等電位ボンディングを『主は建物まるごと・補助は浴室ピンポイント』で攻略
電験三種「法規」で意外とつまずく等電位ボンディング。主等電位ボンディングと補助等電位ボンディングの違い、そして『接地(アース)』との目的の違いを、場所の広さで一発整理。A種・B種接地工事の使い分けまで、苦手意識をまるごと解消する解説記事です。
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この記事で身につくこと
法規の勉強をしていて、こんな気持ちになったことはありませんか。
「等電位ボンディング」「主」「補助」「A種」「B種」……。どれも似たような話に見えて、条文を読んでも頭に入ってこない。覚えたつもりでも、翌週には主と補助がひっくり返っている。
安心してください。この単元がややこしく見えるのは、覚える量が多いからではありません。整理の軸を知らないまま、バラバラに丸暗記しようとしているからです。
実際のところ、今日押さえるべき軸はたった2本しかありません。
| 軸 | 何を見分けるか | 判断のキーワード |
|---|---|---|
| 範囲の広さ | 主等電位ボンディング/補助等電位ボンディング | 建物全体か、局所か |
| 対象の種類 | A種接地工事/B種接地工事 | 機械そのものか、変圧器か |
この2本さえ通れば、問題文の言い回しが変わっても迷いません。

この記事のゴールは次の2つです。
- 等電位ボンディングの目的と、主・補助の使い分けをマスターする
- 混同しやすい接地工事A種・B種の適用対象を完璧にする
法規は「暗記量が多そう」という第一印象で敬遠されがちですが、仕組みから理解すれば、むしろ理屈がハッキリしていて忘れにくい科目です。この単元は、その典型例です。
暗記フレーズ:主は建物まるごと・補助は浴室ピンポイント、電位差ゼロで感電ゼロ
先に、今日の内容を丸ごと凝縮したフレーズをお渡しします。
主は建物まるごと・補助は浴室ピンポイント、電位差ゼロで感電ゼロ
前半が主と補助の違い、後半が等電位ボンディングそのものの目的を表しています。
音読してみると気づくと思いますが、「まるごと」「ピンポイント」「感電ゼロ」と、母音の「お」で韻が揃っています。文字で追うより、声に出したほうが圧倒的に記憶に残ります。いま2〜3回、口に出してみてください。
試験本番で選択肢を前に迷ったときは、まずこのフレーズを頭の中で唱える。それだけで「範囲が広いか狭いか」に意識が向き、主か補助かはほぼ判断できます。
ステップ1:等電位ボンディングとは「電位差そのものをなくす」工法
まずは定義から。ここを誤解したまま進むと、後で接地工事とごちゃ混ぜになります。

危険な状態と安全な状態
ある建物の中に、2つの金属部分があるとします。片方が100V、もう片方は接地されていて0V。この状態で、人が両方に同時に触れたらどうなるでしょうか。
電位差100Vが人体に加わり、その分の電流が体を通り抜けます。これが感電です。
ここで、2つの金属部分を電線で電気的につないでしまいます。すると、つないだ瞬間に両者は同電位になります。片方が接地されて0Vなら、もう片方も0Vに引き下げられる——理論科目で学んだとおりです。
電位差がゼロなら、両方に同時に触れても電流は流れません。これが等電位ボンディングです。
「大地に逃がす」のではない、が最重要ポイント
ここが多くの受験生の落とし穴です。
- 接地(アース)の役割 …… 大地に電流を逃がす
- 等電位ボンディングの役割 …… 金属どうしの電位差そのものをなくす
結果として安全になる点は同じでも、厳密には目的が違います。この違いを最初に押さえておくと、後半のA種・B種の話と混線しません。
身近な例で言えば、片手で洗濯機の金属製外箱、もう片方の手で水道の蛇口に触れる場面。両者に電位差があれば、体を通って電流が流れます。「両方の金属に同時に触れる」場面は、日常に意外と転がっています。だからこそ、あらかじめ金属部分をつないで電位差をなくしておくわけです。
定義をまとめると、こうなります。
等電位ボンディングとは、金属部分を互いに電気的に接続して電位差をなくす工法。最大の目的は、感電の防止と、逆流雷による電気機器の故障防止である。
ステップ2:主等電位ボンディング=建物まるごとの大元対策
ここから、主と補助を1つずつ見ていきます。まずは「主」から。

| 項目 | 主等電位ボンディングの内容 |
|---|---|
| 施工場所 | 建物全体(マクロな視点) |
| 接続対象 | 建物の鉄骨、主要な金属製水道管、ガス管など |
| 接続位置 | 建物の入口付近に、基本は1か所へまとめて集約 |
| 目的 | 外部から建物内へ侵入する異常電圧を防ぐ |
接続対象を見て気づくのは、どれも建物の骨格を担う大きな金属体であり、かつ外部から建物内に入ってくるものだという点です。
水道管もガス管も、大地を通って外からやってきます。もし外部で異常な電位が発生すれば、それらを伝って建物内に持ち込まれてしまう。だから、建物の入口という「関所」でまとめてつなぎ、そこで電位差を食い止めておく。これが主等電位ボンディングの発想です。
試験では「建物全体を対象とする」という表現で問われることが多いので、この言葉を見たら反射的に「主」と結びつけられるようにしておきましょう。
なお、バラバラの場所で接続するのではなく、入口付近の1か所に集約するのが施工の基本です(施工コストの面でも合理的です)。絶対条件というわけではありませんが、イメージとしてはこれで十分です。
ステップ3:補助等電位ボンディング=浴室ピンポイントの局所防護
続いて「補助」です。舞台は建物全体から、一気に浴室へと縮まります。

| 項目 | 補助等電位ボンディングの内容 |
|---|---|
| 施工場所 | 浴室・水回り・医療室・精密室などの局所(ミクロな視点) |
| 接続対象 | シャワーヘッドの配管、浴槽の金属製手すり、床下の金属製配管、床の構造体金属メッシュなど |
| 目的 | 局所的な電位差による感電を防ぐ |
なぜ「主」だけでは足りないのか
ここでよく出る疑問が、「建物全体を主でつないだのなら、浴室も自動的に守られるのでは?」というものです。
これは誤解です。理由は2つあります。
- 主等電位ボンディングが対象とするのは建物全体の大きな金属体であり、浴室内の個別の金属製設備までは対象に入らない
- 実際の接続経路には、あちこちで小さな電気抵抗が含まれる。そのため、主だけでは局所レベルで完全な等電位を保ち切れない
つまり、主の網の目からこぼれ落ちる部分を、補助が個別にフォローする。主で大枠をカバーし、補助で危険度の高い局所を個別にカバーするという二段構えで、はじめて建物全体の安全が成り立つ構造です。
なぜ浴室が狙い撃ちされるのか
理由はシンプルで、水濡れによって人体抵抗が下がり、感電リスクが極めて高くなるからです。乾いた場所より、濡れた場所のほうが電流ははるかに流れやすい。だからこそ、浴室はピンポイントで防護する必要があります。
施工場所は浴室だけではありません。医療室や、静電気の影響を受けてはならない精密室なども対象になります。「補助=浴室だけ」と狭く覚えず、「人が触れるおそれのある局所」と押さえておくと、問題文の表現が変わっても対応できます。
ステップ4:主と補助の比較表(試験はここを入れ替えてくる)
2つを並べて整理しておきましょう。この表は、そのまま出題される可能性が高い最重要ポイントです。

| 種類 | 施工場所 | 接続対象 | 目的 |
|---|---|---|---|
| 主等電位ボンディング | 建物全体(入口付近) | 鉄骨・主水道管・ガス管 | 外部からの異常電圧の侵入防止 |
| 補助等電位ボンディング | 浴室・水回りなど局所 | シャワー金具・手すり・個別配管 | 局所的な電位差による感電防止 |
同じ「電位差をなくす」という手段でも、どこまでの範囲を守るかで主と補助に分かれる。ここが本質です。
そして、試験でよく仕掛けられるひっかけがこちら。
❌「浴室で施工するのに、目的は外部からの異常電圧侵入防止」
施工場所と目的を入れ替えた、あり得ない組み合わせです。場所だけ、目的だけをバラバラに覚えていると、この手の選択肢にきれいに引っかかります。
- 建物全体 → 異常電圧の侵入防止
- 局所 → 感電防止
このセットで丸ごと覚えるのが、いちばんの防御になります。
ステップ5:接地工事は「別カテゴリー」——A種〜D種の全体像
ここから話は接地工事に移ります。まず、大前提の線引きから。

| 対策 | つなぐ相手 | ねらい |
|---|---|---|
| 等電位ボンディング | 金属どうし | 金属間の電位差をなくす |
| 接地工事(アース) | 金属と大地 | 漏電時の電流の逃げ道をつくる |
つなぐ相手が違う=別物。等電位ボンディングと接地工事は、目的も対象も異なる、それぞれ独立したルールです。ここを「似たようなもの」として一緒くたにするから混乱するのであって、最初から別カテゴリーだと割り切れば、あとは素直に覚えるだけになります。
接地工事は4種類。共通の考え方は、電気を扱う機器の金属部分を大地につなぎ、漏電時の逃げ道を作っておくことです。
| 種類 | 適用対象 |
|---|---|
| A種 | 非接地式高圧電路に施設する機械器具の金属製外箱など |
| B種 | 高圧・特別高圧電路と低圧電路を結合する変圧器(混触防止) |
| C種 | 300Vを超える低圧機器 |
| D種 | 300V以下の低圧機器 |
境界線は300V。ここを境に感電時の危険度が大きく変わる、という考え方が背景にあります。
そして覚え方のコツが1つ。アルファベット順=厳しさの順です。Aがもっとも厳しく、Dがもっとも緩やか。数字(電圧レベル)が高いほど、より強固な接地が求められると考えれば筋が通ります。
出題頻度で言えば、法規ではA種とB種のほうが高い傾向にあります。高圧を扱う設備ほど事故時の被害が大きく、試験でも重点的に問われるからです。とはいえC種・D種も、4つセットで並べたほうが記憶は安定します。
各種の接地抵抗値や接地線の太さまで踏み込みたい方は、接地工事A種・B種・C種・D種の違い|抵抗値と電線の太さを先に読んでおくと、この先の理解がぐっと速くなります。
ステップ6:A種接地工事=高圧の機械そのもの
4種類のうち、まずA種を単独で見ていきます。

適用対象は、非接地式高圧電路に施設する機械器具の金属製外箱など。条文の言い回しは物々しいですが、要は「高圧の機械そのもの」と捉えて構いません。
ポイントは「非接地式」という言葉です。これは、電路自体が大地から絶縁されているという意味。電路側に大地への経路がないため、万が一の漏電時に電流の逃げ道がありません。逃げ道がなければ、機械の金属製外箱に高い電圧がそのまま残り、触れた人が非常に危険な状態に置かれます。
だからこそ、機械の外箱側にしっかりと接地を施しておく必要がある。しかも扱う電圧が高い=逃がす電流も大きくなるため、A種には4種類の中で最も厳しい接地抵抗の基準が定められています。
覚え方は一言で足ります。
高圧の機械器具の金属製外箱には、A種。
なお、A種・B種には施設方法に細かい規定(埋設深さや接地極の扱い、省略できる条件など)もあります。そちらを一気に整理したい方は、法規『AB例外CD省略』完全整理|接地工事の75cm・30cm・省略条件を一気に攻略が近道です。
ステップ7:B種接地工事=高圧と低圧をつなぐ変圧器
A種が「機械そのもの」なら、B種は「変圧器」。ここが見分けの分かれ道です。

適用対象は、高圧または特別高圧電路と、低圧電路を結合する変圧器。目的は混触の対策です。
混触とは、変圧器の内部で高圧側と低圧側が接触してしまうこと。もしこれが起きて何の対策もなければ、家庭用などの低圧側に高電圧がそのまま流れ込みます。コンセントに高圧が来る——想像するだけでゾッとする事態です。
そこで、低圧側の中性点付近にB種接地を施しておく。こうすると、混触時の異常電圧が大地へ逃げ、低圧側の電位上昇を一定の範囲に抑え込めます。
A種とB種の見分けは、この一行で足ります。
| 種類 | ひとことで言うと |
|---|---|
| A種 | 高圧の機械そのもの |
| B種 | 高圧と低圧をつなぐ変圧器 |
「変圧器が出てきたらB種」。この対応さえ体に入れておけば、過去問でも一瞬で判断できます。
なお、変圧器まわりの法規は、火災防止や直接低圧変成の原則禁止といった論点にも枝分かれしていきます。あわせて固めたい方は特高変圧器の火災防止を『流出・感知・消火』の三点セットで攻略!直接低圧変成の原則禁止もスッキリ整理へ進むと、変圧器の法規が一本の線でつながります。
ステップ8:発展知識——浴室の等電位ボンディングは電技解釈第173条
試験に直結する話ではありませんが、知っておくと条文が「ただの暗記」から「納得できるルール」に変わります。
浴室の等電位ボンディングは、電気設備技術基準の解釈 第173条で義務付けられています。そして現場では、8種類以上を接続するのが基本とされています。
具体的には、こんな顔ぶれです。
- シャワーヘッドの配管
- 浴槽の金属製手すり
- 蛇口
- 換気扇の金属部分
- 床の金属製排水金具
- 水道管、暖房配管 など
「たかが浴室に8種類以上」と思われるかもしれませんが、それだけ徹底すべき場所だということです。
さらに近年は、住宅でLAN配線がからむ感電事故が増えているという実態もあります。屋外から引き込んだ通信線の電位が、宅内の金属部分と微妙に異なることが原因の1つです。頻発する事故ではありませんが、等電位ボンディングが未施工の古い浴室では注意が必要とされています。
昔ながらの浴室をリフォームするときに、今日の知識がそのまま効いてくる。実務を知ると、条文の「なぜ必要なのか」まで腹落ちして、記憶が長持ちします。
まとめ
今日の内容を3つに畳んでおきます。
| # | 押さえるポイント |
|---|---|
| 1 | 等電位ボンディングは、金属部分を電気的に接続して電位差をゼロにする工法。目的は感電防止と逆流雷による機器故障の防止 |
| 2 | 主は建物まるごと、補助は浴室などピンポイント。見分けるのは「施工する範囲の広さ」 |
| 3 | 接地工事はA種=高圧の機械器具、B種=変圧器。法規ではこの2つが特によく問われる |
そして、もう一度声に出してください。
主は建物まるごと・補助は浴室ピンポイント、電位差ゼロで感電ゼロ
覚えることが多く見えた単元ですが、整理してしまえば軸は「範囲」と「対象」の2つだけでした。この2軸さえ崩さなければ、問題文の表現がどう変わっても対応できます。法規の中でも頻出の単元です。確実な得点源に変えていきましょう。
⚠ ここを間違える人が多い
この単元でつまずく人には、決まった型があります。代表的なものを2つ挙げます。
❌「等電位ボンディングは、電流を大地に逃がすための工事」→ ✅ 逃がすのではなく、電位差をなくす
いちばん多い取り違えがこれです。結果として安全になるので混ざりやすいのですが、大地に逃がすのは接地の仕事。等電位ボンディングは、金属どうしをつないでそもそも電位差を作らせない工法です。
つなぐ相手を思い出せば一発で区別できます。金属と金属なら等電位ボンディング、金属と大地なら接地工事。問題文に「大地」の文字があるかどうかは、有力な手がかりになります。
❌「主等電位ボンディングをやっておけば、浴室も守られている」→ ✅ 主だけでは局所を守り切れない
「建物全体をつないだのだから、その中にある浴室も当然カバーされる」という発想は、直感的には正しそうに見えます。しかし主が対象とするのは鉄骨や主要配管といった大きな金属体であり、浴室内の個別設備は入っていません。加えて、接続経路には抵抗が点在するため、局所レベルで完全な等電位を保つことはできません。
主と補助は「どちらかを選ぶもの」ではなく、二段構えで両方やるもの。ここを取り違えると、「補助は主の代わりになるか」といった問いで足をすくわれます。
もう一歩:A種とB種の混同
A種とB種は、どちらも高圧がからむため混ざりやすい組み合わせです。判定は「主語が何か」で決めてください。主語が機械器具ならA種、主語が変圧器ならB種。選択肢に「変圧器」の三文字を見つけた瞬間にB種と判断できれば、この手の設問は落としません。
よくある質問
Q. 等電位ボンディングをすれば、接地工事は不要になりませんか?
なりません。両者は目的が違う、独立した対策だからです。
等電位ボンディングは金属どうしの電位差をなくしますが、漏電した電流そのものを大地へ逃がす経路は作りません。一方、接地工事は漏電時の逃げ道を確保する対策で、こちらがなければ保護装置を確実に動作させることも難しくなります。「電位差をなくす」と「電流を逃がす」は、どちらも必要な別々の役割です。試験でも、片方がもう片方を代替するという趣旨の選択肢は誤りと考えて構いません。
Q. 主等電位ボンディングは、なぜ建物の入口付近にまとめるのですか?
守るべき異常電圧が、外から入ってくるからです。
鉄骨は建物の骨格ですが、水道管もガス管も、大地を通って建物の外からやってきます。もし外部で異常な電位が発生すれば、それらを伝って建物内に持ち込まれる。ならば、建物内に入り込む前の「関所」でまとめてつなぎ、そこで電位差を解消してしまうのが合理的です。バラバラの場所で接続するより施工コストも抑えられるため、実務でも入口付近への集約が基本となっています。
Q. C種とD種の300Vという境界は、どう覚えればいいですか?
「超える」と「以下」の向きを、セットで覚えてしまうのが確実です。
C種は300Vを超える低圧機器、D種は300V以下の低圧機器。数字だけ覚えて向きがあやふやだと、選択肢を前にして手が止まります。ここで役立つのが「アルファベット順=厳しさの順」という原則です。CはDより前にある=より厳しい=より高い電圧を扱う、と辿れば、300Vより上がC種だと自力で導けます。日常的に触れる電動工具や家電製品は300V前後の機器が多く、C種・D種の世界だとイメージしておくと定着が早まります。
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