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理論 第15回 ⏱ 約18分で読めます

静電力の矢印は「どうはんいいん」で一撃攻略

電験三種・理論の第一歩「静電力(クーロンの力)」の矢印で混乱しないための完全攻略記事。魔法の合言葉『同じは反発、違えば引力』と『2点を結ぶ一直線』のルールを押さえるだけで、9割の初学者がつまずく3つの罠を一発で回避できます。

🃏 暗記フレーズ:同じは反発、違えば引力。矢印は2点を結ぶ一直線上

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この記事で身につくこと

直流回路をひととおり終えて、いよいよ静電気の分野に入る。ここで多くの独学者が「あれ、今までと話が違うぞ」と手を止めます。回路図が消えて、いきなり点と矢印の世界になるからです。

でも、安心してください。この単元でやることは、突き詰めればたった2つだけです。

覚えること中身
① 力の向き同じ符号なら反発、違う符号なら引力
② 矢印の位置2つの点電荷を結ぶ一直線上に描く

この2つを押さえるだけで、静電力の基礎は9割が終わります。公式を丸暗記する前に、まずこの土台を作りましょう。土台さえあれば、あとから出てくるクーロンの法則の計算は「数字を入れるだけ」の作業になります。

静電力の矢印で混乱|魔法の合言葉「どうはんいいん」

暗記フレーズ:同じは反発、違えば引力

この単元の合言葉は、これだけです。

同じは反発、違えば引力

頭文字をとって「どうはんいいん」。4文字なので、試験会場で緊張していても口の中でつぶやけます。

  • 同じ符号どうし(+と+、−と−)は仲が悪い → 反発(離れる向き)
  • 違う符号どうし(+と−)は惹かれ合う → 引力(近づく向き)

磁石のN極・S極とまったく同じ感覚です。磁石で「N極とN極をくっつけようとすると押し返される」経験は誰でもありますよね。あの感覚をそのまま電気に持ち込んでいい、というだけの話です。新しく覚えることは、実はほとんどありません。

ステップ0:なぜ静電気で9割がつまずくのか

先に「敵の正体」を見ておきましょう。ここで落ちる人は、だいたい次の3つのどれかにハマっています。

静電気の罠3選|9割がここでつまずく

何が起きるか
① 専門用語の壁「帯電体」「点電荷」と漢字が並び、イメージが湧かず手が止まる
② 引力と斥力の混同プラスとマイナスがどう動くのか、本番の緊張で分からなくなる
③ 矢印の迷子計算する前に力の向きを適当に描き、ベクトル計算で自爆する

注目してほしいのは、3つとも「計算力の問題ではない」という点です。数学が苦手だから解けないのではなく、そもそもスタート地点の絵が描けていないから解けない。逆に言えば、ここは計算が苦手な人でも今日中に潰せる、いちばん費用対効果の高い場所です。

ステップ1:静電気・帯電体・点電荷を整理する

まずは用語です。似た漢字が並ぶので、ここで一度きれいに分けておきます。

点電荷の正体|大きさを無視する(Step1)

用語意味
静電気物質が帯びる電気そのもの。プラスかマイナスのどちらか
帯電体電気を帯びた「物体」
点電荷大きさを無視して「点」として扱った帯電体

なぜわざわざ「点」にするのか

ここが、独学だと飛ばされがちな急所です。

現実の帯電体は、四角かったり丸かったり、形がバラバラです。すると困ることが起きます。2つの物体の距離を、どこからどこまでで測ればいいのか決まらないのです。角から角なのか、中心から中心なのか、「このあたり」では計算になりません。

そこで、大きさをバッサリ無視して点にしてしまう。点と点なら距離はただ1つに決まります。これで距離が確定し、計算ができるようになる——これが点電荷という考え方の正体です。

物理で「力が働く場所を1点に決めて計算する」やり方を習った覚えがある方なら、その電気版だと思ってください。難しい話ではなく、人間が手計算できるようにするための工夫です。

🃏 暗記シート
Q. 静電力の計算で、帯電体をわざわざ「点電荷」として扱うのはなぜか?
💡 距離をどこから測る?

ステップ2:静電力Fの向きを決める

用語が片付いたら、いよいよ力の話です。

静電力Fは同種と異種で変わる|力のベクトル(Step2)

静電力 F は、電荷どうしの間に働く「力」です。力なので単位はニュートン[N]。ここで「電圧だからボルト」ではなく力の単位になる点は、意外と引っかかる人がいます。

電荷の組み合わせ働く力矢印の向き
+と+(同種)反発力(斥力)互いに離れる向き(外向き)
−と−(同種)反発力(斥力)互いに離れる向き(外向き)
+と−(異種)吸引力(引力)互いに近づく向き(内向き)

静電力の引力・斥力|魔法の合言葉

表を見れば分かるとおり、判断は符号が同じか違うかの一択です。「同じは反発、違えば引力」——これ以上の情報は要りません。

なお、力の大きさを求める段階になると、クーロンの法則

が登場します。距離 r が2乗で効くので、電荷が離れるほど力は急激に弱まります。ただし、大きさを計算する前に向きが決まっていないと、そもそも式に入る前で止まってしまう。だから順番として、向きが先なのです。

🃏 暗記シート
Q. 静電力において、2つの点電荷に働く力の向きを決める合言葉は?
💡 どうはん・いいん

ステップ3:矢印は「2点を結ぶ一直線上」に描く

ここが、この記事でいちばん伝えたい鉄則です。

一直線上が鉄則|矢印の正しい描き方

力の向きを示す矢印は、2つの点電荷を結ぶ一直線上に描く。

適当に斜め上へ矢印を引いてしまうと、その時点で図が間違いです。あとの計算をどれだけ丁寧にやっても、答えは合いません。逆に言えば、ここさえ守れば作図でのミスはほぼ消えます。

描き方は2ステップだけ

  1. まず、2つの点電荷を点線で結ぶ
  2. その点線から絶対にはみ出さないように、「反発」か「引力」の矢印を引く

順番が大事です。矢印から描くと、どうしても感覚で傾いてしまう。先に線を引いてしまえば、その上に乗せるだけになります。

図の状態
○ 正解2点を結ぶ点線の上に、矢印がきれいに乗っている
× 不正解矢印が斜め上・斜め下にずれ、点線から外れている

なお、点電荷が3つ以上あって力が複数working する場合、それらを合成した「合力」は斜めを向くことがあります。ただしそれは合成した結果の話で、1対1の力そのものは必ず直線上です。ここを混同しないでください。合成の話は、電界の分野に入ってから改めて扱います。

このあたりの「向きのある量(ベクトル)を足す」感覚が怪しい方は、先に電界計算は「電荷→電束→電気力線→電界」の一直線フローで攻略まで目を通しておくと、静電気の分野全体の地図が見えて理解が早くなります。

🃏 暗記シート
Q. 2つの点電荷に働く静電力の矢印は、どこに描くのが鉄則か?
💡 先に線、あとから矢印

ステップ4:ミニクイズで確認する

理屈が入ったところで、手を動かして確かめましょう。

静電力クイズ|2つの電荷に働く力の矢印は?

左下にプラスの点電荷、右上にマイナスの点電荷があります。正しい静電力の矢印はどれでしょうか。

考える順番は、いつも同じ2手です。

  1. 符号は? → +と− なので違う → 引力(内向き)
  2. 位置は? → 2点を結ぶ直線上に乗っているか

この2つを満たしているものが正解。向きだけ合っていても線から外れていればバツ、線上にあっても外向きならバツです。2条件の両方を確認する癖をつけてください。本番では、この確認に5秒もかかりません。

🃏 暗記シート
Q. 静電力で、プラスの点電荷とマイナスの点電荷が向かい合っているとき、力の向きはどうなるか?

まとめ

今日の内容を、この表1枚に圧縮します。試験直前に見返すのはここだけで十分です。

項目内容
静電気物質が帯びる電気。プラスかマイナス
帯電体電気を帯びた物体
点電荷大きさを無視した帯電体。距離計算を簡単にするため
静電力 F電荷どうしに働く力。単位はニュートン[N]
力の向き2つの電荷を結ぶ一直線上に描く
判断の合言葉同じは反発、違えば引力

回路の分野から急に絵が変わって戸惑ったと思いますが、やっていることは「符号を見て、線を引く」だけです。1回で完全に理解しようと気負う必要はありません。動画をもう一度見て、クイズをもう一度解く。それを何度か繰り返せば、必ず手が勝手に動くようになります。

なお、電力の公式まわりを並行して固めたい方はP=VI・P=RI²・P=V²/Rの使い分け|電力の公式も相性がいいので、休憩がてらどうぞ。

🃏 暗記シート
Q. 静電力Fの単位は何か?

⚠ ここを間違える人が多い

この単元は、計算ミスよりも思い込みによる失点が圧倒的に多い場所です。実際に出やすい取り違えを3つ挙げます。

❌ 矢印の向きだけ合わせて安心する

❌ こう思いがち:「引力だから内向き。向きが合っていれば正解だろう」 ✅ 正しくは:向きと位置の2つが揃って初めて正解です。内向きでも線から外れていれば、その図から出す答えは合いません。作図問題では位置のズレが減点対象になりますし、計算問題でも分解する角度が変わって数値が崩れます。

❌ 距離を「見た目の近さ」で判断する

❌ こう思いがち:「図の上でだいたい同じくらい離れているから、力も同じくらいだろう」 ✅ 正しくは:静電力は距離の2乗で効きます。距離が2倍になれば力は4分の1、3倍なら9分の1です。「ちょっと遠い」が「かなり弱い」に化けるので、見た目の感覚ではなく必ず数値で比べてください。同じ理由で、複数の電荷が並ぶ問題では「距離の合計が同じだから条件も同じ」という置き換えも成り立ちません。

❌ 単位の確認を飛ばす

❌ こう思いがち:「式さえ立てれば単位は勝手に合う」 ✅ 正しくは:選択肢式の試験では、単位(次元)が合わない選択肢を先に切るのが最速です。静電力ならニュートン[N]になっていなければおかしい。式を変形していて自信がなくなったとき、最後に単位を見るだけで誤答の候補が半分に減ることがあります。単位の感覚を鍛えたい方は1kWhは何kJ?=3,600kJ|kWhとkJの換算も一度おさらいしておくと効きます。

過去問ではこう出た

静電気・静電力の分野は、理論科目のなかでも出題頻度が安定して高い領域です。この単元にひも付く過去問として、次の4問が挙げられます。

年度問番号
平成27年問12
平成30年問1
令和1年問1
令和1年問16

注目してほしいのは問番号です。問1に2回登場している——つまり、理論科目の最初の1問目として出されることが珍しくありません。開始直後の緊張がいちばん強いタイミングで、この分野が待ち構えているわけです。ここで手が止まると、その後の時間配分まで崩れます。

逆に言えば、今日の「同じは反発、違えば引力」と「一直線ルール」が体に入っていれば、1問目を数十秒で片付けて、いい流れで残りに進めるということです。得点源としても、メンタル面でも、押さえる価値の大きい単元です。

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よくある質問

Q. 「斥力」と「反発力」は違うものですか?

同じものです。試験問題や参考書では「斥力(せきりょく)」という漢字が使われることが多く、解説では「反発力」と言い換えられることがあります。読み方が難しいので身構えてしまいますが、中身は「同じ符号どうしが押し合う力」で一つです。問題文に「斥力が働く」とあったら、頭の中で「反発だな」と置き換えて読んで構いません。

Q. 点電荷にすると、現実とズレてしまうのでは?

その疑問はまっとうです。実際、大きさを無視するのは近似です。ただし電験三種の問題は、そのズレが問題にならない条件で出題されます。だから安心して点として扱ってください。むしろ、点にせずに現実の形のまま計算しようとすると、手計算では到底解けない難易度になります。「試験で解ける形にするための約束事」だと割り切るのが正解です。

Q. 向きを間違えると、計算の答えも必ず間違いますか?

はい、ほぼ確実に間違います。力の大きさだけを問う問題なら数値が偶然合うこともありますが、電荷が複数あって合力を求める問題では、1本の矢印の向きが逆になった瞬間に足し算が引き算に変わり、答えが別物になります。だからこそ、計算に入る前に図を確定させる手順が大事なのです。焦っているときほど、まず2点を点線で結ぶ。この一手間が最終的にいちばん速い道になります。

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この記事を書いた人

資格LABO

電験三種を含め、さまざまな資格を一発合格した経験をもとに、 忙しい社会人が最短距離で受かるための教材とYouTube解説を作っています。 暗記シート・講義ノートは累計2,000部を突破し、 多くの合格報告をいただいています。

保有資格

電気主任技術者電気工事士公害防止管理者放射線取扱主任者中学校・高等学校 教員免許
  • ⚡ 電験三種・電験二種の解説動画をYouTubeで公開中
  • 📚「勉強の過程」より「結果を重視」した教材の制作・販売
  • 🏋️ 過去問対策Webサービス「電験ジム」を開発・運営

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