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機械 第20回 ⏱ 約18分で読めます

電圧変動率は『内部インピーダンスのせい』で9割解決 — ε=%R cosθ+%X sinθ を3ステップで攻略

電験三種「機械」科目の変圧器・電圧変動率を、『電圧変動=内部インピーダンスのせい』という1フレーズで一気に攻略。V2OとV2nの混同、ベクトル図の直角三角形、近似式 ε=%R cosθ+%X sinθ の導出までを3ステップで完全網羅し、丸暗記なしで本番に持ち込めるようにします。

🃏 暗記フレーズ:電圧変動率は「無負荷と全負荷の差」÷定格 / 近似式は %R×cosθ + %X×sinθ

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この記事で身につくこと

「電圧変動率」という言葉を初めて見たとき、多くの方がこう思います。

変動率? 何が、どれくらい変動するんだ……。

そして参考書を開くと、いきなり ε ≒ %R cosθ + %X sinθ という式が出てきて、「%Rって何だ」「なぜ cos と sin が混ざるんだ」と、そこで手が止まってしまう。実はこれ、順番が逆なんです。

電圧変動率という言葉が言っているのは、たったこれだけです。

無負荷のときの電圧と、負荷をつないだときの電圧、どれくらい差があるの?

家庭でも、ドライヤーとレンジを同時に使うと照明が一瞬暗くなることがありますよね。あれと同じで、変圧器も電気を取り出すと出口の電圧が少し下がります。その「下がりっぷり」をパーセントで表したのが電圧変動率です。

この記事では次の順で組み立てます。

ステップ内容ゴール
1定義式 ε=(V20−V2n)/V2n×100 の意味分母をどちらにするか迷わなくなる
2電圧が下がる犯人=内部の r と x%Rと%Xの正体がわかる
3ベクトル図と近似式のつながりなぜ cos と sin に分かれるか納得できる
4銅損から%Rを出す実戦テクニック過去問がそのまま解ける
5力率・負荷率で変わる電圧変動率ひねった問題にも対応できる

暗記量はほとんどありません。式は2本だけです。

暗記フレーズ:電圧変動率は「無負荷と全負荷の差」÷定格

まず、この記事全体を貫くフレーズを置いておきます。

電圧変動率は「無負荷と全負荷の差」÷定格 / 近似式は %R×cosθ + %X×sinθ

前半が定義式、後半が近似式です。試験で問われるのはこの2つのどちらかだけで、3つ目はありません。ここが分かれば、この単元は「解ける単元」に変わります。

近似式の暗記で挫折する最大の罠(混同する3つのポイント)

つまずくポイントもすでに分かっています。分母をどちらにするか、%Rと%Xをどちらの三角関数と組ませるか、三相のときに√3で割るかどうか。この3つだけです。逆に言えば、この3つさえ押さえれば失点しません

ステップ1:定義式は「差が定格の何%か」を言い換えただけ

ε=(V20−V2n)/V2n は暗記不要(基本式の攻略)

定義式はこれです。

記号の意味を表にします。

記号読み方中身
V20ブイ・にぃ・ゼロ無負荷のときの二次電圧(何も繋いでいない)
V2nブイ・にぃ・エヌ定格負荷をかけたときの二次電圧=定格二次電圧

分子の V20 − V2n は「無負荷から定格負荷にしたら、電圧がこれだけ下がった」という下がり幅そのものです。それを V2n で割って、100倍してパーセントにする。それだけです。

分母は「本来こうあってほしい電圧」

迷いやすいのは分母です。分母は必ず定格二次電圧 V2n

これは「基準はどちらか」という話です。変圧器は「105 V 出します」と名乗って売られているわけではなく、「100 V 出します」と名乗って売られています。その名乗った値=定格が基準になるので、割るのは V2n の側です。無負荷電圧の方はあくまで「負荷をかける前のオマケの高い値」であって、基準ではありません。

ステップ2:電圧が下がる犯人は内部の r と x

内部インピーダンス rI と xI の正体

では、なぜ負荷をつなぐと電圧が下がるのか。犯人は変圧器の内部にいます。

犯人正体何が起きるか
r(巻線抵抗)銅線そのものの抵抗電流が流れると rI の電圧を食う
x(漏れリアクタンス)鉄心の外に漏れる磁束の影響電流が流れると xI の電圧を食う

どちらも電流が流れて初めて働くのがポイントです。だから無負荷(電流ゼロ)のときは電圧が下がらず、負荷をかけた途端に下がる。ここが電圧変動率の正体です。

そして、この rI と xI が定格電圧の何%を食っているかを表したのが %R と %X です。

「パーセントインピーダンス」という言葉に苦手意識のある方も多いのですが、要は「定格電圧のうち何%を内部で食われるか」という食われ率だと思ってください。それ以上の意味はありません。

なお、この rI・xI という考え方は変圧器全体に共通する土台です。損失の話が怪しい方は、先に変圧器の効率は「鉄損は一定、銅損はI²」だけで全部解けるを読んでおくと、この後の「銅損から%Rを出す」パートがぐっと楽になります。

ステップ3:なぜ cos と sin に分かれるのか

ベクトル図は「実軸rIと虚軸xI」で直角三角形になる

ここが近似式の心臓部です。rI と xI は、単純に足し算できません。向きが90度ずれているからです。

  • rI … 電流と同じ向き(同相)
  • xI … 電流より90度進んだ向き

方眼紙の上で、rI が横向き、xI が縦向きの矢印だと思ってください。この2本を足すには、直角三角形として合成するしかありません。

力率が「振り分け係数」になる

さらに、負荷の力率によって電流の向き自体が傾きます。その傾き角がθです。結果として、電圧降下のうち電圧の向きに効いてくる成分は、

  • rI のうち効く分 → cosθ を掛けた分
  • xI のうち効く分 → sinθ を掛けた分

となり、これを足したものが電圧変動率になります。

近似式 ε=%Rcosθ+%Xsinθ と力率の関係

cos は R とペア、sin は X とペア。この組み合わせだけ間違えなければ大丈夫です。覚え方としては「抵抗は正直者(電流と同じ向き=cos側)」と紐づけておくと混ざりません。

🃏 暗記シート
Q. 変圧器の電圧変動率の近似式は?
💡 抵抗はcos、リアクタンスはsin

ステップ4:銅損から%Rを出す — ここが実戦の急所

試験でいちばん多いのは、%R が直接与えられず、「定格容量」と「銅損」から自分で作るパターンです。

Pc=定格負荷時の銅損、Sn=定格容量です。

なぜ損失÷容量でパーセント抵抗降下になるのか

%R の定義は rI/V×100 でした。分子・分母の両方に電流 I を掛けても値は変わりませんから、

上が rI² = 銅損、下が VI = 容量。つまり「電圧の比」を「電力の比」に置き換えただけで、まったく同じものを見ています。だから kW と kVA の数字をそのまま割ってよいわけです。

与えられ方やること
%R が数値で与えられるそのまま代入
銅損[kW]と定格容量[kVA]銅損 ÷ 容量 × 100 で%Rを作る
r[Ω]と定格電流・定格電圧rI/V×100 で%Rを作る
🃏 暗記シート
Q. 変圧器の百分率抵抗降下%Rを、銅損と定格容量から求める式は?

ステップ5:力率と負荷率で電圧変動率はどう動くか

近似式ができれば、あとは「何を動かすとεがどうなるか」を押さえるだけです。

条件εの式結果
力率1(cosθ=1、sinθ=0)ε ≒ %R%Xは効かない。εは最小に近い
遅れ力率(cosθ<1)ε ≒ %Rcosθ+%Xsinθsinθ が効いてεは大きくなる
進み力率sinθ が負扱いεが小さくなり、負になることもある
負荷率 α(例:50%)ε ≒ α(%Rcosθ+%Xsinθ)電流に比例して縮む

進み力率で ε がマイナスになり得るのは驚かれるところですが、これは「負荷をつないだら電圧が上がった」という状態を意味します。実務でも長距離のケーブル線路などで起こる現象です。

なお、この「電圧が下がる/上がる」の感覚は、巻線が動かない変圧器だからこそ素直に効いてきます。変圧器と誘導機の関係があいまいな方は、変圧器と誘導機の違いを「巻線が動くか動かないか」で一発理解を先に押さえておくと、この後の科目全体が整理されます。

🃏 暗記シート
Q. 変圧器で負荷の力率が1のとき、電圧変動率εはどうなる?
💡 sinθ=0

まとめ

Q&A 電圧変動率が大きい変圧器は良い変圧器か

項目結論
定義式ε=(V20−V2n)/V2n×100(分母は定格)
近似式ε≒%Rcosθ+%Xsinθ
%Rの作り方銅損÷定格容量×100
良い変圧器εが小さい方が良い(電圧が安定している)
力率が悪いとεは大きくなる

最後の「εが小さい方が良い」は、言葉の印象で逆に覚えてしまう人がいます。変動率が大きい=電圧がふらつく、ということですから、小さい方が優秀です。ここは理屈で押さえておけば間違えません。

似た構造の単元として、単巻変圧器は「差分だけ」で攻略 — 自己容量と負荷容量の罠を一発回避も「差だけを見る」という点で発想が共通しています。あわせて読むと変圧器分野の見通しが一気に良くなります。

⚠ ここを間違える人が多い

この単元の失点は、計算力ではなく思い込みで起きます。実際に多いのは次の3つです。

❌ 三相だから√3で割らないと…… → ✅ そのまま割る

いちばん多いのがこれです。定格容量が kVA、銅損が kW で与えられているとき、%R は「銅損 ÷ 定格容量 × 100」でおしまいです。ところが「三相変圧器」と書いてあるだけで反射的に √3 で割ってしまい、答えが約 0.58 倍にずれる。

理由はシンプルで、銅損も定格容量も、どちらも三相ぶんを合計した値だからです。同じ土俵の値どうしの比なので、√3 の出番はありません。√3 が必要になるのは「相の値と線間の値を行き来するとき」だけです。

❌ 分母は無負荷電圧 → ✅ 分母は定格二次電圧

定義式の分母を V20 にしてしまうミスです。値は近いので答えも近くなり、選択肢によっては引っかかります。「基準は名乗っている値=定格」と決め打ちしてください。

❌ %R に sin、%X に cos → ✅ %R に cos、%X に sin

組み合わせを逆にすると、力率が悪い問題で大きくずれます。抵抗は電流と同じ向きだから cos と、理屈で結び付けておくのが最も確実です。丸暗記だと本番の緊張で入れ替わります。

過去問ではこう出た

この単元は、令和3年 問9で出題されています。

出題のされ方には傾向があります。%R がそのまま与えられることは少なく、定格容量と銅損を与えて「%Rを自分で作らせる」構成が定番です。つまり、この記事のステップ4が解けるかどうかが得点の分かれ目になります。

また、問題文に「三相変圧器」と書かれていても、計算そのものは単相と変わりません。ここで手が止まらないよう、「同じ土俵の値どうしの比に√3は不要」という一点だけを本番に持ち込んでください。力率が与えられていれば近似式、力率1なら ε ≒ %R と、条件を見て式を選ぶ判断も一緒に練習しておくと安定します。

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よくある質問

Q. 定義式と近似式、どちらを使えばいいのですか?

問題文で与えられているもので決まります。無負荷電圧と定格電圧という「電圧そのもの」が与えられていれば定義式、%Rや%X、あるいは銅損と容量が与えられていれば近似式です。両方の道を試す必要はなく、材料を見れば一本に決まります。迷ったら「何が与えられているか」を先に書き出してください。

Q. 近似式の「近似」とは、どこを省略しているのですか?

厳密な計算では、電圧のベクトルを合成したあとに大きさを取り直す必要があり、そこに二乗の項が残ります。ただし %R や %X は数%程度と小さいため、その二乗はさらに小さくなり、実用上は無視できます。その省略が「近似」の中身です。電験三種のレベルでは、近似式で答えが合うように問題が作られていますので、安心して使って構いません。

Q. 電圧変動率と、変圧器の効率は関係がありますか?

直接の公式では結び付いていませんが、共通の登場人物として銅損がいます。銅損は効率計算の主役であり、同時に %R の材料でもあります。つまり「巻線抵抗が大きい変圧器」は、効率も落ちるし電圧変動率も大きくなる。別々に暗記するより、「銅損という同じ犯人を、効率の目線と電圧の目線から見ている」と捉えると、両方まとめて理解できます。

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この記事を書いた人

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電験三種を含め、さまざまな資格を一発合格した経験をもとに、 忙しい社会人が最短距離で受かるための教材とYouTube解説を作っています。 暗記シート・講義ノートは累計2,000部を突破し、 多くの合格報告をいただいています。

保有資格

電気主任技術者電気工事士公害防止管理者放射線取扱主任者中学校・高等学校 教員免許
  • ⚡ 電験三種・電験二種の解説動画をYouTubeで公開中
  • 📚「勉強の過程」より「結果を重視」した教材の制作・販売
  • 🏋️ 過去問対策Webサービス「電験ジム」を開発・運営

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