捨てた熱でもう一度発電!コンバインドサイクルの効率62%の正体
電験三種「電力」科目で必出のコンバインドサイクル発電を完全攻略。ブレイトン+ランキンの二段リレーで効率55〜62%を叩き出す仕組みと、総合効率式 η=ηg+ηs(1-ηg) の導出を、エネルギーの流れの図解で直感的に理解できる1記事です。
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この記事で身につくこと
電験三種「電力」科目の汽力・新エネルギー分野で、近年の本命となっているのが コンバインドサイクル発電。 聞き慣れないカタカナと、見た瞬間に呪文に見える総合効率式 η = ηg + ηs(1 − ηg) で、多くの受験生がここで挫折します。 でも本質は、「ガスで1回発電して、その排熱でもう1回発電する」だけ。エネルギーの流れを絵で追えば、公式は勝手に出てきます。
本記事を読み終えたら、
- コンバインドサイクル発電の仕組みを 二段リレー として説明できる
- 総合効率式 η=ηg+ηs(1−ηg) を 自力で導出 できる
- 汽力発電との違い・効率の差を、試験本番で即答できる
ようになります。
暗記フレーズ:ガスで発電、排熱で蒸気、二段で高効率!
燃料は1回、発電は2回
これがコンバインドサイクルの全て。 ガスタービンで一次発電 → その排熱(約500〜600℃)を捨てずに蒸気を作って二次発電。ブレイトンサイクル + ランキンサイクルのリレー だと思えば、頭の中で絵が描けるようになります。
仕組み:1回の燃料で2回発電するリレー
コンバインドサイクル発電は、性格の違う2つのサイクルを 直列につなぐ ことで成り立っています。
| 段 | サイクル | 役割 | 効率記号 |
|---|---|---|---|
| 1段目 | ブレイトンサイクル(ガスタービン) | 燃焼ガスでタービンを回す 一次発電 | ηg |
| 2段目 | ランキンサイクル(蒸気タービン) | 1段目の排熱で蒸気を作り、再びタービンを回す 二次発電 | ηs |
エネルギーの流れを左から右に追うと、
- 空気圧縮機(コンプレッサ) で空気を高圧に圧縮
- 燃焼器 で燃料と混ぜて燃焼 → 約600℃の高温ガス
- ガスタービン を回して一次発電(効率 ηg)
- 排ガス(まだ約500〜600℃!)を 排熱回収ボイラ(HRSG) に送り、水を蒸気に変える
- 蒸気タービン を回して二次発電(効率 ηs)
- 復水器 で蒸気を水に戻し、再びボイラへ
ポイントは 4番のHRSG。ここでは 燃料を一切追加しません。捨てるはずだったガスタービンの排熱を「無料の熱源」として使い、まるごと蒸気発電に流用してしまう。これが効率を爆上げする最大のカラクリです。
💡 試験頻出ポイント:ガスタービンの 消費動力の大部分は、実は空気圧縮機(コンプレッサ)で使われています。「ガスタービン=タービンが主役」と思い込んでいると引っかかる定番ネタです。
総合効率式の導出:呪文を絵で解きほぐす
ここからが本題。総合効率式 η = ηg + ηs(1 − ηg) を、エネルギーの流れの図 から導きます。
ステップ1:ガスタービン段のエネルギー
入力エネルギーを Pi(燃料の持つ熱量)とおきます。 ガスタービンの効率が ηg なので、
- 取り出せる電力:ηg × Pi
- 排熱として残る分:(1 − ηg) × Pi
普通の発電なら、右側の (1 − ηg)Pi は復水器で海に捨てて終了。これが従来型汽力発電の限界です。
ステップ2:排熱を蒸気タービンで再利用
コンバインドサイクルでは、この (1 − ηg)Pi を捨てずに蒸気タービンに流します。 蒸気タービンの効率を ηs とすれば、
- 追加で取り出せる電力:ηs × (1 − ηg) × Pi
つまり「残りカス」に ηs を掛けた分が、ボーナス発電として上乗せされる構図です。
ステップ3:合計して総合効率を出す
総合効率 η は、
η = (ガスタービン出力 + 蒸気タービン出力)/ 入力エネルギー
= ( ηg・Pi + ηs(1 − ηg)・Pi ) / Pi
= ηg + ηs(1 − ηg)
Pi がきれいに約分されて、見慣れた公式に到着します。
η = ηg + ηs(1 − ηg)
意味づけはシンプルで、
- 第1項 ηg:ガスタービン単体の効率(一次発電)
- 第2項 ηs(1 − ηg):使い切れなかった排熱から、蒸気タービンが拾い上げた分(二次発電)
最初は呪文に見えた式が、「一次発電 + 排熱回収分」という 足し算 だったとわかれば、もう怖くありません。
ηg が上がったら、蒸気タービンの出番は減る?
「ガスタービン側の効率 ηg がどんどん良くなったら、蒸気タービンっていらなくならない?」 鋭い疑問ですが、答えは 「出番は減るが、必ず合計効率は単独より高くなる」 です。
- ηg が大きくなる → (1 − ηg) が小さくなる → 蒸気タービンの寄与 ηs(1 − ηg) は 減る
- ただし (1 − ηg) は 絶対にゼロにはならない(排熱が完全にゼロの熱機関は不可能)
- なので 必ず ηg より大きい η が得られる → 二段利用は常に有利
これが「二段リレーは正義」と言われる理由です。
従来型 vs コンバインド:効率20%以上の差
最後に、汽力発電とのスペック比較を表で押さえておきましょう。
| 項目 | 従来型(汽力発電) | コンバインドサイクル発電 |
|---|---|---|
| 段数 | 単段 | 複合・二段 |
| 熱源 | 燃料の燃焼のみ | 燃料の燃焼 + 排熱の再利用 |
| 総合効率 | 約 40%台 | 55〜62% |
| 排熱の扱い | 復水器で海へ捨てる | HRSG で徹底的に使い切る |
| 起動・停止 | 遅い | 速い(需要変動に強い) |
効率差が 20ポイント以上 あるので、燃料代も CO₂ 排出量もまるごと下がる。さらに起動が速いため、需要が激しく変動する都市部近郊の発電所では GTCC(Gas Turbine Combined Cycle) として主力になっています。
まとめ
- コンバインドサイクル発電 = ブレイトン + ランキンの二段リレー
- ガスタービン排熱(約500〜600℃)を HRSG で回収し、蒸気タービンで再発電
- 総合効率式:η = ηg + ηs(1 − ηg)(一次発電 + 排熱回収分の足し算)
- 従来型 40%台 → コンバインド 55〜62% で、20%以上の効率アップ
- 試験頻出:消費動力の大部分は 空気圧縮機/排熱回収ボイラの正式名は HRSG
暗記フレーズ:ガスで発電、排熱で蒸気、二段で高効率!
この一言と、エネルギーの流れの絵さえ頭に入っていれば、コンバインドサイクル関連の問題はすべて怖くありません。
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