法規『AB例外CD省略』完全整理|接地工事の75cm・30cm・省略条件を一気に攻略
電験三種「法規」で頻出の接地工事。A・B種の施工例外(埋設75cm・鉄柱から30cm)と、C・D種の省略条件(漏電遮断機で解決)を一枚の地図にまとめました。『数字が多すぎて混乱する』という苦手意識を、暗記フレーズ一発で得点源に変える解説記事です。
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この記事で身につくこと
「75cm、30cm、1m、10Ω、100Ω……もう数字が頭の中でごちゃ混ぜです」
法規の勉強でこの単元にたどり着いた方から、いちばん多く聞くのがこの声です。条文の名前は「電気設備技術基準の解釈 第17条」。名前だけで身構えてしまいますが、安心してください。この条文でつまずく理由は、はっきり3つに絞れます。
| つまずきポイント | 具体的な症状 |
|---|---|
| 数字が多すぎてパニック | 75cm・30cm・1m・10Ω・100Ωが頭の中で混ざる |
| 原則と例外の境目があいまい | 「原則はこう、でも例外だとこう」の分岐についていけない |
| 省略していい理由がわからない | C種・D種を省略できる根拠を丸暗記しようとして混乱する |

裏を返せば、この3つさえ潰せば終わりということです。しかもこの単元は、数字の整理さえできれば本番でほぼ確実に得点できる、法規の中でも「コスパのいい」領域です。
この記事を読み終えるころには、次のことができるようになっています。
- 問題文を見た瞬間に「これはA・B種の話か、C・D種の話か」を判定できる
- 原則の数字(75cm・30cm)と例外の数字(1m)を、理由とセットで思い出せる
- D種接地工事を省略できる条件を、フローチャートの形で説明できる
- 10Ωと100Ωを、逆にすることなく答えられる
そもそも接地工事のA種〜D種の区別そのものが怪しい、という方は、先に接地工事A種・B種・C種・D種の違い|抵抗値と電線の太さに目を通しておくと、この記事の内容が驚くほどスッと入ってきます。土台ができていれば、今日の話は「その応用編」でしかありません。
暗記フレーズ:AB例外は深く遠く、CD省略は漏電遮断機で解決
先にゴールをお見せします。今日の内容は、すべてこの一文に凝縮されています。
AB例外は深く遠く、CD省略は漏電遮断機で解決
| フレーズの部分 | 対応する内容 |
|---|---|
| AB例外は | A種・B種接地工事の、人が触れるおそれがある場所での施工 |
| 深く遠く | 埋設深さ75cm以上(深く)、離隔距離30cm以上・例外は1m以上(遠く) |
| CD省略は | C種・D種接地工事を、そもそもしなくてよい条件 |
| 漏電遮断機で解決 | 0.5秒以内に動作する漏電遮断機があれば、D種は省略できる |
地図を先に見てから旅に出るようなものです。これから出てくる図や表を「このフレーズのどの部分の話だろう」と考えながら読んでいくと、迷子になりません。記事の最後にもう一度このフレーズが出てきますので、そのとき意味をすべて説明できていれば、今日は合格です。
ステップ1:条文の全体構造は「2つのグループ」だけ

まず、いちばん大事な整理をします。電技解釈第17条は、実は大きく2つのグループに分かれているだけです。
| グループ | 該当する号 | 何を定めているか |
|---|---|---|
| A種・B種 | 第1号〜第4号 | 人が触れるおそれがある場所での施工の原則と例外 |
| C種・D種 | 第5号・第6号 | 接地工事そのものを省略できる条件 |
つまり、A・B種は「どう施工するか」の話、C・D種は「工事をしなくていい条件」の話です。まったく質問の種類が違います。
なぜ最初にこの切り分けが必要なのか
試験問題も、この2タイプにほぼきれいに分かれるからです。問題文を読んだ瞬間に「今はA・B種フェーズだな」「これはC・D種フェーズだ」と頭のスイッチを切り替えられれば、使うべき知識が自動的に絞り込まれます。
逆に、この切り分けをせずに条文を頭から丸暗記しようとすると、A・B種の「30cm」とC・D種の「100Ω」が同じ引き出しに放り込まれ、本番で取り出せなくなります。数字が混ざるのは記憶力の問題ではなく、整理の問題なのです。
ステップ2:A種・B種の原則は「深さ75cm・距離30cm」

ここからが具体的な数字の話です。まず前提条件を確認します。この原則が適用されるのは「人が触れるおそれがある場所」です。
| 項目 | 原則の基準 |
|---|---|
| 接地極の埋設深さ | 地下 75cm以上 |
| 鉄柱の底面からの離隔距離 | 30cm以上 |
75cmといえば、だいたい大人の腰くらいの深さです。決して浅くありません。
なぜこの2つの数字なのか
どちらの数字も、目的は同じ「感電を防ぐこと」です。
- 深さが浅いとダメな理由:人が誤って接地極に触れてしまう、あるいは後日の掘削工事で掘り返されて露出してしまう危険があります。
- 鉄柱に近すぎるとダメな理由:鉄柱を伝ってきた電位と接地極の電位が干渉し、思わぬ電位差が生まれる恐れがあります。
「人が触れるおそれがある場所」とは、たとえば工場の敷地内や、人が普段から出入りする通路のそばに鉄柱が立っているような場所です。逆に、フェンスで囲われていて人が近づけない場所では、条件が緩和されるケースもあります。「人が近づけるかどうかで条件が変わる」というのは、いかにも法規らしい発想ですね。
ただの暗記ではなく理由から辿れるようにしておくと、この2つの数字は驚くほど忘れにくくなります。
ステップ3:例外は「深さそのまま・距離だけ1m」

今日いちばんの山場です。さきほどの30cmという距離、ある条件を満たすと 1m以上 に変わります。
「え、例外なのに厳しくなってません?」と思った方、その感覚は正しいです。3倍以上に伸びていますから、施工の手間はむしろ増えます。
距離を離す条件と、その理由
この条件が発生するのは、鉄柱の電気抵抗値が低い場合です。試験では「鉄柱の接地抵抗値が2Ω以下の場合」のような具体的な数値で問われることが多いのですが、覚えるべきは数値そのものより因果関係のほうです。
鉄柱の電気抵抗が低いということは、鉄柱に流れた電流が地面へ逃げやすいということ。つまり鉄柱周辺の電位が広い範囲に広がりやすくなります。距離が近いままだと、接地極がその電位の影響を受けて、想定外の電位差が生まれてしまう。だから、もっと離す必要があるのです。
「抵抗が低いほうが安全そうなのに」と感じるところが、まさに法規のひっかけポイントです。「低抵抗=安全」と単純に思い込むと、この例外の存在ごと見落とします。
変わるのは距離だけ
そしてここが最重要です。埋設深さの75cmは、原則でも例外でも変わりません。
| 埋設深さ | 鉄柱からの離隔距離 | |
|---|---|---|
| 原則 | 75cm以上 | 30cm以上 |
| 例外(鉄柱の抵抗値が低い等の特定条件) | 75cm以上 | 1m以上 |

表にすると一目瞭然ですね。埋設深さの列は、上も下も75cmのまま。動いているのは距離の列だけです。「深さは不変、距離だけが例外で伸びる」——この構造こそが、試験で最も問われるポイントです。
なお、例外の行についている「特定条件」という但し書きも見落とさないでください。この一言があるかないかで、原則の30cmを使うのか例外の1mを使うのかが変わります。問題文を最後まで読む注意力が、法規ではそのまま得点に直結します。
ステップ4:C種・D種は「漏電遮断機があれば省略できる」

ここからは頭を切り替えて、C種・D種のグループに入ります。テーマは「接地工事そのものの省略」です。
省略できる条件は、フローチャートで追うと驚くほどシンプルです。
| 分岐 | 条件 |
|---|---|
| ① 大前提 | 低圧電路であること(高圧・特別高圧では使えない) |
| ② 装置の条件 | 0.5秒以内に動作する漏電遮断機が設置されていること |
| 結論 | 両方YESなら、D種接地工事は省略OK |
なぜ省略が認められるのか
「工事をしなくていいなんて、そんな都合のいい話が」と思われるかもしれません。ですが、目的から考えると納得できます。
接地工事の本来の目的は、漏電したときに感電や火災を防ぐことです。漏電遮断機が0.5秒以内に電気を止めてくれるなら、同じ目的を、別の手段ですでに達成できているわけです。「工事という手段」を「漏電遮断機という手段」に置き換えているだけで、守りたいものは何も変わっていません。だから省略が認められるのです。
2つの注意点
その1:水回りなど特殊環境では省略できない 湿気の多い場所は感電リスクがさらに高いため、原則どおり接地工事が必要です。電気工事士の勉強では「乾燥した場所」という言い方で呪文のように唱えた記憶がある方も多いはずです。
その2:省略できるのはD種 このフローチャートは「低圧電路」が大前提です。C種のように、より高い電圧を扱う危険度の高い設備には、そもそも省略という発想自体が登場しません。「低圧電路」「D種接地」「漏電遮断機0.5秒」——この3つがそろって初めて省略が成立します。
ステップ5:漏電遮断機ELCBの動きを図で確認する

前のステップの内容を、装置の動きとして確認しておきましょう。
電源と機器の間に漏電遮断機(ELCB)が入っています。普段は「ON」、つまり電気が正常に流れている状態。機器側で漏電が起きると異常電流を検知し、0.5秒以内に「TRIPPED」=遮断状態へ切り替わります。
0.5秒というのは、人間の反応速度よりはるかに速い時間です。だからこそ「安全が瞬時に担保されるなら、地面を掘る工事は不要」というルールが成り立ちます。
ここでいう漏電遮断機は、一般にELCBと呼ばれる、過負荷保護と漏電保護を兼ねたタイプが現場でもよく使われます。家庭やビルの分電盤に並んでいるブレーカーの中にも、漏電を検知するタイプが組み込まれています。試験のためだけの知識ではなく、いま自分の家で働いている仕組みそのものだと思うと、急に他人事ではなくなりますね。
ステップ6:抵抗値による「みなし」規定(10Ωと100Ω)

もう一つ、省略と似た発想のルールがあります。「すでに低抵抗な金属体があるなら、それを接地とみなしてよい」というものです。
建物の鉄骨など、もともと接地されているのと同じくらい抵抗が低い金属体があれば、新しく接地極を打たなくても代用できる、という考え方です。その判別基準が次の2つの数値です。
| 種別 | 判別基準 | 用途・危険度 |
|---|---|---|
| C種とみなす | 電気抵抗 10Ω以下 | 高圧混触の恐れがある設備向け。危険度が高い |
| D種とみなす | 電気抵抗 100Ω以下 | 一般的な低圧機器向け |
10Ωと100Ωを逆にしないコツ
桁が1つ違うだけなので、いざ本番になると「どっちがどっちだ」となりがちです。ここでも数字を丸暗記しないでください。覚えるべきは順序ではなく理屈です。
C種は高圧設備に関わる接地だから、より確実な接地性能=より低い抵抗値が求められる。だから10Ω。 一方のD種は低圧の一般機器向けだから100Ω。「危険度が高いほうが厳しい=数字が小さい」という対応関係さえ押さえておけば、逆にしようがありません。
そして着目したいのが、この「みなし」規定と、ステップ4の漏電遮断機による省略が、同じ発想でできていることです。
| 仕組み | 代替する手段 | 共通する考え方 |
|---|---|---|
| D種の省略 | 装置(漏電遮断機)で代替 | 目的の安全性能を満たせるなら、工事は省ける |
| C種・D種のみなし | 既存の金属体で代替 | 同上 |
手段は違っても、発想は同じ。バラバラの規定に見えていたものが、実は一本の考え方でつながっていると分かると、記憶の負担がぐっと軽くなります。
ステップ7:現場ではこうしている(多点接地)
条文の数字だけでは見えてこない、現場のリアルにも触れておきましょう。
砂利まじりの土地や乾燥した地盤では、75cmまできちんと掘っても、接地抵抗値が思うように下がらないことがあります。深さの条件は満たしているのに、性能が出ない。そこで使われるのが多点接地です。
接地棒を複数本、並列に打ち込むことで全体の抵抗値を下げます。並列接続で合成抵抗が下がるという、理論科目でおなじみの考え方がそのまま現場で使われているわけです。n本の接地棒を並列にしたときの合成抵抗の考え方は、次の式と同じ発想です。
1本で足りなければ2本、それでも足りなければさらに増やす。理論の数字と現場の地盤との戦いが、こうして結びついています。
なお、この単元と地続きのテーマとして、建物側で電位差そのものをなくしにいく等電位ボンディングという考え方もあります。接地の話を「点で守る」から「面で守る」へ広げたい方は、等電位ボンディングを『主は建物まるごと・補助は浴室ピンポイント』で攻略へ進むと理解が立体的になります。
まとめ
今日の内容を、最後にもう一度2グループで整理します。
| グループ | 押さえる内容 |
|---|---|
| A・B種(施工の話) | 深さは常に75cm以上/離隔は原則30cm以上/例外(特定条件)は1m以上 |
| C・D種(省略の話) | C種みなしは10Ω以下/D種みなしは100Ω以下/D種省略は漏電遮断機0.5秒 |
そして、暗記フレーズをもう一度。
AB例外は深く遠く、CD省略は漏電遮断機で解決
記事の冒頭で見たときは、ただの語呂合わせに見えたはずです。いま読み返すと、一つひとつの言葉に理由が乗っているのが分かるのではないでしょうか。
- 「深く遠く」=人を感電から守るための、深さと距離
- 「漏電遮断機で解決」=工事と同じ目的を、装置で先に達成しているから省ける
数字だけを追いかけるとすぐ抜け落ちますが、理由から辿れる知識は簡単には抜けません。上の表はスクリーンショットで保存して、試験直前の得点源チートシートとして使ってください。
⚠ ここを間違える人が多い
この単元で実際に取り違えが起きやすいのは、次の2点です。どちらも選択肢の作り方として狙われやすいところなので、意識して潰しておきましょう。
❌「例外のときは深さも1mになる」と覚えてしまう
✅ 正しくは、変わるのは離隔距離だけです。埋設深さは原則でも例外でも75cm以上のまま動きません。「1m」という数字が出てきた瞬間に、深さの数字まで引きずられて書き換えてしまう——これが最も多い失点パターンです。表を思い出して「深さの列は上下とも75cm」と反射的に確認できるようにしておいてください。
もう一つ、言葉のニュアンスにも注意が必要です。「30cmから1mに緩和される」と表現されると、条件が甘くなったように聞こえます。しかし数字は伸びており、施工の手間はむしろ増えています。ここでいう緩和とは「抵抗値が低いという条件であれば、この距離まで許容される」という意味であって、作業が楽になるという意味ではありません。「緩和=楽になる」という思い込みは、そのまま誤答につながります。
❌「省略できるなら、漏電遮断機も省略していいのでは」と考えてしまう
✅ 省略できるのは、穴を掘って接地極を打つという接地工事だけです。漏電遮断機の設置そのものは必須であり、これを省いてしまえば安全を担保する手段が何ひとつ残りません。本末転倒どころか重大事故につながる誤解です。
「工事を省略できる根拠が漏電遮断機なのだから、その漏電遮断機は絶対に省けない」——この因果の向きを、セットで覚えておいてください。
よくある質問
Q. 例外の「特定条件」は、試験ではどう書かれるのですか?
「鉄柱の接地抵抗値が2Ω以下の場合」といった具体的な数値の形で提示されることが多いです。ただ、この数値そのものを暗記の中心に据える必要はありません。押さえるべきは「鉄柱の電気抵抗が低い→電流が地面へ逃げやすい→鉄柱周辺の電位が広がる→だから接地極を遠ざける」という因果の流れです。この筋道さえ通っていれば、数値の書かれ方が変わっても対応できます。
Q. C種接地工事は、漏電遮断機では省略できないのですか?
省略のルールは「低圧電路であること」が大前提になっています。C種はより高い電圧を扱う、危険度の高い設備に関わる接地です。そのため、そもそも「装置で代替して工事をなくす」という発想の対象になりません。省略の話が出てきたら、まず「これは低圧電路の話か?」と確認する癖をつけると、混乱せずに済みます。
Q. 「みなし」規定と「省略」は、結局どう違うのですか?
どちらも工事の手間を減らす仕組みですが、代替しているものが違います。省略は「漏電遮断機という装置で安全を担保する」、みなしは「建物の鉄骨など既存の低抵抗な金属体を接地の代わりに使う」というものです。ただし、目的とする安全性能を別の手段で満たしているから工事が不要になる、という根っこの考え方は共通しています。この共通点を意識すると、2つの規定を別々に覚える必要がなくなります。
なお、接地の話とセットでよく出題される低圧側の保護については、低圧幹線の保護がスッと解ける!『IM50A境界で1.25倍か1.1倍』で過電流遮断器を攻略で整理しています。低圧電路まわりを一気に固めたい方はどうぞ。
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