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電力 第9回 ⏱ 約15分で読めます

汽力発電の各効率を「エネルギーのバケツリレー」で完全攻略

電験三種「電力」科目で頻出の汽力発電・ランキンサイクルの各効率を、ボイラ→タービン→発電機→発電端→送電端の5段階バケツリレーで完全整理。複雑な公式も『効率=出力÷入力』の大原則と単位の相殺マジックで一気に攻略できる、計算問題対策の決定版です。

🃏 暗記フレーズ:燃料→蒸気→回転→電気→送電

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この記事で身につくこと

電験三種「電力」科目の汽力発電で、毎年のように出題されるのが ランキンサイクルの各効率。 ボイラ効率・タービン効率・発電機効率・発電端熱効率・送電端効率…と種類が多く、添字も ηB・ηt・ηT・ηG・ηP・ηS とゴチャゴチャしていて、ここで挫折する受験生が後を絶ちません

ですが安心してください。本質は エネルギーが燃料 → 蒸気 → 回転 → 電気 → 送電 へとバケツリレーで渡っていくだけ

本記事を読み終えたら、

  • 5つの効率を 黄金フレーズ1本 で順番に思い出せる
  • 公式に圧倒されず、どこの効率を聞かれているか を一瞬で判別できる
  • 「タービン効率」と「タービン室効率」の引っかけを 確実に見抜ける

ようになります。

暗記フレーズ:燃料→蒸気→回転→電気→送電

燃料 → 蒸気 → 回転 → 電気 → 送電

この5段階がバケツリレーの順番。そして全体効率は、

ηP = ηB × ηT × ηG(さらに送電損失を掛けると ηS)

と、ただの掛け算 で求まります。これさえ覚えていれば、あとは「どの場所の効率を聞かれているか」を式に当てはめるだけです。

すべての公式に通じるたった1つの大原則

ηB、ηt、ηT…と添字が変わっても、本質はすべて同じ。

η = 出力 ÷ 入力

これだけです。電験三種に登場する変数 Z、h、P などに圧倒される必要はありません。分母が「使ったエネルギー(入力)」、分子が「目的のエネルギーとして取り出せた量(出力)」 を表しているだけ。

何を代入するか迷ったら、まずこの大原則に戻ってきてください。

🃏 暗記シート
Q. すべての効率に通じるたった1つの大原則は?

① ボイラ効率 ηB:燃料の熱をどれだけ蒸気に変えられたか

ボイラに 燃料発熱量 BH を投入して、ボイラ水の吸熱量 Z(hs − hw) が出てくる。

ηB = Z(hs − hw) / BH
  • 入力:燃料発熱量 BH
  • 出力:ボイラ水が吸収して蒸気になった熱量 Z × Δh

ボイラの性能そのものを表す指標なので、添字も「Boiler の B」と覚えれば十分です。

② タービン効率 ηt:蒸気の熱を回転の力へ

考え方はボイラ効率とまったく同じ。消費熱量 Z(hs − ht) が入り、機械的出力 Pt が出てくる。

ηt = 3600 Pt / Z(hs − ht)

ここで「なぜ 3600 を掛けるのか?」が最初の関門です。

  • 分母 Z(hs − ht) は 1時間あたり の熱量 [kJ/h]
  • 分子 Pt [kW] は 1秒あたり のエネルギー [kJ/s]

単位が揃わないので、1時間 = 3600秒 を分子に掛けて [kJ/h] に統一しているだけ。

タービンのように出力が大きい設備は、秒単位だと数値が大きくなりすぎるため「毎時」でまとめるのが慣例です。電力量 [kWh] の計算と同じ発想ですね。

③ タービン効率 ηt と タービン室効率 ηT ── 引っかけ注意

ここが 電験三種で最頻出の引っかけポイント です。

効率分母(消費熱量)範囲に含む設備
タービン効率 ηt(小文字 t)hs − htタービンのみ
タービン室効率 ηT(大文字 T)hs − hwタービン + 復水器

タービン室」という言葉が出たら、復水器まで含む と即判断してください。 ランキンサイクルではタービンの次に復水器が来るので、計算のスタート地点(分母の引き算の基準点)が 復水器出口の給水 hw まで下がる のです。

1文字の違いで分母がガラッと変わる。試験本番では問題文の「室」の有無を必ず確認!

🃏 暗記シート
Q. タービン効率ηtとタービン室効率ηTの違いは?
💡 小文字t/大文字Tで分母が変わる

④ 発電機効率 ηG:機械の回転を電気エネルギーに

機械的出力 Pt を投入して、発電端電力 PG が出てくる。

ηG = PG / Pt

ここは 電力 [kW] ÷ 電力 [kW] で単位がそろっているので、3600 などの換算は不要。式もシンプルです。

実際の発電機効率は 95〜99% と非常に高く、汽力発電の中で 最もロスが少ない工程 です。

⑤ 発電端熱効率 ηP:発電所という巨大な箱の総合力

ここで「バケツリレーの結合」が起こります。燃料発熱量 BH を入れて、発電端電力 3600 PG を取り出す。

ηP = 3600 PG / BH = ηB × ηT × ηG

ボイラ・タービン室・発電機の3つの効率を 掛け算するだけ で、発電所内部の最終スコアが出る。

「燃料からどれだけ電気を作れたか」を表す、発電所の総合力指標 です。

⑥ 送電端効率 ηS:最終的に街へ届くエネルギー

発電所で作った電気も、送電線の途中で一部が失われます。送電損失率を L、送電損失を PL とすると、

ηS = ηP × (1 − L)
ηS = 3600 (PG − PL) / BH

電験三種で 最終的に問われるのは、たいていこの ηS。問題文に「送電端」とあったら、ηP からさらに送電損失を引く一段階を忘れずに。

なぜ掛け算で全体効率が出るのか ── 単位の相殺マジック

「効率を掛け算するだけで全体効率になる」のは直感に反するかもしれません。種明かしは 約分 です。

ηB × ηT × ηG
= (蒸気の熱 / 燃料の熱) × (機械の力 / 蒸気の熱) × (電気の力 / 機械の力)
= 電気の力 / 燃料の熱
= ηP

中間で作られた「蒸気の熱」と「機械の回転」は、次の工程の 入力として消費される ため、数式上できれいに相殺されます。これがバケツリレーの正体。「効率」という共通単位を介すことで、工程をまたいだ掛け算が成立するわけです。

🃏 暗記シート
Q. 発電端熱効率ηPは3つの効率の何で表せる?

効率を下げる最大の要因は「復水器の排熱」

汽力発電の総合効率は、最新鋭の超々臨界圧プラントでも 約40〜45%程度 にとどまります。その最大の犯人が 復水器で捨てている熱 です。

復水器が単位時間あたりに奪う熱量 W は、

W = Q × c × ρ × ΔT

(Q:冷却水流量、c:比熱、ρ:密度、ΔT:温度上昇)

これだけ大きな熱を海や川に捨てているからこそ、ηP は理論上の上限から大きく下回ります。

「だったら復水器なんて無くせばいい?」── ところがそうもいきません。

復水器は蒸気を水に戻す過程で 凝縮による吸引力(≒巨大なポンプ作用) を生み出しており、これが ランキンサイクルの水循環を支える命綱 になっています。エネルギーを失う代償に、サイクルを回し続ける役割を担っているわけです。

保存版:ランキンサイクル熱効率マスターマトリクス

最後に、5つの効率を1枚に整理します。試験直前の総ざらいに使ってください

場所効率入力出力公式
ボイラηB燃料発熱量 BHボイラ水の吸熱量Z(hs − hw) / BH
タービン室ηT消費熱量 Z(hs − hw)機械的出力 3600 Pt3600 Pt / Z(hs − hw)
発電機ηG機械的出力 Pt発電端電力 PGPG / Pt
発電端ηP燃料発熱量 BH発電端電力 3600 PG3600 PG / BH = ηB×ηT×ηG
送電端ηS燃料発熱量 BH送電端電力ηP × (1 − L)

迷ったらこの表に戻ってきてください。すべては 「どの場所か」「何のエネルギーへの変換か」 に帰着します。η の添字は区別のためのラベルにすぎないので、暗記対象ではありません。

🃏 暗記シート
Q. 汽力発電の効率を計算する順番(黄金フレーズ)は?

まとめ

  • 汽力発電の効率は 「燃料 → 蒸気 → 回転 → 電気 → 送電」のバケツリレー
  • 大原則は η = 出力 ÷ 入力、迷ったらここに戻る
  • 発電端熱効率は ηP = ηB × ηT × ηG、送電端は ηS = ηP × (1 − L)
  • タービン効率 ηtタービン室効率 ηT は復水器を含むかどうかで分母が変わる ── 引っかけ注意
  • 効率を下げる最大要因は 復水器の排熱 だが、復水器はサイクル循環の命綱でもある

暗記フレーズ:燃料 → 蒸気 → 回転 → 電気 → 送電

このリレーが頭に入っていれば、汽力発電の計算問題で添字に振り回されることはなくなります。電力科目の得点源にしていきましょう。

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