配電4方式は「単2を100の基準」にすれば数値が丸ごと覚わる
電験三種「電力」で頻出の電気方式(単相2線・単相3線・三相3線・三相4線式)。4方式の電力損失や電線重量をバラバラに暗記すると必ず混乱します。この記事では『単相2線式を損失100の基準』に置いて比較表で一気に整理。家庭は単3・工場は三3・大規模ビルは三4という使われ方とセットで、損失100→25→50→17の流れを根拠から理解します。
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この記事で身につくこと
「単相2線式、単相3線式、三相3線式、三相4線式……種類が多すぎて、どれがどの数値だったか毎回わからなくなる」。
配電の電気方式でつまずく方の多くが、この状態です。しかもやっかいなことに、テキストには「損失25」「電線重量75」といった数字だけがずらりと並んでいて、なぜその数字になるのかが書かれていない。だから覚えても翌週には抜けてしまう。
でも安心してください。この単元は、4つをバラバラに暗記しようとするから難しいだけです。「単相2線式をすべての基準=100」と決めて、そこから他の3つがどう変わるかを1枚の表で見る。この見方に切り替えるだけで、驚くほどあっさり頭に入ります。
この記事を読み終えると、次のことができるようになります。
| 身につくこと | 具体的に言うと |
|---|---|
| 4方式の数値を表で言える | 送電電力・電力損失・電線重量を基準100からの比で答えられる |
| 数値の大小順を間違えない | 損失が2番目に小さいのは単相3線、という引っかけに引っかからない |
| 使われ方とセットで思い出せる | 家庭=単相3線、工場=三相3線、大規模ビル=三相4線 |
| 「軽くなる理由」を説明できる | 線が増えるのに電線重量が減る、という一見矛盾した話の中身がわかる |
暗記フレーズ:損失は単2=100、単3=25、三3=50、三4=17
まず、今日持ち帰っていただきたい一文を先にお伝えします。
損失は単2=100、単3=25、三3=50、三4=17の順。電線重量は三相4線が最軽量33.3。
数字が4つ並んでいますが、覚え方は単純です。書いてある順番(単2 → 単3 → 三3 → 三4)で「100・25・50・17」とリズムで唱えてしまう。順番どおりに並べているので、思い出すときも迷いません。
そして最後に「電線重量は三相4線が最軽量33.3」を足しておく。これで、試験で問われる中心部分はほぼカバーできます。まずは声に出して3回、唱えてみてください。
ステップ1:4方式の比較表を、まるごと1枚で見る

この単元の核心は、次の1枚の表です。数値はすべて、単相2線式を100としたときの比です。
| 電気方式 | 送電電力 | 電力損失 | 電線重量 | 主な使われ方 |
|---|---|---|---|---|
| 単相2線式(100V) | 100 | 100 | 100 | 昔の電灯用(現在はほぼ使われない) |
| 単相3線式(100V/200V) | 133 | 25 | 37.5 | 一般家庭 |
| 三相3線式(6.6kV/200V) | — | 50 | 75 | 工場・事務所 |
| 三相4線式(415V/240V) | 150 | 17 | 33.3 | 大規模ビル・ホテル |
表を眺めると、大きな流れが2つ見えてきます。
- 線が増えるほど電力損失が下がる(100 → 25 → 50 → 17)
- 線が増えるほど電線重量も下がる(100 → 37.5 → 75 → 33.3)
損失が減って、しかも電線が軽くなる。効率がどんどん良くなっていくわけです。ただし数値の並びをよく見ると、単純な一直線ではありません。単相3線(25)のほうが三相3線(50)より損失が小さい。ここが試験で狙われる急所なので、頭の片隅に置いておいてください。
ステップ2:単相2線式 — すべての物差しになる「基準ゼロ点」

単相2線式は、電線2本だけで電気を送る、いちばんシンプルな方式です。電圧は100V。送電電力・電力損失・電線重量、すべてが100、つまり比較の出発点になります。
今は使われていないのに、なぜ覚えるのか
昔は電灯用として広く使われていましたが、現在ではほとんど見かけません。いわば「古いシステム」です。
それでも試験で必ず出てくるのは、この方式が他の3つを測るための物差しだから。長さを測るのに「1メートル」という基準が要るのと同じで、電気方式の優劣を語るには基準が必要なのです。「今は使わないが、比較の原点として覚える」——この位置づけをはっきりさせておくと、混乱しなくなります。
損失の考え方はここで固める
単相2線式の電力損失は、次のシンプルな式で表されます。
2本の電線に電流が流れ、その2本分の抵抗で損失が発生する。これが100という基準値の中身です。
大事なのは数値そのものより、損失は電流の2乗と抵抗に比例するというこの関係。あとに出てくる3方式の比較も、すべてこの式が土台になっています。ここさえ握っておけば、残りは「電流をどれだけ減らせるか」の話に還元できます。
ステップ3:単相3線式 — ご自宅で今まさに使われている方式

単相3線式は、いま皆さんのご家庭に来ている、まさにその方式です。テキストの中の話ではなく、目の前のブレーカーの中で起きていることだと思って読んでみてください。
最大の特長は「100Vと200Vが同時に使える」
1回の引き込み工事で、100Vと200Vの両方を取り出せる。これが単相3線式の一番のウリです。
仕組みはこうです。3本の電線のうち、真ん中の1本を「中性線」と呼んで接地します。すると——
| 電圧を取り出す場所 | 得られる電圧 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 中性線 ↔ 上の線 | 100V | 照明・コンセント |
| 中性線 ↔ 下の線 | 100V | 照明・コンセント |
| 上の線 ↔ 下の線 | 200V | エアコン・IHクッキングヒーター |
真ん中を挟めば100V、両端をとれば200V。エアコンの工事で「200Vを引きます」と言われるのは、この上下の線をつないでいるということです。
損失が100 → 25まで激減する
送電電力は基準の133まで増え、電力損失は25まで下がります。100が25ですから、実に4分の1です。
3本の線で効率よく電力を配分でき、中性線に電流が集中しにくい構造になっているため、損失が大きく減ります。数字だけ見ると「なぜ4分の1?」と戸惑いますが、構造として電流の負担が分散されているからと押さえておけば十分です。
なお、この中性線まわりの取り扱いは、低圧配電の設計そのものと直結しています。配電線路全体の姿がまだぼんやりしている方は、先に〈低圧配電方式を「地域→市街地→大都市」の3段階で攻略〉に目を通しておくと、この単元の位置づけがはっきりします。
ステップ4:三相3線式 — 工場と事務所を動かす方式

三相3線式は、工場や事務所で使われている方式です。電圧は6.6kVや200Vと、家庭用に比べて一気に高くなります。大きなモーターや動力設備を回すための方式だからです。
「3本の線で3つの交流を送る」
三相3線式の要点は、3本の電線で位相のずれた3つの交流波形を送っているということ。この仕組みによって、大電力を効率よく送れます。
損失と電流は、次の式で扱います。
電力損失は基準の50。単相2線式のちょうど半分まで下がります。
ただし単相3線式より損失は大きい
ここでつまずく方が非常に多いところです。「三相のほうが高度な方式なのだから、損失も小さいはず」と考えてしまう。ところが実際は、三相3線式(50)は単相3線式(25)より損失が大きいのです。
| 比較 | 電力損失 | 電線重量 |
|---|---|---|
| 単相3線式 | 25 | 37.5 |
| 三相3線式 | 50 | 75 |
三相3線式は、あくまで「単相2線式の半分」という位置づけ。3本の電線で大電力を送るぶん、電線重量も75と、それなりにかかります。
「工場は三相3線、損失は50、電線重量は75」——この3点を一続きの言葉にして覚えてしまうのが近道です。
ステップ5:三相4線式 — あらゆる面で最強の方式

最後は三相4線式。4方式のなかで、文句なしの最優秀です。
送電電力は最大の150、電力損失はわずか17、電線重量も最小の33.3。すべての項目でトップに立ちます。
中性線を1本足すだけで、二役をこなす
なぜ4本にするだけでここまで効率が上がるのか。核心は、三相3線式に中性線を1本加えたことで、電灯系と動力系を同じ設備でまかなえるようになる点にあります。
これまで動力用と電灯用で別々に用意していた設備が、1系統に統合できる。設備が減れば、当然そのぶん効率が上がります。
| 系統 | 使う電圧 | 記号 | 値 |
|---|---|---|---|
| 動力系 | 線間電圧 | Vℓ | 415V |
| 電灯系 | 相電圧 | Vp | 240V |
この2つの電圧は、無関係な数字ではありません。次の関係でつながっています。
実際に確かめてみてください。415 ÷ √3 ≒ 240。ぴたりと合います。この Vℓ=√3 Vp は試験頻出ですから、必ず覚えておきましょう。
どこで使われているか
大規模ビル、ホテル、タワーマンションといった大型の建物です。
ここで一つ面白い話を。日本の工場では三相3線式の6.6kVが主流ですが、ヨーロッパでは三相4線式の415Vが標準です。同じ電気なのに、国によって選ばれている方式が違う。こういう背景を知っておくと、数字が単なる記号ではなくなり、記憶に残りやすくなります。
ステップ6:線数が増えると効率が上がる、その理由

ここまでの流れを、1つの法則にまとめます。線数が増えると、次の3つが同時に起こります。
| 項目 | 線数が増えると |
|---|---|
| 送電電力 | 大きくなる |
| 電力損失 | 小さくなる |
| 電線重量 | 軽くなる |
「線が増えるのに軽くなる」の正体
3つめで手が止まった方、正しい感覚です。電線の本数が増えるのに、電線が軽くなる。一見、矛盾しています。
種明かしをすると、ここで比べているのは電線の本数ではなく、「同じ電力を送るために必要な電線の総重量」なのです。
理屈はこう進みます。
- 電圧を高くしたり、位相をずらした三相方式を使う
- → 同じ電力を送るのに必要な電流が少なくて済む
- → 電流が少なければ導線を細くできる
- → 結果として、電線全体の総重量が下がる
本数は増えても、1本1本が細くなるので、トータルでは軽くなる。これが「三相4線式の電線重量33.3が最軽量」の正体です。
数字だけを丸暗記していると、試験本番で「あれ、増えるんだっけ減るんだっけ」と迷います。でもこの理由まで押さえていれば、二度と忘れません。
なお、こうして送られた電気が実際にどんな電線で、どんな柱上機器を経て家庭に届くのかは、〈架空配電を「電線3種+柱上機器の役割分担」で攻略〉で確認できます。設備の姿と数値がつながると、この単元は一段と楽になります。
まとめ
今日の内容を、1枚の表に戻して締めくくります。
| 電気方式 | 電力損失 | 電線重量 | 使われる場所 |
|---|---|---|---|
| 単相2線式 | 100 | 100 | 昔の電灯用(比較の基準) |
| 単相3線式 | 25 | 37.5 | 一般家庭 |
| 三相3線式 | 50 | 75 | 工場・事務所 |
| 三相4線式 | 17 | 33.3 | 大規模ビル・ホテル |
そして、損失の大小順はこうなります。
いちばん小さいのが三相4線、2番目に小さいのが単相3線。ここが最も間違えやすいポイントです。
覚え方は「2線・3線、家庭は単3、工場は三3」。そして暗記フレーズ、「損失は単2=100、単3=25、三3=50、三4=17の順。電線重量は三相4線が最軽量33.3」。
4つの方式をバラバラの知識として抱えていたときと比べて、ずいぶん見通しが良くなったのではないでしょうか。表の形さえ頭に入れておけば、この単元はもう怖くありません。
⚠ ここを間違える人が多い
数字を覚えたつもりでも、本番で取り違えるパターンがあります。よくある3つを挙げます。
❌ 三相のほうが必ず優秀だと思い込む
「三相>単相」というイメージだけで判断すると、損失の小さい順を「三4 → 三3 → 単3 → 単2」と答えてしまいます。
✅ 正しくは 三4(17)→ 単3(25)→ 三3(50)→ 単2(100)。三相3線式より単相3線式のほうが損失は小さい。この1か所だけ順番が入れ替わることを、意識して覚えてください。
❌ 電線重量の「軽くなる」を本数の話だと思う
「線が4本に増えたのに重量が減るのはおかしい」と考えて、選択肢を読み違えるケースです。
✅ 比較しているのは同じ電力を送るのに要する電線の総重量です。電流が減れば導線が細くできるので、本数が増えても総重量は下がります。問われているのが「本数」なのか「総重量」なのかを、必ず設問で確認しましょう。
❌ 中性線に関わる機器の置き場所を、電源側だと決めつける
単相3線式では、負荷の偏りによって上下の電圧に差が出ます。これを補正する機器は「電源のそばに置くもの」というイメージで判断しがちですが、電圧の不平衡は負荷側で起きている現象です。
✅ 補正は、不平衡が発生している負荷の近く(末端側)で行うほど効果が大きい。機器の役割と設置場所は、必ずセットで押さえてください。役割だけ覚えて場所を落とすと、そこを突かれます。
過去問ではこう出た
配電の電気方式は、電力科目のなかでも出題頻度が高いテーマです。電気技術者試験センターが公開している過去問のうち、このテーマに関係する出題は次のとおりです。
| 年度・期 | 問番号 |
|---|---|
| 令和7年 上期 | 問7/問11/問13 |
| 令和7年 下期 | 問7/問16/問17 |
| 令和6年 上期 | 問7/問17 |
テーマで照合した範囲では、電験ジムの収録問題だけで 53問 が該当します。
出題の傾向は大きく2つに分かれます。1つは比較表の数値そのものを問う知識問題。もう1つは、電圧降下や電力損失を実際に計算させる問題で、こちらでは「損失が一定」「端子電圧が一定」といった条件から先に何が固定されるかを読み取る力が問われます。式に飛びつく前に条件を整理する——この癖をつけておくと、得点が安定します。
よくある質問
Q. 送電電力の欄が空白の方式があるのはなぜですか?
比較表では、方式ごとに「何を揃えて比べるか」の前提が変わることがあります。送電電力・電力損失・電線重量は、いずれも「ある条件を揃えたうえで単相2線式と比べたらどうなるか」という数値です。試験対策としては、まず損失と電線重量の数値を確実に押さえるのが優先。この2つが問われる頻度が圧倒的に高いためです。送電電力は「単3が133、三4が150で最大」とだけ覚えておけば十分です。
Q. 自宅が単相3線式かどうかは、どうすれば分かりますか?
分電盤の主幹ブレーカーを見てください。引き込みの電線が3本入っていれば単相3線式です。エアコンやIHで200Vを使っている場合は、まず単相3線式と考えて間違いありません。
この単元は、実物とテキストがそのままつながる数少ないテーマです。ご自宅の分電盤を一度のぞいてみると、「中性線を挟んで100V、両端で200V」という話が一気に立体的になります。机の上だけで覚えようとするより、はるかに定着します。
Q. 三相4線式が最も優秀なら、なぜ全部これにしないのですか?
効率の面では確かに最優秀ですが、方式の選択は効率だけで決まりません。設備の規模、必要な電力の大きさ、工事のコスト、そして地域や国ごとの標準規格が絡みます。
日本の工場で三相3線式の6.6kVが主流なのに、ヨーロッパでは三相4線式の415Vが標準になっているのは、まさにその表れです。三相4線式が力を発揮するのは、動力と電灯の両方を大量に使う大規模ビルやホテルのような建物。「その建物にどんな電気が、どれだけ必要か」で最適な方式は変わる——試験でも、数値と使われ方をセットで問われるのはそのためです。
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