三相変圧器の結線(Y-Y・Y-Δ・Δ-Y・Δ-Δ)を4行の表で丸暗記
電験三種「電力」科目で苦手な人が多い三相変圧器の結線方法(Y-Y・Y-Δ・Δ-Y・Δ-Δ)を、丸暗記ではなく『中性点・第3高調波・位相差』の3つの軸で整理して解説。4種の特徴を4行の比較表にまとめ、頻出の比較問題で確実に得点するための1記事です。
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「Y-Δ? Δ-Y? 結局どっちがどっちだったっけ……」
三相変圧器の結線は、電力科目のなかでもとくに「毎回テキストを読み直すのに、毎回忘れる」テーマです。似た記号が並ぶうえ、中性点・高調波・並行運転と、覚えることが横に広がっていくからですね。
でも安心してください。この単元は、実はたった3つの軸しか問われていません。軸さえ手に入れば、4種類の結線はバラバラの暗記項目ではなく、1枚の表として頭に収まります。今日はその整理のしかたを、順番に組み立てていきましょう。
この記事で身につくこと
| 身につくこと | 試験での使いどころ |
|---|---|
| 4種の結線が「一次にY/Δ・二次にY/Δ」の組み合わせにすぎないと分かる | 選択肢を見た瞬間に構造が読める |
| 中性点接地・第3高調波・異容量並行運転の3軸で整理できる | 比較表の穴埋め問題を全問正解できる |
| 変電所にY-Δ、発電所にΔ-Yが使われる理由を説明できる | 「理由を2つ述べよ」型の記述に対応できる |
| 30度の位相差と循環電流の関係が分かる | 並行運転の可否を暗記でなく理屈で判断できる |
| V結線の86.6%と57.7%を使い分けられる | 数値計算問題で分母を取り違えなくなる |
暗記フレーズ:Yは中性点あり・Δは高調波なし・Y-Δは変電所の主役
まず、この記事のすべてを串刺しにする一言を先にお渡しします。
「Yは中性点あり・Δは高調波なし・Y-Δは変電所の主役」
声に出してみると、リズムでスッと入ってくるはずです。この短いフレーズが、なぜ4種類ぶんの知識をカバーできるのか。それは、試験問題が結局のところ次の3点しか聞いてこないからです。
| フレーズ | 対応する試験の論点 |
|---|---|
| Yは中性点あり | 中性点接地ができるか(地絡保護ができるか) |
| Δは高調波なし | 第3高調波を外部に出さずに済むか(誘導障害を防げるか) |
| Y-Δは変電所の主役 | 用途(昇圧か降圧か)と、並行運転の可否 |
逆に言えば、この3軸に当てはめられない出題はほとんどありません。「覚えることが多くて手が出ない」と感じていたのは、軸がないまま個別の性質を丸暗記しようとしていたからなんですね。
ステップ1:4種類しかない、という安心から始める

三相変圧器の結線は、一次側にYかΔ、二次側にYかΔを選ぶだけです。2×2で、Y-Y/Y-Δ/Δ-Y/Δ-Δの4通り。それ以上は存在しません。
そして、受験生がつまずく場所も驚くほど決まっています。
| つまずきポイント | この記事のどこで解決するか |
|---|---|
| 4種の特徴がごちゃごちゃになる | ステップ6の比較表 |
| 第3高調波の意味が分からず丸暗記になる | ステップ2・3 |
| 30度の位相差の危険性がピンとこない | ステップ5 |
「3つとも自分に当てはまる」と思った方、それが普通です。逆に言えば、この3つさえ潰せば、この単元はもう怖くありません。
ステップ2:Y結線 ─ 中性点は◯、高調波は×

U・V・Wの三相を中央の1点でまとめた形がY結線(スター結線)です。その中心点が中性点で、Y結線最大の武器になります。
中性点があると何が嬉しいのか
中性点を大地につなぐ(接地する)と、電位の基準が大地と一致します。すると地絡事故が起きても異常電圧の跳ね上がりが抑えられ、機器を守れるわけです。さらに、地絡電流を検出して保護リレーを動作させ、事故区間を素早く切り離すこともできます。高圧・特別高圧の送配電系統で、変電所の変圧器がほぼY結線の中性点接地を採用しているのはこのためです。
地絡の検出そのものを担う機器(ZCT・保護リレー)が曖昧な方は、先に〈計器用変成器CT・VT・ZCTを「開けるな・閉めるな」で攻略〉を読んでおくと、中性点接地の役割がぐっと立体的になります。
そのかわりの弱点
変圧器の鉄心は磁気飽和を起こしやすく、出力電圧の波形が歪みます。この歪みの正体が第3高調波で、外部の線路に流れ出ると通信線への誘導障害を引き起こします。
Y結線には、この高調波を循環させる閉回路がありません。だから逃げ場を失った成分が外へ出てしまうのです。
ステップ3:Δ結線 ─ 高調波は◯、中性点は×

U・V・Wを三角形に閉じた形がΔ結線(デルタ結線)です。Y結線とちょうど正反対の性質を持ちます。
「発生しない」ではなく「外に出ない」
第3高調波は3相とも同位相・同じ向きで発生する特殊な成分です。Δ結線ではこれが三角形の閉回路の中をぐるぐる循環する電流として吸収され、外部の線路には出て行きません。
ここが試験の最大の引っかけポイントです。
| ❌ よくある誤解 | ✅ 正しい理解 |
|---|---|
| Δ結線では第3高調波が発生しない | 発生はする。Δの内部を循環して外部に出ないだけ |
| Δ結線に第3高調波は全く流れない | 巻線内部には循環電流としてしっかり流れている |
「Δは高調波なし」という暗記フレーズは、あくまで外に出ないという意味だと押さえてください。
中性点は取れない
三角形には中心の1点がありません。そのため中性点接地は不可能です。Δ単独で高圧送配電系統の主変圧器に使われることが少ないのは、この弱点があるからですね。
電圧と電流の関係
Δでは各巻線の両端がそのまま出力端子になるため、巻線1個の電圧がそのまま線間電圧になります。数値計算問題で効いてくる対比がこちらです。
| 結線 | 線間電圧 | 線電流 |
|---|---|---|
| Y結線 | 相電圧の√3倍 | 相電流と同じ |
| Δ結線 | 相電圧と同じ | 相電流の√3倍 |
「Yは電圧が√3倍・Δは電流が√3倍」──この一言で覚えてしまいましょう。
ステップ4:Y-Y結線 ─ 完璧に見えて、実は未完成

一次も二次もYという構成。両側で中性点接地ができ、位相差もゼロ度と、一見すると理想的です。ところが致命的な欠点があります。
どこにもΔがない。つまり第3高調波を閉じ込める囲いが存在しないのです。
漏れた高調波は通信線への誘導障害を起こすだけでなく、電圧波形そのものを歪ませ、変圧器自身の鉄損増加や過熱まで引き起こします。機器の寿命に関わる、外にも内にも厄介な問題です。
実務での答えが「三次巻線Δ」
そこで現場では、Δ結線の巻線を第三の巻線としてこっそり追加したY-Y-Δという3巻線構成で使うのが一般的です。この三次巻線は電力を送るためのものではなく、高調波を吸収するためだけの”影の主役”。容量も一次・二次に比べてかなり小さく設計されます。
図で見分けるコツも押さえておきましょう。
| 見るポイント | Y-ΔやΔ-Y | Y-Y-Δ |
|---|---|---|
| 描かれた巻線の数 | 2つ(一次・二次) | 3つ(一次・二次・三次) |
| 容量表記 | 一次=二次 | 三次だけ小さい値 |
「巻線が3つ見えたら三次巻線あり、小さいΔは高調波吸収用」。この読み取り方が身につくと、図を使った問題の処理が一気に速くなります。
試験で「Y-Y結線の欠点は?」と問われたら、Δがなく第3高調波が外部に漏れる/実際は三次巻線Δを追加して使うまで書けると高得点です。
ステップ5:Y-Δ結線 ─ 変電所の主役と、30度の落とし穴

変電所で最も多く使われるのがY-Δ結線です。理由はシンプルで、Yの強みとΔの強みを一次・二次に1つずつ割り振った「いいとこ取り」だから。
| 側 | 結線 | 得られるもの |
|---|---|---|
| 一次側 | Y | 中性点接地 → 送電線側の地絡事故から機器を保護 |
| 二次側 | Δ | 第3高調波を内部循環 → 通信線への誘導障害を防止 |
降圧に適しているため、受電端である変電所の定番となっています。「受け取って、守って、電圧を下げて、波形をきれいにする」を1台でこなしてくれる構成ですね。
ただし並行運転には要注意
Y-Δでは一次・二次で位相が30度ずれます。Yは相電圧を基準に線間電圧を合成するのに対し、Δでは線間電圧がそのまま相電圧になる。この構造の違いが、必然的に30度の差を生むのです。
位相がずれたまま別の変圧器と並列につなぐとどうなるか。その差分の電圧が閉回路にかかり続け、仕事をしない循環電流が常時流れます。巻線を過熱させ、最悪の場合は焼損に至る危険な状態です。
覚えるルールは一つだけ。同じ位相差を持つ変圧器同士なら並行運転OK。Y-ΔはY-Δ同士、または同じ30度ずれのΔ-Y同士でなければつなげません。位相差ゼロのΔ-Δとは並行運転できないわけですね。
試験で「Y-Δ結線の注意点は?」と聞かれたら、位相差30度のため異容量並行運転は不可と即答できるようにしておきましょう。
ステップ6:Δ-Y結線 ─ 発電所で電圧を上げる側

Y-Δの逆パターンが、一次側Δ・二次側YのΔ-Y結線です。こちらは昇圧に使われ、発電所で作った電力を高電圧にして送り出す送電端に登場します。
| 結線 | 一次/二次 | 用途 | 設置場所 |
|---|---|---|---|
| Δ-Y | Δ/Y | 昇圧 | 発電所(送電端) |
| Y-Δ | Y/Δ | 降圧 | 変電所(受電端) |
特徴もY-Δの裏返しで、一次Δで高調波抑制、二次Yで中性点接地が可能。位相差30度が生じる点も同じなので、異容量並行運転はできません。
名前が似ていて混乱する人へ
「Y-ΔとΔ-Y、双子みたいでどっちがどっちか分からない」──ここは多くの人がつまずきます。覚え方は一つで十分です。
先に書かれたほうが一次側。 Y-Δなら一次Y・二次Δ。Δ-Yなら一次Δ・二次Y。
名前だけで判断せず、図の一次側・二次側も必ず確認する癖をつけましょう。
なぜΔ-Yが昇圧に向くのか
理屈まで押さえると忘れません。発電機側は電流が大きいのでΔで受けて巻線を太くしやすく、送電側は電圧を上げたいのでYの「線間電圧=相電圧の√3倍」という性質を活かせる。電流が大きい側はΔ、電圧を上げたい側はYという相性の良さがあるわけです。
大型発電機の内部巻線にΔが採用されることが多いのも、この流れに沿っています。
そして長距離送電では、電圧を高くするほど電流を減らせて送電損失を抑えられます。発電所側でΔ-Yによって大胆に昇圧し、変電所側でY-Δによって段階的に降圧していく。この一往復が送配電網の骨格です。
降圧されたあとの配電側がどうなるかが気になった方は、〈低圧配電方式を「地域→市街地→大都市」の3段階で攻略〉に進むと、発電所から家庭までの流れが一本につながります。
ステップ7:Δ-Δ結線 ─ 並行運転とV結線の主戦場

一次も二次もΔ。両側で高調波を抑制できるかわりに、両側とも中性点接地ができません。そして一次と二次が同じ結線なので、位相差はゼロ度です。
異容量並行運転ができる
位相差ゼロ同士は循環電流が流れないため、容量の異なる変圧器を同じ回路に並べて同時運転できます。工場で需要が増えたとき、既存の変圧器はそのままに容量の違う1台を追加できるので、設備投資の柔軟性が上がるわけですね。
1台壊れてもV結線で続けられる
Δ-Δの3台のうち1台が故障しても、残り2台をV字に接続して三相電力の供給を継続できます。三角形から一辺(変圧器1台分)を取り除くと、残り2辺がVの字になるイメージです。
このとき出てくる2つの割合が、混同の温床になります。
| 呼び方 | 分母 | 値 | 式 |
|---|---|---|---|
| 出力利用率 | 残った2台の容量合計 | 約86.6% | √3/2 |
| 設備利用率 | もとの3台の容量合計 | 約57.7% | √3/3 |
数字で確かめてみましょう。1台100kVAの変圧器3台でΔ-Δを組むと、フル稼働で300kVA。1台が故障してV結線にすると、供給できるのは次の値です。
残存2台の合計200kVAに対して ですから、出力利用率は約86.6%。一方、もとの3台構成300kVAに対しては で、設備利用率は約57.7%になります。同じ173kVAでも、分母をどちらに取るかで答えが変わるというだけの話なんですね。
なお、V結線は基本的に修理・交換までの緊急避難的な運転方法です。出力が落ちるので早期に3台構成へ戻すのが実務の基本ですが、小規模な需要では最初から単相変圧器2台でV結線を組み、3台目のコストをまるごと削る選択もあります。ただし電験三種で主に問われるのは、あくまでΔ-Δ運用中に1台故障したときの対応としてのV結線です。
ステップ8:4種を1枚の表に落とし込む
ここまでの内容を、試験本番で思い出せる形にまとめます。この表が再現できれば、この単元は攻略完了です。
| 結線 | 中性点接地 | 第3高調波 | 異容量並行運転 | 特徴・用途 |
|---|---|---|---|---|
| Y-Y | ◯(両側) | ×(外部に漏れる) | ◯(位相差0度) | 単独では実用困難。三次巻線Δを足したY-Y-Δで使用 |
| Y-Δ | ◯(一次のみ) | ◯(抑制) | ×(位相差30度) | 降圧用。変電所の主役 |
| Δ-Y | ◯(二次のみ) | ◯(抑制) | ×(位相差30度) | 昇圧用。発電所・送電端 |
| Δ-Δ | ×(不可) | ◯(抑制) | ◯(位相差0度) | 工場など産業用。1台故障時はV結線で継続 |
表を丸暗記する必要はありません。次の2本柱さえ覚えていれば、その場で復元できます。
① Δが1つでも含まれる結線は高調波を抑制できる(Y-Yだけが唯一の例外) ② 異容量並行運転ができるのは位相差ゼロの結線だけ(Y-YとΔ-Δ)
この2行があれば、「高調波」の列も「並行運転」の列も自動的に埋まります。残る「中性点接地」の列は、Yが含まれる側にだけ◯がつくだけの話です。
Y-ΔとΔ-Yは、Δを含むから高調波は◯、でも位相差30度だから並行運転は×という中間の性質を持つグループ、と捉えると位置づけが明快になります。
穴埋め問題で狙われやすいのは「中性点接地の可否」と「異容量並行運転の可否」の2列。「特徴・用途」の欄は記述式で問われやすいので、◯×だけでなく理由まで言えるようにしておきましょう。
ステップ9:実戦クイズで手を動かす
知識が定着したかを、出題される形で確認しましょう。
クイズ①:変電所の定番結線

問:変電所の変圧器として最も一般的な結線方法は? その2つの理由は?
ヒントは「保護のしやすさ」と「誘導障害の防止」。5秒だけ考えてから、下に進んでください。
答:Y-Δ結線。理由は、①一次側Yの中性点接地により地絡時の異常電圧から機器を保護できること、②二次側Δが第3高調波を内部循環させて誘導障害を防げること。
消去法でも辿り着けます。Y-Yは高調波問題を抱え、Δ-Yは昇圧向きで降圧用途に合わず、Δ-Δは中性点接地ができない。残るのはY-Δだけ、という推論です。
なお、この問題でありがちな誤りが2つあります。「Y-Δなら二次側にも中性点が取れる」は誤りで、中性点が取れるのは一次側Yのみ。二次側はΔなので中性点という一点自体が存在しません。もう1つ、「第3高調波はY-Δでは発生しない」も誤りで、正しくは「発生はするが二次側Δで循環し外部に出ない」です。
記述式では「Y-Δ結線が採用される理由を2つ述べよ」という形で出やすく、理由1つにつき配点が半分ずつというケースもあります。片方だけでは満点になりません。
クイズ②:Δ-Δの強みと故障時の対応
問:Δ-Δ結線の最大のメリットは? 1台故障時も運転を継続できる方法の名称は?
ヒントは「位相差がないから可能な運転」と「残り2台で作るアルファベットの形」。
答:メリットは位相差ゼロによる異容量並行運転が可能なこと。故障時の対応はV結線にして運転を継続すること。
単相変圧器1台の定格容量を とすると、V結線2台で供給できる三相電力は次のとおりです。
3台分の に対する比率を取ると 。1台10kVAなら3台で30kVA、V結線では kVAで、 となります。この比率は容量に関わらず一定なので、数値をそのまま覚えておけばどんな出題にも対応できます。
まとめ
三相変圧器の結線は、次の順序で思い出せば迷いません。
- 4種類は「一次にYかΔ」「二次にYかΔ」の組み合わせにすぎない
- 見るべき軸は「中性点接地」「第3高調波」「異容量並行運転」の3つだけ
- Yは中性点◯・高調波×、Δは中性点×・高調波◯という正反対の関係
- その弱点を補い合ったのがY-Δ(降圧・変電所)とΔ-Y(昇圧・発電所)
- 位相差ゼロのY-YとΔ-Δだけが異容量並行運転できる
実務でも、太陽光や風力が電力系統につながる系統連系点でY-Δが選ばれ続けています。一次Yの中性点接地と二次Δの高調波抑制、両方が揃っているからです。試験の知識は教科書の中だけの話ではなく、そのまま設備選定の理屈になっているんですね。
迷ったらこの呪文に戻ってください。「Yは中性点あり・Δは高調波なし・Y-Δは変電所の主役」。そして比較表の2本柱、「Δが絡めば高調波抑制」「位相差ゼロなら並行運転OK」。この3フレーズと4行の表があれば、どんな結線問題にも手が出ます。
⚠ ここを間違える人が多い
この単元は、正解のすぐ隣に「惜しい誤答」が並んでいます。取り違えやすい3点を先に潰しておきましょう。
① 地絡で抑えるのは「電圧」であって「電流」ではない
❌ こう思いがち:中性点接地は地絡時の異常「電流」を抑えるためのもの。
✅ 正しくは:抑えるのは異常「電圧」の上昇です。中性点があることで電位の基準が大地に固定され、健全相の対地電圧が跳ね上がるのを防げます。地絡電流のほうはむしろ「検出しやすくする」のが狙いで、それを受けて事故区間を切り離すのは保護リレーの仕事。避雷器は雷などの外来サージを大地に逃がす機器なので、地絡の検出・遮断は担当外です。役割の担当分けを混ぜないようにしましょう。
② 高調波は「第3」=基本波の3倍、まずはここを固定する
❌ こう思いがち:高調波というだけで「なんとなく怖いもの」として丸暗記。
✅ 正しくは:変圧器鉄心の非線形な磁気特性から生じるのは、基本波の3倍・6倍・9倍……という3の倍数の成分で、その代表が第3高調波です。しかもこの成分は3相とも同位相で現れる──だからΔの閉回路の中を循環できるし、Yには循環路がないので外へ漏れる。「3の倍数」「3相同位相」の2つを押さえれば、Δが効く理由まで一本の線でつながります。
③ V結線の割合は、必ず「分母」を先に確認する
❌ こう思いがち:V結線といえば86.6%、と反射的に答える。
✅ 正しくは:問題文が何を基準にしているかで答えが変わります。「残った2台の容量に対する割合」なら約86.6%(√3/2)、「もとの3台構成に対する割合」なら約57.7%(√3/3)。√3/2はΔ-Δ3台と比べた出力比ではありません。問題を読んだら真っ先に分母は2台か3台かを確認する、これを癖にしてください。
過去問ではこう出た
三相変圧器の結線は、電力科目で継続的に出題されているテーマです。実際に出題された回を挙げると次のとおりです。
| 年度 | 問番号 |
|---|---|
| 平成29年 | 問7 |
| 平成30年 | 問12 |
| 平成30年 | 問8 |
| 令和4年 下期 | 問7 |
| 令和5年 下期 | 問6 |
傾向としては、4種の特徴を問う知識問題と、V結線の容量計算のような数値問題の両方が出ています。知識問題では「中性点接地の可否」「第3高調波が外部に漏れるかどうか」が空欄になりやすく、計算問題では巻数比を使った一次・二次の換算が絡むこともあります。とくに二次側の実測電圧が定格値と異なる設定では、定格のまま計算すると選択肢に合わなくなるので、巻数比でどちら側に揃えるかを最初に決めてから式を立ててください。
比較表を再現できる状態にしたうえで、あとは実際の出題形式で手を動かすのが最短です。
よくある質問
Q. Y-Y結線が試験に出てくるのに、実務でほとんど使われないのはなぜですか?
Δがどこにも含まれず、第3高調波を循環させて閉じ込める回路が存在しないためです。漏れた高調波は通信線への誘導障害を起こすうえ、電圧波形を歪ませて変圧器自身の鉄損増加や過熱も招きます。そこで実務では三次巻線としてΔを追加したY-Y-Δにするのが一般的です。試験でY-Yが出てくるのは、この「Δがないとどうなるか」を理解しているかを確認するため、と考えると腑に落ちるはずです。
Q. 位相差が30度あると、なぜ並行運転してはいけないのですか?
位相のずれた2台を並列につなぐと、その差分の電圧が閉回路にかかり続けます。すると電力を送る仕事をしない循環電流が常時流れ、巻線が過熱し、最悪の場合は焼損に至ります。だからルールは「同じ位相差を持つ変圧器同士なら並行運転OK」。Y-ΔはY-Δ同士、または同じ30度ずれのΔ-Y同士なら問題ありません。逆に位相差ゼロのY-YやΔ-Δと混ぜてつなぐのが危険なのです。
Q. Δ-Δが工場などの産業用に多いのは、どんな理由ですか?
理由は2つあります。1つは位相差ゼロによる異容量並行運転が可能なこと。需要が増えたときに、既存設備を残したまま容量の違う変圧器を足せるので、設備投資を段階的に進められます。もう1つは1台故障してもV結線で供給を続けられる冗長性です。生産ラインが止まると損失が大きい現場では、この「止まりにくさ」が大きな価値になります。半面、中性点接地ができず地絡保護の面で不利なので、高圧送配電系統の主力にはなりません。
Q. 力率改善のコンデンサを入れると、高調波の話と関係してきますか?
関係します。進相コンデンサは高調波電流の流入経路になりやすく、直列リアクトルと組み合わせて対策するのが基本です。変圧器の結線が高調波の「発生と閉じ込め」を扱うのに対し、こちらは系統側での扱い方の話になります。あわせて整理しておきたい方は〈調相設備とは?コンデンサ・リアクトル・SVCの使い分け〉に進んでみてください。
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