オームの法則は「公式円」で攻略!V=RIで電験計算の9割が片付く
電験三種「理論」科目のすべての計算問題の出発点『オームの法則』を完全図解。電圧V・電流I・抵抗Rの3つの関係を、暗記フレーズ V=RI と公式円ルールで一発整理。求めたい量を指で隠すだけで、掛け算か割り算かが瞬時に判別できる裏ワザを解説します。
🎥 動画でも解説しています > YouTubeで開く
この記事で身につくこと
電験三種の勉強を始めて、最初に出てくる計算問題。ページをめくった瞬間に「うっ」となって、そのまま参考書を閉じてしまった経験はありませんか。
大丈夫です。実は、電験三種の計算問題の大半は、たった1本の式から派生しています。それが今日のテーマ、オームの法則です。
回路図がどれだけ複雑に見えても、部品が何十個並んでいても、最終的にはオームの法則の組み合わせで解けます。逆に言えば、ここが曖昧なまま先に進むと、この先ずっと足元がぐらつき続けます。だからこそ、理論科目の一番最初に、確実に押さえておく価値があるのです。
この記事を読み終わると、こんな状態になります。
| 読む前 | 読んだ後 |
|---|---|
| V・I・Rの記号と単位がごちゃまぜ | 記号と単位をペアで即答できる |
| 式変形のたびに手が止まる | 公式円で3秒で式が出せる |
| 「比例」「反比例」がどっちか怪しい | 電流は電圧に比例・抵抗に反比例と即答 |
| 回路図の電源記号を読み飛ばす | 直流と交流を記号で見分けられる |
数学が苦手でも問題ありません。ここで使うのは、掛け算と割り算だけです。
暗記フレーズ:電圧=電流かける抵抗
まず、この1行だけ覚えて帰ってください。
電圧=電流かける抵抗(V=RI)
これがオームの法則の本体です。他に何を忘れても、この式さえ手元にあれば、あとは変形するだけで全部出せます。声に出して3回、唱えてみてください。「電圧イコール電流かける抵抗」。それだけで、今日の8割は終わったようなものです。
ステップ1:オームの法則は「すべての起源」

電験三種の理論科目に出てくる回路図は、正直、見た目が怖いです。抵抗がいくつも並び、線が交差し、記号が散らばっている。
けれど、その複雑さは「オームの法則を何回も使う」というだけの話です。1か所ずつ切り取れば、そこにあるのは V・I・R の3つだけ。この基本法則が、すべての計算問題の出発点になっています。
つまり、オームの法則を覚えれば合格できる、という話ではありません。ただし、オームの法則が曖昧なままでは、絶対に合格できない。そういう位置づけの法則です。
ステップ2:V・I・R、記号と単位はペアで覚える

オームの法則が結びつけているのは、次の3つです。記号と単位がずれると計算が全部ずれるので、必ずセットで頭に入れます。
| 量 | 英語 | 記号 | 単位 | 読み |
|---|---|---|---|---|
| 電圧 | Voltage | V | V | ボルト |
| 電流 | Current | I | A | アンペア |
| 抵抗 | Resistance | R | Ω | オーム |
覚え方はシンプルで、記号は英単語の頭文字です。Voltage の V、Resistance の R。電流だけ Current なのに I なので引っかかりますが、ここは「電流だけ例外」と割り切って覚えてしまうのが早道です。
ステップ3:電流は「正極から負極へ」流れる
![電流I[A]の流れ方|電線中を正極+から負極−へ流れる電流の基本イメージ](/slides/09-riron-ohms-law/04.jpg)
電流の向きは、電線の中を 正極(+)から負極(−)へ 流れる、と決められています。
ここで一点だけ注意があります。実際に動いている電子は、これと逆向きに進んでいます。試験でも「電流の向きと電子の向きは逆」と問われることがあるので、混同しないようにしておきましょう。
なぜ逆になるのか、電子の正体からきちんと押さえたい方は、〈電位差は『山の高低差』!高い→低いで電気は流れる〉を先に読んでおくと、この先の理解がぐっと楽になります。
ステップ4:電圧は「押す力」、抵抗は「妨げる力」

電圧と抵抗は、きれいに正反対の役割を持っています。
| 電圧 V | 抵抗 R | |
|---|---|---|
| 役割 | 電流を送り出す力 | 電流の流れを妨げる |
| イメージ | 勢いよく押し出す矢印 | 細いゲートで絞られる矢印 |
| 大きくすると | 電流が増える | 電流が減る |
この2つがシーソーのように綱引きをして、その結果として電流の大きさが決まります。「押す側」と「抑える側」——この対立構造を頭に入れておくと、次のステップの比例・反比例が丸暗記でなく理解として入ってきます。
ステップ5:基本回路は「電源・電流・抵抗」の1ループ

回路図でのオームの法則は、拍子抜けするほど単純な形をしています。左に電源V、そこから出た電流Iが回路をぐるっと一周し、右にある抵抗Rを通って戻ってくる。これだけです。
試験に出てくる回路図は、この1ループが大量に組み合わさっているにすぎません。基本構成の意味さえ読み取れれば、あとは組み合わせのパズルです。難しく見える回路ほど、分解すれば全部この形に還元できます。
ステップ6:電源記号の「まっすぐ」と「波」を見分ける

回路図で意外と見落とされるのが、電源の記号です。ここを読み違えると、解き方そのものが変わってしまいます。
| 直流(DC) | 交流(AC) | |
|---|---|---|
| 記号 | まっすぐな線 | 波線 |
| 性質 | 常に一定の方向に流れる | 時間とともに向きと大きさが変わる |
| 学習順 | まずこちらから | 直流回路のあと |
見分け方は「まっすぐか、波か」だけなので、一度覚えれば忘れません。交流は直流回路をひと通り終えてから学ぶ分野なので、今の段階では記号と性質の違いだけ押さえておけば十分です。
ステップ7:電流は電圧に比例、抵抗に反比例

ここがオームの法則の本質です。電流Iを基準に見ると、こうなります。
| 変えるもの | 電流Iはどうなる | 関係 |
|---|---|---|
| 電圧Vを大きくする | 増える | 比例 |
| 抵抗Rを大きくする | 減る | 反比例 |
言葉で言えば、電圧と電流は仲良し、抵抗は邪魔者。押す力を強めれば流れは増え、通り道を狭くすれば流れは減る。水道の蛇口を思い浮かべれば、感覚で納得できるはずです。
「比例」と「反比例」は試験で入れ替えて出題される定番ポイントなので、この対応表は確実に押さえておきましょう。
ステップ8:求めたい量で式は3つに変わる

問題文が何を聞いてくるかによって、使う式の形は変わります。
| 求めたい量 | 式 |
|---|---|
| 電圧 V | |
| 電流 I | |
| 抵抗 R |
「3つも覚えるのか……」と思われたかもしれません。実は、この3つを丸暗記する必要はありません。次のステップで紹介する道具を使えば、V=RI という1本だけ覚えておけば、残り2つはその場で作れます。
ステップ9:公式円——求めたい量を「隠す」だけ
これが今日の目玉、公式円です。円を3つに区切り、上にV、左下にR、右下にIを配置します。
使い方は驚くほど簡単で、求めたい量を指で隠す。たったそれだけです。すると、残った2つの位置関係が、そのまま式の形を教えてくれます。
横並びなら掛け算、縦並びなら割り算(上÷下)
式変形が苦手で、毎回「ええと、Rを移項して……」と手が止まっていた方には、これが特効薬になります。
ステップ10:Vを求める——横並びは掛け算
電圧Vを求めたいときは、円の上にあるVを指で隠します。
残るのは、左下のRと右下のI。この2つは横に並んでいるので、ルールどおり掛け算です。
移項も何もしていません。ただ指で隠して、残ったものを読んだだけ。これで電圧の式が完成します。
ステップ11:IとRを求める——縦並びは割り算
残り2パターンも、やることは同じです。
| 隠す場所 | 残る2つの並び | 読み取れる式 |
|---|---|---|
| I(右下)を隠す | V(上)とR(左下)が縦並び | |
| R(左下)を隠す | V(上)とI(右下)が縦並び |
縦に並んだら、上を下で割る。これで3パターンすべてが揃いました。
ただし、これは本番で毎回描くための道具ではありません。試験中に円を描いている時間はありませんから、練習の段階で何度も使い、最終的には見なくても式が出てくる状態を目指してください。公式円は、そこにたどり着くまでの補助輪です。
まとめ
オームの法則は、電験三種の計算問題の出発点です。今日の内容を1枚に凝縮すると、こうなります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 基本式 | (電圧=電流かける抵抗) |
| 記号と単位 | V=ボルト[V]/I=アンペア[A]/R=オーム[Ω] |
| 電流の向き | 正極(+)から負極(−)へ(電子とは逆) |
| 役割 | 電圧は送り出す力、抵抗は妨げる力 |
| 関係 | 電流は電圧に比例、抵抗に反比例 |
| 3つの式 | // |
| 裏ワザ | 公式円で隠す。横並び=掛け算、縦並び=割り算 |
なお、この「V=RI」という形は、電験三種の中で何度も姿を変えて再登場します。磁気の分野では、起磁力・磁束・磁気抵抗が同じ構造の式で結ばれます。興味が湧いた方は〈磁気回路のオームの法則とは?起磁力・磁束・磁気抵抗の対応〉をのぞいてみてください。「あ、形が同じだ」と気づけた瞬間、暗記量が一気に減ります。
⚠ ここを間違える人が多い
オームの法則そのものは単純ですが、だからこそ選択肢に仕込まれたわずかな入れ替えにやられます。実際につまずきやすい3点を挙げます。
❌ 「比例」と「反比例」を取り違える
問題文で「電流は抵抗に比例し」と書かれていても、スラスラ読むと違和感なく通過してしまいます。
✅ 正しくは、電流は電圧に比例、抵抗に反比例。押す力(電圧)が強ければ流れは増え、通り道(抵抗)が狭ければ流れは減る——この物理的なイメージとセットで持っておけば、文章がひっくり返っていても違和感で気づけます。文章題では「比例」「反比例」という語に必ず印をつけながら読む癖をつけましょう。
❌ 掛け算と割り算を反対にしてしまう
を と書いてしまう。焦っているときほど起きます。
✅ 対策は、単位で検算することです。[V]÷[Ω]が[A]になる、という感覚を持っておけば、逆に書いた瞬間に「単位が合わない」と気づけます。もう一つの保険が公式円です。円を思い浮かべて隠すだけなので、混乱したときの立て直しが速くなります。
❌ 電流の向きと電子の向きを同じだと思い込む
回路図の矢印を見て、そのまま「電子もこっちに動いている」と考えてしまうパターンです。
✅ 電流は正極から負極へ。電子はその逆向きに動きます。この向きの取り違えは、後で学ぶ電磁力(左手の法則)の分野で致命傷になります。今のうちに「電流の向きが基準、電子は逆」と固定しておきましょう。
過去問ではこう出た
オームの法則そのものを単独で問う出題は多くありませんが、計算問題の中に部品として必ず埋め込まれています。テーマで照合した範囲では、次の3問が該当します。
| 年度 | 問番号 |
|---|---|
| 平成28年 | 問3 |
| 平成28年 | 問8 |
| 平成28年 | 問12 |
出題のされ方には、はっきりした傾向があります。ひとつは、回路の一部だけを取り出して V・I・R のどれかを求めさせる素直な形。もうひとつは、合成抵抗や電力の計算の途中に が挟まっていて、そこで間違えると最終的な答えが合わなくなる形です。
つまり、オームの法則で落とす1問は「オームの法則の問題」として現れるとは限りません。他の問題の中に潜んでいるぶん、ここが不安定なままだと失点が広く散らばります。だからこそ、真っ先に固めておく価値があるのです。
手を動かして確認したい方は、こちらからどうぞ。
よくある質問
Q. 公式円は試験本番でも使っていいのですか?
使っても構いませんが、本番で毎回描くことは想定しないでください。試験は時間との勝負で、1問あたりに使える時間は限られています。公式円はあくまで練習用の補助輪です。問題演習のときに繰り返し使ううちに、円を思い浮かべなくても式が出てくるようになります。その状態まで持っていくのが目標で、本番は「混乱したときの緊急避難」として頭の隅に置いておく、という使い方が理想です。
Q. V=RI と V=IR は違うのですか?
同じです。掛け算なので順序を入れ替えても値は変わりません。参考書によって表記が違うので不安になりますが、どちらも正しい書き方です。この記事では暗記フレーズ「電圧=電流かける抵抗」と、公式円(上がV、下段がRとI)に合わせて で統一しています。自分がしっくりくる方に決めて、そちらで固定してしまいましょう。表記を毎回ぶれさせないことが、ミスを減らす一番の近道です。
Q. 抵抗が0のとき、電流はどうなるのですか?
の分母が0になるので、計算上は電流が無限大になります。現実には電線そのものの抵抗があるため無限大にはなりませんが、非常に大きな電流が流れる状態——これが短絡(ショート)です。逆に抵抗が非常に大きい場合は電流がほとんど流れず、断線に近い状態になります。式の意味を極端な値で確かめておくと、「比例・反比例」が本当に体に入ります。
Q. この先、オームの法則はどこで使うのですか?
ほぼ全域です。直列・並列の合成抵抗、キルヒホッフの法則、交流回路のインピーダンス計算——どれも土台にオームの法則があります。特につながりが深いのが電力の計算で、 に を代入すると が出てくる、という具合に式が枝分かれしていきます。この流れは〈P=VI・P=RI²・P=V²/Rの使い分け|電力の公式〉で詳しく扱っているので、オームの法則が固まったら次の一歩として読んでみてください。
Webの何倍も覚えやすい
紙のフルラミネート加工の
暗記シートがあります
実績2,000部突破。
お風呂や電車のスキマ時間でサクッと勉強できます。
付属の練習用紙で無限に練習できます♪

🛒関連教材ショーケース
学習の効率を上げる、紙の本格教材ラインナップ。


この記事を読み終えたら、進捗を記録しましょう




