発電所への立入防止を『屋外はさく、屋内は壁、地中箱はふた』で丸ごと攻略|電技第23条・解釈第38条
電験三種「法規」の頻出テーマ、発電所等への立入防止をやさしく整理。電技第23条という大原則と、解釈第38条の具体的な数値との関係をほどきながら、屋外の『さく・へい+38-1表の距離』、屋内の『堅ろうな壁』、そして地中箱(マンホール)のふたの規定までを一本の軸でつなげます。丸暗記が苦手な人ほど効く覚え方です。
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この記事で身につくこと
法規の勉強をしていて、こんな気持ちになったことはありませんか。
「さくとへい、壁、地中箱……言っていることは分かるけど、5mだったか6mだったか、どっちがどっちだか分からなくなる」
安心してください。この単元は、覚えることが多いから難しいのではありません。条文が2種類あることに気づかないまま、数字だけを拾おうとするから難しく感じるのです。
この記事を読み終えると、次の状態になります。
| 読む前 | 読んだ後 |
|---|---|
| 電技23条と解釈38条がごちゃ混ぜ | 「原則」と「具体策」の上下関係で整理できる |
| 5m・6m・(6+c)mを丸暗記しようとして混乱 | 「35,000V以下は5m」だけ確実に押さえ、あとは方向性で対応できる |
| 地中箱が何のことか分からない | 道路のマンホールが浮かび、規定の意味まで説明できる |
| 屋外と屋内の措置が混ざる | 屋外は距離、屋内は壁、と即答できる |
この単元は、法規の中でも「覚える量に対して、得点しやすさが一番おいしい」部類です。ここは落とさずに拾いにいきましょう。

暗記フレーズ:屋外はさくで囲う、屋内は壁で守る、地中箱はふたが開かない
この単元は、このひと言に全部入っています。
屋外はさくで囲う、屋内は壁で守る、地中箱はふたが開かない
場所が3つ(屋外・屋内・地中)あって、それぞれに守り方が1つずつ割り当てられている。ただそれだけの構造です。
| 場所 | 守り方 | 関係する条文 |
|---|---|---|
| 屋外 | さく・へいで囲い、38-1表の距離を確保する | 解釈第38条 第1項 |
| 屋内 | 堅ろうな壁で遮断する | 解釈第38条 第2項 |
| 地中 | 地中箱のふたを容易に開けられない構造にする | 電技第23条 第2項・解釈第121条 |
問題文を読んだら、まず「これは屋外の話か、屋内の話か、地中の話か」を判断する。判断が先、数字は後です。この順番を守るだけで、取り違えはほとんど起きなくなります。

ステップ1:電技第23条は「原則」、解釈第38条は「具体策」
まずここを分けます。ここさえ分ければ、この単元の混乱は半分以上消えます。

2つの条文は、上下の関係にある
| 条文 | 書いてあること | 性格 |
|---|---|---|
| 電技 第23条 | 高圧・特別高圧の電気機械器具や電線路には、取扱者以外の者が立ち入らないような措置を講じること | 大原則(何をすべきか) |
| 解釈 第38条 | さく・へいを設ける、高さと距離の和を表の値以上にする、表示する、施錠する | 具体策(どうやるか) |
電技は「立ち入らせないようにしなさい」とだけ言っています。方法は書いていません。 そこで登場するのが解釈第38条で、こちらは「さくを立てて、これだけ離して、表示を出して、鍵をかけなさい」と手取り足取り書いてある。
この関係は、法規全体を貫く構造そのものです。上位の法令ほど抽象的で、下位に行くほど細かくなる。ここが曖昧な人は、先に〈法規攻略の第一歩!『電技 = 解釈 = 細かさ最上級』で法令ピラミッドを丸ごと理解〉を読んでおくと、この先がぐっと楽になります。
なぜ問題文でつまずくのか
試験では、条文名を出さずに「発電所には……を施設すること」という形で問われることがあります。このとき、原則と具体策の区別ができていないと、「これはどっちの話だ?」と迷って時間を溶かします。
判断の目安はシンプルです。
- 数値が出てきたら、解釈の話
- 「〜のような措置を講じること」という言い回しなら、電技(原則)の話
数値は原則には書けません。原則は場面を選ばず通用しなければならないからです。
ステップ2:屋外の措置①──まず、さく・へいで囲う
ここからは屋外の話です。屋外の措置は4つありますが、順番に積み上がっていくので、流れで覚えれば忘れません。

最初の措置は、さく・へい等を設けること。変電所の周りをぐるりと囲っている、あの金属のフェンスです。
ここで大事なのは、「囲えば終わり」ではないという点です。フェンスがあっても、その内側すぐのところに充電部があったら、柵越しに手が届いてしまう。棒や工具を持っていればなおさらです。だから次のステップで「距離」の話が出てきます。
囲うのは入口をふさぐためではなく、近づけないため。この目的を押さえておくと、続く規定がすべて自然につながります。
ステップ3:屋外の措置②──38-1表は「5mだけ」覚える
この単元で一番、受験者を消耗させているのが38-1表です。結論から言うと、最初は5mだけで十分です。

何と何を足すのか
38-1表が求めているのは、次の和です。
つまり、高さと水平距離の合計。これが35,000V以下の場合の下限です。
この「和」という形が優れているのは、現場に選択肢を残している点です。
| 設計の考え方 | 結果 |
|---|---|
| 敷地に余裕がない | 柵を高くして、距離を詰める |
| 柵を高くしたくない | 距離を大きく取って、柵は低めにする |
どちらでも、合計が5m以上あればよい。「柵は必ず◯m」と決め打ちにしない、実務的な決め方になっているわけです。
まずはここだけ
覚える優先順位は次のとおりです。
- 35,000V以下 → 5m以上(最頻出。まずここ)
- 高くなると伸びる → 方向性で対応
- 細かい区分 → 余裕が出てから
35,000Vという電圧は、6.6kVの高圧配電系統や22kV・33kVといった特別高圧を広くカバーします。つまり実際に多くの設備が該当する区分なので、試験でも問われやすいのです。
ステップ4:屋外の措置③──電圧が上がれば、距離も伸びる
35,000Vを超えたらどうなるか。ここは丸暗記ではなく、理屈で押さえます。

数値の並び
| 使用電圧の区分 | 高さと距離の和 |
|---|---|
| 35,000V以下 | 5m以上 |
| 35,000V超 160,000V以下 | 6m以上 |
| 160,000V超 | (6+c) m以上 |
見てのとおり、電圧が上がると、必要な距離も上がる。これだけです。逆向きになることは絶対にありません。
なぜそうなるのかも、感覚でつかめます。電圧が高いほど、充電部が周りの空気に及ぼす影響は大きくなります。近づけば近づくほど危険が増すのですから、高い電圧ほど余計に離しておく——ごく当たり前の話です。
160,000Vを超える区分に付いている c は、電圧が上がった分だけさらに上乗せする量、というイメージで捉えておけば、試験対策としては十分です。
試験での戦い方 選択肢に「35,000V以下で6m」「160,000V超で5m」のような、電圧と距離の大小が逆転した組み合わせが混ざっていることがあります。5mという基準点と「上がれば伸びる」という向きさえ持っていれば、逆転した選択肢はその場で切れます。
ステップ5:屋外の措置④──表示を出し、鍵をかける
さくで囲い、距離を確保した。それでもまだ足りません。残る2つの措置は、人間の行動に働きかけるものです。

| 措置 | 内容 | ねらい |
|---|---|---|
| 表示 | 出入口に、立入りを禁止する旨を表示する | 「入ってはいけない場所だ」と知らせる |
| 施錠 | 出入口に施錠装置等を施設して施錠する | 知らせても入ろうとする人を、物理的に止める |
この2つはセットで理解すると忘れません。表示は「知らせる」、施錠は「止める」。知らせるだけでは、読まない人・読めない人を守れません。だから施錠まで求められています。
そしてここが大事なのですが、屋外の措置は4つで完結します。
- さく・へい等を設ける(囲う)
- 高さと距離の和を38-1表の値以上にする(離す)
- 立入禁止の表示をする(示す)
- 施錠装置等を施設して施錠する(施錠する)
囲う → 離す → 示す → 施錠する。この4語の並びで頭に入れておけば、「何個あったっけ」で悩むことはなくなります。
ステップ6:屋内は「堅ろうな壁」──距離の表は出てこない
ここまで屋外を細かく見てきました。屋内は、拍子抜けするほど簡単です。

屋内に高圧・特別高圧の発電所等を施設する場合は、堅ろうな壁を設ける。これが答えです。38-1表のような距離の規定は登場しません。
理由を考えると、当たり前だと分かります。
| 屋外 | 屋内 | |
|---|---|---|
| そもそもの状況 | 誰でも敷地の外まで来られる | 建物の中にあり、既に一段隔てられている |
| 主な守り方 | 距離を確保する | 壁で区画する |
| 数値の規定 | あり(38-1表) | なし |
屋外は、周りが開けているぶん「離す」ことでしか守れません。屋内は建物という構造物があるので、壁そのもので区切ってしまえば済む。守り方が違うのは、置かれている状況が違うからです。
だから試験で「屋内の発電所において、さく・へいの高さと充電部までの距離の和は……」という文が出てきたら、その時点で怪しい。屋内に距離の表は出てこない、と覚えておきましょう。
ステップ7:地中箱は「道路のマンホール」──ふたが開かない構造に
最後は地中です。ここでつまずく人が多いのですが、原因は内容の難しさではなく、言葉が初見だからです。
地中箱=マンホール
地中箱とは、地面に埋まっているマンホールのことです。地中電線路の途中に置かれた、点検用の箱だと思ってください。道路を歩けば、どこにでもあります。
言葉がイメージに変わった瞬間に、規定の意味も分かります。地上のさくと違って、地中箱は誰でも真上に立てる場所にあります。だからこそ、次の規定があります。
地中箱は、ふたを容易に開けることができない構造とすること(電技第23条第2項・解釈第121条)
さくのように「囲う」ことも、壁のように「隔てる」こともできない。ならばふたが開かないようにするしかない——という発想です。
3つの場所を、もう一度並べる
| 場所 | 一般の人との位置関係 | だから取る手 |
|---|---|---|
| 屋外 | 敷地の外まで近づける | さくで囲い、距離を取る |
| 屋内 | 建物の外にいる | 堅ろうな壁で区切る |
| 地中 | 真上に立てる(避けられない) | ふたを開けられなくする |
どれも「取扱者以外の者を充電部に近づけない」というたった1つの目的から出てきた手段です。ここまでくれば、この単元は暗記ではなく理解の対象に変わります。
なお、地中電線路そのものの施設方法(ケーブルを使うこと等)については〈感電・火災等の防止を『架空は絶縁、地中はケーブル、低圧は2000分の1』で攻略|電技第20〜22条〉で扱っています。立入防止とセットで読むと、地中電線路の全体像がつながります。
実務ではこう使われている
試験には出ませんが、この条文はあなたが毎日目にしているものの根拠になっています。
| 見かけるもの | 実はこの規定が根拠 |
|---|---|
| 変電所のフェンスの「危険 高電圧」の看板 | 解釈第38条の「立入りを禁止する旨の表示」 |
| 道路のマンホールの特殊ボルト・鍵付き構造 | 感電事故を防ぐための「ふたを容易に開けられない構造」 |
条文を読んでいるときは無味乾燥に感じても、街を歩けばそこら中に実物がある。次に変電所の前を通ったら、フェンスの高さと看板を見てみてください。「ああ、38条だ」と思えたら、その知識はもう抜けません。
まとめ
この単元の全体像を、1枚の表に畳んでおきます。
| 論点 | 押さえること |
|---|---|
| 条文の役割 | 電技第23条=原則、解釈第38条=具体策 |
| 屋外の措置 | 囲う → 離す → 示す → 施錠する(4つ) |
| 38-1表 | 高さ+距離の和。35,000V以下は5m以上 |
| 電圧との関係 | 電圧が上がれば距離も伸びる(6m、6+c m) |
| 屋内 | 堅ろうな壁。距離の表は出てこない |
| 地中箱 | ふたを容易に開けられない構造(解釈第121条) |
| 全体の目的 | 取扱者以外の者を充電部に近づけない、ただ1つ |
覚えることは多く見えても、すべてが1つの目的から枝分かれしているだけです。
屋外はさくで囲う、屋内は壁で守る、地中箱はふたが開かない
この一行を思い出せば、問題文の前で手が止まることはありません。
なお、こうした「〜を防止する」系の規定は法規に何本もあり、混ざりやすいところです。防止規定の全体像を一度整理しておきたい人は〈電気設備の各種防止規定を『守る相手が5つあるだけ』で丸ごと整理|電技第15条の2〜第19条〉を先に通しておくと、この記事の内容も収まりがよくなります。
⚠ ここを間違える人が多い
この単元で失点する形は、だいたい決まっています。2つだけ挙げます。
❌ 38-1表の「5m」を、柵の高さだと思ってしまう
これが一番多い取り違えです。
- ❌ こう思いがち:さく・へいの高さが5m以上必要
- ✅ 正しくは:さく・へいの高さと、充電部までの距離の和が5m以上
5mの柵など、実際にはまず建ちません。求められているのは合計値であって、高さ単独の下限ではありません。たとえば柵の高さが2mなら、充電部まで3m以上離せば条件を満たします。
問題文でも「高さと距離との和」という言い回しがそのまま使われますから、「和」の一文字を見落とさないことが対策になります。
❌ 屋内にも距離の規定があると思ってしまう
- ❌ こう思いがち:屋内でも38-1表の距離を確保する必要がある
- ✅ 正しくは:屋内は堅ろうな壁を設ける。距離の表は屋外の話
屋外と屋内を並べて読むと、どうしても数値の印象が強く残り、屋内にも引きずられます。距離=屋外、壁=屋内と、場所とセットで覚えるのが確実です。
「屋外か屋内か」を先に判定してから数値を思い出す——ステップ2で書いた判断が先、数字は後の順番が、そのまま失点防止になります。
よくある質問
Q. 38-1表の「6+c」の c は、覚えなくても大丈夫ですか?
まずは大丈夫です。優先順位でいえば、35,000V以下の5m → 35,000V超の6m → 160,000V超の(6+c)m の順です。
160,000Vを超える設備は、電験三種で問われる典型的な場面からはやや外れます。それより、5mを確実に取り、「電圧が上がれば距離も伸びる」という向きを絶対に間違えないほうが、得点への効き目は大きいです。cは「さらに上乗せがある」とだけ押さえて、余裕ができてから戻ってきてください。
Q. 「さく」と「へい」は、区別して覚える必要がありますか?
試験対策としては、区別しなくて構いません。条文が「さく、へい等」とまとめて書いているとおり、取扱者以外の者を近づけない囲いであればよく、金属フェンスでもコンクリート塀でも扱いは同じです。
問われるのは種類ではなく、設けたうえで高さと距離の和を確保しているかという点です。ここに集中しましょう。
Q. 地中箱の規定は、電技第23条と解釈第121条のどちらで覚えればよいですか?
関係を1本の線でつないでおくのが一番強いです。電技第23条第2項が「地中箱のふたを容易に開けられないようにしなさい」という原則を示し、解釈第121条がそれを受けた具体的な規定という位置づけになります。
つまり、ステップ1で整理した原則と具体策の関係が、地中箱でもそのまま繰り返されているわけです。条文番号を単独で暗記しようとすると混ざりますが、「原則は電技、具体は解釈」という軸に載せてしまえば、どちらを問われても答えられます。
なお、この「原則と具体策のペア」は法規のあちこちに現れます。地絡保護(電技第15条・解釈第36条)もまったく同じ構造で、〈地絡の保護対策を『つけるのが原則、外せるのは例外だけ』で攻略|電技第15条・解釈第36条〉を読むと、この見方が身体に入ります。法規はこのパターンの繰り返しですから、一度つかんでしまえば、あとは同じ読み方の使い回しです。焦らず、1本ずつ積み上げていきましょう。
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