ボイラ設備の5装置を「一滴の水がたどる順番」で完全攻略
電験三種「電力」の汽力発電で頻出のボイラ設備を、節炭器・ドラム・過熱器・再熱器・空気予熱器の5装置に分解。一滴の水がたどる順番に沿って役割と位置を整理し、貫流ボイラでドラムが不要な理由まで完全図解。
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この記事で身につくこと
汽力発電の ボイラ設備——「節炭器?過熱器?再熱器?……名前は聞いたことあるけど、どれがどれだか正直あやふや」という人、めちゃくちゃ多いです。 ここを混同したまま勉強を進めると、ランキンサイクル問題は一生解けません。
この記事を読み終えるころには、
- ボイラの 5主要装置を順番で言える
- それぞれの 役割・設置位置・加熱対象 が即答できる
- 貫流ボイラでドラムが不要な理由 まで人に説明できる
ようになります。
暗記フレーズ:節→ド→過→再→空
節→ド→過→再→空(しなずどうしんかさいくう)
5装置の 順番 をまずこの語呂で固定する。あとはそれぞれの役割を肉付けしていくだけです。
| # | 装置 | 別名 | ひとことで |
|---|---|---|---|
| ① | 節炭器 | エコノマイザ | 水を温める |
| ② | ドラム | 蒸気ドラム | 蒸気を分ける |
| ③ | 過熱器 | スーパーヒータ | 蒸気を高温化 |
| ④ | 再熱器 | リヒータ | タービン後の蒸気を再加熱 |
| ⑤ | 空気予熱器 | エアヒータ | 燃焼空気を温める |
そもそもボイラは何をする装置?
ボイラ設備は 「お湯を沸かす装置」ではありません。 本質はこうです。
水 → 蒸気 → 高温蒸気 と、段階的に蒸気の質を上げる 複合装置群
ヤカンの巨大版だと思っているうちは、絶対に攻略できません。 「質を上げて効率を高める」 ために、5つの専門設備が役割分担している——これがボイラの正体です。
ランキンサイクルの中での位置づけ
ランキンサイクルは4工程の循環です。
- ボイラ:水を加熱して蒸気を作る ← ここを5装置で分担!
- タービン:膨張させて発電
- 復水器:冷却して水に戻す
- 給水ポンプ:加圧して再びボイラへ
つまり今回学ぶ5装置は、すべて ランキンサイクルの「①ボイラ工程」の中身を細かく分解したもの。位置づけがハッキリしていれば、計算問題でも迷子になりません。
① 節炭器(エコノマイザ):水を温める
- 役割:排ガスの余熱で給水を加熱する
- 位置:ボイラ入口、給水ポンプの後
- 効果:燃料節約 → ボイラ効率アップ
煙突から捨てるはずだった 排ガスの熱をリサイクル して、最初に水を温める装置。 だから名前も「節炭=炭(燃料)を節約する器」。英語の Economizer も「節約する人」の意味です。
② ドラム(蒸気ドラム):水と蒸気を分ける
- 役割:水と飽和蒸気を分離する
- 位置:ボイラの蒸発部の出口
- ポイント:貫流ボイラでは不要!
ボイラ内では水と蒸気が混ざった状態で出てきます。これを 上は蒸気、下は水 に分離するのがドラムの仕事。 タービンに送りたいのは「飽和蒸気」だけなので、水を混ぜたまま送ることは絶対に避けたい。
⚠️ 試験頻出:貫流ボイラではドラムが「無い」
ここが本当によく出ます。
貫流ボイラは構造上ドラムを省略した形なので、ドラムが存在しない。
「存在しない」ことを問われる珍しいパターンなので、知らないと素直に間違えます。 「貫流ボイラ=ドラムなし」 を反射で出せるようにしておきましょう。
③ 過熱器(スーパーヒータ):蒸気を高温化
- 役割:ドラムで作った飽和蒸気をさらに加熱し、過熱蒸気にする
- 位置:蒸発部の後段、タービン入口側
- 効果:タービン効率アップ+翼の保護
「過熱」と聞くと不穏ですが、要は 水滴ゼロの超高温・高圧ガス に進化させるということ。
なぜここまでやるか? 水滴が混じった「湿り蒸気」がタービンに突入すると、ものすごい速度で翼にぶつかってブレードを削り取ってしまう からです。 水って、たかが水滴と思いきや、高速で当たると工作物に対して凶器になるんですね。
→ だから飽和蒸気のまま送らず、過熱器で 完全に乾いた蒸気 にしてから送り出す。
④ 再熱器(リヒータ):もう一度温めて再投入
- 役割:高圧タービンで仕事をして温度が下がった蒸気を、ボイラに戻して再加熱
- 位置:高圧タービン → 再熱器 → 低圧タービン
- 効果:タービン効率アップ/湿り度低減/出力向上
ひとことで言えば 「もったいないの精神」。 高圧タービンを出た蒸気は仕事を終えてヘロヘロですが、まだエネルギーが残っています。 そこで再熱器でもう一度パワーチャージし、低圧タービンで最後の一仕事までさせる——という流れ。
[高圧タービン] → 抜き出し → [再熱器] → [低圧タービン]
↑
ボイラで再加熱
この2段構成が 現代の大型発電所の標準スタイル。再熱の有無で熱効率が大きく変わるので、試験でも頻出です。
⑤ 空気予熱器(エアヒータ):燃焼用空気を温める
- 役割:排ガスの余熱で 燃焼用空気 を加熱する
- 位置:ボイラの最終排ガス側
- 効果:燃焼効率アップ/燃料削減
節炭器と同じく排ガス余熱を活用しますが、こちらは加熱対象が「空気」。 冷たい空気をそのままバーナーに送り込むと、燃焼室の温度が下がって燃焼効率が落ちます。 事前に温めておけば 燃焼温度が上がり、燃料が無駄なく燃える わけです。
⚠️ 節炭器 vs 空気予熱器:混同注意
ここは本当によく狙われます。熱源は同じ・対象が違う とだけ覚えればOK。
| 比較項目 | 節炭器 | 空気予熱器 |
|---|---|---|
| 加熱する対象 | 給水(水) | 燃焼用空気(気体) |
| 熱源 | 排ガス | 排ガス |
| 別名 | エコノマイザ | エアヒータ |
| 位置 | ボイラ入口側(水の入口) | ボイラ最終排ガス側(空気の入口) |
ランキンサイクル×ボイラ設備の全貌マップ
最後に 2つの流れ で全体像を整理します。これは丸ごと頭に入れたい図です。
【水・蒸気の流れ】
給水ポンプ → 節炭器 → ドラム → 過熱器 → 高圧タービン
↓
再熱器 ← ─────┘
↓
低圧タービン → 復水器 → 給水ポンプへ戻る
【空気・排ガスの流れ】
外気 → 空気予熱器(温められる)→ 燃焼室 → 燃焼ガス → 過熱器・節炭器・空気予熱器で熱を渡す → 排気
水・蒸気の流れと、排ガスの流れを分けて捉えるのが合格の鍵!
各装置は「水を温めるのか/空気を温めるのか/蒸気を高温化するのか」を、この2つの流れの中で位置づけると、絶対に混同しなくなります。
まとめ:試験直前チェック表
| # | 装置 | 役割の核心 |
|---|---|---|
| ① | 節炭器 | 排ガス余熱で 給水 を加熱 |
| ② | ドラム | 水と飽和蒸気を分離(貫流ボイラでは不要) |
| ③ | 過熱器 | 飽和蒸気をさらに加熱し 過熱蒸気 にする |
| ④ | 再熱器 | タービンで仕事した蒸気をボイラに戻して再加熱 |
| ⑤ | 空気予熱器 | 排ガス余熱で 燃焼用空気 を加熱 |
暗記フレーズ:節→ド→過→再→空
5装置の 名前・役割・加熱対象 を整理すれば、ボイラ&ランキンサイクルは丸ごと得点源に変わります。
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