電磁力の前に「磁石の正体」:同種は反発・異種は引き合うを一発理解
電験三種「理論」の電磁力分野は、まず磁石の基本——磁性・磁極・磁力の3語から。N極とS極が反発したり引き合ったりする理由を、静電気のクーロン力と同じ『同種は反発、異種は引き合う』というたった一行で攻略します。苦手意識のある磁気のスタートを、シンプルに踏み出せる1記事です。
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この記事で身につくこと
電磁力と聞いて、思わず身構えてしまう人はとても多いです。理由ははっきりしていて、磁性・磁極・磁力という、漢字も読みもよく似た用語が一度に押し寄せてくるから。ページを開いた瞬間に「うわ、覚えることが多い」と感じて、そのまま後回しにしてしまう。独学で進めていると、まず間違いなくここで一度手が止まります。
でも、安心してください。電磁力の入口は、たった一つの法則で片付きます。しかもその法則は、あなたが静電気のところですでに一度learnしたものと、まったく同じものです。新しく覚えることは、実はほとんどありません。
この記事を読み終えたとき、あなたは次の状態になっています。
| 読む前 | 読んだ後 |
|---|---|
| 磁性・磁極・磁力がごちゃ混ぜ | 3つを一言ずつで言い分けられる |
| 反発か吸引か、その場で迷う | 合言葉で即断できる |
| 静電気と電磁力を別物として暗記 | 同じ法則の言い換えだと分かる |
| 磁力の記号・単位があやふや | F[N]とセットで即答できる |
苦手だと思っていた単元が、実は一番コスパのいい得点源だった。今日はそれを体験してもらいます。

暗記フレーズ:同種は反発、異種は引き合う
先に結論から言ってしまいます。電磁力の基礎は、この一行に集約されます。
同種は反発、異種は引き合う
頭文字を取って「どうはんいいん」。呪文のような響きですが、だからこそ忘れません。
| 合言葉 | 意味 |
|---|---|
| どう(同種) | 同じもの同士 → N極とN極、S極とS極 |
| はん(反発) | 互いに押し合う=反発力 |
| い(異種) | 違うもの同士 → N極とS極 |
| いん(引く) | 互いに引き合う=吸引力 |
試験本番で「反発だっけ、吸引だっけ」と迷ったら、この四文字を口の中でつぶやくだけ。それだけで答えが出ます。まずはここだけ、頭に叩き込んでください。
ステップ1:まずは「最大の罠」を知っておく

電磁力で点を落とす人の多くは、計算でつまずいているわけではありません。用語の段階で脱落しているのです。
磁性、磁極、磁力、反発、吸引、N極、S極。似た言葉が一気に並び、頭の中で線がもつれます。そして「よく分からないまま先へ進む」→「問題文の用語が読み取れない」→「選択肢を勘で選ぶ」という流れができあがる。ここで点数を落とす独学受験生が、本当に多い単元です。
裏を返せば、用語さえ整理できれば、それだけで周りに差をつけられるということ。だからこの記事では、いきなり公式には行きません。まずは用語を3つ、順番に固めていきます。
ステップ2:基礎①「磁性」── 鉄を引き付ける根本の性質

一つ目は「磁性(じせい)」です。
磁性とは、鉄などの金属を引き付ける性質のこと。磁石をクリップに近づけると、パチンとくっつきますよね。あの「くっつけようとする性質そのもの」が磁性です。
ポイントは、磁性が磁石が持つ根本的な力の正体だということ。このあと出てくる磁極も磁力も、すべてこの磁性から始まっています。木でいえば、根っこの部分です。
ステップ3:基礎②「磁極」── 両端がいちばん強い

二つ目は「磁極(じきょく)」。
磁極とは、磁石の両端で、磁力がもっとも強い部分のことです。おなじみのN極とS極が、これにあたります。
磁力線を見ると「両端が強い」が分かる
磁石のまわりには、力の流れを表す線が描けます。これを磁力線といい、N極からS極へ向かって伸びていきます。
この磁力線を図で見ると、線が両端にギュッと集まっているのが分かります。線が密なところほど力が強い。つまり磁石は、真ん中よりも両端のほうが力が強いのです。その一番強い両端こそが、N極・S極=磁極、というわけですね。
| 用語 | 中身 |
|---|---|
| 磁力線 | 磁石の力の流れを表す線。N極 → S極 |
| 磁極 | 磁力線が密に集まる両端。もっとも力が強い |
| N極・S極 | その磁極につけられた名前 |
ステップ4:基礎③「磁力 F」── 単位はニュートン

基礎の仕上げが「磁力(じりょく)」です。
磁力とは、磁極(電荷)に対して、実際に働く力のこと。性質でも場所でもなく、「実際に働いている力そのもの」を指します。
ここは試験で地味に狙われるところなので、記号と単位をセットで押さえてください。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | 磁力 |
| 記号 | |
| 単位 | ニュートン[N] |
「磁力はF、単位はニュートン」。この一組を、口に出して覚えてしまいましょう。単位のNは、磁極のN極とは全くの別物です。ここを混同しないよう注意してください。
3つの関係を一枚で
ここまでの3つは、実は役割がきれいに分かれています。
| 用語 | 一言でいうと | 役割 |
|---|---|---|
| 磁性 | 引き付ける性質 | おおもと |
| 磁極 | いちばん強い場所 | どこに |
| 磁力 | 実際に働く力 | どれだけ |
「性質・場所・力」。この3語で区別できれば、もう用語で迷うことはありません。
ステップ5:反発力と吸引力を図でつかむ

いよいよ合言葉の出番です。
| パターン | 組み合わせ | 働く力 | 動き |
|---|---|---|---|
| 同種 | N極とN極/S極とS極(+と+、−と−) | 反発力 | 互いに押し合う |
| 異種 | N極とS極(+と−) | 吸引力 | 互いに引き合う |
同じもの同士なら押し合い、違うもの同士なら引き合う。ただそれだけです。図を見れば、矢印が外向きか内向きかで一目瞭然ですね。
迷ったときは、必ず「どうはんいいん」に戻ってください。
ステップ6:裏ワザ ── 静電気のクーロン力と全く同じ

ここが、この記事でいちばんお得な話です。
「同種は反発、異種は引き合う」。この言い回し、どこかで見た覚えはありませんか。そう、静電気のクーロン力です。
プラスの電荷同士は反発し、プラスとマイナスは引き合う。磁石のN極同士は反発し、N極とS極は引き合う。登場人物が違うだけで、法則は完全に同じなのです。
| 世界 | 同種のとき | 異種のとき |
|---|---|---|
| 静電気(電荷) | +と+、−と− → 反発 | +と− → 吸引 |
| 磁気(磁極) | NとN、SとS → 反発 | NとS → 吸引 |
つまり、電磁力のためにゼロから暗記し直す必要はありません。静電気で覚えたことが、そのまま使えます。一度の暗記で二単元分。これほど効率のいい話はそうありません。
この対応関係をもっと深く見たい人は、静電気と電磁力は「鏡うつし」:QとmでわかるEとHの対応表を読んでおくと、頭の中の地図が一気につながります。公式レベルで並べて確認したい人は、静電気と電磁力は「双子の公式」——εをμに替えるだけで全部解けるがおすすめです。
ステップ7:実戦クイズで確かめる

【問題】 N極とS極など、「異種」の磁極の間に働く力(磁力)を、何と呼ぶでしょうか。
ここで一度、画面を止めて考えてみてください。合言葉さえ思い出せれば、10秒もかかりません。
解答
正解は「吸引力(引き合う力)」です。
N極とS極は、違うもの同士=異種。したがって「異種は引き合う」が適用され、働くのは吸引力になります。
答えを丸暗記したのではなく、合言葉から導けたという手応えが大事です。それができていれば、この単元はもう自分のものです。
まとめ
今日の内容を、保存版の表にまとめておきます。試験直前は、ここだけ見返せば十分です。
| 用語 | 意味 | 押さえどころ |
|---|---|---|
| 磁性 | 鉄などを引き付ける根本の性質 | すべての出発点 |
| 磁極 | 両端の最も力が強い部分 | N極・S極のこと |
| 磁力 | 磁極に働く力 | 、単位はニュートン[N] |
そして、迷ったら必ずこの言葉に戻ってください。
同種は反発、異種は引き合う ── 静電気のクーロン力と同じ
あれだけごちゃごちゃに見えた用語が、表にすると驚くほどスッキリします。一度で覚えようとせず、忘れたらまたこのページに帰ってきてください。何度でも、同じ場所でお迎えします。
⚠ ここを間違える人が多い
用語を押さえたあと、実際の問題で足をすくわれるポイントが3つあります。先に知っておくだけで、失点がぐっと減ります。
❌ 向かい合う辺の力を、そのまま足してしまう
長方形のループに電流を流したときの問題で起きがちです。❌「どちらの辺にも力が働くのだから、合計すればいい」→ ✅ 左右の辺では電流の向きが逆なので、力の向きも逆になる。向きが逆なら、足すのではなく差を取ることになります。まず電流の向きを辺ごとに確認してから、力の向きを描き込む。この順番を崩さないことです。
❌ 合力がゼロだから「何も起こらない」と結論する
大きさが同じで向きが逆、しかも同じ直線上に乗っていない2つの力。この場合、押す力の合計はゼロでも、回そうとする働き(モーメント)は残ります。❌「合力ゼロ=静止」→ ✅「合力ゼロでも回転はする」。選択肢に「力は働かない」があると引っ張られやすいので、力の合計と回転の働きは別物だと意識してください。回転が絡む出題は、コイルに働くトルクを「ドアノブ」で攻略する ── 電磁力 T=BIℓDcosθで形を見ておくと理解が早いです。
❌ 電子の進む向きを、そのまま電流の向きにしてしまう
フレミングの法則は「電流の向き」に対して使う決まりです。ところが電子はマイナスの電荷を持つため、電子が進む向きと電流の向きは逆になります。❌「電子が右へ動いた=電流も右」→ ✅「電子が右へ動いた=電流は左」。ここを反転させ忘れると、答えの向きがちょうど逆になります。左手か右手かの使い分けとセットで、フレミングの法則を「左手は動かす・右手は生む」で一発整理するで確認しておきましょう。
過去問ではこう出た
電磁力は、理論科目で毎年のように顔を出す定番テーマです。実際に、次のような回で出題されています。
| 年度 | 問番号 |
|---|---|
| 平成28年 | 問12 |
| 令和2年 | 問3 |
| 令和5年下期 | 問4 |
| 令和6年上期 | 問3 |
| 令和7年上期 | 問3、問4 |
| 令和7年下期 | 問3、問4 |
テーマで照合すると、電験ジムの収録範囲だけで34問。令和7年は上期・下期ともに問3と問4が連続して電磁力系という年もあり、前半の問題番号に固まって出る傾向が読み取れます。理論の序盤で確実に拾えるかどうかが、そのまま合否に効いてくる位置です。
出題の中身は、用語の意味を問う素直な形から、導体やコイルに働く力の向き・大きさを問う計算まで幅があります。まずは今日の3用語と合言葉で土台を固め、そのうえで力の向きを判断する練習に進むのが最短ルートです。
よくある質問
Q. 磁力の単位「N(ニュートン)」と、磁極の「N極」は同じものですか?
まったくの別物です。磁力の単位であるニュートン[N]は、力の大きさを表す単位。一方のN極は、磁石の両端のうち片方につけられた名前です。記号が同じアルファベットなので混同しやすいのですが、片方は「どれくらいの力か」、もう片方は「どちらの端か」を表しています。問題文では単位は角括弧付きで書かれることが多いので、そこを目印にすると見分けやすくなります。
Q. 磁力線は、なぜN極からS極へ向かうと決まっているのですか?
これは、磁界の向きをどう定義するかという約束事です。磁界の中に小さな方位磁針を置いたとき、そのN極が指す向きを磁界の向きと決めています。その決め方に従うと、磁石の外側では磁力線がN極から出てS極へ入る形になります。理屈を掘り下げるより、「外側はN→S」と向きだけを図で覚えてしまうほうが、試験では確実に得をします。
Q. 磁石には必ずN極とS極の両方があるのですか?片方だけにはできませんか?
できません。磁石を真ん中で切っても、切った断面に新しくN極とS極が現れ、小さな磁石が2本できるだけです。N極だけ、S極だけの磁石は存在しません。ここが静電気との数少ない違いで、電荷はプラスだけ・マイナスだけを単独で取り出せますが、磁極は必ずペアになります。「法則はそっくりだが、単独で取り出せるかどうかだけは違う」と覚えておくと、両単元を混ぜても混乱しません。
Q. 導体を2本並べたときの力も、この合言葉で判断できますか?
考え方の芯は同じです。同じ向きに電流が流れる2本の導体は引き合い、逆向きなら反発します。ただし磁極の場合と違って、同じ向き=引き合うという結果になるので、そこだけは別に覚える必要があります。大きさの計算には専用の式があり、単位長さあたりで考えるか全長で考えるかで引っかかる人が多いところです。詳しくは平行導体間に働く電磁力は「ℓを掛けない」が9割と、磁界の向きの決め方をまとめた電磁力は「右ねじ1本」で攻略できる——電流と磁界の方向を先に読んでおくと、驚くほどスムーズに入れます。
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