです。
まとめ
最後に、完全保存版の比較表です。ここだけスクリーンショットしておけば、直前期の見直しはこれで足ります。
| 項目 | 固体高分子形 PEFC | リン酸形 PAFC | 溶融炭酸塩形 MCFC | 固体酸化物形 SOFC |
|---|---|---|---|---|
| 電解質 | 固体高分子膜 (イオン交換膜) | リン酸 H₃PO₄ | 炭酸リチウム等 | 安定化ジルコニア |
| 燃料 | H₂ | H₂ | H₂+CO | H₂+CO |
| 動作温度 | 常温〜約90℃ | 約200℃ | 約650℃ | 約1000℃ |
| 発電出力 | 小規模(家庭用など) | 1000kWクラス | 大容量 | 大容量 |
| 発電効率 | 約30〜40% | 35〜42% | 40〜60% | 最大65% |
左から右へ、温度も効率も上がっていく。表の形そのものが「コ・リン・ヨウ・コで温度UP」を表しています。
覚えるべき骨格は、これだけです。
- 燃料電池は電池ではなく、燃料を入れ続ける限り発電する装置
- 出力は直流。系統連系にはインバータが必須
- 4種類の並びはコ・リン・ヨウ・コ、右にいくほど高温・高効率
- 約650℃以上の高温型(MCFC・SOFC)はCOも燃料にできる
一度で完璧に覚えようとしなくて大丈夫です。この記事と動画に、何度でも戻ってきてください。
⚠ ここを間違える人が多い
この単元は、知識そのものより選択肢の読み方で落とす人が目立ちます。特に次の3つは要注意です。
❌「燃料電池の発電は吸熱反応」→ ✅ 発熱反応(酸化反応)
これが最頻出の引っかけです。水素と酸素が結びついて水になる反応は、熱を出す発熱反応。この一語を「吸熱」に差し替えた選択肢が、しれっと混ぜられます。
厄介なのは、同じ選択肢の中に「応答が早い」「騒音が少ない」といった正しい記述が並んでいること。読んでいる途中で「うん、合ってる」と気持ちが傾き、そのまま「吸熱」を素通りしてしまう。文の一部が正しいことは、文全体が正しい根拠にはなりません。反応の種類を書いた語が出てきたら、そこで一度止まる。この癖をつけるだけで一問拾えます。
❌「燃料電池の出力は交流だから直接系統につなげる」→ ✅ 直流なのでインバータが必要
「発電するのだから交流だろう」という思い込みが原因です。回転機で発電していないのだから交流にはなりません。直流で発電するもの(燃料電池・太陽光)はインバータとセット、と紐づけて覚えてください。
❌「どの燃料電池でもCOを燃料にできる」→ ✅ 高温型の2つだけ
COが使えるのは約650℃以上、つまりMCFCとSOFCだけ。低温側のPEFCとPAFCはH₂のみです。「4種類とも」「すべてにおいて」といった全称の表現が出てきたら、まず疑ってかかるのが安全です。
過去問ではこう出た
燃料電池は、令和3年 問6、令和5年下期 問5と、近年も繰り返し出題されています。
出題の形は、多くが正誤選択問題です。燃料電池の原理・特徴・種類ごとの違いを並べた5つの記述から、誤っているものを1つ選ばせる。計算を求められることはほとんどなく、知識が正確かどうかだけを問われるのが特徴です。
だからこそ、この記事の比較表を「なんとなく」ではなく数字ごと押さえておく価値があります。動作温度と燃料の欄さえ正確なら、選択肢の半分は瞬時に切れます。新エネルギー全般の出題傾向をつかんでおきたい方は、その他の発電は『バイオはニュートラル、廃棄は不安定』で攻略も同じ形式の問題が多いので、続けて確認しておくと効率的です。
よくある質問
Q. 燃料電池の「電解質」って、結局なにをしているのですか?
電解質は、イオンだけを通し、電子は通さない仕切りの役割をしています。片側で起きた反応で生じたイオンを反対側へ運びつつ、電子は外部の回路を通るように仕向ける。だから外部回路に電流が流れ、電気として取り出せるわけです。
試験では働きそのものより「どの種類がどの電解質か」を問われます。固体高分子膜・リン酸・炭酸リチウム等・安定化ジルコニア――この4つを、コ・リン・ヨウ・コの順に並べて覚えてしまいましょう。
Q. なぜ高温になると、一酸化炭素(CO)まで燃料にできるのですか?
ざっくり言えば、低温型ではCOが邪魔者になり、高温型では燃料になるからです。低温で動くPEFCやPAFCにとってCOは扱いにくい成分ですが、約650℃以上の高温領域では、COも反応に参加して電気を生み出す側に回れます。
試験対策としては、理屈を深追いするより「650℃が境目。上の2つはCOもOK」という線引きを覚えるのが確実です。動作温度の並びを覚えていれば、燃料の答えも自動的に出てきます。
Q. 効率が最も良いSOFCが、なぜ家庭に普及していないのですか?
動作温度が約1000℃と非常に高いためです。高温で動かすということは、材料に強い負担がかかり、起動にも時間がかかり、保守も簡単ではないということ。家庭で気軽に使うには、条件が厳しいのです。
一方、常温〜約90℃で動く固体高分子形は、起動が早く扱いやすい。だから家庭用として普及しました。「高温=高効率だが扱いが大変」「低温=効率は控えめだが手軽」というトレードオフは、燃料電池に限らず発電設備全般に共通する考え方です。この視点を持っておくと、他の発電方式の比較問題でも役に立ちます。
Webの何倍も覚えやすい
紙のフルラミネート加工の
暗記シートがあります
実績2,000部突破。
お風呂や電車のスキマ時間でサクッと勉強できます。
付属の練習用紙で無限に練習できます♪

🛒関連教材ショーケース
学習の効率を上げる、紙の本格教材ラインナップ。


この記事を読み終えたら、進捗を記録しましょう




