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機械 第30回 ⏱ 約12分で読めます

三相誘導電動機の原理を「回転磁界→誘導電流→フレミング左手」で腹落ちさせる

電験三種「機械」科目の三相誘導電動機の原理を解説。なぜ回転子が回るのかを、アラゴの円板(磁石を追いかける金属板)を出発点に、回転磁界→誘導電流→フレミング左手の法則→回転力という4ステップで構造的に理解します。すべりや同期速度Ns=120f/pまで、抽象的で苦手になりがちな原理を計算と現場イメージで丸暗記から卒業させます。

🃏 暗記フレーズ:回転磁界→誘導電流→フレミング左手→回転!

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「三相誘導電動機って、なぜ回るのか説明しろと言われると、正直よくわからない」——そう感じている方、とても多いです。電動機は機械科目の主役なのに、原理の説明が抽象的で、教科書を読んでも「フレミングがどうこう…」で頭がぼんやりしてしまう。

でも安心してください。この原理は、たった1つの実験を先に思い浮かべるだけで、驚くほどスッと腹に落ちます。それが「アラゴの円板」です。磁石を回すと、そばの金属板が磁石を追いかけて回り出す——ただそれだけの現象。三相誘導電動機は、これを電気の力で再現している機械にすぎません。

苦手だった「なぜ回るのか」を、今日ここで「なるほど、追いかけっこか」に変えていきましょう。

この記事で身につくこと

  • 三相誘導電動機がなぜ回るのかを、アラゴの円板の具体イメージで説明できる
  • 回る仕組みを「回転磁界→誘導電流→フレミング左手→回転」の4ステップで順に追える
  • すべり(磁界と回転子の速度差)がなぜ必要なのかを、自分の言葉で言える
  • 同期速度 Ns = 120f/p をその場で計算でき、周波数と極数から回転磁界の速さがわかる
  • 現場での正転・逆転(2線入れ替え)の理由まで理解できる

暗記フレーズ:回転磁界→誘導電流→フレミング左手→回転!

この記事のすべては、この一本の流れに集約されます。

回転磁界→誘導電流→フレミング左手→回転!

磁界が回る → だから電流が生まれる → だから力が働く → だから回る。原因と結果が数珠つなぎになっているだけです。バラバラに暗記するのではなく、この矢印の順番で覚えるのが最短ルートです。それでは1つずつ、矢印をたどっていきましょう。

ステップ0:まず「アラゴの円板」を頭に入れる

原理をいきなり数式で追うと迷子になります。まずは具体的な絵を1枚。

机の上にアルミの円板を置き、その上で磁石をぐるぐる回してみます。すると、磁石に触れてもいないのに、アルミ板が磁石を追いかけて同じ向きに回り出す。これがアラゴの円板です。

三相誘導電動機で起きているのは、まさにこれ。ただし磁石を手で回す代わりに、三相交流の力で「磁界(=目に見えない磁石)」を回しているのです。追いかける金属板が「回転子(ローター)」にあたります。

実験(アラゴの円板)三相誘導電動機
手で回す磁石三相交流が作る回転磁界
追いかけるアルミ板回転子(かご形の導体)
板が回り出す電動機の回転

「磁石を追いかける金属板」——このイメージさえ持てれば、あとは中身を電気の言葉に翻訳するだけです。

🃏 暗記シート
Q. アラゴの円板とはどんな現象か?そして誘導電動機の何に対応するか?
💡 磁石と金属板の追いかけっこ

ステップ1:回転磁界——三相交流が「回る磁石」を作る

では、手を使わずにどうやって磁石を回すのか。ここで三相交流が主役になります。

U相・V相・W相の3つの電流は、それぞれ120°ずつ位相がずれて流れています。この3つを120°間隔に配置したコイルに流すと、各コイルの磁束が時間差で強くなったり弱くなったりを繰り返し、合成された磁束のピーク位置がグルグルと移動していく。これが回転磁界です。

イメージとしては、3人が順番にバトンを渡していくと「勢い」が円をぐるっと一周していくのに似ています。誰も動いていないのに、力の山だけが回っていく。これで、物理的に磁石を回さなくても「回る磁石」が完成します。

この回転磁界の回る速さを同期速度 Nsと呼び、次の式で決まります。

  • :電源周波数[Hz](東日本50Hz・西日本60Hz)
  • :極数

たとえば 4極・60Hz なら、

周波数と極数さえ分かれば即答できる、得点源になる式です。

🃏 暗記シート
Q. 4極・50Hzの三相誘導電動機の同期速度Nsは?
💡 120f/p にそのまま代入

ステップ2:誘導電流——速度差(すべり)があるから電流が生まれる

回転磁界という「回る磁石」ができました。ここから、追いかける側の回転子に何が起きるかです。

回転磁界が回転子の導体(かご形の棒)を横切ると、電磁誘導によって導体に電流が流れます。これが誘導電流。「誘導電動機」という名前は、ここに由来します。

ここで最大のポイント。回転子は、回転磁界とまったく同じ速さでは回れません。 なぜなら、もし同じ速さで回ったら、磁界と回転子の間に速度差がなくなり、導体が磁束を切らなくなる。磁束を切らなければ誘導電流は生まれず、力も消えてしまうからです。

だから回転子は、必ず回転磁界より少し遅れて回ります。この「磁界が先に走り、回転子が追いかける」速度差の割合をすべり sと呼びます。

  • :同期速度(回転磁界の速さ)
  • :回転子の実際の速さ

追いつきそうで追いつけない、この永遠の追いかけっここそが、誘導電動機が回り続ける原動力なのです。

🃏 暗記シート
Q. 回転子が回転磁界と同じ速さで回れないのはなぜか?
💡 磁束を切らないと電流は生まれない

ステップ3:フレミング左手の法則——電流と磁界で「回す力」が生まれる

回転子の導体に誘導電流が流れました。その導体は、いままさに回転磁界(磁界)の中にあります。

磁界の中を電流が流れると、その導体には力が働く。 この力の向きを教えてくれるのがフレミング左手の法則です。左手の親指・人差し指・中指を直角に開き、人差し指を磁界、中指を電流に向けると、親指が力の向きを指します。

この力が回転子を押し、回転力(トルク)となって回転子が動き出す。しかも動く向きは、ちゃんと回転磁界と同じ向き。だからアラゴの円板と同じで、金属板(回転子)が磁石(回転磁界)を追いかけて回るわけです。

これで4つの矢印がつながりました。

ステップ起きることキーワード
1三相交流が回る磁石を作る回転磁界(Ns=120f/p)
2速度差により導体に電流が流れる誘導電流・すべり
3磁界中の電流に力が働くフレミング左手の法則
4回転子が磁界を追いかけて回る回転(トルク発生)

回転磁界→誘導電流→フレミング左手→回転!

もう、この一文がただの語呂ではなく、因果の鎖として読めるはずです。

🃏 暗記シート
Q. 回転子の導体に流れた誘導電流から、どうやって回転力が生まれるか?
💡 親指が力の向き

ステップ4:現場の豆知識——「2線入れ替え」で逆回転

最後に、原理が分かると納得できる現場ワザを1つ。

三相誘導電動機は、電源3線のうち2線を入れ替えるだけで回転方向が逆になります。 これは現場で正転・逆転を確認するときの基本操作です。

なぜ2線入れ替えで逆転するのか——原理を追ってきた今なら分かります。相の順番(U→V→W)が入れ替わると、回転磁界の回る向きが反転するからです。磁石が逆回りすれば、追いかける回転子も逆回り。ステップ1の「回る磁石」まで戻れば、当たり前の結果ですね。

抽象的だった原理が、こうして実際の配線作業とつながる。これが「腹落ちした」状態です。

🃏 暗記シート
Q. 三相誘導電動機の3線のうち2線を入れ替えると、なぜ逆回転するのか?
💡 回転磁界の向きが反転する

まとめ

三相誘導電動機の原理は、抽象的で苦手にされがちですが、核心は「磁石を追いかける金属板」というアラゴの円板1枚に尽きます。

  • 回転磁界:三相交流の120°位相差が「回る磁石」を作る(Ns = 120f/p)
  • 誘導電流:磁界と回転子の**速度差(すべり)**があるから、導体に電流が生まれる
  • フレミング左手:磁界中の電流に力が働き、回転力(トルク)になる
  • 回転:回転子が回転磁界を追いかけて回る

この因果の鎖を、暗記フレーズ「回転磁界→誘導電流→フレミング左手→回転!」で一本につなげておけば、試験本番で「なぜ回るのか」を問われても、順を追って自信を持って答えられます。丸暗記で霧の中だった原理が、具体的な「追いかけっこ」の映像に変わったなら、今日の一歩は大きな前進です。

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