低圧幹線の保護がスッと解ける!『IM50A境界で1.25倍か1.1倍』で過電流遮断器を攻略
電験三種「法規」の中でも記号だらけで苦手意識を持たれがちな『低圧幹線の保護措置(過電流遮断器)』。IA・IH・IM・IBの4つの記号を整理し、電動機電流IMが50A以下か超えるかで1.25倍・1.1倍を使い分けるだけで、複雑に見えた計算がスッと解けるようになる解説記事です。
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「IA、IH、IM、IB……アルファベットと数字が入り乱れて、もう見た瞬間に飛ばしたくなる」——低圧幹線の保護は、法規の中でもそんな“食わず嫌い”を生みやすいテーマです。
でも安心してください。苦手に感じる原因は、頭が悪いからでも、暗記が足りないからでもありません。4つの記号がそれぞれ何を指すのかを、一度も整理しないまま公式に突っ込んでいるだけなんです。逆に言えば、記号の役割さえ分けてしまえば、あとは「50A境界で係数を切り替える」だけ。今日はその整理を、一緒にゆっくりやっていきましょう。
この記事で身につくこと
- IA・IH・IM・IB という4つの記号が、それぞれ何を表しているかを迷わず言える
- 電動機電流 IM が「50A以下」か「50A超」かで、許容電流 IA の割増し係数(1.25倍/1.1倍)を使い分けられる
- 電動機がある幹線で、過電流遮断器の定格電流 IB をどう選ぶかがわかる
- 「過電流遮断器だけでは漏電は守れない」という現場感覚まで押さえられる
暗記フレーズ:IM50A境界で1.25倍か1.1倍、電動機ありは2.5IM+IH か 3IM+IH
まずはこの記事のゴールを、一言で先にお渡しします。
「IM50A境界で1.25倍か1.1倍、電動機ありは2.5IM+IH か 3IM+IH」
いま意味がわからなくても大丈夫。この記事を読み終えるころには、このフレーズが「あぁ、あの話ね」とスッと腑に落ちるようになっています。呪文のように丸暗記するのではなく、意味とセットで覚えるのがコツです。
ステップ1:まず4つの記号の“役割分担”を決める
低圧幹線の保護がややこしく見える最大の理由は、記号が多いこと。ここで一度、それぞれに「あなたの担当はこれね」と役割を割り振ってしまいましょう。
| 記号 | 読み方の目安 | 何を表すか |
|---|---|---|
| IA | Allowable(許容) | 幹線が安全に流せる許容電流 |
| IH | ヒーター等 | 電動機“以外”の負荷電流(照明・ヒーターなど) |
| IM | Motor(電動機) | 電動機の定格電流 |
| IB | Breaker(遮断器) | 過電流遮断器の定格電流 |
コツは、「電動機(IM)」と「電動機以外(IH)」を分けて考えること。低圧幹線の計算がこじれるのは、たいてい電動機のせいです。だから最初から電動機だけを別扱いにしておくと、後の式がグッと見やすくなります。
ステップ2:許容電流 IA は「50A境界」で係数を切り替える
役割分担ができたら、次は**幹線がどれだけの電流を流せる必要があるか(=許容電流 IA)**を決めます。
ここで主役になるのが電動機です。電動機は起動時に大きな電流が流れるため、定格電流をそのまま足すだけでは足りません。そこで電動機電流 IM を割増しして見積もります。このときの割増し係数が、IM が 50A 以下か、50A を超えるかで変わる——これが「50A境界」の正体です。
| 電動機電流 IM | 割増し係数 | 許容電流 IA の条件 |
|---|---|---|
| 50A以下 | 1.25倍 | |
| 50A超 | 1.1倍 |
「なぜ大きい電動機(50A超)の方が、係数が“ゆるい”1.1倍なの?」と思いますよね。イメージとしては、大きな電動機ほど元の値が大きいので、同じ割合で割増しすると過剰になってしまうから、と捉えると納得しやすいです。小さい電動機は余裕を厚め(1.25倍)に、大きい電動機は余裕を薄め(1.1倍)に——そう覚えておけば十分です。
ステップ3:過電流遮断器の定格 IB を選ぶ(電動機ありの場合)
許容電流 IA が決まったら、最後にその幹線を守る過電流遮断器の定格電流 IBを選びます。電動機がある場合は、次の2つの値を計算して小さい方を目安にします。
使い分けの目安はこうです。
| 条件 | 目安となる式 |
|---|---|
| IM ≦ IH(電動機が小さめ) | |
| IM > IH(電動機が大きめ) |
ここで大事なのは、遮断器の定格をむやみに小さくしてはいけない理由です。電動機の起動電流は定格の5〜8倍にも達します。もし IB を電動機の定格電流ぴったりに設定すると、スイッチを入れた瞬間の突入電流で毎回トリップ(遮断)してしまい、そもそも動かせません。だから遮断器には、起動電流を“やり過ごせる”だけの余裕を持たせるわけです。「短絡はしっかり切る、でも正常な起動では切らない」——このバランスが IB 選定の心臓部です。
ステップ4:現場では「過電流」と「漏電」は別担当
最後に、試験にも実務にも効く大事な視点を1つ。低圧幹線の過電流遮断器は、あくまで“過電流(短絡・過負荷)”を守る係です。
では、電線の傷みや絶縁不良で電気が漏れる**漏電(地絡)**は誰が守るのか——これは過電流遮断器の担当外で、別途「漏電遮断器」が必要です。現場では、過電流遮断器と漏電遮断器の両方を設置するのが基本。「大きすぎる電流」と「漏れる電流」は、まったく別の事故だと切り分けて覚えておきましょう。
この“担当分け”の感覚があると、法規の他のテーマ(保護協調や接地)を学ぶときにも、すんなり繋がっていきます。
まとめ
記号だらけで身構えてしまう低圧幹線の保護も、順番に整理すればこの通りです。
- 記号の役割分担:IA=幹線の許容電流、IH=電動機以外、IM=電動機、IB=遮断器の定格
- 許容電流 IA:IM≦50A は 1.25倍、IM>50A は 1.1倍 で割増しし、IH を足した値以上
- 遮断器定格 IB:2.5IM+IH と 3IM+IH の小さい方が目安
- 担当分け:過電流遮断器は過電流専門。漏電は漏電遮断器が別担当
苦手の正体は「記号を分けていなかった」こと。分けてしまえば、あとは50A境界で係数を切り替えるだけの、むしろ得点しやすいテーマです。今日の暗記フレーズ——「IM50A境界で1.25倍か1.1倍、電動機ありは2.5IM+IH か 3IM+IH」——を口に出して、意味とセットで自分のものにしていきましょう。焦らず一歩ずつで大丈夫。あなたのペースで、確実に前へ進んでいます。
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