架空電線等の高さを『道路はロク、鉄道はゴーゴー、歩道橋は低い山・高い山』で丸ごと攻略|電技第25条・解釈第68条
電験三種「法規」の架空電線等の高さを、丸暗記なしで攻略する解説記事。電技第25条が示す原則と、解釈第68条・第116条・第117条が定める具体的な数値の役割分担を整理し、道路横断6m・鉄道横断5.5m・横断歩道橋3m/3.5m、本線5mと引込線4mの違いまで、暗記フレーズ1本で迷わず思い出せる形にまとめました。
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この記事で身につくこと
「架空電線の高さ」と聞いた瞬間、参考書のあの表が頭に浮かんで、そっと閉じたくなった経験はありませんか。縦にも横にも項目が並んでいて、6mだの5.5mだの5mだの4mだの、似たような数字がびっしり。あれを全部覚えるのかと思うと、確かにうんざりします。
でも安心してください。試験で実際に問われる数値は、驚くほど少ないんです。しかも、その少ない数値には「なぜその高さなのか」という理由がちゃんとあります。理由が分かれば、忘れても現場でもう一度組み立て直せます。
この記事を読み終えるころには、次の4つが自分のものになっています。
| 身につくこと | ひとことで言うと |
|---|---|
| 電技と解釈の役割分担 | 原則は電技、数値は解釈 |
| 基本の3つの高さ | 道路6m・鉄道5.5m・歩道橋3m/3.5m |
| 本線と引込線の違い | 本線5m・引込線4mの1m差 |
| 高圧引込線の緩和 | 表示を出せば3.5mまで下げられる |

法規でつまずく人の多くは、頭が悪いのではなく「表を表のまま覚えようとしている」だけです。表を、たった一本のフレーズに畳んでしまいましょう。
暗記フレーズ:道路はロク、鉄道はゴーゴー、歩道橋は低い山・高い山
まずはこれを声に出してみてください。
道路はロク(6m)、鉄道はゴーゴー(5.5m)、歩道橋は低い山(低圧3m)高い山(高圧3.5m)

「ロク」「ゴーゴー」「低い山・高い山」。この3語だけで、架空電線の高さの問題の大半は片づきます。あとは本線と引込線の差を足すだけ。表を丸ごと覚える必要は、最初からなかったのです。
ステップ1:電技は「原則」、解釈は「数値」

この単元で最初につまずくのは、実は数値ではありません。「どの条文に何が書いてあるのか」が曖昧なまま進んでしまうことです。
| 条文 | 立場 | 書いてあること |
|---|---|---|
| 電技 第25条 | 省令(原則) | 感電のおそれがなく、交通に支障を及ぼすおそれのない高さに施設すること |
| 解釈 第68条 | 具体的(本線) | 低高圧架空電線の具体的な高さ(6m・5.5m・5m など) |
| 解釈 第116条 | 具体的(引込線) | 低圧架空引込線の具体的な高さ(4m など) |
| 解釈 第117条 | 具体的(引込線) | 高圧架空引込線の高さと、3.5mへの緩和特例 |
電技は「危なくない高さにしなさい」としか言っていません。じゃあ何mなの? という問いに答えているのが解釈です。原則を語るのが電技、数字を出すのが解釈。この役割分担さえ押さえておけば、問題文に条文番号が出てきても慌てずに済みます。
この「電技と解釈の上下関係」そのものが怪しいと感じる方は、先に法規攻略の第一歩!『電技 = 解釈 = 細かさ最上級』で法令ピラミッドを丸ごと理解を読んでおくと、この先の条文がぐっと読みやすくなります。
ステップ2:基本① 道路はロク、鉄道はゴーゴー

まず押さえるのは、横断するときの2つの数値です。
| 横断する対象 | 基準面 | 高さ |
|---|---|---|
| 道路 | 路面上 | 6m以上 |
| 鉄道・軌道 | レール面上 | 5.5m以上 |
道路の下をトラックが通ります。だから高い。鉄道は、レールの上を電車が通ります。だから「レール面から」測ります。
ここで落としやすいのが基準面です。鉄道は地表面ではなくレール面から。線路は盛土の上にあることも切り通しの底にあることもありますから、地表を基準にしたら意味がありません。数値だけでなく「どこから測るのか」まで含めて覚えてください。
ステップ3:基本② 横断歩道橋は低い山・高い山

3つめの基本が、横断歩道橋です。ここだけは低圧と高圧で数値が分かれます。
| 電圧 | 横断歩道橋の路面上 | 語呂 |
|---|---|---|
| 低圧 | 3m以上 | 低い山 |
| 高圧 | 3.5m以上 | 高い山 |
なぜ歩道橋だけ低いのか。理由はシンプルで、歩道橋の上を通るのは人だけだからです。トラックは通りません。人が手を伸ばして届かない高さがあれば足りる、という発想です。そのうえで、危険度の高い高圧のほうを0.5mだけ余計に上げている。合理的でしょう。
「低圧が低い山、高圧が高い山」。低圧=低い、高圧=高い。素直な対応なので、ここは迷いません。
ステップ4:本線5m、引込線4m ── 1mの落とし穴

ここが、この単元でいちばん点を落としやすい場所です。
| 電線の種類 | 条文 | その他の場合の高さ |
|---|---|---|
| 低圧架空電線(本線) | 解釈 第68条 | 地表上5m以上 |
| 低圧架空引込線 | 解釈 第116条 | 地表上4m以上 |
同じ「低圧」でも、本線と引込線で1m違います。問題文が「低圧架空電線」と言っているのか「低圧架空引込線」と言っているのか。たった2文字の差で、正解の数値が変わるわけです。
なぜ引込線は低くてよいのか
引込線は、電柱から各家庭やお店の引込口までをつなぐ、いわば枝分かれした最後のひと区間です。距離も短く、電柱と建物の間だけを渡ります。本線のように長い距離を町中に張り渡すものではないので、要求される高さがひとつ緩くなっている、と理解しておくと忘れません。
試験では、この2つをわざと並べて出してきます。問題文の「引込」の2文字に、赤ペンで丸をつけるくらいの気持ちで読んでください。
ステップ5:高圧引込線は3.5mまで下げられる

高圧架空引込線は、原則として解釈第68条(本線)の規定に準じます。ところが、例外的な緩和が用意されているのを見落とす人が非常に多い。
緩和が使える条件は2つ、どちらも満たす必要があります。
- 道路・鉄道(軌道)・横断歩道橋を横断しないこと
- ケーブル以外の電線に、下方に危険である旨の表示をすること
この2つを満たせば、地表上3.5mまで下げられます(解釈第117条)。
「高圧なのに3.5m? 低圧の4mより低いじゃないか」──そう感じたら、その違和感が正解です。だからこそ試験に出ます。高圧が特別に危険な扱いを受けているのではなく、「横断しない」「危険表示を出す」という条件付きの特例だと理解してください。
条件のほうを忘れると、ただの数値の丸暗記になって取り違えます。「横断しない・表示する」という2枚の切符があって初めて3.5mが使える、と覚えましょう。
ステップ6:現場ではこう見えている(おまけ)

試験には直接出にくい話ですが、知っておくと数値が立体的に見えてきます。
電柱を斜めに引っ張っている支線にも、交通に支障を及ぼさない高さの規定があります。支線は飾りではなく、電線が引っ張る力とバランスを取って電柱の倒壊を防ぐ、構造上の要です。電線の張力の水平成分と、支線の張力の水平成分が釣り合うことで、電柱はまっすぐ立っていられます。
支線の張力を 、支線が地面となす角を とすると、水平方向に効いている成分は
となり、これが電線側の水平張力と釣り合っている、というのが基本の考え方です。角度を寝かせるほど水平成分は大きく取れますが、そのぶん支線が道路側に張り出します。高さの規定が必要になる理由が、ここにあります。
また、水面上や積雪地帯では話がもう一段複雑になります。船が通る水面の上なら航行に支障のない高さが要りますし、雪が積もれば地表面そのものが上がってきます。現場では、季節と場所によって施工の高さ判断が変わるわけです。
法規の数値が「誰かが適当に決めた数字」ではなく、通る人・通る物から逆算された高さなのだと分かると、暗記の手触りがずいぶん変わってきます。
まとめ
架空電線等の高さは、次の一枚の表に畳めます。
| 場面 | 電圧・種類 | 高さ | 条文 |
|---|---|---|---|
| 道路横断 | 低高圧架空電線 | 路面上 6m以上 | 解釈 第68条 |
| 鉄道・軌道横断 | 低高圧架空電線 | レール面上 5.5m以上 | 解釈 第68条 |
| 横断歩道橋 | 低圧 | 路面上 3m以上 | 解釈 第68条 |
| 横断歩道橋 | 高圧 | 路面上 3.5m以上 | 解釈 第68条 |
| その他の場合 | 低圧架空電線(本線) | 地表上 5m以上 | 解釈 第68条 |
| その他の場合 | 低圧架空引込線 | 地表上 4m以上 | 解釈 第116条 |
| 横断しない+危険表示 | 高圧架空引込線 | 地表上 3.5m以上 | 解釈 第117条 |
思い出す順番はこうです。
- まず 電技第25条は原則だけ、数値は解釈、と切り分ける
- 道路はロク、鉄道はゴーゴー、歩道橋は低い山・高い山を唱える
- 問題文が 本線か引込線かを確認する(5mか4mか)
- 高圧引込線なら 緩和条件(横断しない+危険表示)を思い出す
架空電線のまわりの規定は、この高さだけで終わりではありません。支持物によじ登れないようにする規定まで含めて押さえたい方は、架空電線路の昇塔防止を『カク・ボウ・サク・ヤマの4人だけ』で丸ごと攻略|電技第24条・解釈第53条もあわせてどうぞ。「高さで人を遠ざける」「登れなくして人を遠ざける」と並べて読むと、法規の考え方が一本につながります。
⚠ ここを間違える人が多い
数値そのものより、読み違いで落とす問題が圧倒的に多い単元です。実際に多い取り違えを3つ挙げます。
❌「低圧架空電線」と「低圧架空引込線」を同じ数値で答えてしまう
❌ こう思いがち:低圧ならどっちも5m。 ✅ 正しくはこう:本線(解釈第68条)は地表上5m、引込線(解釈第116条)は地表上4m。問題文の「引込」の2文字で数値が変わります。選択肢に5mと4mが両方並んでいたら、まず問題文を読み返してください。
❌ 鉄道横断の5.5mを「地表から」と思い込む
❌ こう思いがち:地面から5.5m測ればよい。 ✅ 正しくはこう:レール面上5.5mです。道路が「路面上」であるのと同じで、その場所で実際に人や車両が通る面から測ります。基準面を問う選択肢は、数値が合っていても不正解にされるので要注意です。
❌ 高圧架空引込線の3.5mを、無条件で使えると覚えてしまう
❌ こう思いがち:高圧引込線は3.5mでよい。 ✅ 正しくはこう:道路・鉄道・横断歩道橋を横断しない場所で、ケーブル以外の電線に危険である旨の表示をした場合に限った特例です。条件のどちらかが欠けたら、この数値は使えません。逆に、条件をきちんと覚えている人は、「横断する場合」を混ぜた引っかけ選択肢を一発で切れます。
もうひとつ、細かい数値の桁を取り違えるパターンも見られます。似た数字(3.5と2.5、5と4など)が選択肢に並ぶのがこの単元の常套手段なので、自信のある数値ほど、条文の名前とセットで確認する癖をつけておくと安全です。
過去問ではこう出た
架空電線等の高さは、出題頻度がかなり高いテーマです。テーマで照合したところ、電験ジムの収録範囲だけで 27問 が該当しました。直近では次のような形で出題されています。
| 出題年度 | 問番号 |
|---|---|
| 令和7年 下期 | 問13 |
| 令和6年 上期 | 問6 |
| 令和4年 上期 | 問5 |
| 令和4年 下期 | 問4 |
| 令和4年 下期 | 問5 |
| 令和3年 | 問11 |
| 令和元年 | 問8 |
| 平成28年 | 問7 |
傾向としては、穴埋め形式で数値と条件を同時に問うタイプが中心です。「道路を横断する場合は路面上(ア)m以上」のように、数値だけでなく「路面上」「レール面上」といった基準面や、「ケーブルである場合」といった条件語まで空欄になることがあります。
また、高さの規定は離隔距離や絶縁電線の種類と組み合わせて出されることも多く、高さだけを覚えていても取りこぼします。まずは本記事の一覧表を頭に入れ、そのうえで実際の問題文でどう聞かれるかを確かめておくのが近道です。
よくある質問
Q. 表の数値を全部覚えないと、この単元は取れませんか?
いいえ、その必要はありません。試験で繰り返し問われているのは、6m・5.5m・5m・4m・3.5m・3m のごく少数です。しかもそれぞれに「誰が下を通るのか」という理由があります。道路は車が通るから高い、歩道橋は人しか通らないから低い、という具合です。まずは暗記フレーズで3つの基本を固定し、そこに本線と引込線の1m差を足す。この順番で十分に戦えます。表を上から順に覚えようとするのが、いちばん遠回りです。
Q. 電技と解釈、どちらの条文番号まで覚えるべきですか?
条文番号を丸暗記する必要はありませんが、役割の違いは必ず押さえてください。電技(省令)は「危なくない高さに」という原則、解釈は「では何mか」という具体、という関係です。問題文に「電気設備技術基準では〜」と出てきたら抽象的な表現が答えになり、「解釈では〜」と出てきたら数値が答えになる。この読み分けができるだけで、迷いがかなり減ります。条文番号は、問題を解いているうちに自然と紐づいてきます。
Q. 「その他の場合」という言い方が、いまひとつピンときません。
条文は、まず「道路を横断する場合」「鉄道を横断する場合」「横断歩道橋の上」といった特別な場面を先に並べ、そのどれにも当てはまらないケースをまとめて「その他の場合」と呼んでいます。つまり「特別な場面を除いた、ふつうの場所」という意味です。だから、問題を解くときは特別な場面に当てはまるかを先に確認し、当てはまらなければ「その他」の数値(低圧本線5m・低圧引込線4m)を使う、という順番になります。この読み方は他の条文でも共通なので、ここで慣れておくと法規全体が楽になります。
なお、電線の高さと同じく「人を危険から遠ざける」という発想で作られた規定は、法規のあちこちに散らばっています。発電所への立入防止を『屋外はさく、屋内は壁、地中箱はふた』で丸ごと攻略|電技第23条・解釈第38条や、感電・火災等の防止を『架空は絶縁、地中はケーブル、低圧は2000分の1』で攻略|電技第20〜22条を続けて読むと、バラバラだった条文が「人を守るための同じ思想」でつながって見えてきます。ここまで来れば、法規はもう苦手科目ではありません。
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