資格LABO
資格LABO
ズルい勉強法ラボ
機械 第1回 ⏱ 約24分で読めます

直流発電機の誘導起電力を「回す・通す・巻き方」で丸暗記から卒業

電験三種「機械」科目の直流発電機の誘導起電力Eaの公式を解説。基礎物理のE=Blvを発電機の「寸法」と「回転」に翻訳しただけと捉え直し、「回す・通す・巻き方」の3ステップで構造的に理解。重ね巻・なみ巻の見分け方や比例関係まで、計算問題で確実に得点できる形で整理します。

🃏 暗記フレーズ:回す・通す・巻き方で決まる誘導起電力 Ea / なみ巻は極数に関係なく a=2

🎥 動画でも解説しています > YouTubeで開く

この記事で身につくこと

「機械」のテキストを開いて、最初に出てくるのが直流発電機。そしていきなり、こんな公式が現れます。

アルファベットが5つ。分数。しかも下に 60 という謎の数字。ここで「機械は無理かもしれない」と閉じてしまった方、きっと少なくないはずです。

でも、安心してください。この公式は、暗記するものではなく「組み立てる」ものです。もとをたどれば、理論科目で習った ——たったこれだけの式です。それを「発電機という機械の寸法」に翻訳しただけなんです。

この記事では、次のことができるようになります。

身につくこと具体的には
公式を自力で組み立てられる から3ステップで の式を導出できる
記号の意味が言える が何を表すか説明できる
巻き方を見分けられる重ね巻となみ巻で、並列回路数 を正しく選べる
比例関係で解ける を使って、増減の問題を暗算で処理できる

丸暗記は、忘れたら終わりです。でも構造で理解していれば、忘れてもその場で作り直せます。試験本番で強いのは、間違いなく後者です。

直流発電機の誘導起電力Eaの考え方

暗記フレーズ:回す・通す・巻き方で決まる誘導起電力 Ea

まずは、この記事の背骨になるフレーズを頭に入れてしまいましょう。

「回す・通す・巻き方」で決まる誘導起電力

長い公式も、分解すればこの3つの要素でできています。

フレーズ対応する要素公式の中では
回す回転速度
通す磁束(どれだけ磁力を通すか)
巻き方内部の導体構造

この3つが掛け算で並んでいるだけ、と思えば急に距離が縮まりませんか。

ここから先は、この3つを1つずつ掘り下げていきます。順番に追っていけば、最後には「なんだ、そういうことか」と腑に落ちるはずです。

🃏 暗記シート
Q. 直流発電機の誘導起電力の公式を覚える暗記フレーズは?

ステップ0:出発点はあの

公式の導出:E=Blvを発電機の寸法と回転に翻訳する

理論科目で、こんな式を習ったのを覚えているでしょうか。

磁界の中を、導体が横切るように動くと電圧が生まれる。 は磁束密度、 は導体の長さ、 は速度です。

直流発電機の公式は、この式の を、発電機の寸法と回転数の言葉に置き換えただけです。

何を、何に置き換えるのか

基本式の記号意味発電機では何に化けるか
導体が動く速度[m/s]回転速度 から計算する(ステップ1)
磁束密度[T]極数 と磁束 から計算する(ステップ2)
導体の長さ[m]そのまま(電機子の軸方向の長さ)

だけは置き換えなしでそのまま使います。ですから、やることは実質2か所の翻訳作業だけ。そこに「導体が何本あって、何並列でつながっているか」という巻き方の話を足せば完成です。

導出の道すじが見えていれば、公式を忘れても現場で組み直せます。ここが、丸暗記との決定的な差です。

ステップ1:回す ——回転速度 を速度 に翻訳する

アクション1:回す(回転速度Nを速度vに変換)

回転速度 の単位は 、つまり1分間に何回転するかです。一方 1秒間に何メートル進むか。単位がまるで違います。

そこで、回転を「距離」に翻訳します。

3行で終わる翻訳作業

段階考えること
① 1回転の距離電機子の円周を1周する[m]
② 1分間の距離それを 回まわる[m/分]
③ 1秒間の距離1分=60秒で割る[m/s]

公式の分母にあった 60 の正体は、これです。「分を秒に直しただけ」——それ以上でも以下でもありません。あの謎の数字がただの単位換算だと分かると、公式の見え方が変わってきませんか。

つまずきやすいのは、「回転数」という回る量を「距離」という直線の量に置き換えるところ。ですが、円周 を1周ぶんの距離だと捉えてしまえば、あとは掛けて割るだけの算数です。

🃏 暗記シート
Q. 直流発電機で、回転速度 N[min⁻¹]から導体の速度 v[m/s]を求める式は?
💡 単位を[m/分]から[m/s]へ直す

ステップ2:通す ——磁束密度 の正体をあばく

アクション2:通す(磁束密度Bの正体)

磁束密度とは、磁束を面積で割ったもの。定義そのものはシンプルです。

問題は、直流発電機における「磁束」と「面積」が、それぞれ何を指すのかです。

分子と分母を、それぞれ発電機の言葉に

記号発電機では何か
分子(全磁束)1極あたりの磁束 が、極の数 だけある
分母(面積)電機子は円柱。その側面積

ここでのポイントは、大事なのは磁束の総量ではなく「面積あたりいくつ通っているか」という点です。同じ磁束でも、電機子が大きければ密度は薄まります。 が密度である以上、面積で割る手順は避けて通れません。

なお、この磁束 をつくるのが界磁、起電力が生まれるのが電機子です。この2つの役割がごちゃ混ぜになっていると、この先の単元でずっと苦しみます。自信がない方は、先に〈電動機と発電機の違い|他励式は同じ回路図でも電流が逆〉に目を通しておくと、頭の整理がぐっと早くなります。

🃏 暗記シート
Q. 直流発電機の電機子表面の磁束密度 B を、極数 p・磁束 φ で表すと?

ステップ3:巻き方 —— を読み解く

アクション3:巻き方(pZ/60aの意味)

ここまでで の翻訳が終わりました。最後は、公式の頭にある の部分です。

記号の意味を確認しておく

記号読み意味
極数N極・S極が合わせて何個あるか
全導体数電機子に巻かれている導体の総本数
並列回路数内部で何本の並列経路に分かれているか
60分→秒の単位換算(ステップ1で登場)

主役は です。 本ある導体を、内部でどうつなぐか——ここで取り出せる電圧が変わります。

直列と並列の話に置き換えると

乾電池を思い出してください。直列に並べれば電圧が上がり、並列に並べれば電流を多く取り出せます。電機子巻線もまったく同じ理屈です。

つなぎ方起こること使いどころ
並列回路数 が小さい1経路あたりの直列導体が多い → 高電圧・小電流小型の発電機など
並列回路数 が大きい経路が分かれる → 低電圧・大電流めっき装置、低電圧発電機など

が公式の分母にいるのは、そのためです。並列を増やせば増やすほど、取り出せる電圧は下がっていきます。

ステップ4:重ね巻となみ巻 ——ここが試験の狙い目

重ね巻となみ巻の違い

巻き方には2種類あり、並列回路数 の決まり方がまったく違います。ここは試験で本当によく狙われます。

項目重ね巻なみ巻
並列回路数 (極数と同じ)(常に2)
極数を増やすと も一緒に増える は変わらない
電圧・電流の傾向低電圧・大電流高電圧・小電流
代表的な用途めっき装置、低電圧発電機小型発電機

なみ巻の は「強制」だと思っておく

覚え方はとても単純です。

問題文に「なみ巻」とあったら、極数がいくつだろうと には迷わず 2 を代入する

4極でも、6極でも、8極でも、なみ巻なら 。ここを「極数が6だから も6かな」とやってしまうのが、この単元で最も多い失点パターンです。逆に重ね巻は極数に連動するので、 の値をそのまま に写せば済みます。

「なみ巻はどこまでいっても2」——この一言だけ、他の何を忘れても持って帰ってください。

🃏 暗記シート
Q. 直流発電機の重ね巻となみ巻で、並列回路数 a はそれぞれいくつ?
💡 片方だけ極数に連動する

ステップ5:定数 でまとめると、驚くほど単純になる

さて、ここまで見てきた の3つには、ある共通点があります。

機械が工場で完成した瞬間から、二度と変わらないということです。極の数は後から増やせません。導体の本数も、つなぎ方も、出荷された時点で固定です。

だったら、まとめて1つの定数にしてしまいましょう。

これだけです。あれほど複雑に見えた式が、たった3文字の掛け算になりました。

から読み取れること

変えるもの起電力
磁束 を2倍に2倍になる( に比例)
回転速度 を2倍に2倍になる( に比例)
も2倍に4倍になる
そもそも運転中は変えられない

つまり、発電機の電圧をコントロールする手段は、磁束か回転速度の2つだけ。実務でも試験でも、この2つを操作する話しか出てきません。

試験ではまず で比例関係を処理し、 の具体的な数値を問われたときだけ の中身を展開する——この二段構えが最も効率的です。

なお、こうして発生した起電力が実際に負荷へ届くまでには、電機子巻線の抵抗などで目減りします。その「取りこぼし」の話は〈直流発電機の効率と損失を完全攻略!「銅損=鉄損」で最大効率〉で詳しく扱っているので、この記事のあとに読むと流れがつながります。

🃏 暗記シート
Q. 直流発電機の誘導起電力の公式を Ea = KφN と簡略化できるのはなぜ?

まとめ

長い道のりでしたが、やったことを振り返ると驚くほど単純です。

ステップやったこと結果
出発点物理の基本式を思い出す
回す回転速度を速度に翻訳
通す磁束密度を発電機の言葉に
巻き方導体数と並列回路数を反映
完成3つを掛け合わせる
実戦用定数をまとめる

という、理論科目でとっくに習った式が出発点でした。機械科目の公式が難しく見えるのは、内容が高度だからではなく、機械の寸法という「別の言葉」で書かれているからにすぎません。翻訳の手順さえ知っていれば、怖がる理由はどこにもないんです。

🃏 暗記シート
Q. 直流発電機の誘導起電力 Ea の公式は?

⚠ ここを間違える人が多い

この単元で点を落とす原因は、だいたい3パターンに集約されます。自分が当てはまっていないか、確認してみてください。

❌ なみ巻でも、極数に合わせて を変えてしまう

問題文に「6極・なみ巻」とあると、つい と書きたくなります。極数が目立つところに書いてあるので、そちらに引っぱられるんですね。

✅ 正しくは、なみ巻の は極数と無関係に 2 で固定。 極数に が連動するのは重ね巻だけです。問題を解くとき、まず巻き方の指定を丸で囲んでから を書き出す——それだけで、この取り違えはほぼ消えます。

❌ 電機子と界磁の役割を、逆に覚えている

「電気を起こす側」と「磁束をつくる側」。名前が似ているうえに、どちらも巻線なので混同が起きやすい箇所です。ここが逆になっていると、公式の が何を指すのかも曖昧になり、選択肢を絞り込めません。

✅ 電機子=電気を起こす側(直流機では回る)、界磁=磁界をつくる側(静止している)。 「電機子の『電』は電気」と字面で結びつけてしまうのが手っ取り早い覚え方です。

❌ 回転速度の単位を確かめずに代入する

、つまり毎分の回転数です。公式に 60 が入っているのは、この「毎分」を「毎秒」に直すためでした。ところが問題によっては、毎秒の値や周波数で与えられることがあります。

✅ 数値を代入する前に、必ず単位を確認する。 60 の意味を理解していれば、単位が違うときにどう直せばよいかも自分で判断できます。この「なぜ60なのか」を知っているかどうかが、そのまま得点差になります。

過去問ではこう出た

直流発電機の基本構造と誘導起電力は、機械科目のなかでも出題頻度が高いテーマです。

年度問題番号
平成30年問5

出題のされ方には、はっきりした傾向があります。

  • 穴埋め形式で、構造の理解を問う——電機子・界磁がそれぞれどちら側かを空欄にして、正しい組み合わせを選ばせる形。計算が要らない代わりに、うろ覚えだと選択肢の間で迷って時間を溶かします。
  • 常識と逆に感じる組み合わせを混ぜてくる——たとえば回転速度の高低など、「大きい機械のほうが速く回りそう」といった直感が通用しない箇所が狙われます。感覚ではなく、覚えた事実で判断する必要があります。
  • 数値計算では の判定が勝負を分ける——巻き方さえ正しく読み取れれば、あとは公式に代入するだけの素直な問題になります。

つまり、この単元は「知っていれば確実に取れる」問題が多いということ。公式の導出と、電機子・界磁の役割、そして の決まり方。この3点さえ押さえれば、得点源にできます。

手を動かして確かめたい方は、こちらからどうぞ。

電験ジムで実際に解いてみる

よくある質問

Q. 公式の導出まで覚える必要はありますか? 結果の式だけではダメでしょうか

結論から言うと、試験で書くのは結果の式だけで構いません。ただ、導出を一度たどっておくと、記憶の持ちがまるで違ってきます。

丸暗記した式は、 なのか なのか、本番で分からなくなります。一方で「 は並列回路数だから、増えれば電圧は下がる。だから分母だ」と理屈で押さえていれば、迷いようがありません。導出は暗記の代わりではなく、暗記の保険だと考えてください。

Q. 重ね巻となみ巻、どちらを使うかは問題文から判断できますか

必ず問題文に明記されます。 用途から推測させるような出題はまずないので、「重ね巻」「なみ巻」という単語を見つけたら、そこに印をつけて を確定させましょう。

とはいえ、それぞれの向き不向き(重ね巻=低電圧・大電流、なみ巻=高電圧・小電流)を知っておくと、選択肢の妥当性を判断するときに役立ちます。めっき装置のように大電流が要る用途では重ね巻、といった対応づけです。

Q. は、問題で与えられるのですか

多くの場合、 そのものは与えられません。ですが心配は要らなくて、比例関係を問う問題では の値を知らなくても解けます

たとえば「回転速度を1.2倍、磁束を0.9倍にしたときの起電力は何倍か」という問いなら、 は分母と分子で消えて 倍と即答できます。 の中身が必要になるのは、 の具体的な数値が与えられ、電圧の実数値を求めるときだけです。

なお、実際の発電機では負荷電流が流れると磁束の分布そのものが乱れ、 が理想どおりにならない現象が起きます。それが電機子反作用です。この先の単元になりますが、〈直流発電機の電気子反作用は『直列』で全部攻略できる〉を読んでおくと、 の式が実機でどう崩れるのかが見えてきます。

📖 ここまで読んだあなたへ

Webの何倍も覚えやすい
紙のフルラミネート加工の
暗記シート
があります

実績2,000部突破
お風呂や電車のスキマ時間でサクッと勉強できます。
付属の練習用紙で無限に練習できます♪

📋ラミネート加工 🎨フルカラー 💧防水 🛁お風呂でもOK 🚃電車でもOK ♾️練習用紙で無限練習

この記事を読み終えたら、進捗を記録しましょう

この記事をシェア

読んだ内容を、過去問で試す

機械の過去問を解いてみませんか?

過去問対策Webサービス「電験ジム」なら、 平成27年〜令和8年上期の1,400問超を、 すべて解説つきで解けます。わからない所はその場でAIに質問でき、苦手は自動で色分けされます。

電験ジムで解いてみる

14日間 無料でお試し・月額980円・いつでも解約できます

📱 この記事を読んだ方限定

LINE公式アカウントを追加して、トークに「サイト理論ノート」と送ると、 「理論科目 導入編ノート」(第1章 直流回路)を無料でお渡しします。

LINEで友だち追加する →
資格LABO

この記事を書いた人

資格LABO

電験三種を含め、さまざまな資格を一発合格した経験をもとに、 忙しい社会人が最短距離で受かるための教材とYouTube解説を作っています。 暗記シート・講義ノートは累計2,000部を突破し、 多くの合格報告をいただいています。

保有資格

電気主任技術者電気工事士公害防止管理者放射線取扱主任者中学校・高等学校 教員免許
  • ⚡ 電験三種・電験二種の解説動画をYouTubeで公開中
  • 📚「勉強の過程」より「結果を重視」した教材の制作・販売
  • 🏋️ 過去問対策Webサービス「電験ジム」を開発・運営

スポンサーリンク

📚 機械科目の他の記事も読む

次は…(ローテーション順)
電力
ベルヌーイの定理を「水版・エネルギー保存の法則」で攻略

機能追加のご要望・バグ報告をお待ちしています

サイトをより良くするため、お気付きの点・「こんな機能が欲しい」「このページが見にくい」など、お気軽にご意見をお寄せください。