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理論 第11回 ⏱ 約23分で読めます

合成抵抗で電圧・電流は完全に逆転する:直列『電流ひとつ』/並列『電圧ひとつ』

電験三種「理論」で必ず出る『合成抵抗が変わると電圧・電流はどう振る舞うか』を完全攻略。直列は『電流ひとつ』、並列は『電圧ひとつ』。たった一行の合言葉で、分圧・分流・計器の接続まで一気通貫で解けるようになります。

🃏 暗記フレーズ:直列は電流ひとつ、並列は電圧ひとつ

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この記事で身につくこと

回路図を見た瞬間、「ここは電圧が分かれるのか、電流が分かれるのか」で手が止まる——独学で理論をやっていると、ほぼ全員がここで一度つまずきます。合成抵抗の公式は覚えたのに、いざ問題を解くと V と I のどちらを共通に置けばいいのか分からなくなる。あの気持ち悪さの正体は、公式を覚えていないことではなく、直列と並列で「何が一定なのか」が完全に逆になるという一点を、言葉として持っていないことにあります。

逆に言えば、その一言さえ手に入れば、この単元はあっけないほど簡単になります。今回覚えるのは、たったこれだけです。

直列は「電流ひとつ」、並列は「電圧ひとつ」。

この記事を読み終えると、次の状態になります。

身につくこと具体的にできるようになること
逆転法則回路を見て「一定なのは V か I か」を即断できる
合成抵抗直列は足し算、並列は和分の積、を意味ごと理解して使える
分圧直列で各抵抗にかかる電圧を、抵抗の比だけで出せる
分流並列で各枝に流れる電流を、抵抗の逆比で出せる
計器の接続電流計は直列、電圧計は並列、を理由つきで説明できる

数式はほとんど出てきません。出てくるのは足し算・掛け算・割り算だけです。安心して読み進めてください。

暗記フレーズ:直列は電流ひとつ、並列は電圧ひとつ

試験会場で頭が真っ白になったとき、思い出すのはこの一言だけで十分です。

直列は「電流ひとつ」、並列は「電圧ひとつ」。

「ひとつ」とは、回路のどこを測っても同じ値であるという意味です。直列回路では電流がひとつしかない(=共通)。だから残りの電圧のほうが分かれます。並列回路では電圧がひとつしかない(=共通)。だから残りの電流のほうが分かれます。

つまり「ひとつ」と言われなかったほうが、必ず分かれる。この二段構えで覚えると、片方を思い出せばもう片方も自動的に出てきます。

🃏 暗記シート
Q. 抵抗の直列接続と並列接続、それぞれ「一定になる量」は電圧・電流のどちらか?
💡 「ひとつ」と言われなかったほうが分かれる

ステップ1:なぜこの知識が「計算の入口」なのか

回路計算の基本ルート|抵抗→電流電圧→電力

電験三種の計算問題は、見た目がどれだけ複雑でも、進む道は三段階に決まっています。

段階やること使う道具
抵抗 R を合成して、1個にまとめる直列・並列のルール
電流 I または電圧 V を求めるオームの法則
電力 W、損失 W を求める電力の式

最終的に問われるのは③の電力であることが多いのですが、その手前の①を間違えると、②も③も全滅します。逆に①さえ正確なら、あとは一本道です。

そして①の判断材料が、まさに「直列か、並列か」なのです。ここが今日の話が「入口」である理由です。②で使うオームの法則そのものが不安な方は、先に〈オームの法則は「公式円」で攻略!V=RIで電験計算の9割が片付く〉に目を通しておくと、この先の計算がぐっと軽くなります。

ステップ2:今日の核心——直列と並列は「完全に逆」

本日の核心|直列「電流ひとつ」並列「電圧ひとつ」

直列と並列では合成抵抗の求め方が変わります。そしてそれに引きずられて、電圧が変わるのか、電流が変わるのかも、きれいに裏返る。ここが今日の核心です。

接続暗記フレーズルール
直列直列は電流ひとつ電流は一定、電圧が抵抗ごとに分かれる
並列並列は電圧ひとつ電圧は一定、電流が枝ごとに分かれる

対になっているので、片方だけ覚えれば残りは裏返すだけです。丸暗記する量は、実質「半分」でいいということになります。

ステップ3:直列接続①——電流は一本道、電圧は分け合う

直列接続①|イメージと基本ルール(I一定、V分かれる)

直列接続は、抵抗が一本道に並んでいる形です。

電流のほうは、水の流れをイメージしてください。一本道の川なら、上流でも下流でも流れる水の量は変わりません。途中で水がどこかへ消えることはないからです。だから直列では、どこにテスターを当てても電流は同じ値になります。

電圧のほうは、電源の電圧を各抵抗が分け合っていると考えます。この「分け合う」ことを、分ける圧と書いて 分圧 と呼びます。

ステップ4:直列接続②——合成抵抗は「足し算」で増える

直列接続②|合成抵抗R=R1+R2の仕組み

直列の合成抵抗は、ただの足し算です。増えることはあっても、減ることはありません。

理屈は「障害物リレー」で考えると腹落ちします。一本道に障害物(抵抗)が次々に現れる状態です。ハードルが増えれば増えるほど走者は走りにくくなり、タイムは伸びる。同じように、抵抗が増えれば電流(水)は流れにくくなります。

直列=道が長くなる=流れにくくなる=合成抵抗は増える。

なお、合成抵抗の計算そのものに不安が残る方は、〈合成抵抗、ここで9割が挫折します。『積和(せきわ)』で一発攻略〉で計算パターンを一度おさらいしてから戻ってくると、この先が驚くほど楽になります。

ステップ5:直列接続③——分圧は「抵抗値に比例」

直列接続③|各抵抗にかかる電圧(分圧)

直列では電流 I が共通でした。ということは、各抵抗にかかる電圧はオームの法則をそのまま当てはめるだけで出ます。

共通の I が掛かっているだけなので、電圧は抵抗値にそのまま比例します。抵抗が2倍なら電圧も2倍。ここが分圧の本質です。

障害物リレーのたとえで言えば、大きすぎるハードルにぶつかったところでタイムを大きく食われる、というイメージです。大きな抵抗のところで、大きな電圧が消費されます。

🃏 暗記シート
Q. 抵抗の直列接続で、各抵抗にかかる電圧は何に比例するか。またその理由は?
💡 共通の I を掛けているだけ

ステップ6:並列接続①——電圧は共通、電流が枝分かれ

並列接続①|イメージと基本ルール(V一定、I分かれる)

並列接続は、抵抗が枝分かれして並んでいる形です。直列とは、見事に逆になります。

電圧のほうは、「落差」でイメージすると分かりやすいです。同じ高さから水を落とすなら、どのルートを通っても落差は同じ。だから並列では、どの枝にも同じ電圧がかかります。

電流のほうは、川が分かれる姿そのものです。全体の水量が、それぞれの枝に分配される。合計すればもとの量に戻ります。

ステップ7:並列接続②——合成抵抗は「和分の積」で小さくなる

並列接続②|合成抵抗と「和分の積」

抵抗2個の並列合成は、次の式です。

これが有名な 和分の積、通称「積和(せきわ)」です。覚え方は単純で、上が積、下が和。「せき・わ」の順に唱えるだけです。順番を逆にすると答えが合わなくなるので、口に出して覚えてしまうのが結局いちばん早い。

そして必ず押さえてほしいのが、並列にすると合成抵抗は必ず小さくなるという事実です。理由は水の抜け道で考えれば当たり前で、通り道が増えるほど全体としては流れやすくなるからです。

直列=道が長くなる=流れにくい。並列=道が増える=流れやすい。

計算結果が「元のどの抵抗よりも小さい値」になっていなければ、それは計算ミスです。この検算だけで、並列のうっかりミスはかなり潰せます。

ステップ8:並列接続③——分流は「抵抗値に反比例」

並列接続③|各抵抗に流れる電流(分流)

並列では電圧 V が共通でした。ということは、各枝の電流もオームの法則をそのまま当てはめれば出ます。

今度は R が分母にいるので、電流は抵抗値に反比例します。抵抗が小さい枝、つまり通りやすい道ほど、たくさんの電流が流れる。当たり前といえば当たり前ですが、この「当たり前」を式で確認しておくことが大切です。これが 分流 です。

分圧は比例、分流は反比例。この対の関係で覚えておくと、本番で取り違えません。

🃏 暗記シート
Q. 抵抗の並列接続で、各枝に流れる電流は何に比例するか。またその理由は?
💡 R が分母にいる

ステップ9:直列 vs 並列 完全比較マトリクス

ここまでの内容を、1つの表にまとめます。試験直前に見返すなら、この表だけで足ります。

項目直列接続並列接続
電圧 V分かれる(V = V1 + V2)一定(V = V)
電流 I一定(I = I)分かれる(I = I1 + I2)
合成抵抗増える(R1 + R2)小さくなる(和分の積)
各抵抗の値の決まり方電圧は抵抗に比例(分圧)電流は抵抗に反比例(分流)
イメージ一本道に障害物が並ぶ川が枝分かれする
暗記フレーズ電流ひとつ電圧ひとつ

上から2行を見てください。電圧と電流の欄が、きれいに入れ替わっています。この「逆転」こそが今日の全てであり、ここさえ体に入れば、複雑に見える回路でも「どこが直列で、どこが並列か」を切り分けるだけで解けるようになります。

なお、直列と並列が入り組んだ形の代表例がブリッジ回路です。この逆転法則に慣れてきたら、〈ブリッジ平衡回路を瞬殺!「積のクロス」で複雑回路を一発解決〉に進むと、次の一段が見えてきます。

ステップ10:実践知識——計器の接続が「逆」な理由

「電流計は直列、電圧計は並列」。これを丸暗記して、本番で逆に書いてしまう方が本当に多い。でも今日の法則を知っていれば、暗記する必要はありません。

計器つなぎ方理由
電流計回路に直列直列なら電流はどこでも一定。だから回路を流れる電流をそのまま測れる
電圧計部品に並列並列なら電圧は共通。だからその部品にかかっている電圧をそのまま測れる

つまり、測りたい量が「ひとつ(共通)」になるつなぎ方を選んでいるだけなのです。電流を測りたいなら電流がひとつになる直列。電圧を測りたいなら電圧がひとつになる並列。理屈がわかれば、二度と迷いません。

理論で学んだことは、必ず実務や実技とつながっている。この単元は、その好例です。

🃏 暗記シート
Q. 電気計測において、電流計を直列に、電圧計を並列につなぐのはなぜか?

まとめ

今日の内容は、結局この一言に収まります。

直列は「電流ひとつ」、並列は「電圧ひとつ」。言われなかったほうが分かれる。

そこから芋づる式に、次のことが全部出てきます。

  • 直列は電圧が分かれる → 分圧 → 電圧は抵抗に比例
  • 並列は電流が分かれる → 分流 → 電流は抵抗に反比例
  • 直列の合成抵抗は足し算で増える
  • 並列の合成抵抗は和分の積で小さくなる
  • 電流計は直列、電圧計は並列(測りたい量を共通にする)

公式を5つ暗記するのではなく、フレーズ1つから5つを引き出す。これが独学で理論を乗り切るいちばん確実なやり方です。回路計算が苦手だったのは、あなたの理解力の問題ではなく、この一言に出会っていなかっただけです。

🃏 暗記シート
Q. 抵抗の直列接続と並列接続で、合成抵抗はそれぞれどう変化するか?
💡 長くなるか、増えるか

⚠ ここを間違える人が多い

この単元で失点する原因は、ほぼ次の3つに集約されます。どれも「知らなかった」ではなく「うっかり逆にした」で落とすタイプなので、事前に潰しておく価値があります。

❌ 並列の合成抵抗を、足し算してしまう

❌ こう思いがち:抵抗が2個あるのだから、とりあえず足す。 ✅ 正しくは:並列は必ず元のどの抵抗よりも小さくなります。10Ωと15Ωの並列なら、答えは6Ωで、10より小さい。計算し終えたら「一番小さい抵抗より小さいか?」を必ず確認してください。これだけで並列のミスは激減します。

❌ 「抵抗が大きいほうが、電力も大きい」と決めつける

❌ こう思いがち: の形が頭にあるので、R が大きいほうが電力も大きいはずだ。 ✅ 正しくは:その抵抗で共通なのが V か I かで、使うべき式が変わります。並列につながれた2つの抵抗なら、共通なのは電圧のほうです。したがって で比べることになり、抵抗が小さいほうが電力は大きいという、直感と逆の結果になります。逆に直列なら電流が共通なので、 で比べ、抵抗が大きいほうが電力も大きくなります。

つまり電力の比較でも、出発点は「直列は電流ひとつ、並列は電圧ひとつ」なのです。

❌ 一部だけ見て、回路全体を直列(並列)と決めつける

❌ こう思いがち:図の左半分が直列だったので、この回路は直列だ。 ✅ 正しくは:実際の試験問題は、直列と並列が組み合わさった形で出ます。まず並列部分を1個の抵抗にまとめてから、直列として足す。この順序で処理すれば、複雑に見えても手が止まりません。回路図に「ここは並列」「ここは直列」と書き込みながら進めるのが、独学者にはいちばん安全です。

過去問ではこう出た

この単元は、単独で問われることもあれば、電力計算の前提としてさりげなく問われることもあります。直近では次の出題があります。

年度問番号
令和7年下期問5

出題のされ方には、ある傾向があります。「合成抵抗を求めよ」とストレートに聞くだけの問題は減っていて、直列・並列の性質を正しく見抜いた上で、電流・電圧、さらには消費電力の大小を比較させる形が主流です。つまり合成抵抗はゴールではなく、途中の足場として使われます。

だからこそ、公式を暗記しただけでは足りません。「この抵抗で共通なのは電圧か、電流か」を毎回自分に問いかける癖をつけておくと、応用問題でも取りこぼしません。

まずは手を動かして、実際の出題に触れてみてください。

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よくある質問

Q. 抵抗が3個以上の並列のときも、和分の積で計算していいですか?

和分の積は、あくまで抵抗2個のときの式です。3個以上をいっぺんに当てはめると間違えます。

やり方は2つあります。ひとつは、まず2個を和分の積でまとめ、その結果と3個目をもう一度和分の積でまとめる、という2個ずつの繰り返し。もうひとつは、逆数の和を使う正攻法です。

試験では2個ずつ処理していくほうが、計算ミスが少なくて済むことが多いです。ただし最後に必ず「元のどの抵抗よりも小さくなったか」を確認してください。

Q. 「電流はどこでも一定」と言われても、抵抗を通ったら減る気がします

とても自然な感覚ですが、減るのは電圧であって、電流ではありません。

抵抗は電気の通り道を狭くするものであって、電気を消してしまう装置ではないからです。一本道の川で、途中に岩がゴロゴロしている場所があったとしても、そこを通り抜けた水の量は上流と同じですよね。流れにくくはなりますが、水そのものが消えるわけではない。

抵抗を通ることで失われる(消費される)のは、押す力である電圧のほうです。ここを取り違えると分圧の理解が崩れるので、「減るのは電圧、通り抜けるのは電流」と整理しておいてください。

Q. 回路図が複雑で、どこが直列でどこが並列か見分けられません

見分けの基準はシンプルです。枝分かれがあるかどうかだけを見てください。

  • 途中で分かれ道がなく、一本の道として最後までたどれる → 直列
  • 途中で道が分かれ、その先でまた合流している → その部分が並列

慣れないうちは、電源のプラス側から指でなぞってみるのが確実です。指が1本の線でゴールまで行けるなら直列、途中で「どっちに行こう」と迷う場所があれば、そこが並列部分です。そして並列部分を見つけたら、その場で和分の積を計算して1個の抵抗に書き換えてしまう。回路図をどんどん簡単に書き直していくのが、遠回りに見えて最短ルートです。

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この記事を書いた人

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電験三種を含め、さまざまな資格を一発合格した経験をもとに、 忙しい社会人が最短距離で受かるための教材とYouTube解説を作っています。 暗記シート・講義ノートは累計2,000部を突破し、 多くの合格報告をいただいています。

保有資格

電気主任技術者電気工事士公害防止管理者放射線取扱主任者中学校・高等学校 教員免許
  • ⚡ 電験三種・電験二種の解説動画をYouTubeで公開中
  • 📚「勉強の過程」より「結果を重視」した教材の制作・販売
  • 🏋️ 過去問対策Webサービス「電験ジム」を開発・運営

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