回転子の種類を「かご形はシンプル堅牢、巻線形はスリップリング」で攻略
電験三種「機械」科目の三相誘導電動機の回転子について解説。かご形と巻線形の2種類を、それぞれの構造と目的から整理します。かご形は「鳥かご」状のシンプルで頑丈な構造、巻線形はスリップリングとブラシで外部抵抗をつなぎ始動特性や速度を調整できる、という対比で丸暗記から卒業。スキューの効果まで、試験で確実に得点できる形にまとめます。
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この記事で身につくこと
誘導機の勉強を進めていくと、必ずこの壁にぶつかります。「かご形」と「巻線形」。名前は聞いたことがあるけれど、どっちがどっちだったか毎回あやふやになる。スリップリングという単語は覚えているのに、それが何をするための部品なのかは説明できない。
じつはこれ、頭が悪いわけでも、勉強が足りないわけでもありません。言葉だけを丸暗記しようとしているから混乱する、それだけのことなんです。

この単元は、構造さえ絵として頭に入れば、驚くほど簡単に得点源へ変わります。覚えることは、たった3つ。
- 全体構造 … 固定子と回転子の位置関係
- かご形と巻線形の決定的な構造の違い
- 試験で狙われる特徴と用途の比較
この3つが自分の言葉で言えるようになれば、問われ方が変わっても対応できます。逆に言うと、ここを飛ばして問題演習だけしても、なかなか安定しません。今日は遠回りに見えても、構造から丁寧に押さえていきましょう。
暗記フレーズ:かご形はシンプル堅牢、巻線形はスリップリングで外部抵抗つなぎ
先に結論を置いておきます。試験会場で思い出してほしいのは、この一文だけです。
かご形はシンプル堅牢、巻線形はスリップリングで外部抵抗つなぎ
いまの時点では「スリップリング? 外部抵抗?」と、言葉のイメージが湧かないかもしれません。それで正常です。これから読み進める内容は、すべてこのフレーズの「なぜ」を一つずつ埋めていく作業だと思ってください。
読み終わる頃には、この短い一文の中に、構造・保守・コスト・用途のすべてが畳み込まれていることが分かるはずです。ゴールを先に決めてから歩き出すと、途中で迷子になりません。ぜひ一度、声に出して読んでみてください。目で追うだけより、はるかに記憶に残ります。
ステップ1:固定子と回転子──三相誘導電動機の全体構造
まずは全体の地図からです。三相誘導電動機は、大きく2つのパーツでできています。

外側にあるのが固定子。回転磁界をつくる側で、これ自体は動きません。名前のとおり、固定されている部分です。そして内側にあるのが回転子。今日の主役で、回転磁界に引きずられてクルクル回る部分です。
ここで一つ、意外に思われるポイントがあります。固定子と回転子は、物理的にどこにも接触していません。 わずかなすき間、エアギャップ(空隙)を挟んで向き合っているだけなんです。
触れていないのに力が伝わる。ギアもベルトも使っていないのに回る。これこそが「誘導」という言葉の面白さです。固定子がつくる回転磁界が回転子に電流を誘導し、その電流と磁界の間に力が生まれる──この大前提があやふやな方は、先に三相誘導電動機の原理を「回転磁界→誘導電流→フレミング左手」で腹落ちさせるを読んでおくと、この先の理解が一気に速くなります。急がば回れです。
そして試験で問われるのは、この2つのうち回転子のほう。ここからは、回転子だけをとことん深掘りしていきます。
ステップ2:回転子は2種類──かご形が圧倒的多数派
回転子は、大きくかご形と巻線形の2つに分かれます。

ここでまず頭に入れてほしいのは、世の中の誘導電動機のほとんどは、かご形であるという事実です。巻線形は少数派。この時点で「なぜそんなに差がついたのか?」と疑問が湧いたなら、いい調子です。その答えは、これから見ていく構造の違いに全部あらわれています。
なお、かご形はさらに「普通かご形」「深溝かご形」「二重かご形」へと枝分かれします。ただし、これは応用知識です。まずは幹、それから枝葉。 今日は「かご形と巻線形の違い」という太い幹だけに集中します。
ひとつだけ豆知識として触れておくと、深溝かご形や二重かご形は、始動特性を改善するために溝の形を工夫したタイプです。じつは、これから説明する巻線形の外部抵抗と、目的そのものはよく似ています。同じ目的を構造の工夫で叶えるのがかご形の応用型、外部抵抗で叶えるのが巻線形。この対比を頭の片隅に置いておくと、後半がぐっと分かりやすくなります。
ステップ3:かご形の「かご」の正体──短絡環でつないだ鳥かご
ここが今日いちばんの核心です。「かご形」という不思議な名前は、いったい何を指しているのか。

つくり方は、拍子抜けするほど単純です。
- 鉄心の溝に、アルミニウム棒(または銅棒)をたくさん通す
- その棒の両端を、輪っか状の短絡環でガッチリつなぐ
これだけです。そして、ここで想像してみてください。もし鉄心を取り除いたら、どう見えるでしょうか?
──たくさんの棒が、上下の輪でぐるりと束ねられた形。そう、まるで鳥かごです。だから「かご形」。英語でも squirrel cage(リスかご)と呼ばれます。もちろん、中にリスは入っていません。
名前の由来が分かってしまえば、もう忘れようがありませんよね。ただし注意したいのは、実際の製品ではこの鳥かごは外から見えないということ。導体は鉄心に埋まっていて、さらにケーシングに覆われています。だからこそ、頭の中に構造の絵を持っている人が強いんです。
導体の材料についても、ひとこと。銅は電気を通しやすく効率が良い一方で、値段が高い。アルミニウムは安く加工もしやすい。だから量産される小型モータでは、主にアルミが使われます。典型的なコストと性能のトレードオフですね。
さらに小型機では、棒を1本ずつ通すのではなく、溶かしたアルミを鉄心の溝へ一気に流し込む「ダイカスト」という製法で、導体棒と短絡環を同時に成形してしまうこともあります。型に流し込むだけで完成するのですから、大量生産に向いているのは当然です。この製法のシンプルさが、次に見る「かご形は安価で保守が少ない」という特徴に、そのままつながっています。
ステップ4:かご形の特徴──現場の圧倒的シェアには理由がある
構造が分かったところで、実務的な特徴を見ていきましょう。

かご形のメリットは、大きく4つです。
| 特徴 | 中身 |
|---|---|
| 構造が単純 | 棒と輪だけ。可動接点がない |
| 極めて堅牢 | 部品が少ないので壊れにくい |
| コンパクト | 小型化しやすい |
| 保守が容易 | 消耗する接点部品がない |
そしてコストも安い。……いいことずくめに見えて、逆に不安になってきませんか。その勘は正しくて、かご形にも「できないこと」があります。それは巻線形と比べたときに初めて見えてくるので、もう少しお待ちください。
現場の実感としては、工場の汎用モータはほぼ100%がかご形です。エアコンの室外機、換気扇、コンベア……身のまわりで回っているモータの大半がこれ。特別な事情がない限り、かご形が選ばれます。
裏を返せば──「特別な事情」があるときにだけ、巻線形の出番があるということ。その特別な事情が何なのか、いよいよ後半で明かしていきます。
ステップ5:スキューと積層鉄心──試験頻出の2キーワード
巻線形へ進む前に、試験でよく狙われる用語を2つ片づけておきましょう。どちらも「なぜそうするのか」まで押さえれば、選択肢を見た瞬間に切れるようになります。

1つ目は「スキュー」。 回転子の溝を、軸に対してまっすぐではなく斜めにする構造のことです。「わざわざ斜めにするなんて、まっすぐのほうが単純でいいのでは?」と思うのが自然な感覚ですが、斜めにすることで磁束の分布がなめらかになり、トルクの脈動──つまり回転のガタつきを抑えられます。振動や騒音の低減にもつながるため、実務でも重要な設計要素です。主にかご形の鉄心で採用される工夫だと覚えておきましょう。
2つ目は「積層鉄心」。 薄い鉄板(電磁鋼板)を何枚も重ねて鉄心をつくる構造で、こちらはかご形・巻線形どちらにも共通します。
なぜ薄く重ねるのか。1枚の分厚い鉄の塊だと、内部に大きな渦電流が流れ、熱としてムダになってしまうからです。薄い板に分割すれば1枚あたりの渦電流が小さくなり、損失を抑えられます。
「変圧器の鉄心と同じ理屈では?」と思った方、まさにそのとおりです。渦電流損を防ぎたい場所では、変圧器でも誘導電動機でも、同じ発想の積層鉄心が使われます。分野をまたいで同じ原理が顔を出すのは、電験の勉強が面白くなってくるサインです。
セットで覚えましょう。スキューはトルク脈動対策、積層鉄心は渦電流損対策。 上段と下段、目的がまったく違うので、混ぜないことがコツです。
ステップ6:巻線形の構造──4ステップで外部へつながる
さあ、もう一方の主役です。今日2つ目の核心スライドですよ。

英語では wound rotor、直訳すれば「巻線が巻かれた回転子」。日本語では「巻線形」のほかにスリップリング形と呼ばれることもあります。名前がそのまま構造を表しているので、順番に4ステップで追いかけましょう。
- 鉄心に、二次巻線という絶縁電線を巻きつける
- その巻線の端を、3個のスリップリングに接続する
- スリップリングにブラシを接触させる
- ブラシを通して外部抵抗へつなぐ
スリップリングが3個なのは、三相だからです。U相・V相・W相、それぞれの巻線の端が1個ずつのリングにつながっています。「なぜ回転子側も三相なのか?」と気になった方は鋭い。固定子の三相巻線がつくる回転磁界とバランスよく作用させるには、回転子側も三相対称の巻線である必要があるからです。このあたりが怪しい人は、誘導機の回転磁界と同期速度を「120f÷p」で一発計算に戻っておくと安心です。
そして、ここが最大のポイント。かご形は誘導電流が内部だけで完結する「閉じた」構造でした。導体棒と短絡環でぐるりと閉じていて、外へ出る道がない。
いっぽう巻線形は、回転子の電流を外部の抵抗器まで引っ張り出せる「開いた」構造です。この一点が、両者の運命を分けています。暗記フレーズの「シンプル堅牢」と「スリップリングで外部抵抗つなぎ」が、ここでつながりました。
ステップ7:スリップリングとブラシ──回転しながらつなぐ知恵
「外部につなぐ」と言葉で言うのは簡単ですが、よく考えると不思議な話です。モータの中身は回り続けているのに、どうやって外の回路と電線でつなぐのか? ねじれてちぎれないのか?

その答えが、スリップリングとブラシです。役割を混同しやすいので、ここでハッキリ分けておきましょう。
| 部品 | どこにある | 動きは |
|---|---|---|
| スリップリング | 回転子側 | 一緒に回る |
| ブラシ | 外部側の電極 | 動かない(リングに押し当てる) |
リングは回る、ブラシは動かない。 この2つが擦れ合うことで、電線をねじ切ることなく、外部回路と電気的につながり続けられるわけです。動くものと動かないものを摺動接触でつなぐという発想は、鉄道のパンタグラフと架線の関係にも似ています。
ただし、擦れ合う以上は摩耗します。ブラシは消耗品で、定期的な交換が必要です。ここが巻線形の「保守に手間がかかる」という弱点の正体でもあります。
逆にかご形には、そもそもブラシがありません。閉じた構造だからこそ、保守が少なく壊れにくい。ステップ4で見た「保守が容易」という特徴が、ここできれいに回収されました。構造の違いが、そのまま保守性の違いに直結している──この因果が見えていれば、比較表を丸暗記する必要はなくなります。
ステップ8:外部抵抗をつなぐ目的──始動特性と速度特性
ここまで読んで、「そこまで手間をかけるなら、かご形でいいのでは?」と思った方。まったく正しい感覚です。その手間に見合うだけの見返りが何なのか、いよいよ本題に入ります。
外部抵抗を可変にする目的は、大きく2つです。
目的1:始動特性を改善する。 スタート時の力(始動トルク)を確保しつつ、始動電流を抑えられます。誘導電動機の始動電流が大きくなりすぎる問題は、以前から繰り返し出てきたテーマでしたね。まさにあの問題を、二次側の抵抗値を変えることで調整できるのが巻線形の強みです。
目的2:速度特性を調整する。 抵抗値を変えるだけで、回転スピードをコントロールできます。「抵抗を変えただけで速度が変わる?」と不思議に感じるかもしれませんが、これは比例推移という誘導機特有の性質を利用したものです。二次抵抗とすべりの関係が効いてくる話なので、誘導機のすべりsを「同期にどれだけ遅れているかの割合」で攻略とセットで押さえると、腹に落ちやすくなります。
つまり巻線形は、かご形にはできない繊細な調整や、大容量の始動が必要な場面で活躍する機種です。大型クレーンや大型ポンプのように、始動時に大きな力が必要な設備をイメージすると分かりやすいでしょう。
なお、抵抗値の操作は昔は手動の可変抵抗器で行われていましたが、現在は始動が進むにつれて自動で段階的に抵抗を下げていく制御が主流です。始動が終われば最終的に抵抗をゼロにし、通常運転へ移ります。「始動のときだけ助けを借りて、走り出したら手を離す」というイメージです。
ステップ9:比較表で最終整理──試験直前はここだけ見ればいい
構造・保守・コスト・用途。4つの軸で並べると、両者の住み分けが一目で分かります。
| 項目 | かご形 | 巻線形 |
|---|---|---|
| 構造 | シンプル・堅牢 | 複雑(スリップリング・ブラシ有り) |
| 保守 | 手間が少ない | 手間がかかる(ブラシ摩耗など) |
| コスト | 安価 | 高価 |
| 用途 | 汎用・大量生産向け | 大容量・始動特性の調整が必要な場面 |
こう並べると、すべての項目でかご形が優れているように見えます。しかしそうではなく、かご形は「万能で経済的」、巻線形は「特殊な要求に応える専門型」という住み分けなのだと捉えてください。
試験では「特徴を提示して、どちらの回転子か当てさせる」形式の問題がよく出ます。だからこの表の使い方は明快で、「複雑・高価」とあれば巻線形、「シンプル・安価」とあればかご形。迷ったら、この4項目に戻る癖をつけましょう。
試験前日にこの表だけ見返せば十分、というくらいの完成度です。できれば一度、自分の手でノートに書き写してみてください。書き写す作業そのものが、記憶を定着させる一番の近道です。
ステップ10:確認問題で腕試し
問1:円筒形の中にまっすぐな棒がたくさん並び、その両端が輪っかでつながれている構造図。これはかご形と巻線形のどちら?
答えはかご形。決め手は「両端の短絡環で導体棒をつないでいる」という点、つまり鳥かご構造です。もしスリップリングやブラシが描かれていれば、そちらは巻線形。図から見分けるときは、「両端が輪でまとまっているか」「外部とつながる部品があるか」の2点をチェックすれば迷いません。
問2:巻線形回転子のスリップリングとブラシを通して外部抵抗を接続する、最大の目的は?
答えは始動特性と速度特性の調整。抵抗値を変えることで、大きな力でスムーズにスタートさせられる、というのがポイントでした。かご形にはできない、巻線形ならではの強みです。
どちらも即答できたなら、この単元はもう得点源になっています。
まとめ
回転子の種類は、構造の絵さえ持っていれば怖い単元ではありません。最後にチェックリストで総ざらいしましょう。
- かご形は、導体棒の両端を短絡環でつないだ鳥かご構造。構造が単純で堅牢・安価・保守が容易で、現場の主役
- スキューは斜め溝でトルク脈動を抑える工夫。積層鉄心は渦電流損を減らす工夫。積層鉄心は両方に共通
- 巻線形は、二次巻線をスリップリングとブラシ経由で外部抵抗へ接続する構造
- 外部抵抗の役割は、始動特性の改善と速度特性の調整
- 比較の軸は構造・保守・コスト・用途の4つ
そして最後にもう一度、声に出して。
かご形はシンプル堅牢、巻線形はスリップリングで外部抵抗つなぎ
このフレーズが自然に口をついて出るようになれば、回転子の分野はもう安定して得点できます。かご形は身近な万能選手、巻線形は特殊な専門選手。 このイメージが残っていれば、問われ方が変わっても十分に対応できますよ。
⚠ ここを間違える人が多い
この単元は素直に見えて、選択肢を巧妙に入れ替えた問題でごっそり落とされます。実際に取り違えが多い3か所を挙げておきます。
❌ 巻線形の外部接続は「整流子」だと思ってしまう → ✅ 正しくはスリップリングです。整流子(コミュテータ)は直流機の部品で、交流を直流に変換するために使います。誘導機の巻線形が使うのは、あくまで回転しながら外部と電気的につながるための輪、スリップリング。「整流子=直流機」「スリップリング=巻線形誘導機」と、機器名とセットで覚えてしまうのが安全です。
❌ 外部抵抗を入れるのは「一次側」だと思ってしまう → ✅ 抵抗を入れるのは二次側(回転子側)です。巻線形の売りは、回転子に生じる二次電流の回路に抵抗を追加できること。ここを一次側と読み違えると、正しそうに見える誤答の選択肢へ一直線に吸い込まれます。「スリップリングは回転子についている部品」という構造の絵を持っていれば、間違えようがありません。
❌ どちらの回転子にどちらの輪が付くのか、取り違えている → ✅ かご形=短絡環(端絡環)、巻線形=スリップリングです。どちらも「輪っか」なので入れ替えて出題されやすい定番の引っかけ。役割で区別しましょう。短絡環は棒どうしを内部で閉じるための輪、スリップリングは電流を外部へ出すための輪。閉じるか、出すか。この対比で覚えておけば逆転しません。
もう一つ、鉄心の材料を問われて「高張力鋼板」を選んでしまう誤答も見られます。誘導電動機の鉄心に求められるのは強度ではなく磁束の通しやすさですから、正解は電磁鋼板です。
過去問ではこう出た
回転子の種類は、機械科目のなかでも安定して顔を出すテーマです。実際の出題実績を挙げると──
- 令和3年 問4
- 令和4年上期 問3
- 令和4年下期 問3
- 令和7年上期 問3
このように、問3〜問4という前半の位置に繰り返し登場しています。誘導機の序盤で確実に1点を拾えるかどうかは、合否に直結する場面が多いところです。
出題の形は、大きく分けて2パターン。ひとつは空欄補充型で、「回転子は(ア)と(イ)に分けられ、かご形は導体の両端を(ウ)で接続する……」といった文章の穴を埋めさせるもの。もうひとつは特徴の対応づけ型で、構造・保守性・用途などの記述がどちらの回転子に当てはまるかを判断させるものです。
いずれも、計算は不要です。この記事の比較表と、短絡環/スリップリングの対応さえ正確なら得点できます。 逆に言えば、あやふやなまま本番に臨むと、似た用語を並べた選択肢に確実に足をすくわれます。手を動かして確認しておきましょう。
よくある質問
Q. かご形のほうが優れているなら、巻線形はもう必要ないのでは?
汎用用途に限れば、そのとおりです。実際、工場やビルで動いている汎用モータのほとんどはかご形で、巻線形が選ばれる場面は限られています。それでも巻線形が生き残っているのは、始動時に大きなトルクが必要で、かつ始動電流は抑えたいという要求に応えられるからです。大型クレーンや大型ポンプのように、重い負荷を止まった状態から動かす設備では、この特性が効いてきます。「かご形が万能選手、巻線形は専門選手」と捉えておけば、優劣ではなく役割分担として理解できます。
Q. 導体はアルミと銅のどちらが正解なのですか?
どちらも正解です。銅は電気を通しやすく効率面で有利ですが、価格が高くなります。アルミニウムは安価で加工しやすいため、量産される小型モータでは主にこちらが使われます。とくに小型機では、溶かしたアルミを鉄心の溝へ流し込むダイカスト製法で、導体棒と短絡環を一体成形してしまうことも多いのです。試験では「アルミ棒または銅棒」と併記されるのが普通なので、どちらか一方に決めつけないでおきましょう。
Q. スキューは巻線形にもあるのですか?
スキュー(斜め溝)は、主にかご形の鉄心で採用される工夫です。一方、積層鉄心のほうは、かご形・巻線形どちらにも共通します。ここは混ざりやすいので、「スキューは主にかご形/積層鉄心は共通」とセットで整理しておくと安全です。目的も対にして、スキュー=トルク脈動対策、積層鉄心=渦電流損対策。目的が違えば、選択肢で入れ替えられても気づけます。
Q. 固定子と回転子が接触していないのに、なぜ力が伝わるのですか?
そこが誘導機の面白いところです。固定子がつくる回転磁界が、エアギャップを越えて回転子の導体を横切ります。すると回転子側に電流が誘導され、その電流と磁界の間に力が生まれて回転子が回りだす──という流れです。歯車やベルトのような機械的な接触は一切ありません。この「触れずに回す」仕組みがピンとこない場合は、誘導電動機の原理まで戻って復習すると、回転子の構造の意味まで一気に見通せるようになります。
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