その他の発電は『水コン燃、火風原ガス、太バイ地』で効率の順位を丸暗記
電験三種「電力」科目で狙われる『その他の発電』を、各発電方式の効率の順位を1つの暗記フレーズで丸ごと攻略。水力80%を筆頭にコンバインド・燃料電池・火力・風力…と続く序列を整理し、さらに『直流で発電するのは太陽光と燃料電池の2つだけ』『系統連系の3点セット』まで一気に押さえる文章問題対策の1記事です。
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この記事で身につくこと
電力科目をひととおり勉強してくると、必ずぶつかる壁があります。「水力は80%、太陽光は20%、コンバインドは60%……で、原子力っていくつだっけ?」という、あの状態です。
数値そのものは難しくありません。難しいのは、バラバラの数字と発電方式のペアが10組近くあって、本番の緊張のなかで正しく取り出せないことです。ここでつまずいている方は、記憶力の問題ではなく「取り出し方」を用意していないだけです。
この記事では、効率の数値を1つずつ暗記するのをやめて、呪文を1つ唱えれば高い順に全部出てくる状態を作ります。
| この記事で手に入るもの | 到達レベル |
|---|---|
| 効率ランキングの再現 | 呪文1つで7グループを高い順に言える |
| 効率の理由づけ | なぜ水力が高く地熱が低いかを説明できる |
| 直流/交流の区別 | 直流発電が2つだけであることと、その理由が言える |
| 系統連系の知識 | 3点セットを正しい順番で答えられる |

暗記フレーズ:水コン燃、火風原ガス、太バイ地
今回覚えていただくのは、たったこれだけです。
水コン燃、火風原ガス、太バイ地 (すい・コン・ねん / か・ふう・げん・ガス / たい・バイ・ち)
この並びが、そのまま発電効率の高い順になっています。先頭の「水」が水力発電で単独トップ、末尾の「地」が地熱で最下位。3つのグループに区切ってあるので、口に出すと不思議とリズムで覚えられます。
正直に申し上げると、これは力技です。ただ、力技を1回だけで済ませるのがこの呪文の狙いです。数字を10個バラバラに抱えるより、10文字ほどの語呂を1つ抱えるほうが、本番でずっと確実に取り出せます。
以下では、この呪文を3グループに分けて、それぞれ「なぜその効率になるのか」まで押さえていきます。理由がわかると、呪文が単なる音の羅列ではなく、意味のあるランキングに変わります。
ステップ1:なぜ効率の丸暗記は失敗するのか

「水力80%」「太陽光15%?いや20%?」「コンバインドって何%だっけ」——この状態が、苦手の正体です。
数値と方式をバラバラのペアとして覚えていると、ペアが増えるほど互いに干渉します。本番の緊張が加われば、覚えたはずの数字が入れ替わって出てくる。これは誰にでも起こることです。
ステップ2:呪文を3グループに分解する

呪文は、区切りの位置に意味があります。まず全体像を表で押さえてしまいましょう。
| グループ | 呪文の部分 | 発電方式 | 効率の目安 |
|---|---|---|---|
| 上位陣① | 水 | 水力 | 約80% |
| 上位陣② | コン・燃 | コンバインドサイクル/燃料電池 | 約60%/約30〜65% |
| 中堅陣 | 火・風・原・ガス | 火力/風力/原子力/ガスタービン | 約40%/約40%/約30%/約30% |
| 下位陣 | 太・バイ・地 | 太陽光/バイオマス/地熱 | 約20%/約20%/約15% |
この表がそのまま呪文です。逆に言えば、呪文が出れば表が復元できるということ。ここから先は、各行の「なぜ」を埋めていく作業になります。
ステップ3:上位陣①——水力80%が単独トップの理由

呪文の先頭「水」は水力発電、効率は約80%。他を大きく引き離しての単独トップです。
理由はシンプルで、熱ロスがゼロだから。水が高いところから低いところへ落ちる位置エネルギーを、そのまま運動エネルギーに変えてタービンを回します。途中で「燃やして熱にする」工程がないのです。
熱を使う方式は、燃やす段階でロスが出て、さらに使い終わった熱を捨てるときにもロスが出ます。この二重のロスを最初から背負っていないことが、水力の圧倒的な強さの正体です。
ステップ4:上位陣②——コンバインド60%と燃料電池65%

呪文の「コン・燃」は、性格のまったく違う2つが並んでいます。違いを表で整理します。
| 項目 | コンバインドサイクル | 燃料電池 |
|---|---|---|
| 効率 | 約60% | 約30〜65%(種類による) |
| 仕組み | ガスタービン+蒸気タービンの複合運転 | 水素と酸素の化学反応 |
| 高効率の理由 | 排気の熱を再利用し、熱を二重に使い切る | タービンを回さず機械的ロスが小さい |
| 出力 | 交流 | 直流 |
コンバインドサイクルは、ガスタービンで発電したあとの高温の排気で蒸気を作り、もう一度発電する方式です。捨てるはずだった熱をもう一仕事させる、というイメージで覚えると忘れません。
燃料電池は、そもそもタービンを回しません。水素と酸素から直接電気を取り出すので、回転による摩擦や振動といったロスがほとんど発生しないのです。種類によって効率に幅がありますが、最大で65%まで届きます。燃料電池の種類そのものが怪しい方は、先に燃料電池の4種類は『コ・リン・ヨウ・コで温度UP』で攻略を読んでおくと、この節の理解が一段深くなります。
ステップ5:中堅陣——火力・風力40%と原子力・ガスタービン30%

呪文の真ん中「火・風・原・ガス」は、4つがさらに2段に分かれます。
| 発電方式 | 効率 | 効率が伸びない理由 |
|---|---|---|
| 火力 | 約40% | 燃料を燃やしボイラで蒸気を作るため熱エネルギーのロスが大きい |
| 風力 | 約40% | 空気力学的なロスが生じる |
| 原子力 | 約30% | 熱を蒸気に変えてタービンを回すうえ、放射線管理など安全装置が多く付随する |
| ガスタービン | 約30% | 単体運転では効率が低い |
ここで、ステップ4とつながる大事な関係があります。ガスタービン(30%)に蒸気タービンを組み合わせたものが、コンバインドサイクル(60%)です。単体では中堅の下だったガスタービンが、賢く組み合わせるだけで一気に上位陣まで駆け上がる。この対比を知っておくと、両方の数値が同時に思い出せるようになります。
原子力についても一言添えておきます。お湯を沸かして蒸気タービンを回す、という点では火力と同じ理屈です。それでも火力より効率が落ちるのは、放射線管理をはじめとする安全設備を数多く抱えているためです。
ステップ6:下位陣——太陽光20%・バイオマス20%・地熱15%

呪文の最後「太・バイ・地」が下位グループです。ここはイメージと数値がズレやすいので、試験でも狙われます。
意外に思われるのが太陽光の約20%です。「タービンのような回転部品がないのだから、もっと高いのでは」と考えたくなりますよね。ところが太陽光パネルは、特定の波長の光しか電気に変換できません。届いた太陽エネルギーのうち使えない波長の分は、そのまま熱として逃げてしまいます。
さらに、真夏の酷暑期にはパネル自体が熱を持ちすぎて効率が落ちます。「光さえ当たれば何でもOK」とはいかないのが実際のところです。なお人工衛星に積むような特殊環境向けのパネルはもっと高効率ですが、一般に普及しているものは約20%が目安になります。
地熱の約15%も理屈は近く、地下の蒸気でタービンを回すものの、火力発電に比べて蒸気の温度が低いため熱ロスが大きくなります。圧力をかけたり高温にしたりする装置も必要で、そのぶん効率が削られるわけです。
バイオマスや廃棄物発電そのものの性質があやふやな方は、その他の発電は『バイオはニュートラル、廃棄は不安定』で攻略を先に押さえておくと、この下位グループが一気に立体的になります。
ステップ7:最大の罠——直流発電は太陽光と燃料電池だけ

効率と並んで狙われるのが、交流か直流かという切り口です。ここは覚えることが非常に少ないので、確実に得点源にできます。
| 出力 | 該当する発電方式 | そうなる理由 |
|---|---|---|
| 交流 | 水力・火力・風力・原子力・コンバインドなど大多数 | タービンを回すため、コイルと磁石の組み合わせで交流が自然に生まれる |
| 直流 | 太陽光・燃料電池の2つだけ | タービンを回さず、光や化学反応から直接電気を作るため |
覚え方は「タービンを回さず直接電気を作る=直流」の一言です。太陽光は光から電気への直接変換、燃料電池は化学反応からの直接変換。どちらも回転機が登場しません。
逆に言えば、交流側は数が多いので個別に覚える必要がありません。「直流は2つだけ、あとは全部交流」と押さえれば、それで足ります。
ステップ8:系統連系3点セットと、その順番
直流で発電できても、世の中の電力網は交流です。そのままつなげば大事故になります。そこで必ず間に挟むのが、系統連系3点セットです。
試験では、この順番が問われます。左端で発電し、右端の交流系統に乗せるまでに①→②→③の順で並ぶ、という流れごと覚えてしまってください。
3点セットそれぞれの役割
| 装置 | 役割 | ひとことで言うと |
|---|---|---|
| ①インバータ | 直流(DC)の平らな波形を、交流(AC)のサイン波に変換する | 連系の心臓部 |
| ②系統連系用保護装置 | 系統で事故が起きたとき、発電設備を安全に切り離す | 波及事故を防ぐ |
| ③高調波フィルタ | 波形のひずみ(高調波)を取り除き、品質のよい電気にする | ノイズを掃除する |
順番の理屈も押さえておくと忘れません。インバータは直流を強引に交流の形へ変換する装置なので、その出力には余分な成分(高調波)が混じります。だからこそ、後段に保護装置とフィルタが必要になるわけです。「変換する→守る→整える」という流れで、3つがセットで初めて安全な系統連系が成立します。
なお、このあたりの設備は法規科目の電気施設管理や電気設備技術基準でも重要な論点です。電力科目で理解しておくと、あとで法規を勉強するときの負担がぐっと軽くなります。
ステップ9:クイズで定着を確認する
Q1:次のうち、一般的に最も発電効率が高いものはどれでしょう。①太陽光発電 ②火力発電 ③水力発電
呪文の先頭を思い出してください。「水コン燃……」——正解は③水力発電です。約80%で圧倒的1位。位置エネルギーを直接利用するため、熱ロスが最も少ないのが理由でした。ちなみに①太陽光は約20%、②火力は約40%ですから、水力の80%がいかに突出しているかがわかります。
Q2:太陽光や燃料電池を系統連系するとき、インバータのほかに必要な2つの装置は?
正解は系統連系用保護装置と高調波フィルタ。この2つが欠けると、事故のときに切り離せなかったり、ノイズだらけの電気が系統に流れ込んだりします。インバータを含めた3点セットで、必ずまとめて覚えてください。
まとめ
今日の内容を、保存版として1つの表にまとめます。試験直前に、ここだけ見返せば十分です。
| 順位 | 発電方式 | 効率 | 呪文 |
|---|---|---|---|
| 1 | 水力 | 約80% | 水 |
| 2 | コンバインドサイクル | 約60% | コン |
| 3 | 燃料電池 | 約30〜65% | 燃 |
| 4 | 火力・風力 | 約40% | 火・風 |
| 5 | 原子力・ガスタービン | 約30% | 原・ガス |
| 6 | 太陽光・バイオマス | 約20% | 太・バイ |
| 7 | 地熱 | 約15% | 地 |
そして、効率と並ぶ2つの重要事項がこちらです。
| 論点 | 覚えること |
|---|---|
| 直流発電 | 太陽光・燃料電池の2つだけ(タービンを回さないから) |
| 系統連系3点セット | ①インバータ ②系統連系用保護装置 ③高調波フィルタ(順番も込みで) |
数値がこんがらがったら、「水コン燃、火風原ガス、太バイ地」とつぶやいてください。この10文字ほどの呪文が出てくれば、効率ランキングは一生モノの武器になります。
なお、発電した電気を実際に家庭まで届ける側の話が気になった方は、架空配電を「電線3種+柱上機器の役割分担」で攻略に進むと、電力科目の全体像がきれいにつながります。
⚠ ここを間違える人が多い
この単元は素直に見えて、取り違えの型が決まっています。3つだけ挙げておきます。
❌ 「太陽光は回転部品がないから高効率のはず」と考える → ✅ 太陽光は約20%で下位グループです。使える波長が限られており、残りは熱として逃げます。「回転機がない=高効率」という直感は、ここでは通用しません。同じ「回転機がない」燃料電池は高効率なので、なおさら混同しやすい箇所です。太陽光は低い、燃料電池は高いとセットで覚えてしまいましょう。
❌ ガスタービンとコンバインドサイクルを同じものとして扱う → ✅ ガスタービン単体は約30%、コンバインドサイクルは約60%で、倍の開きがあります。「ガスタービンに蒸気タービンを足したもの=コンバインド」という関係を押さえておけば、数値も自然に区別できます。選択肢に両方が並んでいたら、これは狙われている合図です。
❌ 系統連系の3点セットを、順番を気にせず覚える → ✅ 順番まで含めて①インバータ→②保護装置→③高調波フィルタです。順序を問う出題があるため、「3つ挙げられる」だけでは足りません。変換してから守り、最後に整えるという流れで覚えるのが確実です。
❌ 蒸気系の弁の名前を取り違える → ✅ 火力の周辺知識では、蒸気の量を調整する弁と、圧力が上がりすぎたときに蒸気を逃がす弁は、別物として問われます。量を加減する弁と過圧から守る弁は役割が違う、と分けて整理しておいてください。
過去問ではこう出た
この単元は、電力科目のなかでも出題頻度が高い部類です。テーマで照合した範囲では、電験ジムの収録分だけで96問が該当します。
| 年度・回 | 問番号 |
|---|---|
| 令和7年上期 | 問1/問2/問4/問15 |
| 令和7年下期 | 問1/問2/問3/問15 |
上期・下期の両方で、しかも問1〜問4という序盤と、問15という終盤の双方から出ています。序盤は各発電方式の基本的な特徴、終盤は計算や複合的な判断を問う形になりやすい、という傾向を意識しておくとよいでしょう。
対策としては、まず本記事の効率ランキングを呪文で確実に取り出せる状態にすること。そのうえで、直流/交流の区別と系統連系3点セットを押さえれば、この範囲の失点はかなり減らせます。
よくある質問
Q. 効率の数値は「約」がついていますが、細かい数字まで覚える必要はありますか?
いいえ、必要ありません。この単元で問われるのは、ほとんどが大小関係と、おおよその桁感です。「水力は80%くらい」「太陽光は20%くらい」と押さえておけば、選択肢を絞るには十分です。細かい数値まで追いかけると、かえって呪文の効き目が薄れてしまいます。まずはランキングの順番を体に入れることを優先してください。
Q. 燃料電池は「約30〜65%」と幅がありますが、どう覚えればいいですか?
上限の65%だけを握っておけば大丈夫です。効率に幅があるのは、燃料電池に複数の種類があり、それぞれ動作温度や構造が違うためです。呪文のなかでは「コン(60%)」の次に「燃」が来ますが、これは上限で見れば燃料電池のほうが上という関係を示しています。順番に迷ったら「コンバインドはきっちり60%、燃料電池は幅があって最大65%」と唱えてください。
Q. 太陽光や燃料電池は、なぜ直流のままでは電力網に流せないのですか?
日本の電力系統は交流で統一されているためです。周波数も電圧の波形も決まっており、そこに直流をそのままつなぐことはできません。だからインバータで交流の波形に作り替えるわけですが、この変換は電子回路で無理やり波形を作る作業なので、どうしても余分な成分(高調波)が混じります。そのまま送り出すと系統全体の電気の品質を落としてしまうため、保護装置と高調波フィルタまでがワンセットになっているのです。「なぜ3つも必要なのか」は、この理屈で理解しておくと忘れません。
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