変圧器の計算は「α²」で全部解ける──L形等価回路と一次換算の極意
電験三種「機械」科目で必ず出る変圧器の計算を、L形等価回路と一次換算という2つの軸で完全攻略。暗記フレーズ『二次は一次へ換算、抵抗もリアクタンスもα²』を起点に、合成巻線抵抗・合成漏れリアクタンスまで一気に整理し、電圧変動率・効率・短絡試験の応用問題で確実に得点するための1記事です。
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この記事で身につくこと
電験三種「機械」科目で、得点源にも失点源にもなりやすいのが 変圧器の計算。 L形等価回路、巻線抵抗、漏れリアクタンス、一次換算……と用語が多く、ここで挫折する受験生が後を絶ちません。
でも、本質はたったひと言。「全部一次側にそろえる」。これだけです。
本記事を読み終えたら、
- L形等価回路が「なぜ必要か」「何をしているか」を一言で説明できる
- 二次側の電圧・電流・抵抗・リアクタンスを一次側に換算する乗数を即答できる
- 合成巻線抵抗・合成漏れリアクタンスの式を、暗記ではなく 理屈で書ける
- 電圧変動率・効率・短絡試験の応用問題で「どの値を使えばいいか」迷わない
ようになります。
暗記フレーズ:二次は一次へ換算、抵抗もリアクタンスもα²
電圧は ×α、電流は ÷α、抵抗とリアクタンスは ×α²
これさえ覚えれば、変圧器計算は怖くなくなります。 特に インピーダンス類(抵抗・リアクタンス・負荷)は必ず「二乗」 という点が試験で狙われる最大のポイント。α を掛けるだけで止めると確実に落とします。
なぜ「L形等価回路」が必要なのか
変圧器の中身を素直に書くと、一次側と二次側が鉄心を挟んで分かれた回路になります。 このままだと、
- 一次側の電圧降下
- 二次側の電圧降下
- 励磁電流の影響
- 負荷電流の影響
を 左右別々に計算してから合わせる という手間が必要で、電圧変動率や効率の計算がとてもやっかいです。
そこで、
離れ離れになっている二次側の要素を、一次側へ お引越し(換算) させて、1つの回路にまとめてしまおう
という発想で生まれたのが L形等価回路。回路図の形が「L」の字に見えることからこの名前がついています。
変圧器計算の鉄則:「全部一次側にそろえる」
L形等価回路で扱う一番の鉄則がこれです。
変圧器の計算は、全部一次側にそろえる
「二次側にそろえてもいいのでは?」と感じる人もいますが、電源側=上流側に揃えた方が計算がやりやすく、応用問題への展開も自然になります。
この鉄則を理解するだけで、
- 電圧変動率
- 効率
- 短絡試験(インピーダンス試験)
など、機械科目の主要な応用問題が 同じルール上に並びます。バラバラだった知識が「一次側への集約」という1つの目的で繋がる、という感覚を持ってください。
換算ルール①:電圧は ×α、電流は ÷α
二次側を一次側に換算する基本ルールから見ていきます。巻数比は
α = N1 / N2 (一次巻数 ÷ 二次巻数)
として、電圧と電流のルールは以下のとおり。
| 要素 | 換算式 | 乗数 |
|---|---|---|
| 電圧 E | E2’ = α·E2 | ×α |
| 電流 I | I2’ = I2 / α | ÷α(逆比) |
電圧は α 倍、電流は α 分の1。逆比になるのがポイントです。
換算後の記号には「ダッシュ(’)」をつけて、もとの値と区別します。E2 と E2’ を混同すると芋づる式に間違えるので、答案でも丁寧に書き分けましょう。
換算ルール②:抵抗・リアクタンスは ×α²
ここが変圧器計算の 最大の山場 です。
| 要素 | 換算式 | 乗数 |
|---|---|---|
| 巻線抵抗 r | r2’ = α²·r2 | ×α² |
| 漏れリアクタンス x | x2’ = α²·x2 | ×α² |
| 負荷インピーダンス ZL | ZL’ = α²·ZL | ×α² |
電圧・電流が ×α / ÷α だったのに対し、インピーダンス類は必ず「二乗」。
暗記フレーズ:「二次は一次へ換算、抵抗もリアクタンスも α²!」
理屈は簡単で、インピーダンス Z = V / I の比をとると、分子は ×α、分母は ÷α なので、結果として ×α × α = ×α² になります。式の暗記が苦手な人は、この「V/I だから二乗になる」だけ押さえておけば再現できます。
合成巻線抵抗:r = r1 + α²·r2
ここまでくれば、L形等価回路で扱う 合成巻線抵抗 は一瞬で書けます。
r = r1 + r2’ = r1 + α²·r2
- r1:一次側の巻線抵抗(そのまま)
- α²·r2:二次側の巻線抵抗を一次へ換算した値
一次側はそのまま、二次側だけ α² で換算してから足す。レゴブロックを2つくっつけるイメージです。
この合成抵抗 r は、
- 銅損の計算(P_c = I² · r)
- 電圧降下の計算
- 効率計算
でそのまま使える、L形等価回路の 主役 の1つです。
合成漏れリアクタンス:x = x1 + α²·x2
漏れリアクタンスもまったく同じ考え方で合成できます。
x = x1 + x2’ = x1 + α²·x2
抵抗と式の形が完全に同じなので、構造を一度押さえてしまえば、新しく覚えることはありません。
この合成漏れリアクタンス x は、
- 短絡試験(インピーダンス試験) のパーセントインピーダンス算出
- 電圧変動率 の計算(ε ≒ p·cosθ + q·sinθ の q 側)
で必須となる、機械科目の頻出パラメータです。
保存版:一次換算ルール早見表
ここまでの内容を1枚にまとめます。試験直前にこの表だけ見直せばOKです。
| 要素 | 一次換算の式 | 乗数 |
|---|---|---|
| 電圧 E、V | E2’ = α·E2 | ×α |
| 電流 I | I2’ = I2 / α | ÷α |
| 抵抗・リアクタンス・インピーダンス(r, x, Z) | r2’ = α²·r2 など | ×α² |
迷ったらこの表を思い出してください。インピーダンス類は迷わず α²。これが守れていれば、変圧器の計算問題で大きく外すことはありません。
確認クイズ:α=10、r2=0.05Ω の一次換算は?
ある変圧器の巻数比が α = N1 / N2 = 10、二次巻線抵抗が r2 = 0.05 Ω のとき、一次側に換算した r2’ は次のうちどれでしょうか?
- A) 0.5 Ω
- B) 5 Ω
- C) 50 Ω
──少し考えてから、下に進んでください。
解答:B) 5 Ω
考え方は3ステップだけ。
- 暗記フレーズを思い出す:「抵抗もリアクタンスも α²!」
- 公式に当てはめる:r2’ = α² · r2
- 数値を代入:r2’ = 10² × 0.05 = 100 × 0.05 = 5 Ω
α(=10倍)だけ掛けて A) 0.5 Ω を選んでしまった人は要注意。インピーダンス類は必ず「二乗」です。ここが最大の引っかけポイント。
まとめ
- L形等価回路 = 変圧器の内部損失を 一次側に集約 したモデル
- 鉄則は 「全部一次側にそろえる」。これだけで電圧変動率・効率・短絡試験まで一気通貫
- 換算の乗数は 電圧 ×α、電流 ÷α、抵抗・リアクタンス・インピーダンスは ×α²
- 合成巻線抵抗:r = r1 + α²·r2、合成漏れリアクタンス:x = x1 + α²·x2
- 試験で狙われるのは 「α² を α と書き間違える」 ポイント
暗記フレーズ:二次は一次へ換算、抵抗もリアクタンスも α²
変圧器は、L形等価回路をイメージできないまま公式だけ覚えると、応用問題で必ず詰まります。 回路図を何度も自分で描き起こして、「どの要素を α² で換算したのか」を指でなぞれるレベルまで持っていきましょう。一度で理解できなくても大丈夫。何度でもこの記事に戻ってきてマスターしてください。
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