ランキンサイクルは「装置・用語・線図」の3点リンクで攻略
電験三種「電力」科目の汽力発電で必須となるランキンサイクルを完全解説。ポンプ・ボイラ・タービン・復水器の4装置と、断熱圧縮・等圧受熱・断熱膨張・等圧放熱の4用語、そしてp-V線図・T-s線図を1本の線で結びつけて、丸暗記なしで線図問題を得点源に変える方法を紹介します。
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この記事で身につくこと
電験三種「電力」科目の汽力発電で、9割の受験生がここで脱落する と言われるのがランキンサイクル。 原因はほぼ1つで、「物理装置(ポンプなど)」と「熱力学用語(断熱圧縮など)」と「線図(p-V、T-s)」がアタマの中でバラバラ だからです。
本記事を読み終えたら、
- ランキンサイクルの4ステップを呪文のように言える
- 各ステップで p-V線図・T-s線図がどう動くか即答できる
- 丸暗記に頼らず、線図問題を得点源に変えられる
ようになります。
暗記フレーズ:圧 → 受 → 膨 → 放
断熱圧縮 → 等圧受熱 → 断熱膨張 → 等圧放熱
頭文字を取って 「あつ・じゅ・ぼう・ほう」。これがランキンサイクルの全てです。 あとは、この4つの用語に 装置 と 線図の動き をペタッと貼り付けていくだけ。
物理システム:水はぐるぐる回っているだけ
まずは装置のイメージを固めます。ランキンサイクルは、水・蒸気・水と状態を変えながら、4つの装置をぐるっと一周 するだけのシステムです。
| 番号 | 装置 | 役割 |
|---|---|---|
| ① → ② | ポンプ | 水を押し込む(加圧) |
| ② → ③ | ボイラ | 水を熱して蒸気にする |
| ③ → ④ | タービン | 蒸気で羽を回し、発電機を動かす |
| ④ → ① | 復水器 | 蒸気を冷やして水に戻す |
実際に発電しているのは タービン のところ。ほかの3つは「タービンで仕事をさせるための準備・後始末」だと思ってください。
4ステップを線図とセットで読み解く
ステップ1:ポンプで断熱圧縮(①→②)
- 熱力学用語:断熱圧縮(外と熱のやり取りなしで、圧力だけを上げる)
- p-V線図:体積Vはほぼ変わらず、圧力pだけが垂直に急上昇。水は液体なので、押しても潰れないのがポイント。
- T-s線図:断熱なので エントロピーsは一定。圧縮された分、温度Tがわずかに上昇するので、ほぼ真上にちょっと動く。
ステップ2:ボイラで等圧受熱(②→③)
- 熱力学用語:等圧受熱(圧力を保ったまま熱を受け取る)
- p-V線図:圧力pは一定のまま、水が蒸気に変わるので 体積Vが爆発的に右へ膨張。
- T-s線図:熱をもらうので エントロピーsが右へ増加、温度Tもサイクル中の最高点まで上昇。右斜め上に大きく伸びる。
ここがランキンサイクル中で 一番エネルギーをため込む 工程です。
ステップ3:タービンで断熱膨張(③→④)
- 熱力学用語:断熱膨張(外と熱のやり取りなしで、膨らみながら仕事をする)
- p-V線図:膨張するので体積Vはさらに増え、エネルギーを使い果たすので 圧力pは急降下。右下に大きく曲線で落ちる。
- T-s線図:断熱なので エントロピーsは一定。仕事をした分だけ温度Tが急降下するので、真下にストン。
タービンが 実際に電気を生み出す瞬間 は、この「ストン」のところです。
ステップ4:復水器で等圧放熱(④→①)
- 熱力学用語:等圧放熱(圧力を保ったまま、外に熱を捨てる)
- p-V線図:圧力pは一定のまま、蒸気が水に戻るので 体積Vが急激に収縮して、①の位置へ左へ戻る。
- T-s線図:熱を捨てるので エントロピーsが左に減少。①へ戻ってサイクル完了。
これで1周。あとはこれを永遠に繰り返すだけです。
p-V線図の「内側の面積」=正味出力
4つの工程をp-V線図でつなぐと、閉じたループ ができあがります。
このループの内側の面積 = プラントが外部に対して行った有効な仕事(正味出力)
面積が大きいほど、たくさん発電できたということ。試験で「正味出力はどこに対応するか?」と聞かれたら、迷わず 「p-V線図のループ内側の面積」 と答えればOKです。
T-s線図の「飽和曲線」も押さえる
T-s線図には、山型の点線(飽和曲線) が描かれていることがあります。点線で区切られた3つの領域はそれぞれ次の通り。
| 領域 | 状態 |
|---|---|
| 飽和曲線の左 | 液体の水 |
| 飽和曲線の内側 | 水と蒸気の混合状態(湿り蒸気) |
| 飽和曲線の右 | 完全な乾き蒸気 |
ランキンサイクルのループは、ちょうど飽和曲線の内側を横切るように描かれます。線図問題でどの位置にあるかを問われたら、この対応関係で読み取れます。
完全攻略マトリクス(保存版)
最後に、装置・用語・線図の動きを1枚の表に圧縮します。試験本番で線図問題に出会ったら、まず問題用紙の隅にこの表を書き出してから解くのがオススメです。
| 工程 | 装置 | 熱力学用語 | p-V線図の動き | T-s線図の動き |
|---|---|---|---|---|
| ① → ② | ポンプ | 断熱圧縮 | V一定、p急増(↑) | s一定、T微増(↑) |
| ② → ③ | ボイラ | 等圧受熱 | p一定、V爆発(→) | s増加、T上昇(↗) |
| ③ → ④ | タービン | 断熱膨張 | p急降下、V増(↘) | s一定、T急降下(↓) |
| ④ → ① | 復水器 | 等圧放熱 | p一定、V収縮(←) | s減少、T一定(←) |
まとめ
- ランキンサイクル=水・蒸気が 4つの装置をぐるっと一周 するだけのシステム
- 暗記フレーズは 「圧 → 受 → 膨 → 放」(断熱圧縮・等圧受熱・断熱膨張・等圧放熱)
- 「断熱」ならT-s線図でsは一定(垂直)、「等圧」ならp-V線図でpは一定(水平) と覚えると線図問題で迷わない
- p-V線図の ループ内側の面積 = 正味出力
- T-s線図の 山型点線は飽和曲線。左が水、内側が湿り蒸気、右が乾き蒸気
暗記フレーズ:圧 → 受 → 膨 → 放
この4文字をベースに、装置と線図をペタッと貼り付ければ、ランキンサイクルは丸暗記なしで解けるようになります。
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