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理論 第13回 ⏱ 約22分で読めます

P=VI・P=RI²・P=V²/Rの使い分け|電力の公式

電力の公式は P=VI、P=RI²、P=V²/R の3つ。どれを使うかは「分かっている値」で決まります。オームの法則から導かれる兄弟公式として整理し、電験三種・理論で必ず出る『電力の3大公式(P=VI、P=RI²、P=V²/R)』を、オームの法則から導かれる兄弟公式として整理。9割の受験生が混同する

🃏 暗記フレーズ:電力イコール 電圧かける電流

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この記事で身につくこと

電験三種の理論を勉強していて、こんなふうに手が止まったことはありませんか。

「電力の公式が3つもある。P=VI、P=RI²、P=V²/R……どれを使えばいいのか、毎回迷う」

安心してください。この3つはバラバラの公式ではありません。もとをたどれば、たった1本の式から生まれた「兄弟」です。親は P=VI。ここにオームの法則を代入するだけで、残りの2本が自動的に出てきます。つまり、丸暗記するのは1本だけでいいのです。

さらに、使い分けにも迷う必要はありません。問題文で「何が与えられているか」を見れば、使う公式は一発で決まります。電流が分かっていれば RI²、電圧が分かっていれば V²/R。それだけです。

この記事を読み終えると、次のことができるようになります。

  • 電力とは何か(1秒間に電気がする仕事)を、身近な例でイメージできる
  • P=VI から、P=RI² と P=V²/R をその場で導ける
  • 問題文の条件を見て、使うべき公式を迷わず選べる
  • 電力量 [Wh] と送電線の電力損失まで、同じ土俵で計算できる

「公式が多くて苦手」だった単元が、「条件を見るだけで解ける、いちばん確実な得点源」に変わります。

電力の3大公式を完全攻略|P=VI、P=V²/R、P=RI²

暗記フレーズ:電力イコール 電圧かける電流

この単元で、まず頭に焼き付けてほしいのはこの一言です。

電力イコール 電圧かける電流

短いですが、これが電力計算のすべての親です。この1本さえ体に入っていれば、残りの2本は思い出す必要すらありません。その場で作れるからです。

逆に言えば、ここがあいまいなまま3本を丸暗記しようとすると、必ずどこかで取り違えます。「あれ、Iの2乗だったか、Vの2乗だったか」と迷った経験がある方は、覚え方の順番が逆になっているだけです。親から入り直せば、驚くほど整理されます。

🃏 暗記シート
Q. 電力の基本式(電力の3大公式の親にあたる式)を答えてください
💡 暗記フレーズそのまま

ステップ1:そもそも「電力」とは何か

公式の話に入る前に、言葉の意味をはっきりさせておきましょう。ここが曖昧だと、後で必ず足を取られます。

電力とは、1秒間に電気がする仕事のことです。単位は W(ワット)。

電力とは|1秒間に電気がする仕事[W]

大事なのは「1秒間に」という部分です。電力はではなく勢い(ペース)を表しています。

イメージしやすいのは電子レンジです。500W と 600W、どちらが早く温まるかと言えば600Wですね。あれは「1秒あたりに投入している仕事量が大きい」という意味なのです。ドライヤーの1200W、電気ストーブの800W——身の回りの家電に書かれているW表示は、すべてこの「1秒間の仕事」を表しています。

試験問題の中の P[W] も、まったく同じものです。難しい記号に見えますが、正体は電子レンジの数字と同じ。ここが腑に落ちると、電力という言葉への苦手意識がずいぶん軽くなります。

🃏 暗記シート
Q. 電験三種の理論で扱う「電力」とは、ひと言でいうと何ですか
💡 電子レンジの500W・600W

ステップ2:電気が熱に変わる、という現象

次に、電力が実際に「何をしているのか」を押さえます。

抵抗に電流が流れると、抵抗は発熱して温度が上がります。これは理論的に言えば、電気エネルギーが熱エネルギーに変換されたということです。

熱エネルギーへ変わる身近な現象

冬場のヒーター、電気ストーブ、電子レンジ。どれも「電気を熱に変えて仕事をさせている」機器です。電気が消えてなくなったのではなく、姿を変えて仕事をした——この見方ができると、次に出てくる「電力損失」の話もすんなり入ってきます。

つまり、電力を計算するというのは「その抵抗が、1秒間にどれだけの熱を生み出しているか」を計算することでもあるわけです。

ステップ3:直流回路で見る、電力消費の本質

ここで回路図に落とし込みます。

電源 V[V] が電気を送り出し、電流 I[A] が回路を流れ、抵抗 R[Ω] のところで熱として放出される。これが電力消費の全体像です。

直流回路図で見る電力のメカニズム

電源が頑張って供給した電気エネルギーが、抵抗のところで熱に化ける。図で見ると、たったこれだけの話です。

そしてこの回路の中では、V・I・R の3つがオームの法則 V = I × R で結ばれています。この関係があるからこそ、次のステップで公式が「変形」できるのです。

オームの法則のあたりが少し怪しいという方は、先に合成抵抗で電圧・電流は完全に逆転する:直列『電流ひとつ』/並列『電圧ひとつ』に目を通しておくと、この先の代入がぐっと楽になります。回路の中でVとIがどう決まるかが分かっていれば、公式変形はただの計算作業になります。

ステップ4:基本式 P = VI(電力計算の親)

いよいよ本丸です。電力の基本式はこれです。

基本式 P=VI|電力=電圧×電流

電力イコール 電圧かける電流。押す力(電圧)と、流れる量(電流)を掛け合わせたものが、1秒間の仕事量になる——理屈としても素直です。

この式が「親」である理由は単純で、残りの2本はここから作られるからです。逆はできません。P=RI² から P=VI を思い出そうとしても遠回りになります。ですから、覚えるならここ、迷ったら戻るのもここ。この一本を絶対の基準にしてください。

ステップ5:電流Iと抵抗Rで解く P = RI²

では、変形していきましょう。ここは「暗記」ではなく「その場で作る」感覚を身につけてほしいところです。

スタートは、いつも同じ P = VI です。ここに、オームの法則 V = RI を代入します。

電流Iと抵抗Rで解く|P=RI²

出てきました。P = RI² です。

注目すべきは、この式に登場する文字が R と I だけになっていること。V が消えています。ということは、この式は——

条件①:電流 I が分かっているときに使う!

電流と抵抗が与えられている問題では、迷わずこれを選びます。「Vが分からないから解けない」ではなく、「Vが要らない式に持ち込む」わけです。この発想の転換ができると、電力問題は一気に軽くなります。

🃏 暗記シート
Q. 電力の3大公式のうち、電流 I と抵抗 R が分かっているときに使う式は?
💡 Iの2乗を忘れずに

ステップ6:電圧Vと抵抗Rで解く P = V² / R

もう1本も、まったく同じ手順です。スタートは変わらず P = VI。今度はオームの法則を I = V / R の形で代入します。

電圧Vと抵抗Rで解く|P=V²/R

P = V² / R の完成です。

こちらは文字が V と R だけ。今度は I が消えました。したがって——

条件②:電圧 V が分かっているときに使う!

3本の式を並べてみると、きれいな兄弟関係が見えてきます。

  • 親:P = VI(VとIで解く)
  • 弟その1:P = RI²(Vを追い出した式)
  • 弟その2:P = V²/R(Iを追い出した式)

3本ともすべてオームの法則から派生している——ここが、この単元の核心です。3つ覚えるのではなく、1つ覚えて2回変形する。それだけの話だったのです。

🃏 暗記シート
Q. 電力の3大公式のうち、電圧 V と抵抗 R が分かっているときに使う式は?

ステップ7:使い分けマトリクス(これで一発判定)

ここまでの内容を、1枚の表にまとめます。試験本番で思い出すのは、この表だけで十分です。

3大公式の使い分けマトリクス

分かっている条件使うべき公式
電圧 V と 電流 I
電流 I と 抵抗 R
電圧 V と 抵抗 R

見ていただくと分かるとおり、与えられた条件で、使う公式が一発で決まります。考える余地がありません。

だからこそ、問題を解くときの最初の動作はいつも同じにしてください。

  1. 問題文から、分かっている量に印をつける
  2. この表と照らし合わせて、公式を選ぶ
  3. 代入する

「どの公式だったかな」と悩む時間がゼロになります。電験三種の理論は時間との勝負でもありますから、この一手間の省略は効いてきます。

ステップ8:電力量[Wh]と電力損失への応用

電力の3大公式が「超重要」と言われるのは、ここから先に直結しているからです。電力単体で終わる話ではありません。

上へ伸ばすと、電力量です。

電力 P に時間 t を掛けたものが電力量 W[Wh]。

電力が「1秒間の仕事のペース」でしたから、それを時間で積み上げれば総量になる、という当たり前の話です。時間に比例して蓄積されていきます。電気料金の請求書に kWh と書かれているのは、まさにこれを積算した値ですね。

なお、この電力量については単位の換算(kWhとkJ)がよく問われます。あわせて1kWhは何kJ?=3,600kJ|kWhとkJの換算も読んでおくと、電力→電力量の流れが1本につながります。

下へ伸ばすと、電力損失です。

送電線には抵抗があるので、電気を送る途中で熱になって逃げていく分があります。これが電力損失で、式はこうです。

見覚えがありますね。ステップ5で導いた P = RI² と、まったく同じ形です。送電線という抵抗に電流が流れて発熱する——現象が同じなのですから、式が同じなのは当然のことです。

「電力」で覚えた1本が、そのまま「損失」でも使える。覚える量が増えないどころか、むしろ減っていく。これが、公式を丸暗記ではなく仕組みで理解する強みです。

🃏 暗記シート
Q. 送電線などで発生する電力損失 PL を、電流 I と抵抗 R で表す式は?

ステップ9:練習問題で仕上げる

では、実際に手を動かしてみましょう。

【問題】 ある抵抗器の抵抗値が 20[Ω]、流れている電流が 3[A] でした。この抵抗器で消費される電力 P[W] はいくらでしょうか。

ここで大切なのは、いきなり計算を始めないことです。まず「何が分かっているか」を確認してください。……分かっているのは、抵抗と電流ですね。

答えが出せたら、下へ進んでください。

解答:180 W

Step1/条件の整理

  • 抵抗 R = 20[Ω]
  • 電流 I = 3[A]

Step2/公式の選択

分かっているのは I と R。使い分けマトリクスの中段どおり、選ぶ式は P = RI² です。

Step3/代入と計算

正解は 180[W] でした。

もし間違えていても、まったく気にしないでください。大事なのは、Step2の「条件を見て公式を選ぶ」という手順が身についているかどうかです。そこさえ習慣になれば、数字が変わっても、抵抗が並列になっても、やることは同じです。何度も繰り返して、確実な得点源に仕上げていきましょう。

🃏 暗記シート
Q. 電験三種の電力計算で、抵抗20Ωに電流3Aが流れているときの消費電力は?
💡 IとRが分かっている=使う式は決まっている

まとめ

電力の3大公式を、もう一度整理します。

1. 覚えるのは1本だけ

暗記フレーズは「電力イコール 電圧かける電流」。これが親です。

2. 残り2本は、オームの法則を代入して作る

V=RI を入れれば RI²、I=V/R を入れれば V²/R。3本ともオームの法則から生まれた兄弟です。

3. 使い分けは条件で一発判定

VとI なら P=VI/IとR なら P=RI²/VとR なら P=V²/R。問題文を読んだら、まず「何が与えられているか」に印をつける。それだけで式が決まります。

4. 電力量と損失まで一気通貫

W = Pt で電力量[Wh]、PL = RI² で送電線の損失。土台はすべて同じ式です。

公式が3つあると聞くと身構えてしまいますが、正体は「1本+変形2回」。覚える負担がいちばん軽く、それでいて出題頻度が高い——電験三種の理論の中でも、これほど費用対効果の良い単元はそう多くありません。ぜひ確実に取りきってください。

⚠ ここを間違える人が多い

計算そのものより、手前の「選び方」で失点するのがこの単元の特徴です。よくある取り違えを2つ挙げておきます。

❌ 2乗をつける文字を取り違える

「Vの2乗だったか、Iの2乗だったか」で迷い、 のような存在しない式を書いてしまうパターンです。

✅ 迷ったら、その場で作り直してください。P=VI に V=RI を入れれば、掛けられた I がもともとの I と並んで 。V を入れる側なら 自分で1行変形すれば、2乗の位置は絶対に間違えません。丸暗記に頼るから迷うのであって、導出できる人は迷いようがないのです。

❌ 電力[W]と電力量[Wh]を混同する

「1時間使ったときの電力は?」といった問われ方で、P と W を取り違えるパターンです。

電力は1秒間の仕事のペース、電力量はそれを時間で積み上げた総量です。単位を見れば区別できます。W なら瞬間のペース、Wh なら時間ぶんの総量。問題文に「〜時間」という言葉が出てきたら、聞かれているのは電力量ではないか、と一度立ち止まる癖をつけると安全です。

この2つは、慣れれば必ず防げるミスです。裏を返せば、ここさえ潰しておけば、この単元での取りこぼしはほぼ無くなります。

よくある質問

Q. 3つの公式は、全部暗記しないとダメですか?

いいえ、P = VI の1本だけで十分です。残りの2本は、オームの法則(V=RI、I=V/R)を代入すれば、その場で10秒もかからず作れます。

もちろん、繰り返し使っているうちに も自然と口をついて出るようになります。それはそれで結構なことですが、「忘れても作れる」という安心感を先に手に入れてください。試験本番で記憶が飛んだときに、自力で復旧できる人は強いです。

Q. P=RI² と P=V²/R は、どちらを使っても同じ答えになりますか?

同じ回路について正しい値を代入していれば、当然どちらでも同じ答えになります。3本とも同じ式を変形しただけですから、矛盾するはずがありません。

ただし実際の問題では、片方は「与えられていない量」を含んでいて使えないことがほとんどです。だから使い分けが必要になる、というだけの話です。「どちらが正しいか」ではなく「どちらが今すぐ使えるか」で選んでください。

なお、抵抗が直列や並列で組み合わさっている問題では、まず合成抵抗を出してから公式に入る流れになります。回路が複雑に見えるときはブリッジ平衡回路を瞬殺!「積のクロス」で複雑回路を一発解決のような「回路を整理する技」が効いてきますので、あわせて押さえておくと安心です。

Q. 送電線の電力損失の式が P=RI² と同じなのは、なぜですか?

起きている現象がまったく同じだからです。

送電線も、電気的に見れば1つの抵抗です。そこに電流が流れれば発熱します。抵抗に電流が流れて熱になる——これは、ステップ2で見た「電気エネルギーが熱エネルギーに変わる」現象そのものですね。

現象が同じなら、それを表す式も同じになります。名前が「消費電力」から「電力損失」に変わっているのは、その熱が目的の仕事なのか、途中で漏れた無駄なのかという立場の違いにすぎません。電気ストーブの熱は目的、送電線の熱は損失。式は同じでも、扱いが違うわけです。

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この記事を書いた人

資格LABO

電験三種を含め、さまざまな資格を一発合格した経験をもとに、 忙しい社会人が最短距離で受かるための教材とYouTube解説を作っています。 暗記シート・講義ノートは累計2,000部を突破し、 多くの合格報告をいただいています。

保有資格

電気主任技術者電気工事士公害防止管理者放射線取扱主任者中学校・高等学校 教員免許
  • ⚡ 電験三種・電験二種の解説動画をYouTubeで公開中
  • 📚「勉強の過程」より「結果を重視」した教材の制作・販売
  • 🏋️ 過去問対策Webサービス「電験ジム」を開発・運営

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