核燃料サイクルを「掘る→作る→使う→再処理→もう一度使う」5語で完全攻略
電験三種「電力」科目の最頻出挫折ポイント・核燃料サイクルを、『掘る→作る→使う→再処理→もう一度使う』のたった5語のストーリーに分解。イエローケーキ・UF6・UO2の化学式、六ヶ所村と東海村の施設ひっかけまで、試験本番で迷わない急所だけを最短ルートで整理します。
🎥 動画でも解説しています > YouTubeで開く
核燃料サイクル。テキストを開いた瞬間、イエローケーキ、六フッ化ウラン、酸化ウラン、六ヶ所村、東海村……と、見慣れないカタカナと化学式と地名がずらりと並んでいて、そっと閉じた経験はありませんか。
大丈夫です。ここで挫折する方の9割は、能力の問題ではありません。バラバラの用語を、バラバラのまま覚えようとしている——ただそれだけが原因です。
実はこの単元、たった5つの言葉で一本の線につながります。掘る → 作る → 使う → 再処理 → もう一度使う。これだけです。この骨組みさえ頭に入れば、あとは「この工程はどこに入るんだったかな」と当てはめていくだけで、化学式も施設名も勝手に整理されていきます。
苦手意識がいちばん強い単元が、実は暗記量のわりに得点しやすい単元に変わる。今日はその転換を一緒にやっていきましょう。
この記事で身につくこと
- 核燃料サイクル全体を「5つの動詞」でひとつながりに説明できるようになる
- イエローケーキ(U₃O₈)→ 六フッ化ウラン(UF₆)→ 酸化ウラン(UO₂)と、姿が変わる順番と理由が分かる
- ウラン濃縮度「0.7% → 3〜5%」という頻出数値を、根拠つきで覚えられる
- 六ヶ所村と東海村、どの工程がどちらなのかを一発で判断できるようになる
- 再処理・MOX燃料・プルサーマルという「出口側」の用語を正しく使い分けられる
暗記フレーズ:掘る・作る・使う・再処理・もう一度使う
まず、この記事でいちばん大事なものを先に渡しておきます。
掘る → 作る → 使う → 再処理 → もう一度使う
本試験で核燃料サイクルの問題に出会ったら、迷わず問題用紙の余白にこの5語を書き出してください。そのうえで、選択肢に出てくる工程名がどのステップの話なのかを当てはめていく。それだけで、選択肢の並び順を問う問題はほぼ落とせなくなります。

ポイントは、5語のうち「作る」だけが3段構えになっていることです。ここを最初に意識しておくと、後で混乱しません。
| 暗記フレーズ | 含まれる工程 |
|---|---|
| 掘る | 採掘・製錬 |
| 作る | 転換 → 濃縮 → 加工(3工程) |
| 使う | 発電 → 貯蔵 |
| 再処理 | ウランとプルトニウムの回収 |
| もう一度使う | MOX燃料の製造・プルサーマル発電 |
ステップ1:掘る — ウラン鉱石とイエローケーキ

すべての出発点は、ウラン鉱石の採掘です。ただし、日本国内にウラン鉱山はありません。主な産出国はカナダ・オーストラリア・カザフスタンで、日本は全量を輸入に頼っています。
掘り出した鉱石をそのまま原子炉に入れられるわけではありません。まず精製して、黄色い粉状の中間産物にします。これが有名なイエローケーキ(U₃O₈)です。
ここで押さえるべきは次の2点だけです。
| 押さえる点 | 内容 |
|---|---|
| イエローケーキの位置づけ | 核燃料サイクルで一番最初の姿。まだ燃料ではない |
| 日本の状況 | 鉱山も製錬も国内には無く、全量輸入 |
「掘る=イエローケーキ」。この対応だけ先に固めておけば十分です。
ステップ2:作る① 転換 — 粉からガスへ(UF₆)

ここから「作る」に入ります。「作る」は転換・濃縮・加工の3工程。その1つ目が転換です。
黄色い袋に入った粉のイエローケーキが、銀色のシリンダーに詰められたガスに姿を変えます。これが六フッ化ウラン(UF₆)です。
なぜわざわざガスにするのか。答えは次の工程にあります。濃縮は、粉のままでは行えないからです。後で出てくる遠心分離機は、気体の状態でなければウランを分けられません。だから「濃縮の前準備としてガスにする」——この因果関係で覚えると、順番を取り違えません。
そしてもう一つ。日本には転換施設がありません。ここも海外で実施され、UF₆の状態で日本に運ばれてきます。
覚え方:いきなり濃縮はできない。まずUF₆というガスの姿に変えてから。
ステップ3:作る② 濃縮 — 0.7%から3〜5%へ

「作る」の2つ目、濃縮です。そして、ここが核燃料サイクルで初めて日本国内に入ってくる工程でもあります。
濃縮の役割は、核分裂しやすいウラン235(U-235)の割合を高めること。天然ウラン中のU-235は、わずか0.7%しかありません。これを軽水炉用の3〜5%まで高めます。
方法は、遠心分離機を多数並べて、わずかな質量差でU-235とU-238を分けていく、というもの。1台では足りないので、段数を重ねて少しずつ濃度を上げていきます。
そして施設名。日本原燃(JNFL)六ヶ所ウラン濃縮工場(青森県六ヶ所村)です。
| 覚える組み合わせ | 内容 |
|---|---|
| 濃縮 = 六ヶ所村 | 青森県六ヶ所村・日本原燃(JNFL) |
| 濃縮 = 3〜5% | 天然の0.7%から高める |
この2点セットは超頻出です。数値と地名、必ずセットで頭に入れてください。なお、そもそも「なぜU-235でなければならないのか」「減速材や制御棒はどう効くのか」があいまいな方は、先に〈原子炉の5要素を「4つの動詞」で一発攻略〉を読んでおくと、濃縮の意味がすんなり腑に落ちます。
ステップ4:作る③ 加工 — 粒・棒・束の三段組み立て

「作る」の最後、加工です。ここでようやく、原子炉に入れられる「燃料の形」に仕上がります。
最初にやることは、意外に思われるかもしれません。濃縮したUF₆を、酸化ウラン(UO₂)に戻すのです。ガスの姿は濃縮のための一時的なものでしたから、役目を終えたら固体に戻す。ここが「化学式が行ったり来たりして混乱する」最大の原因ですが、理由が分かっていれば怖くありません。
そこから先は、粒 → 棒 → 束の三段階です。
| 段階 | 名称 | 中身 |
|---|---|---|
| ① 粒 | ペレット | UO₂を焼き固めた小さな黒い粒 |
| ② 棒 | 燃料棒 | ペレットを金属管に詰めたもの |
| ③ 束 | 燃料集合体 | 燃料棒を多数束ねたもの |
そして施設名。加工の主な拠点は茨城県東海村(日本原燃、三菱原子燃料など)です。
ここが、核燃料サイクル最大のひっかけポイントになります。濃縮は六ヶ所、加工は東海。主要工程の中で、加工だけが東海村なのです。
ステップ5:使う① 発電 — 炉心で1〜2年

長い準備を経て、ようやく発電です。完成した燃料集合体を、BWR(沸騰水型)またはPWR(加圧水型)の炉心に装荷します。核分裂で生じた熱を取り出し、蒸気にしてタービンを回す——ここでやっと電気になります。
覚えておく数値は使用期間1〜2年。思ったより長い、と感じた方が多いのではないでしょうか。この感覚のズレが、かえって記憶に残ります。
なお、燃料交換のときに水中で青く光るチェレンコフ光が見られる、というのは有名な話です。試験に直接出る頻度は高くありませんが、こういうイメージが1つあるだけで単元全体が記憶に残りやすくなります。
BWRとPWRの構造の違いがあいまいな方は、〈BWRとPWRの違いは「蒸気の作り方」だけで全部解ける〉を先に押さえておくと、この「使う」のステップが立体的に見えてきます。
ステップ6:使う② 貯蔵 — 水が先、空気が後

ここは、多くの方が飛ばしてしまう工程です。「使い終わったらすぐ再処理工場へ」と思っていませんか。違います。まず貯蔵です。
取り出したばかりの使用済燃料は、放射線量も崩壊熱もまだ高い状態です。そこで、冷却プールで数年間、水中で冷却して落ち着かせます。十分冷えたら、乾式キャスクに移して自然空冷で長期保管する。
| 段階 | 名称 | 冷やし方 | 期間 |
|---|---|---|---|
| ① | プール貯蔵 | 水中で冷却 | 数年間 |
| ② | 乾式貯蔵 | 乾式キャスクで自然空冷 | 長期 |
順番を取り違えないための合言葉は、「水が先、空気が後」。そして、この貯蔵が終わってから再処理工場へ、という流れです。
ステップ7:再処理 — 使い終わってもゴミではない

いよいよ「サイクル」がサイクルたるゆえんの工程です。
使用済燃料の中には、まだ使えるウランと、運転中に新しく生まれたプルトニウムが含まれています。これを取り分けて回収するのが再処理です。回収したUとPuが、次のMOX燃料の原料になります。
施設は日本原燃 六ヶ所再処理工場(青森県六ヶ所村)。濃縮も六ヶ所、再処理も六ヶ所です。
再処理の目的を一言でいえば、「捨てるためではなく、もう一度使うために集める」。この方向性さえ間違えなければ、選択肢の言い回しに惑わされません。
ステップ8:もう一度使う — MOX燃料とプルサーマル
最後のステップです。再処理で取り出したウランとプルトニウムを混ぜて作るのが、MOX燃料(ウラン・プルトニウム混合酸化物燃料)。製造は日本原燃 MOX燃料工場(青森県六ヶ所村)です。
そして、この MOX燃料を通常の原子炉(軽水炉)で使って発電することをプルサーマルと呼びます。名前の由来は、プルトニウムをサーマルリアクター(熱中性子炉)で使うから。カタカナの意味が分かると、途端に覚えやすくなる用語の代表格です。
ここでサイクルが一周し、「使い終わって終わり」ではなく、資源を循環させる仕組みが完成します。
そもそも原子力発電の全体像そのものが不安、という方は、〈原子力発電は「火力のボイラを原子炉に置換」これだけで一撃攻略〉に立ち返ると、このサイクルがどこに接続しているのかが一目で分かります。
まとめ
ここまでの全工程を、5語の骨組みに沿って1枚にまとめます。試験直前は、この表だけを見返してください。
| 暗記フレーズ | 工程 | 状態の変化・役割 | 日本の施設 |
|---|---|---|---|
| 掘る | 採掘・製錬 | 鉱石 → イエローケーキ(U₃O₈) | 全量輸入(国内に鉱山なし) |
| 作る | 転換 | イエローケーキ → 六フッ化ウラン(UF₆) | 海外で実施(国内施設なし) |
| 作る | 濃縮 | U-235 0.7% → 3〜5% | 六ヶ所村(JNFL) |
| 作る | 加工 | UF₆ → UO₂ → ペレット → 燃料棒 → 燃料集合体 | 東海村 |
| 使う | 発電 | 炉心で燃料集合体を1〜2年使用 | BWR・PWR |
| 使う | 貯蔵 | プール(水冷)→ 乾式キャスク(空冷) | 各発電所・六ヶ所村 |
| 再処理 | 再処理 | 使用済燃料 → U + Pu を回収 | 六ヶ所村 |
| もう一度使う | MOX加工 | U + Pu → MOX燃料 → プルサーマル発電 | 六ヶ所村 |
この表から読み取れる、試験で効く事実は3つです。
- 国内に入ってくるのは「濃縮」から。掘る・転換までは海外。
- 加工だけが東海村。それ以外の主要工程は六ヶ所村。
- 化学式は U₃O₈ → UF₆ → UO₂ と往復する。ガスにするのは濃縮のため、固体に戻すのはペレットにするため。
⚠ ここを間違える人が多い
核燃料サイクルの失点は、知識不足よりも「似た言葉の取り違え」で起きます。よくある3パターンを、正解とセットで押さえてしまいましょう。
❌ 濃縮度を高く見積もってしまう
「原子力なんだから、もっと高濃度なのでは」という思い込みから、10〜20%といった数値の選択肢を選んでしまう——これが最も多い失点です。
✅ 正しくは、軽水炉用の燃料は3〜5%。天然ウランの0.7%から見れば十分に大きな引き上げです。「0.7 → 3〜5」を、数字の並びごと記憶してください。高い数値の選択肢が並んでいたら、むしろ疑うくらいでちょうど良いです。
❌ 「再加工」と言ってしまう
使用済燃料からUとPuを取り出す工程を、うっかり「再加工」と読んでしまう方がいます。加工の工程が別にあるので、混ざってしまうのです。
✅ 正しい用語は再処理。「加工」は燃料の形を作る工程(東海村)、「再処理」は使用済燃料から資源を取り出す工程(六ヶ所村)。やることも場所も別物です。
❌ イエローケーキを燃料だと思ってしまう
名前のインパクトが強いせいか、イエローケーキを「燃料の一種」と捉えてしまうケースがあります。ウランとプルトニウムの混合燃料の名前を問われて、イエローケーキを選んでしまう誤りもここに含まれます。
✅ イエローケーキ(U₃O₈)は製錬段階の中間産物であって、燃料ではありません。混合燃料の名前はMOX燃料です。
| 紛らわしい語 | 正しい位置づけ |
|---|---|
| イエローケーキ(U₃O₈) | 一番最初の中間産物。燃料ではない |
| MOX燃料 | U + Pu の混合燃料。サイクルの出口 |
| 加工 | 燃料の形を作る(東海村) |
| 再処理 | 使用済燃料から U・Pu を回収(六ヶ所村) |
過去問ではこう出た
核燃料サイクルは、電力科目で安定して顔を出すテーマです。この動画に紐づく範囲では、次の2問が該当します。
| 年度 | 問番号 |
|---|---|
| 平成28年 | 問4 |
| 令和7年上期 | 問4 |
出題のされ方には、はっきりした傾向があります。まず、工程の順番を入れ替えた文章を混ぜてくるタイプ。転換と濃縮を逆にする、貯蔵を飛ばしていきなり再処理につなげる、といった形です。次に、濃縮度の数値を差し替えるタイプ。そして、用語そのものを言い換えて誤らせるタイプ(再処理→再加工、MOX燃料→イエローケーキなど)。
つまり、今日整理した「5語の順番」「0.7 → 3〜5%」「用語の使い分け」が、そのまま得点に直結します。計算が要らない分、覚えた人が確実に取れる問題です。
よくある質問
Q. なぜわざわざUF₆(ガス)にしてから、またUO₂(固体)に戻すのですか?
濃縮という工程の都合です。遠心分離機でU-235とU-238をわずかな質量差で分けるには、ウランが気体でなければなりません。だから濃縮の前にガス状のUF₆へ転換します。
一方、原子炉に入れる燃料は、高温に耐える固体でなければなりません。そこで濃縮が終わったらUO₂に戻し、焼き固めてペレットにします。「ガスは濃縮のため、固体は燃料のため」——目的が違うから姿が変わる、と理解してしまえば、化学式の往復はもう混乱の種ではなくなります。
Q. 六ヶ所村と東海村、どうしても混ざります。良い覚え方はありませんか?
「加工だけが東海」と、例外の側を1つだけ覚えるのが最短です。
濃縮・貯蔵・再処理・MOX加工——主要工程のほとんどは青森県六ヶ所村に集まっています。六ヶ所村は、いわば核燃料サイクルの中心地です。そのなかで、燃料の形を作る「加工」だけが茨城県東海村。
覚える対象を「多数派」ではなく「例外1つ」に絞ると、記憶の負担が一気に軽くなります。試験中に迷ったら、「加工か、それ以外か」だけを自問してください。
Q. 使用済燃料を、すぐ再処理工場に運ばないのはなぜですか?
取り出した直後の燃料は、放射線量が高く、崩壊熱も出し続けているためです。そのままでは運搬も処理も安全に行えません。
そこでまず冷却プールで数年間、水中で冷やして落ち着かせます。水は放射線を遮る役割も兼ねています。十分に冷えたら乾式キャスクに移し、自然空冷で長期保管する——この「水が先、空気が後」の二段構えを経て、はじめて再処理へ進みます。「使い終わったら即再処理」と覚えていると、工程順を問う問題で足をすくわれますので、ここは意識して押さえておきましょう。
核燃料サイクルは、用語と施設名の数だけ見れば確かに多い単元です。一度で全部を覚えようと気負う必要はありません。
掘る → 作る → 使う → 再処理 → もう一度使う。
まずはこの5語だけを、口に出せるようにしてください。骨組みさえ立っていれば、肉付けは何度でもやり直せます。何度でもこの記事に戻ってきてください。そのたびに、必ず前より速く思い出せるようになっています。
Webの何倍も覚えやすい
紙のフルラミネート加工の
暗記シートがあります
実績2,000部突破。
お風呂や電車のスキマ時間でサクッと勉強できます。
付属の練習用紙で無限に練習できます♪

🛒関連教材ショーケース
学習の効率を上げる、紙の本格教材ラインナップ。


この記事を読み終えたら、進捗を記録しましょう




