火力発電の公害対策|「発生は燃料・燃焼、排出は装置で止める」で2段攻略
電験三種「電力」科目の頻出テーマ・火力発電の公害対策を、SOx/NOx/ばいじんの3物質×『発生抑制(第1の壁)/排出抑制(第2の壁)』の2段マトリクスで一気に整理。脱硫とだっしょうの混同を防ぐ用語の覚え方、LNGが最強燃料と言われる理由まで、文章題で確実に得点するための1記事です。
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この記事で身につくこと
電験三種「電力」科目の文章題でほぼ毎回顔を出すのが 火力発電の公害対策。 SOx・NOx・ばいじんの3物質に、装置名や反応の種類が絡んできて、「脱硫とだっしょう、どっちがどっち…?」と混乱する受験生が後を絶ちません。
本記事を読み終えたら、
- 公害物質ごとの 発生抑制/排出抑制 をマトリクスで即答できる
- 「脱硫=石灰+水で中和」「だっしょう=触媒+アンモニアで還元」を絶対に取り違えない
- LNGがなぜ “最強燃料” 扱いされるのか、根拠を3つ言える
ようになります。
暗記フレーズ:発生は燃料・燃焼、排出は装置で止める
第1の壁=発生抑制(出さない工夫)/第2の壁=排出抑制(出たら取り除く)
火力発電所の中では、燃料+空気が燃焼ボイラへ入り、排ガスが排煙処理装置を通ってから煙突へ抜けます。 公害対策は、この流れの どこで止めるか によって2段に分かれます。
- 第1の壁(発生抑制):燃料の選択・燃焼方法の工夫で、そもそも公害物質を発生させない
- 第2の壁(排出抑制):発生してしまった分を、専用の排ガス処理装置で捕集・除去する
攻撃と防御の2段構え。この発想を持っているだけで、文章題の選択肢が一気に見えるようになります。
SOx(硫黄酸化物):硫黄を入れない/中和して取る
SOxは、燃料中の硫黄分(S)が燃焼時に酸化して発生 する酸性ガスで、酸性雨の原因物質です。
第1の壁:発生抑制
- LNG(液化天然ガス)の使用:硫黄分をほぼ含まないため、SOxはほぼゼロ
- 低硫黄燃料の採用:重油・石炭でも、含有硫黄分の少ない銘柄を選ぶ
第2の壁:排出抑制(排煙脱硫装置)
装置の名前は 排煙脱硫装置(はいえんだつりゅうそうち)。 仕組みは、アルカリ性の 石灰(水酸化カルシウム Ca(OH)₂)+水 を吸収液として、酸性ガスのSO₂に当て、中和反応 で取り除くというもの。
⚠️ 文章題のキモ:脱硫=石灰+水で「中和」。化学式までは書けなくてOK、キーワードは絶対セットで暗記。
NOx(窒素酸化物):温度を下げる/触媒で還元する
NOxは、燃料中の窒素だけでなく 高温燃焼によって空気中のN₂とO₂が反応して発生 するのが特徴(サーマルNOx)。光化学スモッグの原因物質です。
第1の壁:発生抑制 = とにかく「燃焼温度を下げる」
- LNGの使用:燃焼温度がもともと低めでNOxが出にくい
- 低NOxバーナ:炎の温度を下げる特殊な構造のバーナ
- 排ガス再循環(EGR):排ガスの一部を燃焼室に戻して温度上昇を抑制
第2の壁:排出抑制(排煙だっしょう装置)
装置の名前は 排煙だっしょう装置(漢字では「排煙脱硝」)。主流は 選択触媒還元法(SCR) です。
- 排ガス中のNOxに アンモニア(NH₃) を吹き込み、触媒 の働きで反応させる
- NOxは無害な 窒素(N₂)と水(H₂O)に “還元” される
⚠️ 文章題のキモ:だっしょう=触媒+アンモニアで「還元」。脱硫の “中和” と絶対に混同しない。
ばいじん:完全燃焼させる/静電気と布で捕まえる
ばいじん(煤塵)は、燃料中の灰分 や 不完全燃焼 によって生じる細かい粒子(スス)。特に 石炭火力 で多く発生します。
第1の壁:発生抑制 = いかに「完全燃焼」させるか
- 空気と燃料を よく混合 して、酸素を行き渡らせる
- 石炭は 微粉炭 にして表面積を稼ぎ、酸素との接触を増やす
第2の壁:排出抑制(電気集塵機・バグフィルタ)
| 装置 | 仕組み |
|---|---|
| 電気集塵機 | コロナ放電 で粒子を 負イオン に帯電させ、クーロン力(静電気)でプラス電極に吸着 |
| バグフィルタ | 巨大な 布製フィルタ に排ガスを通し、物理的に粒子を 濾し取る |
「電気の力でくっつける」か「フィルタで濾す」か、対比でセットで覚えておきましょう。
3大公害物質マトリクス(直前見直し用)
| 公害物質 | 発生抑制(第1の壁) | 排出抑制(第2の壁) |
|---|---|---|
| SOx(硫黄酸化物) | LNG・低硫黄燃料 | 排煙脱硫装置(石灰+水で中和) |
| NOx(窒素酸化物) | LNG・燃焼温度低下(低NOxバーナ・EGR) | 排煙だっしょう装置(触媒+アンモニアで還元) |
| ばいじん | 燃料と空気の混合・微粉炭で完全燃焼 | 電気集塵機(負イオンに帯電→静電気で捕集)/バグフィルタ |
総まとめポイントは、
SOxは「脱硫」、NOxは「だっしょう」、ばいじんは「集塵」。発生抑制は燃料・燃焼条件、排出抑制は装置名を正確に結びつけて暗記。
LNGが「最強の発生抑制燃料」と言われる理由
マトリクスを縦に眺めると気づくはずです。LNGがSOx・NOx・ばいじんのすべてに名前を連ねている ことに。
- 対SOx:硫黄分を含まない → 燃やしてもSOxが発生しない
- 対NOx:燃焼温度が比較的低くコントロールしやすい → サーマルNOxを抑えられる
- 対ばいじん:灰分を含まず気体で燃焼する → ススが基本的に発生しない
つまりLNGは、3大公害物質すべてに対して “第1の壁” を高くしてくれる万能選手。 文章題で「クリーン燃料」と問われたら、まずLNGを思い浮かべましょう。
試験で狙われる「用語のすり替え」に注意
電験三種の本試験では、次のような 装置と反応をすり替えた誤答選択肢 が定番です。
× 硫黄酸化物(SOx)の排出抑制として、触媒とアンモニア を用いた排煙だっしょう装置を採用している。
正しくは、SOxの排出抑制は 「石灰+水を用いた排煙脱硫装置」。 触媒+アンモニアの組み合わせは NOx対策のだっしょう装置 です。
この手の入れ替え問題は、マトリクスを頭に入れておけば一瞬で見抜けます。
まとめ
- 火力発電の公害対策は、発生抑制(第1の壁)/排出抑制(第2の壁) の2段構え
- SOx → 脱硫(石灰+水で中和)/NOx → だっしょう(触媒+アンモニアで還元)/ばいじん → 集塵(電気集塵機・バグフィルタ)
- 発生抑制は 燃料・燃焼条件、排出抑制は 装置名 で覚える
- LNGはSOx・NOx・ばいじんすべてに効く 最強の発生抑制燃料
暗記フレーズ:発生は燃料・燃焼、排出は装置で止める
このフレーズとマトリクスがセットで頭に入っていれば、公害対策の文章題はもう失点しません。
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