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機械 第14回 ⏱ 約23分で読めます

変圧器の負荷分担は『相手の%インピーダンス』で一瞬攻略

電験三種「機械」科目で頻出の変圧器並列運転と負荷分担を、魔法のフレーズ『相手の%インピーダンス』と水道管イメージで完全攻略。基準容量換算→分担電流→負荷分担の3ステップ公式を、ひっかけポイントごと整理した記事です。

🃏 暗記フレーズ:%インピーダンスは容量で換算、分担は「相手の%インピーダンス」で決まる

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変圧器の並列運転。テキストを開くと、似た形の分数がずらっと3つも4つも並んでいて、「どれがどれだか分からない」と手が止まった経験、ありませんか。

しかもこの単元、厄介なことに分子に自分の値を書くか、相手の値を書くかで答えが真逆になります。1文字違うだけで不正解。だから「なんとなく覚えている」状態が一番危ないんです。

でも安心してください。この単元は、覚えることがたった2つしかありません。「換算は容量比を掛けるだけ」「分担の分子は必ず相手」。この2つさえ身体に入れば、あとはどんな出題パターンでも同じ手順で処理できます。難しく見えるのは、公式の数が多いからではなく、似た形の式を別物として暗記しようとしているからなんです。

この記事で身につくこと

身につくことゴールの状態
基準容量換算「掛けるんだっけ、割るんだっけ」で止まらなくなる
%インピーダンスと容量の関係シーソーのイメージで大小関係を即答できる
分担電流の式分子が「相手」であることに迷いがなくなる
負荷分担の式電流と同じ形だと分かり、覚える公式が1つ減る
出題パターン換算→分担の2ステップで機械的に処理できる

数式の暗記量を増やすのではなく、むしろ減らすのがこの記事の目的です。

暗記フレーズ:%インピーダンスは容量で換算、分担は「相手の%インピーダンス」で決まる

まずはこの一文を、声に出して読んでみてください。

%インピーダンスは容量で換算、分担は「相手の%インピーダンス」で決まる

そして、その裏にある本質はもっと短く言えます。

並列運転は%インピーダンス勝負。%インピーダンスが小さい方が、たくさん働く。

変圧器の負荷分担|魔法の言葉「相手の%インピーダンス」

「小さい方がたくさん働く」——なんだか健気ですよね。この感情のフックが、本番で効いてきます。人間は無味乾燥な数式より、意味のあるイメージの方をずっと長く覚えていられるからです。

なぜ丸暗記だと本番で崩れるのか

この単元でつまずく人の大半は、公式そのものを知らないわけではありません。知っているのに、本番で分子と分母が入れ替わってしまうんです。

基準容量換算で9割が挫折する最大の罠

典型的な詰まり方は、次の3つに集約されます。

頭に浮かぶ迷いこの記事での解消法
罠1換算式は掛ける?割る?容量比を「掛ける」だけと確定させる
罠2分担の分子は自分?相手?水道管とオームの法則で理屈から納得する
罠3電流と電力で式は違う?全く同じ形だと知る

裏を返せば、この3つさえ潰せば、この単元は終わりということです。順番に片付けていきましょう。

ステップ1:基準容量換算は「容量比」を掛けるだけ

基準容量換算式|容量比を掛けるだけ(Step1)

まず、そもそもなぜ換算という作業が必要なのでしょうか。

%インピーダンスという値は、その変圧器自身の定格を基準にした「相対値」です。つまり、100kVAの変圧器の3%と、500kVAの変圧器の3%は、同じ「3%」でも中身の重みが全く違います。身長170cmの人の「体重の10%」と、力士の「体重の10%」が違うのと同じ理屈ですね。

比べられないものを比べるために、物差しをそろえる。それが基準容量換算です。

ダッシュ(‘)が付いているのは、「換算済みですよ」という自分への目印です。付けておくと、計算の途中で元の値と混ざる事故を防げます。

掛けるのか割るのかで迷わないコツ

覚え方はシンプルで、分数の上が「そろえたい先(基準容量)」、下が「もともとの自分(自己容量)」です。

状況容量比換算後の%Z
自己容量より基準容量が大きい1より大きい大きくなる
自己容量より基準容量が小さい1より小さい小さくなる
自己容量=基準容量1そのまま(換算不要)

並列運転の問題での鉄則は一つ。同じ基準容量にそろえてから比較する。ここを飛ばして生の%Zのまま比べると、その先の計算は全部ずれます。

🃏 暗記シート
Q. 変圧器の%インピーダンスを、別の基準容量に換算する式は?
💡 分数の上が「そろえたい先」

ステップ2:容量と%インピーダンスは「シーソーの関係」

変圧器の容量で換算後の%インピーダンスはどうなる|シーソー

同じ基準容量にそろえたとき、換算後の%インピーダンスがどう動くかを整理しておきます。ここは計算しなくても、大小関係だけで答えが出る問題がよく出ます。

変圧器の自己容量換算後の%Z’ひとことで言うと
大きい小さくなる余力のある大型機
小さい大きくなる手一杯の小型機

容量が大きいほど%Zは小さくなる。容量が小さいほど%Zは大きくなる。上がれば下がる、シーソーの関係です。

なぜそうなるかは、換算式の分母を見れば一目瞭然です。自己容量が分母にいるので、そこが大きい機械ほど計算結果は小さくなります。理屈もイメージも一致しているので、ここは忘れにくいはずです。

大型機は%Zが小さい → 後で出てくる「%Zが小さい方がたくさん働く」とつながる。つまり大きい変圧器がたくさん働く。当たり前の結論に着地しますよね。式が正しく使えている証拠です。

ステップ3:水道管で考える、電流の流れ方

%インピーダンスと水道管で考える|電流の流れ方

ここが、この単元でいちばん大事な感覚です。

並列運転を、2本の水道管で同時に水を流している状態だと思ってください。

水道管のたとえ電気の世界結果
太い管%インピーダンスが小さい水(電流)がたくさん流れる
細い管%インピーダンスが大きい水(電流)が少ししか流れない

%インピーダンスは、言ってしまえば流れにくさ(抵抗)です。抵抗が小さい方に電流がたくさん流れるのは、理論科目でさんざんやった並列回路の話とまったく同じ。新しい理屈は何一つ増えていません。

電気は目に見えないので、どうしても抽象的に感じます。でも水に置き換えた瞬間、身体感覚で分かるようになる。これがこの単元の攻略法です。

だから結論はこうなります。

%インピーダンスの大小が分担比率を決める。小さい方(=太い管)がたくさん働く。

🃏 暗記シート
Q. 変圧器の並列運転で、同じ基準容量に換算した%インピーダンスが小さい方の変圧器はどうなる?

なお、そもそも並列運転をするために満たすべき条件(極性・電圧比・%インピーダンスなど)が別途あります。「なぜその条件が要るのか」がぼんやりしている方は、変圧器の並列運転|4条件は「循環電流」だけで全部つながるを先に読んでおくと、この記事の内容がきれいに接続します。

ステップ4:分担電流の式は「相手側」が分子に来る

分担電流の式は「相手側」が分子に(Step2)

いよいよ最大の関門です。1号機に流れる分担電流 を求める式は、こうなります。

見てください。(自分)の分子に、(相手)が入っています。

初めて見ると「自分の式なのに、なぜ相手の値?」と気持ち悪く感じるはずです。この違和感こそが、多くの受験者を転ばせている正体です。

なぜ分子が「相手」なのか

理由は、たった一行で説明できます。電流はインピーダンスに反比例するからです。

オームの法則そのままですね。1号機のインピーダンスが小さければ小さいほど、1号機にはたくさん流れてほしい。ところが「自分の%Z」を分子に置くと、自分が小さいときに分担も小さくなってしまい、事実と逆になります。

そこで相手の値を分子に置くことで、反比例の関係を再現しているわけです。ひっかけでも意地悪でもなく、物理的に正しい形になっているだけなんです。

覚え方中身
数字の目印自分が「1」なら、分子は「2」
理屈の目印電流は抵抗に反比例するから、相手が分子
分母分母は自分も相手も同じ(%Z₁’ + %Z₂’)

分母は両者の合計なので、どちらの式でも共通です。変わるのは分子だけ、と押さえておけば混乱しません。

🃏 暗記シート
Q. 変圧器2台の並列運転で、1号機の分担電流I₁を求める式の分子に来るのはどちら側の%インピーダンス?
💡 自分が1なら分子は2

ステップ5:負荷分担も、電流とまったく同じ比率

負荷分担(kW)も電流と全く同じ比率(Step3)

ここは朗報です。負荷分担(kVAやkW)の式は、電流の式と完全に同じ形をしています。

分子はやはり「相手の%インピーダンス」。新しく覚える公式はゼロです。

考えてみれば当然で、並列運転している2台には同じ電圧がかかっています。電圧が共通なら、電力の比は電流の比とそのまま一致します。だから式が同じ形になるんですね。

求めたいもの全体量分子分母
分担電流 I₁全電流 I相手の%Z₂’%Z₁’ + %Z₂’
負荷分担 P₁全負荷 P相手の%Z₂’%Z₁’ + %Z₂’

表にすると、違いは「全体量が電流か電力か」だけ。3つあると思っていた公式が、実質2つに減りました。

🃏 暗記シート
Q. 変圧器の並列運転で、負荷分担P₁を求める式は分担電流の式とどう違う?

ステップ6:例題で手を動かす

例題1|基準容量への換算

基準容量への換算計算で力試し|Q&Aまる1

自己容量100kVA、%インピーダンス3%の変圧器を、基準容量500kVAに換算したときの%Z’は?

容量比を掛けるだけでしたね。

容量が5倍になったので、%インピーダンスも5倍の15%。それ以上でも以下でもありません。「割るんだったかな」と迷った瞬間に 0.6% という誤答が生まれますが、シーソーの関係を思い出せば、基準を大きく取れば%Zも大きく出ると納得できます。

例題2|どちらが多く負荷を持つか

換算後の%インピーダンスが「小さい変圧器」と「大きい変圧器」。並列運転時により多くの負荷を担当するのはどちら?

水道管を思い浮かべてください。太い管と細い管、どちらに水がたくさん流れるか。

答えは%インピーダンスが小さい変圧器です。%Z(流れにくさ)が小さい=太い管なので水が流れやすく、その分だけ多くの負荷を受け持ちます。計算不要、イメージだけで即答できる問題です。

まとめ

変圧器の並列運転で使う道具を、最後にひと目で確認しましょう。

ステップ覚えるポイント
Step1 基準容量換算%Z’ = %Z ×(基準容量÷自己容量)容量比を掛けるだけ
Step2 分担電流I₁ = I ×%Z₂’/(%Z₁’+%Z₂’)分子は相手
Step3 負荷分担P₁ = P ×%Z₂’/(%Z₁’+%Z₂’)電流と同じ形

そして、迷ったときに戻る場所はここです。

%インピーダンスは容量で換算、分担は「相手の%インピーダンス」で決まる

%インピーダンスが小さい(管が太い)方が、たくさん働く。

水道管のイメージと「相手の%Z」。この2つだけで、この単元の問題は全部解けます。3つの公式を別々に暗記していた頃と比べたら、負担は半分以下になったはずです。

なお、変圧器の計算全般でつまずきやすい一次換算(α²の話)が不安な方は、変圧器の計算は「α²」で全部解ける──L形等価回路と一次換算の極意も合わせて読むと、換算という考え方そのものが得意分野になります。

⚠ ここを間違える人が多い

実際の答案でよく起きている取り違えを、3つだけ挙げておきます。どれも「知らなかった」ではなく「うっかり」で落とす類のものです。

❌ 換算を飛ばして、生の%Zのまま比べてしまう

問題文に「2台の変圧器の%インピーダンスはそれぞれ3%と4%」と書いてあると、そのまま分担の式に放り込みたくなります。しかし自己容量が違う以上、その2つは同じ物差しで測られていません。

✅ 正しくは、必ずどちらかの容量(または問題が指定する基準容量)にそろえてから比較します。換算を飛ばした答えは、たまたま容量が同じでない限り必ず外れます。

❌ 分担の分子に「自分の%Z」を入れてしまう

これが最多の失点パターンです。 の式なのだから分子も1番、と手が勝手に動いてしまうんですね。

✅ 正しくは、分子は相手側。判定は簡単で、計算結果が「%Zの小さい方が大きな負荷を持っている」形になっているかを確認するだけです。もし%Zが小さい機械の分担が小さく出ていたら、分子を取り違えています。この検算は10秒でできるので、必ず入れてください。

❌ 電流と電力で別の公式を探してしまう

「電流の式は覚えたけど、kWのときはどうするんだ?」と、試験中に存在しない公式を探し始めてしまうケースです。

✅ 正しくは、同じ形をそのまま使います。並列なら電圧は共通なので、電流の比=電力の比。頭の中の引き出しは1つで足ります。

過去問ではこう出た

この単元は、機械科目のB問題・A問題のどちらでも顔を出す定番です。実際の出題実績を並べてみます。

年度問番号
令和7年 上期問9
令和7年 下期問9・問15
令和6年 上期問8・問9
令和6年 下期問8・問9
令和5年 上期問15

テーマで照合すると、電験ジムの収録範囲では39問がこの領域に該当します。

傾向としては、A問題では「換算後の%Zを求めさせる」「どちらが多く分担するかを問う」といった単発型が中心。B問題(問15前後)では、換算→分担電流→負荷分担と、この記事のStep1〜3をそのまま順番に踏ませる複合型が出ます。

つまり、手順を1本の流れとして体に入れておけば、A問題でもB問題でも同じ動きで対応できる単元です。実際の問題文で手を動かして確認してみてください。

電験ジムで実際に解いてみる

よくある質問

Q. 基準容量は、自分で好きに決めていいのですか?

はい、比較の物差しなので全機で同じ値にそろえてさえいれば、いくつでも構いません。1号機の自己容量に合わせても、10MVAのようなキリのいい値を使っても、最終的な分担比は同じになります。

ただし試験では、問題文が基準容量を指定している場合と、「2台のうち一方に合わせる」流れになっている場合があります。指定があればそれに従うのが安全です。自分で選ぶ場合は、計算が楽になる方(片方の自己容量)を取るのがおすすめです。

Q. %インピーダンスが同じ2台なら、負荷はどう分かれますか?

換算後の%Zが等しければ、分担は自己容量に比例して分かれます。式に入れてみれば分かりますが、分子と分母が同じ値で構成されるため、比率は容量比だけで決まる形になるからです。

これは理想的な状態で、どちらの変圧器も同じ「働き具合」になります。逆に%Zがずれていると、片方だけが先に定格いっぱいになり、もう片方に余力が残っていても、それ以上は負荷を増やせなくなります。並列運転で%Zをそろえたい理由は、ここにあるわけです。

Q. 3台以上の並列運転でも、同じ式が使えますか?

考え方は同じですが、「相手の%Z」という言い方は2台のときの表現です。3台以上では、各機のアドミタンス(%Zの逆数)の比で分けていると考えるのが素直です。2台の式も、突き詰めれば逆数の比を分数の形に整理したものにすぎません。

とはいえ電験三種の出題は2台の並列運転が圧倒的多数なので、まずは「分子は相手」を完全に固めるのが得点効率としては最優先です。

なお、変圧器を「複数台の組み合わせで使う」という発想が面白いと感じた方は、V-V結線は2台で三相|0.866と0.577の正体を完全攻略もぜひどうぞ。台数と容量の関係という、似た筋肉を使う単元です。

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この記事を書いた人

資格LABO

電験三種を含め、さまざまな資格を一発合格した経験をもとに、 忙しい社会人が最短距離で受かるための教材とYouTube解説を作っています。 暗記シート・講義ノートは累計2,000部を突破し、 多くの合格報告をいただいています。

保有資格

電気主任技術者電気工事士公害防止管理者放射線取扱主任者中学校・高等学校 教員免許
  • ⚡ 電験三種・電験二種の解説動画をYouTubeで公開中
  • 📚「勉強の過程」より「結果を重視」した教材の制作・販売
  • 🏋️ 過去問対策Webサービス「電験ジム」を開発・運営

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