合成抵抗、ここで9割が挫折します。『積和(せきわ)』で一発攻略
電験三種「理論」科目で頻出の合成抵抗を完全攻略。直列は『そのまま足す』、並列は暗記フレーズ『積和(せきわ)』で即解決。複雑な回路も『内側のカタマリから順に書き直す』3ステップで必ず解けるようになります。
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この記事で身につくこと
回路図を見た瞬間に「うわ、ぐちゃぐちゃで無理だ」と閉じてしまう。合成抵抗でつまずく方の多くが、実はここで止まっています。
でも安心してください。合成抵抗の計算は、覚えるルールがたった 2つだけ です。しかも片方は「足すだけ」。もう片方も、たった3文字の暗記フレーズで片づきます。
この記事を読み終えると、次の状態になります。
| できるようになること | 使う道具 |
|---|---|
| 直列につながった抵抗をまとめられる | 足し算だけ |
| 並列につながった抵抗をまとめられる | 暗記フレーズ「積和」 |
| 直列と並列が混ざった回路を解ける | 内側から順に3ステップ |
| 答えが合っているか自分で見抜ける | 「並列は必ず小さくなる」の検算 |
合成抵抗は、理論だけの話ではありません。電力でも機械でも、回路の計算が出てくる場面では必ず土台になります。ここを固めておくと、後の学習が驚くほど楽になります。
なお、この記事は「オームの法則が分かっている」前提で進みます。 がまだ少し怪しいという方は、先にオームの法則は「公式円」で攻略!V=RIで電験計算の9割が片付くを読んでおくと、この先が一気に読みやすくなります。
暗記フレーズ:直列はそのまま足す、並列は積和(上が積・下が和)
今日、頭に焼き付けていただきたいのはこの一文だけです。
直列はそのまま足す、並列は積和(上が積・下が和)
「積和(せきわ)」——これが今日の主役です。並列につながった抵抗2本を、たった一発で1本にまとめてしまう魔法のフレーズです。
上(分子)が 積、下(分母)が 和。だから「せき・わ」。
順番だけは、絶対に間違えないでください。ここは後の節で改めて念を押しますが、逆にすると答えが丸ごと狂います。
ステップ1:そもそも合成抵抗とは何か

合成抵抗とは、回路にある複数の抵抗を 「1つの抵抗」にまとめたもの です。
デスクの裏でPCやモニターの配線がぐちゃぐちゃに絡まっているとき、結束バンドで一本にまとめると、途端に扱いやすくなりますよね。合成抵抗もあれと同じ発想です。
なぜ、わざわざまとめるのか
理由はひとつ、回路全体にオームの法則をそのまま使いたいから です。
抵抗が5本バラバラに散らばっていると、「電源電圧に対して電流はいくら流れるのか」が一発では出せません。ところが5本を1本の にまとめてしまえば、あとは を一度使うだけで終わります。
つまり合成抵抗は、難しい回路をオームの法則が使える形に翻訳する作業 なのです。
そして、まとめ方は接続方式によって2通りしかありません。直列か、並列か。この2つだけです。
ステップ2:直列と並列、2つの絶対ルール

まず、2つの接続方式の性格を表で押さえてしまいましょう。
| 直列接続 | 並列接続 | |
|---|---|---|
| 電流の道 | 1本道 | 分かれ道 |
| 合成抵抗の式 | ||
| 覚え方 | そのまま足す | 積和(せきわ) |
| 全体の抵抗は | 大きくなる | 小さくなる |
| 感覚 | 障害物が増える | 通れる道が増える |
「抵抗が増えたのに小さくなる」の正体
ここでほぼ全員が引っかかります。抵抗を追加したのに、全体の抵抗が小さくなる。直感に反しますよね。
理由は単純で、電流の通れる道が増えるから です。
1車線しかない道路に車が殺到すれば大渋滞ですが、2車線に増やせば流れは良くなります。抵抗が並列に増えるというのは、この「車線を増やす」に相当します。電流が流れやすくなる=抵抗が小さくなる、というわけです。
このイメージを持っておくと、次の検算がいつでも使えます。
並列の合成抵抗は、必ず一番小さい抵抗よりさらに小さくなる。
3Ωと6Ωの並列なら、答えは必ず3Ω未満。もし計算結果が4Ωや9Ωになったら、その時点で計算ミス確定です。本番でこれを知っているかどうかは、そのまま得点差になります。
ステップ3:直列接続は「足すだけ」

直列は、電流にとっての一本道です。障害物(抵抗)が次々と現れるだけなので、そのまま合計すれば終わりです。
たとえば 1Ω と 2Ω が直列なら、
これだけです。ハードル走で、ハードルの数が増えればそれだけタイムが落ちる——直列はまさにその感覚どおりに動きます。3本でも4本でも、ただ足していくだけ。直列接続は、もう怖くありません。
ステップ4:並列接続は「積和(せきわ)」

いよいよ今日の主役です。抵抗2本の並列は、この式で一発です。
上が掛け算(積)、下が足し算(和)。だから 「せき・わ」。
順番だけは、絶対に逆にしない
ここは声を大にしてお伝えします。
覚えるときに「分母が和で、分子が積で……」と、和・積の順で唱えてはいけません。 その覚え方をした方は、本番の緊張下でかなりの確率で上下を逆にします。
必ず 「せき・わ」= 上が積、下が和 の順で、口に出して覚えてください。順番そのものが式の形になっているのが、このフレーズの一番の価値です。
逆にすると、どうなるか
3Ωと6Ωで比べてみましょう。
| 唱え方 | 計算 | 結果 | 判定 |
|---|---|---|---|
| 積和(正) | 2Ω | ✅ 3Ωより小さい | |
| 和積(誤) | 0.5Ω | ❌ 明らかに小さすぎ |
順番を間違えるだけで、答えが4倍もずれます。「せき・わ」、この3文字だけは死守してください。
ステップ5:実践練習——複雑な回路に挑む

ここからが本番です。a-b 間の合成抵抗を求めていきます。
回路にあるのは、上に 1Ωと2Ω、左下に 3Ωと6Ω、右下に 4Ω。直列と並列が入り混じった、いかにも試験に出そうな形です。
最初に見たとき「うわ、複雑そう」と感じたなら、それが普通の反応です。ですが、やることは終始これだけです。
小さな直列・並列を見つけて、一つずつまとめる。
次から、3つのステップで解きほぐしていきます。
ステップ6:STEP1 — 一番内側の並列から手をつける

まず回路全体を眺めて、他の部分と切り離して計算できるカタマリ を探します。
見つかりました。左下の 3Ωと6Ωの並列 です。ここは他とつながりを持たずに単独で計算できます。玉ねぎの皮を内側から剥がしていくように、この一番内側のカタマリから攻略します。
積和で計算する

並列なので、当然「積和」です。
分子(積)は 3×6=18、分母(和)は 3+6=9。割って 2Ω。
ごちゃついて見えた並列部分が、2Ωの抵抗1本 に置き換わりました。これが「まとめる」ことの威力です。一つずつ分解してしまえば、難しいことは何ひとつしていません。
ステップ7:STEP2 — 書き直してから直列をまとめる
計算したら、必ず 回路を書き直します。左下を「2Ω」に置き換えて描くと、回路は見違えるほどスッキリします。

書き直した図を見ると、上段も下段も一直線=直列であることが一目で分かります。あとは足すだけです。
| 段 | 中身 | 計算 | 結果 |
|---|---|---|---|
| 上段 | 1Ω + 2Ω | 3Ω | |
| 下段 | 2Ω(STEP1の結果)+ 4Ω | 6Ω |
上段が3Ω、下段が6Ω。バラバラだった5本の抵抗が、ついに2本にまで減りました。パズルのピースが溶けていくような、この感覚を味わってください。
ステップ8:STEP3 — 最後の並列で決着
もう一度書き直すと、残ったのは 上段3Ωと下段6Ωの並列 だけ。驚くほどシンプルな形になりました。
お気づきでしょうか。この形、STEP1で解いた「3Ωと6Ωの並列」と まったく同じ です。
最後にもう一度、魔法のフレーズを使います。
a-b間の合成抵抗は 2Ω。 これが答えです。
検算もしておきましょう。並列の答えは一番小さい抵抗(3Ω)より小さいはず——2Ωは3Ω未満なので、条件を満たしています。安心して次に進めます。
ステップ9:どんな回路にも効く「王道パターン」
複雑な回路で、やることは常にこの3つだけです。
| 手順 | やること | ポイント |
|---|---|---|
| ① | 一番小さなカタマリ(直列・並列)を見つける | 内側・独立している部分から |
| ② | 公式で計算する | 直列=足す/並列=積和 |
| ③ | 回路を書き直す | ここが最重要 |
「書き直す」を面倒くさがらない
正直に言えば、③の書き直しは面倒です。頭の中でやりたくなります。その気持ちは痛いほど分かります。
それでも、必ず書いてください。理由は2つです。
- 次に何をすべきかが、図を見るだけで分かる。 書き直した瞬間、「あ、ここが直列だ」と目で見つけられます。頭の中だけで進めると、この発見ができません。
- 試験本番は、想像以上に緊張する。 普段なら間違えない足し算がずれる。そして途中の1Ωのズレが、最後の答えを丸ごと壊します。
手を動かす手間と、1問まるごと失点する痛み。どちらが重いかは明らかです。ここは面倒がらずに書きましょう。
まとめ
今日の内容を、ひとまとめにしておきます。
| 項目 | 結論 |
|---|---|
| 直列接続 | 電流は1本道 → そのまま足す |
| 並列接続 | 電流が分かれる → 積和(上が積・下が和) |
| 並列の検算 | 必ず一番小さい抵抗より小さくなる |
| 複雑な回路 | 内側から計算 → 図を書き直す → 繰り返す |
合言葉は 「積和!」。この基本ルールは、電験三種のあらゆる計算の土台になります。
そして、合成抵抗が求められるようになったら、次は「まとめた後、それぞれの抵抗に電圧や電流がどう分かれるのか」が気になってくるはずです。ここは試験でも本当によく問われるところなので、合成抵抗で電圧・電流は完全に逆転する:直列『電流ひとつ』/並列『電圧ひとつ』へ進んでください。今日の内容がそのまま得点力に変わります。
⚠ ここを間違える人が多い
実際の答案でよく起きている取り違えを、3つ挙げておきます。どれも「知っていれば防げる」タイプのミスです。
❌ 積和を上下逆に書いてしまう
分子に和、分母に積を書いてしまうミスです。✅ 正しくは上が積、下が和。 防止策はシンプルで、計算後に「答えは一番小さい抵抗より小さいか?」を確認するだけ。逆に書いていれば、この検算に必ず引っかかります。
❌ 3本以上の並列に「積和」をそのまま使う
積和は 抵抗2本専用 の式です。3本を一度に放り込むと、まったく違う値が出ます。✅ 正しくは、まず2本を積和でまとめ、その結果と3本目をもう一度積和にかける。 2本ずつ、順番に処理してください。
❌ まとめる順番を勝手に決めてしまう
「たぶんこれとこれが並列だろう」と思い込んで計算を始めるパターンです。図をよく見ると、実は間に別の抵抗が挟まっていて並列になっていない——ということが起こります。✅ 正しくは、独立して計算できる一番内側のカタマリから、一つずつ。 思い込みで組み合わせを決めると、その先の計算がすべて無駄になります。
❌ 抵抗が増えたから抵抗値も増えるはず、と考える
並列でこれをやると必ず外します。✅ 正しくは、並列は道が増えるので抵抗は減る。 「増やしたのに減る」という一見おかしな結論こそが、並列の本質です。
なお、そもそも「どこからどこまでが1つの区間なのか」が読み取りにくいという方は、電位差は『山の高低差』!高い→低いで電気は流れるで電位の考え方を押さえておくと、回路図の区切りが見えるようになります。
過去問ではこう出た
合成抵抗は、理論科目で繰り返し問われている定番テーマです。実際の出題実績は次のとおりです。
| 年度 | 問番号 |
|---|---|
| 平成28年 | 問13 |
| 令和4年 上期 | 問7 |
| 令和6年 下期 | 問7 |
見ていただきたいのは 出題の位置 です。令和4年・令和6年はいずれも問7、平成28年は問13。理論の前半〜中盤という、まさに「落としてはいけない」ゾーンに置かれています。
出題のされ方にも傾向があります。合成抵抗そのものを答えさせる問題はもちろんですが、それ以上に多いのが 他の設問を解くための途中経過として合成抵抗を使わせる形 です。回路全体の電流を求める、分圧を計算する、消費電力を出す——その第一歩が合成抵抗、というパターンですね。
つまり、ここでつまずくと問題そのものが解けなくなります。逆に言えば、合成抵抗を確実に処理できるだけで、理論の得点は目に見えて安定します。
よくある質問
Q. 抵抗が3本以上の並列のときは、どう計算すればいいですか?
2本ずつ処理してください。たとえば 2Ω・3Ω・6Ω の並列なら、まず 2Ωと3Ω を積和で [Ω]とまとめ、次に 1.2Ω と 6Ω をもう一度積和で [Ω]とします。
一度に3本まとめようとして積和に放り込むのが、最も多い失敗です。面倒でも2本ずつ、が確実です。
Q. 同じ値の抵抗が並列のときも、毎回積和で計算しますか?
同じ値なら、もっと速い方法があります。同じ抵抗 R が n 本並列なら、合成抵抗は です。
10Ωが2本なら5Ω、10Ωが3本なら約3.33Ω。積和でも同じ答えになりますが、本番の時間短縮としてこれは知っておく価値があります。もちろん、迷ったら積和で計算すれば必ず正解にたどり着けます。
Q. どこが直列で、どこが並列なのか、そもそも見分けがつきません。
見分け方は、次の一点に尽きます。
枝分かれせず一直線につながっていれば直列。両端が同じ2点でつながって道が分かれていれば並列。
判断に迷ったときは、電流になったつもりで指で回路をたどってみてください。途中で道が分かれずに一本道を進めるなら直列、分かれ道に出くわしたら並列です。
この見分けが一番難しいのは、実は複雑な回路の最初の1回だけです。一度まとめて書き直せば、次からは驚くほど見やすくなります。だからこそ「書き直す」が効くのです。
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