ブリッジ平衡回路を瞬殺!「積のクロス」で複雑回路を一発解決
電験三種「理論」で頻出のブリッジ平衡回路を完全攻略。暗記フレーズ『積のクロスが等しいと平衡(R₁×R₄ = R₂×R₃)』で一発見抜き、平衡時は中央の橋を切り離して並列回路として瞬殺する3ステップ解法を、具体例(合成抵抗10/3Ω)付きで解説。
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過去問をめくっていて、ひし形の回路図が出てきた瞬間に、そっとページを飛ばしたことはありませんか。
抵抗が4つ、それを繋ぐ点が4つ、おまけに真ん中にもう1本。線が交差していて、どこからどう手をつければいいのか分からない。「これは捨て問だな」——そう判断してしまうのは、けっして根性が足りないからではありません。単に、この回路にだけ通用する専用の見方をまだ知らないだけです。
そして、その見方はたったひと言で終わります。斜めどうしを掛けて、等しいかどうかを見る。それだけ。条件を満たしていれば、真ん中の1本は消していい。あとに残るのは、あなたがすでに解ける単純な直列と並列の回路です。
計算量が10分の1になる、という表現は誇張ではありません。この記事を読み終えるころには、ひし形を見た瞬間に「あ、これ確認するやつだ」と手が動くようになっています。

この記事で身につくこと
| 身につくこと | ゴールの状態 |
|---|---|
| ブリッジ回路の形の見分け方 | ひし形+中央の橋、という構造が図の中から拾える |
| 平衡条件の式 | R₁×R₄=R₂×R₃ を、迷わず正しい組み合わせで書ける |
| 平衡すると何が起きるか | 中央の電位差が0V、だから電流も0A、と理屈で説明できる |
| 試験での使い方 | 電流の流れない枝を切り離し、単純な直並列として合成抵抗を出せる |
| 実戦での判断速度 | 図を見て10秒で「平衡かどうか」を判定できる |
ここまでできれば、ブリッジは「捨て問」から「得点源」に変わります。というより、ブリッジの問題は平衡を見抜けた時点でほぼ勝ちなので、判定さえできれば実質サービス問題なのです。
暗記フレーズ:積のクロスが等しいと平衡
積のクロスが等しいと平衡
試験本番で真っ先に思い出してほしいのは、この一文だけです。
- 【積】=かけ算のこと
- 【クロス】=斜めどうし、つまり対角線上にある抵抗の組み合わせ
左上と右下を掛けた値、左下と右上を掛けた値。この2つが一致していれば平衡、していなければ平衡ではありません。判定はこれだけで終わります。
ステップ1:そもそもブリッジ回路とはどんな形か
まず「これがブリッジ回路だ」と気づけないと、テクニックの出番がありません。形から押さえましょう。

R₁・R₂・R₃・R₄ という4つの抵抗が、a・b・c・d の4点でつながって、ひし形をつくっています。そして中央の c-d間 に、もう1本の枝(電圧計や検流計、あるいはただの抵抗)が架かっている。この中央の1本が、川に架かる「橋(ブリッジ)」に見えることから、ブリッジ回路と呼ばれます。
| 部分 | 呼び方 | 役割 |
|---|---|---|
| ひし形の4辺 | R₁〜R₄ の4つの抵抗 | 平衡するかどうかを決める |
| 中央の1本 | c-d間の枝(橋) | 攻略の最大の鍵。ここが消せるかどうかが勝負 |
| 左右の頂点 | a点・b点 | 電源につながる入口と出口 |
見た目が複雑に感じるのは、線が交差しているせいで「直列なのか並列なのか」がひと目で分からないからです。実際、中央の橋があるうちは直列でも並列でもありません。だからこそ、橋を消すという発想が効いてきます。
ステップ2:平衡条件 R₁×R₄=R₂×R₃ を正しく組む
いよいよ本題の式です。

ポイントは、掛ける相手を間違えないこと。ここでミスをすると、平衡していない回路を平衡と誤判定して、そのあとの計算がまるごと無駄になります。
正しい組み合わせと、やりがちな誤り
| 掛ける組み合わせ | 判定 | |
|---|---|---|
| ✅ 正しい | 左上 × 右下、左下 × 右上(対角どうし) | これが「クロス」 |
| ❌ よくある誤り | 左上 × 左下(同じ側の縦どうし) | 平衡とは無関係 |
| ❌ よくある誤り | 左上 × 右上(同じ段の横どうし) | 平衡とは無関係 |
図の上に赤い×印を重ねてみると、バッテンの両端どうしが掛ける相手だと視覚的に分かります。「×(バッテン)を書いてから掛ける」——この動作をクセにしておくと、本番の焦った頭でも間違えません。
ステップ3:平衡すると中央の電位差が0Vになる
条件を満たしたとき、回路の中で何が起きているのか。ここを理屈で分かっておくと、忘れても現場で導けます。

R₁R₄=R₂R₃ が成り立つと、c点とd点の電位がぴったり同じ高さになります。つまり c-d間の電位差は 0V。
イメージとしては道路の高低差です。坂道なら物は転がりますが、完全に平坦な道では動きません。電気の世界でも同じで、高さの差(電位差)がなければ、動く理由がないのです。
電位差そのものが怪しいという方は、先に合成抵抗で電圧・電流は完全に逆転する:直列『電流ひとつ』/並列『電圧ひとつ』を読み直しておくと、この先の理解がぐっと速くなります。直列と並列で「何が共通になるか」が分かっていると、c点とd点の電位が一致する理由も腑に落ちるはずです。
ステップ4:電位差0Vなら電流も0A
電位差が0Vだと分かれば、次は自動的に決まります。

水は落差のない平坦な場所では流れません。電気もまったく同じで、電位差が0Vなら、そこに流れる電流も0Aです。
「当たり前の話じゃないか」と思われたなら、それが正解です。難しい理屈は何もありません。しかしこの当たり前が、次のステップで劇的な効果を生みます。
ステップ5:電流が流れない枝は切り離してよい
ここが、この単元で一番おいしいところです。

中央の枝に電流が流れていないのなら、その枝はあってもなくても回路の動作は変わりません。だったら、計算するときは無いものとして扱ってよい。ハサミでちょん切ってしまえばいいのです。
橋を切った瞬間、あのややこしいひし形は、上ルートと下ルートが並んだだけのただの直並列回路に変わります。上ルートは抵抗2本の直列、下ルートも抵抗2本の直列、その2本のルートが並列。もう、あなたが何度も解いてきた形です。
| 切る前 | 切った後 |
|---|---|
| ひし形+中央の橋 | 上ルート(直列)と下ルート(直列)の並列 |
| 直列とも並列とも言えない | 見慣れた直並列回路 |
| キルヒホッフで連立方程式 | 足し算と和分の積だけ |
「魔法のテクニック」の正体は、この引き算の発想です。何かを足して解くのではなく、要らないものを消して簡単にする。ここが分かると、ブリッジは怖くなくなります。
ステップ6:実践クイズで手を動かす
理屈が分かったら、実際に解いてみましょう。

問題:ひし形の回路で、上側に 2Ω と 3Ω、下側に 4Ω と 6Ω、中央に 10Ω が接続されている。この回路全体の合成抵抗はいくらか。
ぱっと見は複雑です。中央に10Ωが居座っているせいで、まともに解こうとすると連立方程式の泥沼が待っています。
でも、やることは決まっていますね。まず「あの条件」を確認する——積のクロスが等しいと平衡。
ここで一度スクロールを止めて、ご自分で手を動かしてみてください。答え合わせは次のステップです。
ステップ7:解説Step1|平衡条件を確認する

クロスの積を計算します。
一致しました。よって、この回路はブリッジ平衡状態です。
ということは、中央の10Ωには電流が流れていない。計算から外してよい、ということになります。10Ωという値そのものは、平衡の判定にも合成抵抗の計算にも一切関係しません。中央の抵抗値は、平衡かどうかを判定する材料にはならない——ここは覚えておいてください。
ステップ8:解説Step2|切り離して合成抵抗を出す
中央の10Ωをカットしたら、残った回路を上から順に片づけていきます。
| 手順 | 計算 | 結果 |
|---|---|---|
| ① 上ルートの直列 | 2 + 3 | 5Ω |
| ② 下ルートの直列 | 4 + 6 | 10Ω |
| ③ ①と②の並列 | 和分の積 | 下の式へ |
答えは 10/3 Ω(約3.33Ω) です。
最後に使った「和分の積」は並列合成の基本ですから、ここで手が止まった方は合成抵抗、ここで9割が挫折します。『積和(せきわ)』で一発攻略に戻って固めておきましょう。ブリッジは、平衡を見抜いたあとは結局のところ合成抵抗の問題です。土台が固いほど得点が安定します。
まとめ
| # | 項目 | 内容 |
|---|---|---|
| 1 | 判定条件 | 積のクロスが等しいと平衡(R₁×R₄=R₂×R₃) |
| 2 | 物理的な変化 | 中央c-d間の電位差が0Vになり、電流が全く流れない |
| 3 | 試験でのテクニック | 電流の流れない枝を切り離し、単純な直並列回路として計算する |
この3行が頭に入っていれば、ブリッジの問題は解けます。逆に言えば、この3行以外に覚えることはほとんどありません。
なお、ブリッジで合成抵抗を出したあと、そのまま「消費電力を求めよ」と続く問題も少なくありません。その先の備えとしてはP=VI・P=RI²・P=V²/Rの使い分け|電力の公式まで目を通しておくと、ひとつながりで得点できるようになります。
⚠ ここを間違える人が多い
ブリッジの失点は、実はほとんどが「同じ3パターン」に集中しています。逆に言えば、この3つさえ潰しておけば失点はぐっと減ります。
❌ 平衡条件を確認せずに、いきなり連立方程式を立てる
これが最大の時間泥棒です。中央の抵抗を含めたまま各枝の電流を文字で置いて、キルヒホッフで連立——確かに解けますが、式は膨れ上がり、途中の符号ひとつで答えがずれます。
✅ 正しい手順:ひし形を見たら、何よりも先にクロスの積を計算する。一致すれば中央は消せるので、以降の計算は数行で終わります。所要時間が5分と30秒くらい違います。
❌ 「中央の抵抗値が大きいと平衡しにくい」と思い込む
中央に10Ωや12Ωといった数字が書いてあると、つい平衡の判定に使いたくなります。しかし平衡を決めているのはひし形の4辺だけで、中央の値は判定に一切関与しません。中央が1Ωでも100Ωでも、4辺の関係が変わらなければ平衡は平衡です。
✅ 正しい理解:中央の値は「そこに電流が流れるかどうか」の結果を受け取る側であって、原因ではありません。
❌ 途中で出てきた式の値を、そのまま答えとして選んでしまう
スイッチの開閉など条件が2通り与えられる問題では、片方の条件だけから導いた式(例えば「2本の並列合成が◯Ω」といった関係)が出てきます。この値はまだ未知抵抗そのものではありません。にもかかわらず、選択肢にちょうど同じ数字が並んでいることが多く、そこに引き込まれます。
✅ 正しい対処:条件が2つ与えられているなら、必ず2つとも使って連立し、未知数を確定させてから選択肢を見る。選択肢を先に見ないのがコツです。
過去問ではこう出た
ブリッジの平衡は、理論科目のなかでも出題頻度が高い単元です。当サイトの動画と電験ジムがカバーしている範囲だけでも、以下の8問が該当します。
| 出題年度 | 問番号 |
|---|---|
| 平成27年 | 問6 |
| 平成29年 | 問5 |
| 平成29年 | 問15 |
| 令和2年 | 問7 |
| 令和3年 | 問14 |
| 令和4年 下期 | 問5 |
| 令和6年 下期 | 問16 |
| 令和7年 下期 | 問16 |
出題のされ方には、はっきりした傾向があります。
ひとつは、平衡していることを見抜かせて合成抵抗や電圧を求めさせるタイプ。この記事のクイズと同じ形で、A問題(問5〜問7あたり)に多く見られます。もうひとつは、平衡条件から未知の抵抗値を逆算させるタイプで、ホイートストンブリッジによる抵抗測定という文脈で出ます。近年は問14〜問16というB問題の位置でも繰り返し登場しており、しかも令和6年下期・令和7年下期と連続で問16に出ている点は見逃せません。
いずれにしても、入口は同じです。まずクロスの積を確認する。ここさえ習慣にしておけば、どのタイプが来ても最初の一手で迷いません。
よくある質問
Q. 平衡していない(クロスの積が一致しない)ブリッジは、どう解けばいいですか?
そのときは中央の枝にも電流が流れているので、切り離しは使えません。キルヒホッフの法則で素直に連立方程式を立てるか、Δ-Y変換を使うことになります。
ただし、電験三種の問題で「平衡していないブリッジの合成抵抗を求めよ」と正面から聞かれることは多くありません。ひし形が出てきたら平衡している可能性がかなり高い、と考えて先にクロスを確認するのが実戦的です。確認は10秒で済みますから、外れても損はしません。
Q. 中央にあるのが電圧計ではなく検流計や抵抗のときも、同じように考えていいですか?
はい、同じです。平衡を決めているのはひし形の4辺だけなので、中央に何がぶら下がっていても判定式は変わりません。
| 中央にあるもの | 平衡したときの状態 |
|---|---|
| 電圧計 | 指示が0V |
| 検流計 | 針が振れない(0A) |
| ただの抵抗 | 電流が流れないので切り離せる |
| 電池・電源 | 平衡の考え方が使えない(別扱い) |
実務でのホイートストンブリッジは、中央の検流計が振れなくなるまで可変抵抗を調整し、その状態から未知抵抗を計算する、という使い方をします。「針が振れない=平衡」というわけです。
Q. R₁×R₄=R₂×R₃ の番号の振り方が問題によって違います。混乱しないコツはありますか?
番号を覚えないことです。覚えるのは位置関係だけにしてください。
問題によって R₁〜R₄ の割り当てはバラバラですし、R でなく a・b・c といった文字のこともあります。番号を暗記していると、割り当てが変わった瞬間に対応できません。
やることは毎回同じで、図のひし形に大きく×(バッテン)を書き込み、バッテンの両端どうしを掛け算して比べるだけ。「番号ではなく、斜め」と覚えておけば、どんな表記で出題されても迷いません。
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