同期発電機の構造を「固定が電機子・回転が磁極」で直流機との違いごと攻略
電験三種「機械」科目の同期発電機の構造を解説。固定子(電機子)と回転子(磁極)という直流機と逆の構造を、役割で区別すれば混乱しません。突極形(水車)と円筒形(タービン)の見分け方、界磁と電機子の違い、極数と回転速度の関係まで、暗記に頼らず得点できる形で整理します。
🎥 動画でも解説しています > YouTubeで開く
この記事で身につくこと
同期発電機の構造でつまずく人は、だいたい同じところで足を取られています。固定子・回転子・電機子・界磁・突極形・円筒形。この6つの用語が頭の中で糸のように絡まって、どれがどれだか分からなくなる。特に厄介なのが「固定子=電機子? あれ、逆じゃないの?」という違和感です。
その違和感は、間違いではありません。むしろ正しく勉強してきた証拠です。直流機では電機子が回り、界磁が止まっていました。だから「電機子=回るもの」という感覚が身についている。同期機はそれがそっくり裏返しになっているので、混乱して当たり前なのです。

この記事を読み終えると、次のことができるようになります。
- 同期発電機の固定子と回転子が、それぞれ何を担当しているかを役割から説明できる
- なぜ電機子を固定側に置くのか、その理由を自分の言葉で言える
- 突極形と円筒形を、原動機の名前を見ただけで即座に判別できる
- その判別が p・n=120f という式で裏付けられることを理解できる
- 励磁機(エキサイタ)が何をする装置かを答えられる
覚えることは実質フレーズ1本だけです。部品名を丸暗記する必要はありません。
なお、この記事は「同期発電機がどんな形をしているか」の話です。「そもそもなぜ電気が生まれるのか」という原理のほうが怪しい方は、先に三相同期発電機の原理を「磁石グルグル・三相ビリビリ」で攻略するを読んでおくと、この記事の内容がすっと入ってきます。
暗記フレーズ:固定が電機子、回転が磁極。水車は突極、タービンは円筒
今日覚えるのは、この一文だけです。
固定が電機子、回転が磁極。水車は突極、タービンは円筒

このフレーズは、前半と後半でまったく別のテーマを扱っています。
| フレーズ | 扱うテーマ | 解決する悩み |
|---|---|---|
| 固定が電機子、回転が磁極 | 構造(どこに何があるか) | 「固定子=電機子? 逆では?」「界磁と電機子が混ざる」 |
| 水車は突極、タービンは円筒 | 種類(回転子の形状) | 「突極形と円筒形、どっちがどっち?」 |
冒頭に挙げた3つの悩みが、前半に2つ、後半に1つ、きれいに割り振られているのが分かるでしょうか。1本のフレーズに、この単元の全部がぶら下がっているのです。
そしてもう一つ、強力な補助線があります。
同期発電機の構造は、直流機の裏返し
直流機は「電機子が回る・界磁が止まる」。同期機は「電機子が止まる・界磁が回る」。まったく新しく覚え直すのではなく、すでに知っている直流機の知識をひっくり返すだけでいいのです。ゼロから覚えるのと、裏返すのとでは、負担がまるで違います。
ステップ1:固定子=電機子(電気を取り出す側)

同期発電機の断面図を見ると、外側にぐるっと巻線が配置されています。この回転しない外側が固定子であり、同時に電機子です。電機子鉄心と電機子巻線から成り、ここで起電力が発生して、交流電力が取り出されます。
ここで押さえてほしいのは、「電機子」は位置の名前ではなく役割の名前だということ。電気を取り出す側であれば、それが回っていようが止まっていようが電機子です。直流機ではたまたま回転側がその役割を担っていた、というだけの話なのです。
なぜ固定側から電気を取り出すのか
理由は、扱う電力の大きさにあります。同期発電機の出力電圧は数千から数万ボルトに達します。これほどの大電力を回転している部品から取り出そうとすると、ブラシのような接触部品が必要になり、そこが必ず摩耗します。大電力になればなるほど、接触部は弱点になってしまう。
対して固定された外側からなら、太い電線をそのまま引き出せます。回っていないものから線を出す方が、圧倒的に安全で効率的。だから同期発電機は「そうなるしかない」構造をしているわけです。
理由が分かると、暗記が推測に変わります。仮に本番で配置を忘れても、「大電力を取り出すなら固定側だろう」と組み立て直せる。これが丸暗記からの卒業です。
ステップ2:回転子=磁極=界磁(磁場をつくる側)

続いて内側です。断面図の中心には N極と S極が交互に並び、これが回転しています。この部分の呼び名が3つある——ここが二つ目の落とし穴です。
| 呼び方 | どういう観点で呼んでいるか |
|---|---|
| 回転子 | 位置で呼んだ名前(回る側だから) |
| 磁極 | 形で呼んだ名前(N極・S極が並ぶから) |
| 界磁 | 役割で呼んだ名前(磁界をつくる係だから) |
別々の部品ではありません。同じ一つのものを、3通りに呼んでいるだけです。「回転子と界磁の関係が分からない」と悩む人は多いのですが、悩む必要がなかった、というのが結論です。
役割はシンプルで、界磁巻線に界磁電流(直流)を流して電磁石にし、それをぐるぐる回すこと。「界」は「磁界」の界だと思えば、名前がそのまま役割を表しているのが分かります。
そしてここでも直流機との対比が効きます。直流機では界磁が固定されていました。同期機では界磁が回ります。電機子と界磁、どちらが回るかが入れ替わっている。裏返しという補助線が、二度使えるわけです。
ステップ3:突極形と円筒形——回転子には2つの形がある

ここからフレーズの後半、「種類」の話に入ります。回転子の電磁石には、回し方によって2つの形状があります。
| 形状 | 英語 | 別名 | 見た目 |
|---|---|---|---|
| 突極形 | Salient-pole | — | 磁極がボコッと突き出ている |
| 円筒形 | Cylindrical | 非突極形 | つるんと細長い |
名前が形そのものを表しているので、字面だけ見れば難しくありません。突き出た極だから突極形。突き出ていないから非突極形(=円筒形)。円筒形は「非突極形」という別名でも出題されるので、両方の呼び名を頭に入れておいてください。
問題は「なぜ2種類あるのか」です。上の表で「回し方によって」と書きました。つまり、何で回すか(原動機)が形を決めているのです。次の2つのステップで、その理由を順に見ていきます。
ステップ4:水車発電機は突極形(低速・多極・大直径)

水力発電所の発電機は、突極形です。理由は3つが数珠つなぎになっています。
① 水車はゆっくりしか回せない(低速) 水の力で回すため、蒸気に比べればどうしても回転が遅くなります。
② ゆっくり回っても必要な周波数を作るため、磁極をたくさん置く(多極) 回転が遅いぶん、1回転あたりに作れる波の数を増やす必要があります。だから N極・S極をたくさん並べる。極数と回転速度の関係は、次のステップで式にします。
③ 低速だから、ボコボコした大きな形でも遠心力で壊れない(大直径) 出っ張った形は、速く回すと遠心力で危険です。しかし低速ならその心配がない。結果として、直径数メートルにもなる巨大な突極形が採用されます。水力発電所で実物を見ると、見上げるような大きさです。
低速 → 多極 → 大直径。一つ思い出せば、残り二つが芋づる式に出てくるのが、この単元の気持ちよさです。
ステップ5:蒸気タービン発電機は円筒形(高速・少極・細長)

火力・原子力発電所の蒸気タービン発電機は、円筒形です。特徴は、水車発電機ときれいに正反対になります。
| 項目 | 水車発電機 | 蒸気タービン発電機 |
|---|---|---|
| 回転速度 | 低速 | 高速 |
| 極数 | 多極 | 少極 |
| 形状 | 大直径・突極形 | 細長・円筒形 |
① 蒸気の力で超高速で回す(高速) 蒸気の勢いは強く、水車とは比べものにならない速さで回ります。
② ボコボコした形だと、強烈な遠心力で自壊してしまう(細長い円筒形) 「自壊」——つまり自分で自分を壊してしまう。それほど遠心力が大きいということです。そこで、回転子の溝に界磁巻線を収め、飛び出さないよう「くさび」をはめ込んで蓋をする構造にします。表面がつるんと滑らかになるのは、そのためです。
③ 高速だから、少ない極数で足りる(少極) 速く回れば、極が少なくても十分な周波数が作れます。火力発電では2極機が多く、原子力発電では蒸気の条件が違うため4極機が使われることもあります。ただし「高速だから円筒形」という原則はどちらも変わりません。
片方を覚えれば、もう片方は反対にするだけ。覚える量は実質半分です。
ステップ6:p・n=120f で、形の違いを式で証明する

ここまでは「低速だから多極」「高速だから少極」と言葉で説明してきました。これは感覚の話ではなく、式でちゃんと裏付けられます。
- :極数
- :回転速度 [min⁻¹]
- :周波数 [Hz]
見慣れないかもしれませんが、これは同期速度の式
の両辺に p を掛けただけの、まったく同じ式です。この形にすると、左辺が掛け算になるので関係が一目で見えます。
日本の系統では周波数 f が 50Hz または 60Hz で固定です。つまり右辺の 120f は定数。左辺は p と n の掛け算ですから、天秤のように——
| 原動機 | 回転速度 n | 極数 p | 回転子の形 |
|---|---|---|---|
| 水車 | 小さい | 大きくする | 突極形 |
| 蒸気タービン | 大きい | 小さくする | 円筒形 |
片方が小さければ、もう片方は必ず大きくなる。これが「低速なら多極、高速なら少極」の正体です。
この式は極数を求める問題でも、回転速度を求める問題でも使えます。p・n・f の3つのうち2つ分かれば、残りは必ず出せる。丸暗記ではたどり着けない、汎用性の高い道具です。
なお同期機の学習は、構造のあとに等価回路へと進みます。この先の計算問題まで見通しておきたい方は三相同期発電機の等価回路を「抵抗はナナメ・遅れは弱める・進みは強める」で攻略へ進むと、話がつながります。
ステップ7:励磁機(エキサイタ)——回っている電磁石に、どう給電するか
ここで素朴な疑問が湧きます。回転子を電磁石にするための直流電流は、どこから来るのか。回転しているものに、どうやって電気を送るのでしょう。
答えは、回転子の軸の端に、励磁機(エキサイタ)という専用の小さな直流発電機をくっつけるというものです。発電機の中に、もう一つ小さな発電機がある——不思議な構造ですが、これが答えです。
うまいのは、同じ軸に取り付けてある点。励磁機も回転子と一緒に回るので、回転しながら給電できます。「配線が回転してしまうのでは」という心配が、そもそも発生しない仕組みです。
実際の励磁方式はもっと複雑ですが、電験三種の学習としては「エキサイタ=界磁に直流を送る小型発電機」を押さえておけば十分です。周辺キーワードとして問題文に登場したときに、意味が分かればいい。用語が暗号ではなくなる、というのが構造を学ぶ最大の効用です。
まとめ
最後に、今日の内容を2枚の表に畳んでおきます。ここだけスクリーンショットを撮っておけば、直前の見直しに使えます。
構造マトリクス(フレーズ前半)
| 位置 | 呼び名 | 役割 |
|---|---|---|
| 固定する側 | 固定子=電機子 | 起電力が発生し、交流を取り出す |
| 回転する側 | 回転子=磁極・界磁 | 界磁電流で電磁石をつくる |
種類マトリクス(フレーズ後半)
| 原動機 | 特徴 | 回転子の形 |
|---|---|---|
| 水車 | 低速・多極・大直径 | 突極形 |
| 蒸気タービン | 高速・少極・細長 | 円筒形(非突極形) |
そして、この2枚を引き出す1本がこれです。
固定が電機子、回転が磁極。水車は突極、タービンは円筒
前半から左の表、後半から右の表。覚えるのは実質フレーズ1本で足ります。
最初は6つの用語が糸のように絡まっていたはずです。それが整理できたのは、名前を並べ直したからではなく、役割と理由で並べ直したから。理由がついていれば、忘れても組み立て直せます。丸暗記では、こうはいきません。
⚠ ここを間違える人が多い
この単元は、失点のパターンがはっきりしています。3つだけ挙げておきます。
❌ 「電機子は回転する側」と思い込んでいる → ✅ 同期発電機では電機子は固定子側です。ここを逆に覚えていると、電機子と界磁の配置を問う穴埋め問題で、組み合わせの選択肢をまとめて外します。1か所の勘違いが2か所の誤答になるので、失点が大きい。直流機の記憶をそのまま持ち込まず、「同期機は裏返し」と唱えてから解き始めてください。
❌ 「タービンのほうが大きな発電所だから低速だろう」と直感で決める → ✅ 逆です。蒸気タービンが高速、水車が低速。「巨大な設備=ゆっくり」というイメージは、ここでは通用しません。回転速度と極数の組み合わせを入れ替えた選択肢は定番なので、直感ではなく原動機の名前から機械的に判定しましょう。水と聞いたら突極・低速・多極、蒸気と聞いたら円筒・高速・少極。反射で出るまで往復してください。
❌ 「界磁と電機子は別々に覚える2つの部品」だと思っている → ✅ 界磁と電機子は、役割で付けられた名前です。位置の名前(固定子・回転子)と混ぜて覚えるから絡まります。位置の話をしているのか、役割の話をしているのか——問題文を読むときに区別するだけで、ぐっと見通しがよくなります。
過去問ではこう出た
同期発電機の構造は、機械科目の頻出テーマです。テーマで照合すると、直近だけでも次のように繰り返し問われています。
| 年度 | 問番号 |
|---|---|
| 令和7年上期 | 問5・問6 |
| 令和7年下期 | 問6 |
| 令和6年下期 | 問5・問6・問15 |
| 令和5年上期 | 問5 |
| 平成30年 | 問5 |
同じテーマで照合できる過去問は32問あります。ほぼ毎回どこかで顔を出す単元だと考えてよいでしょう。
出題の傾向は、大きく2系統です。ひとつは用語の穴埋め型——「電機子は(ア)側、界磁は(イ)側」といった配置を問うもの。もうひとつは形状の判別型——原動機を示して突極形か円筒形かを選ばせるものです。どちらも今日のフレーズ1本で処理できます。一方で問15のような後半の大問では、構造の知識を土台に計算まで求められることもあります。
知識問題は、覚えているだけでは点になりません。実際の選択肢と往復して初めて反射になります。
よくある質問
Q. 直流機では電機子が回っていたのに、同期機で逆にする必要が本当にあるのですか?
必要があります。判断のカギは扱う電力の大きさです。直流機は整流子で交流を直流に変えるという事情があり、その構造上、電機子が回る形になっています。一方の同期発電機は、そもそも交流をそのまま取り出せばよく、しかも出力が数千〜数万ボルトの大電力です。この規模の電気を回転部から取り出すと接触部品が摩耗し、信頼性が落ちます。「大電力だから固定側」——この一言が、配置が逆になる理由のすべてです。
Q. 突極形と円筒形は、どちらが優れているのですか?
優劣ではなく、原動機に合わせた使い分けです。突極形は構造がシンプルで多極化しやすいので、低速の水車にぴったり。円筒形は遠心力に強いので、高速の蒸気タービンに向いています。逆に組み合わせると成立しません——突極形を高速で回せば遠心力で壊れますし、円筒形を低速で回すと極数が足りず必要な周波数が出せなくなります。どちらが上かではなく、どちらが合っているかで考えてください。
Q. 回転子・磁極・界磁の3つは、試験ではどう使い分けられますか?
指しているものは同じなので、問題文がどの言葉を使っても慌てないことが対策になります。「回転する界磁」と書かれていれば回転子のこと、「磁極が突き出た形状」と書かれていれば回転子の形の話です。むしろ、問題文が「回転する界磁」と書いてくれた時点で、フレーズ後半の『回転が磁極』を出題側が言い換えてくれていることになります。用語の役割さえ分かっていれば、問題文はヒントの塊です。
なお、同期機に入る前段の誘導機で回転子の構造があやしいと感じた方は、特殊かご形誘導電動機を「始動は外・運転は内」で攻略するで回転子の作り込みを一度見ておくと、同期機の回転子の話が立体的になります。
Webの何倍も覚えやすい
紙のフルラミネート加工の
暗記シートがあります
実績2,000部突破。
お風呂や電車のスキマ時間でサクッと勉強できます。
付属の練習用紙で無限に練習できます♪

🛒関連教材ショーケース
学習の効率を上げる、紙の本格教材ラインナップ。


この記事を読み終えたら、進捗を記録しましょう




