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感電・火災等の防止を『架空は絶縁、地中はケーブル、低圧は2000分の1』で攻略|電技第20〜22条

電験三種「法規」の感電・火災等の防止(電気設備技術基準 第20条〜第22条)を、条文の丸暗記ではなく『架空は絶縁、地中はケーブル、低圧は2000分の1』という1本の軸で整理します。第20条と第21条の役割の違い、裸電線が例外的に使える2つの条件、そして最大の引っかけである解釈第65条の1000分の1との区別まで、独学でつまずきやすい順に解説します。

🃏 暗記フレーズ:架空は絶縁、地中はケーブル、低圧は2000分の1

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この記事で身につくこと

「感電・火災等の防止」と聞くと、条文を丸ごと覚えないといけない気がして、法規のなかでも特に手が止まりやすい単元です。実際、電技第20条・第21条・第22条と番号が並んでいて、どれがどれだか分からなくなる——これが独学で一番多いつまずき方です。

でも安心してください。この3つの条文は、役割がきれいに分かれています。

条文役割ひとことで言うと
電技 第20条総則「危なくないように施設しなさい」という大原則
電技 第21条具体規定架空は絶縁電線、地中はケーブル
電技 第22条数値基準低圧の漏えい電流は2000分の1以下

大原則 → 施設方法 → 数値。この順番さえ頭に入れば、あとは枝葉です。この記事を読み終わるころには、条文番号を見た瞬間に「これは総則の話か、具体規定の話か」が判断できるようになります。

なお、電圧の種別(低圧・高圧・特別高圧)があいまいなまま進むと、この単元は必ずどこかで詰まります。自信がない方は先に電技その1:電圧の種別と最大使用電圧『ナナロク!直流750・交流600』で感電火災を防ぐ第一歩に目を通しておくと、この先がぐっと楽になります。

暗記フレーズ:架空は絶縁、地中はケーブル、低圧は2000分の1

この単元は、次の1フレーズで骨格が立ちます。

架空は絶縁、地中はケーブル、低圧は2000分の1

架空電線は絶縁電線。地中電線はケーブル。そして低圧電線路の漏えい電流は最大供給電流の2000分の1以下。たったこれだけで、電技第21条と第22条の中身をほぼ言い切っています。

魔法のフレーズ(架空は絶縁、地中はケーブル)

「架空」「地中」「低圧」と、対象が3つ並んでいるのがポイントです。問題文を読んだら、まず「今どれの話をしているのか」を確認する。それだけで選択肢の半分は消えます。

ステップ1:まず「苦手の正体」を見つける

苦手の正体(条文混同・数値引っかけ・丸暗記)

この単元でつまずく理由は、だいたい3つに集約されます。

つまずき中身処方せん
条文の混同第20条と第21条の区別がつかない総則と具体規定に分けて覚える
数値の引っかけ2000分の1と1000分の1が混ざる「基準値は常に2000分の1」で固定
丸暗記条文を文字列として覚えようとする「なぜそう決まったか」で理解する

3つとも、覚える量の問題ではありません。整理の仕方の問題です。だから、整理の軸さえ渡してしまえば、この単元は一気に得点源に変わります。

ステップ2:第20条は「総則」、第21条は「具体規定」

電技20条と21条の違い(総則と具体規定)

まずここをはっきりさせましょう。

第20条 = 大原則の宣言

第20条は、電気設備は感電・火災その他、人体に危害を及ぼしたり物件に損傷を与えたりするおそれがないように施設しなさい、という大原則を述べた条文です。具体的に「何ミリの被覆を使え」とは書いていません。方針だけを示す条文です。

第21条 = 具体的な施設方法

一方の第21条は、その大原則を実現するための具体的な手段を定めています。第1項が架空電線、第2項が地中電線。ここで初めて「絶縁電線を使え」「ケーブルを使え」という中身が登場します。

法令は上位ほど抽象的で、下位ほど具体的になる——この構造は法規全体を貫く考え方です。同じ電技のなかでも、条文の並びに同じ「大枠 → 詳細」の流れがある、と思ってください。第15条の2から第19条までの各種防止規定も同じ読み方で整理できるので、電気設備の各種防止規定を『守る相手が5つあるだけ』で丸ごと整理|電技第15条の2〜第19条と合わせて読むと、条文どうしのつながりが見えてきます。

ステップ3:架空電線は「絶縁電線」が原則

架空電線の感電防止(電技21条1項・原則は絶縁電線)

架空電線は、電柱や鉄塔によって空中に張られています。つまり、人が接近しうる場所を通っているわけです。だから原則は絶縁電線またはケーブル。被覆によって、万一の接触から人を守ります。

ここで大事なのは、「原則」という言葉です。原則がある、ということは例外もある。そして試験は、たいていその例外を突いてきます。

ステップ4:裸電線が使える例外は「2つだけ」

裸電線の例外①(B種接地の中性線・接地側電線)

裸電線——絶縁被覆のない電線が例外的に認められるのは、次の2つの場合だけです。

例外条件なぜ許されるのか
低圧架空電線を、B種接地工事の中性線または接地側電線として使用する場合もともと接地されていて大地と同電位に近く、触れても感電のおそれが小さいから
高圧架空電線を、海峡・河川の横断箇所や急傾斜地・谷越えなど、人が容易に立ち入るおそれがない場所に施設する場合そもそも人が近づけない地形であり、接触の可能性自体がないから

この2つに共通しているのは、「人が感電しない理由がはっきりある」という点です。理由なく被覆を省くことは認められていません。

なお、接地の話が出てきてピンと来ない方は、地絡の保護対策を『つけるのが原則、外せるのは例外だけ』で攻略|電技第15条・解釈第36条を先に読んでおくと、「原則と例外」の考え方がそのまま使えることに気づけるはずです。

🃏 暗記シート
Q. 電気設備技術基準において、架空電線に裸電線を使用できる例外は何通りあり、それぞれどんな場合か
💡 人が感電しない理由がある場合だけ

ステップ5:人が立ち入れない場所という条件

裸電線の例外②(人が容易に立ち入るおそれがない場所)

例外②は、条件の読み方に注意が必要です。「人が立ち入らない場所」ではなく「人が容易に立ち入るおそれがない場所」。海峡や河川の上、急傾斜地、谷越え——いずれも、その気になれば人が行けなくはないけれど、日常的に人が近づく場所ではありません。

条文が守ろうとしているのは、あくまで人の安全です。だから「人が近づくか/近づかないか」という視点で読むと、条件が自然に頭に入ります。

ステップ6:地中電線は「ケーブル」が必須

地中電線はケーブル必須(電技21条2項)

第21条第2項は地中電線。こちらは架空電線と違って、ケーブル一択です。絶縁電線では認められません。

理由はシンプルで、地中は掘削作業のスコップやショベルが当たるおそれがあるためです。空中と違って「見えない」ぶん、物理的な保護が厚いケーブルでなければ安全を担保できません。

施設場所使える電線主な想定リスク
架空(空中)絶縁電線またはケーブル(例外的に裸電線)人の接近・接触による感電
地中(埋設)ケーブルのみ掘削作業などによる損傷・接触

架空と地中で条件が違う理由を「リスクが違うから」と押さえておけば、どちらがケーブル必須だったかで迷うことはなくなります。

ステップ7:低圧電線路の漏えい電流は2000分の1

低圧電線路の漏えい電流(電技22条・2000分の1)

ここからが電技第22条、数値の世界です。低圧電線路は、絶縁性能として漏えい電流を最大供給電流の2000分の1以下に抑えることが義務づけられています。

ここで は漏えい電流、 は最大供給電流です。

注目すべきは、許容値が「何ミリアンペアまで」という絶対値ではなく比率で決まっている点です。大きな電流を流す電線路ほど、許される漏えい電流も大きくなる。設備の規模に応じて基準がスライドする、合理的な決め方になっています。

🃏 暗記シート
Q. 電気設備技術基準第22条において、低圧電線路の漏えい電流はいくら以下に抑える必要があるか
💡 分母は2000

ステップ8:最大の罠——解釈第65条の「1000分の1」

この単元で最も多くの受験者を沈めているのが、2000分の1と1000分の1の混同です。

出どころ数値中身
電技 第22条2000分の1低圧電線路の絶縁性能の基準値そのもの
解釈 第65条1項1号1000分の1単相2線式についての計算例の中に出てくる数値

なぜ1000という数字が出てくるのか。単相2線式では電線2本分をまとめて測定するため、1線あたりに換算すると分母が半分になる——ただそれだけの話です。基準そのものが1000分の1に変わったわけではありません。

覚え方はひとつ。基準値は常に2000分の1。1000分の1が出てきたら「これは計算の途中の話だな」と考える。

この整理さえできていれば、数値をすり替えてくる選択肢は怖くなくなります。

🃏 暗記シート
Q. 電験三種の法規で、電技第22条の2000分の1と解釈第65条の1000分の1は、それぞれ何を意味する数値か
💡 基準値は常に2000分の1

ステップ9:現場ではこう使われている

条文だけだと味気ないので、現場の話も少しだけ。

山岳地や谷越えの送電線に裸電線(硬銅より線やACSRなど)が使われているのは、絶縁被覆を省くことでコストと重量を抑えられるからです。長いスパンを張り渡す送電線にとって、電線の重量は死活問題。そして、そもそも人が近づけない地形だから感電リスクがない——例外②が認められている理由が、そのまま現場の合理性になっています。

漏えい電流の管理も同じです。電線路を止めずに運用しながら状態を見る「絶縁監視」という考え方につながっていて、実務では絶縁抵抗計(メガー)による定期点検としておこなわれています。条文の数値は、机上の理屈ではなく、現場の点検作業と地続きなのです。

まとめ

この単元で押さえるべきことは、結局これだけです。

覚えること中身
第20条感電・火災等の防止の総則(大原則)
第21条第1項架空電線は絶縁電線またはケーブルが原則
裸電線の例外①B種接地の中性線・接地側電線 ②人が容易に立ち入るおそれがない場所の高圧架空電線
第21条第2項地中電線はケーブル必須
第22条低圧電線路の漏えい電流は最大供給電流の2000分の1以下
最大の罠解釈第65条の1000分の1は計算例。基準値は常に2000分の1

条文番号を丸暗記する必要はありません。「総則 → 架空 → 地中 → 数値」という流れをたどれば、条文の中身のほうから思い出せるようになります。

⚠ ここを間違える人が多い

この単元は、少しの読み違いで正解を落とす問題が本当に多いところです。実際に間違いが集中する3か所を挙げておきます。

❌「架空電線も移動電線も、リスクは感電と火災の両方」

→ ✅ 条文は、想定しているリスクを場所ごとに書き分けています。 架空電線について語る文脈で問われているのは「感電」であって、そこに火災を足してしまうと不正解の選択肢に吸い寄せられます。逆に移動電線の接続部が緩んだ場合のように、発熱をともなう箇所では「感電又は火災」と両方が並びます。空欄を埋める前に、その一文がどの場所の、どんな事故を心配しているのかを確認してください。

❌「裸電線が使えるのは、絶縁電線では対応できない場所だから」

→ ✅ 逆です。 原則はあくまで絶縁電線・ケーブルであって、裸電線は「人が感電しようがない」と言い切れる2つの場合にだけ、例外として認められています。技術的に絶縁できないから仕方なく裸にしているのではなく、感電の心配がないから被覆を省いてよい、という順番です。この向きを取り違えると、条件をゆるく覚えてしまいます。

❌「触れなければセーフ」

→ ✅ 条文は「接触」ではなく「接近」した時点を問題にしている場面があります。 高圧・特別高圧では、触れなくても近づいただけで危険が生じます。「接触したら」と読み替えて覚えていると、規制が始まるタイミングを1段階遅く記憶してしまい、選択肢を絞りきれません。似た話で、密閉されたトンネル内のような場所では、感電よりも火災やガス爆発のリスクが優先して考えられます。反射的に「感電防止」と答えないよう、場所の条件をセットで押さえておきましょう。

過去問ではこう出た

感電・火災等の防止は、法規のなかでも安定して出題される定番テーマです。実際に、次のような年度で出題されています。

年度問番号
令和7年下期問2 / 問8
令和5年下期問5 / 問8
令和4年下期問9
令和2年問4
平成30年問3
平成28年問9

出題の中心は、条文の空欄補充です。「感電」なのか「感電又は火災」なのか、「接触」なのか「接近」なのか——語句の1つ違いで正誤が決まる形式が繰り返し出ています。数値については2000分の1がストレートに問われるほか、1000分の1とすり替えた選択肢を混ぜてくるパターンも見られます。テーマで照合すると、電験ジムの収録範囲だけでも36問。条文の言い回しに慣れておけば、確実に取れる分野です。

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よくある質問

Q. 第20条と第21条、どちらか片方だけ覚えれば足りませんか?

両方必要です。ただ、覚え方の重さが違います。第20条は「感電・火災その他、人体への危害や物件の損傷が起きないように施設する」という一文の趣旨を理解していれば十分で、細かい数値は出てきません。対して第21条は、架空・地中それぞれの具体的な電線の種類と、裸電線の例外条件まで問われます。第20条は理解、第21条は暗記——このように役割を分けておくと、勉強量のバランスが取れます。

Q. 漏えい電流の「2000分の1」は、暗記する以外にありませんか?

数値そのものは暗記するしかありません。ただ、丸暗記の負担を減らす整理はできます。ポイントは、この値が絶対値ではなく最大供給電流に対する比率である、という点です。「電流をたくさん流す設備なら、許される漏れも比例して大きくてよい」という考え方が分かっていれば、 を分母の相方として一緒に思い出せます。数字だけを暗記しようとするより、はるかに定着します。

Q. 地中電線に絶縁電線を使ってはいけない理由が、いまひとつ腑に落ちません

「見えない場所にある」ということが答えです。架空電線は目に見えるので、作業者が近づくときに注意を払えます。しかし地中電線は土の中にあり、掘削している人からは存在が見えません。予期しない外力が加わる前提で考える必要があるため、被覆だけの絶縁電線ではなく、シース(外装)まで備えたケーブルが求められます。リスクの種類が違うから、要求される保護のレベルも違う——この視点で見ると、架空と地中の条件差は自然に納得できるはずです。

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この記事を書いた人

資格LABO

電験三種を含め、さまざまな資格を一発合格した経験をもとに、 忙しい社会人が最短距離で受かるための教材とYouTube解説を作っています。 暗記シート・講義ノートは累計2,000部を突破し、 多くの合格報告をいただいています。

保有資格

電気主任技術者電気工事士公害防止管理者放射線取扱主任者中学校・高等学校 教員免許
  • ⚡ 電験三種・電験二種の解説動画をYouTubeで公開中
  • 📚「勉強の過程」より「結果を重視」した教材の制作・販売
  • 🏋️ 過去問対策Webサービス「電験ジム」を開発・運営

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