誘導電動機の始動法を「かご形4法+巻線型」で完全整理!Y-Δ始動の1/3ルールも数学的に証明
電験三種「機械」科目の頻出テーマ「誘導電動機の始動法」を完全整理。かご形の4つの始動法(全電圧始動・Y-Δ始動・始動補償器法・始動リアクトル法)の仕組みと特徴、多くの受験生がつまずく「なぜ電流・トルクが1/3になるのか」の数学的根拠、巻線型の「比例推移」まで図解でマスターできる1記事です。
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この記事で身につくこと
電験三種「機械」科目で頻出の 誘導電動機の始動法。かご形4法(全電圧始動・Y-Δ始動・始動補償器法・始動リアクトル法)と巻線型(外部抵抗始動法)、合わせて5つの方式が登場し、「どれがどの特徴だったか毎回ごちゃごちゃになる」というのが多くの受験生のつまずきポイントです。
本記事を読み終えたら、
- かご形4法と巻線型の分類・特徴を迷わず言える
- Y-Δ始動で「なぜ電流・トルクが1/3になるのか」を数学的に説明できる
- 巻線型の「比例推移」の仕組みをグラフでイメージできる
ようになります。丸暗記ではなく「なぜ」から理解して、得点源に変えましょう。
暗記フレーズ:かご形4法+巻線型、全がつくのはかご形だけ
かご形4法:全・Y-Δ(1/3ルール)・補償器・リアクトル。巻線型はスリップリングで外部抵抗→比例推移でトルク一定。全がつかないのは巻線型だけ!
この一文が、始動法の分類問題の9割を解決します。
ステップ1:始動法の全体分類(かご形4法・巻線型1法)
まず全体像を整理します。誘導電動機は構造によって「かご形」と「巻線型」に分かれ、それぞれ使える始動法が違います。
| 分類 | 始動法 | 特徴 |
|---|---|---|
| かご形① | 全電圧始動(じか入れ) | 構造が単純・小容量向け |
| かご形② | Y-Δ始動 | 始動電流・トルクとも1/3、比較的安価・中容量向け |
| かご形③ | 始動補償器法 | 単巻変圧器で任意の電圧に調整・大容量向け |
| かご形④ | 始動リアクトル法 | リアクトルの電圧降下を利用・大容量向け |
| 巻線型 | 外部抵抗始動法 | スリップリング経由・始動電流↓+始動トルク↑ |
「全がつくのはかご形だけ」——この一言で、巻線型が仲間はずれの1方式だけであることを思い出せます。
ステップ2:Y-Δ始動法(スターデルタ始動)とは
かご形②の Y-Δ始動法。始動時はY結線で電圧を抑え、加速して定格の80〜90%程度まで回転数が上がったらΔ結線に切り替えて全電圧運転に移行します。
弱点は、Y結線からΔ結線に切り替える瞬間に起きる「切り替えショック」。この過渡的な電流・トルクの急変が最大の弱点です。
また、Y-Δ始動が使えるのは「運転時にΔ結線で使う設計の電動機」に限られます。もともとY結線でしか運転できない電動機には、Y-Δ切替という発想自体が成立しません。
ステップ3:なぜ1/3になるのか?数学的に証明する
多くの受験生が「なぜ」で止まってしまう1/3の根拠を、3ステップで証明します。
①電圧の変化:Y結線の相電圧は、線間電圧の「1/√3」倍になります。Y結線は各相の巻線が中性点で1点に集まる方式で、線間電圧は相電圧の√3倍になる(逆に言えば相電圧は線間電圧の1/√3倍)という関係があるためです。
②電流の変化:Y結線では「線電流=相電流」ですが、Δ結線では「線電流=相電流×√3」という関係があります。この違いが1/3を生む決定的なポイントです。
(電圧の低下分 × 結線による電流比 = 電流の低下分)
③トルクの変化:トルクは電圧の2乗に比例するため、電圧が1/√3倍になると、トルクは(1/√3)の2乗=1/3倍になります。
電流とトルクが同じ1/3でも、理由は別々です。電流は「電圧低下×結線比」という2つの1/√3の掛け算、トルクは「電圧の2乗比例」という1つの理由。数値が一致しているだけでメカニズムは別物という点を、記述式でも説明できるようにしておきましょう。
ステップ4:始動補償器法・始動リアクトル法(かご形③④)
かご形③の 始動補償器法(コンドルファ始動器) は、単巻変圧器のタップ切り替えで電圧を任意の倍率に調整してから始動する方法です。Y-Δ始動の「1/3固定」に対し、タップで電圧を50%にすればトルクは2乗比例で25%に、というように「任意の倍率」に調整できるのが強みです。
かご形④の 始動リアクトル法 は、一次側にリアクトル(コイル)を直列に挿入し、その電圧降下を利用して始動電流を抑える方法です。加速後は短絡スイッチでリアクトルをバイパスし、全電圧運転に切り替えます。補償器法も変圧器を切り離す瞬間に多少の過渡変動はありますが、結線の組み替えを伴うY-Δほど急激なショックにはなりにくいとされています(「ショックが小さい」であって「ゼロ」ではない点に注意)。
ステップ5:巻線型の外部抵抗始動法と「比例推移」
巻線型誘導電動機は、スリップリングを通じて回転子(二次側)に外部抵抗を接続できる構造を持ちます。外部抵抗を挿入すると、始動電流は下がり、始動トルクは上がる——かご形にはできない芸当です。
その根拠が 比例推移。外部抵抗を増減しても、トルク-すべり曲線は形を変えずに右へシフトするだけで、山の高さ(最大トルクの値)は変わりません。始動時(すべり s=1)の位置が、抵抗を増やすほどグラフの山の高い場所に来るため、始動トルクが増大するのです。
| 項目 | 変化 |
|---|---|
| 始動電流 | 抵抗が増える分、下がる |
| 始動トルク | 山の高い位置にシフトするため、上がる |
| 最大トルクの値 | 変わらない(形は同じ、位置だけ動く) |
豆知識:VVVFインバータがY-Δ始動を過去にした理由
かつてはY-Δ始動が中大容量モーターの定番でしたが、インバータ(VVVF)の普及で急速に減少しています。インバータ起動なら周波数と電圧をゆっくり連続的に上げていくため、結線切り替え自体が発生せず、始動電流を全電圧始動の数分の1に抑えつつ、切り替えショックもゼロにできます。速度制御も自由自在で省エネ性能も高いため、急速に普及してY-Δを置き換えました。
とはいえ、現場にはまだ古い設備が多く稼働しているため、電験三種の試験ではY-Δ始動・巻線型ともに今も頻出です。
まとめ
- かご形4法:全電圧始動・Y-Δ始動・始動補償器法・始動リアクトル法
- 巻線型:外部抵抗始動法(スリップリング経由)の1つだけ
- Y-Δ始動の1/3ルール:電圧1/√3×線電流比1/√3=電流1/3、電圧1/√3の2乗=トルク1/3
- 比例推移:外部抵抗を変えてもトルク-すべり曲線は右にシフトするだけ、最大トルクは一定
- 現代の主流:インバータ(VVVF)がY-Δ始動を置き換えつつある
暗記フレーズ:かご形4法:全・Y-Δ(1/3ルール)・補償器・リアクトル。巻線型はスリップリングで外部抵抗→比例推移でトルク一定。全がつかないのは巻線型だけ!
丸暗記ではなく「なぜ」から理解できれば、始動法はもう怖くない、確かな得点源です。
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