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電力 第16回 ⏱ 約24分で読めます

原子炉の5要素を「4つの動詞」で一発攻略

電験三種「電力」科目で頻出の原子炉構成要素を、丸暗記ではなく『燃料で熱、制御で調整、水で減速・冷却、壁で遮蔽』という4つの動詞フレーズで芋づる式に攻略。減速材=反応促進という最大の罠や、制御棒3点セット(ホウ素・カドミウム・ハフニウム)まで、文章題で確実に得点する読み方を解説します。

🃏 暗記フレーズ:燃料で熱、制御で調整、水で減速・冷却、壁で遮蔽

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原子炉の構成要素。ここで手が止まってしまう方は、本当に多いです。

燃料棒、制御棒、減速材、冷却材、遮蔽材。名前を5つ並べて、そこにホウ素だのカドミウムだの黒鉛だのが加わり、さらに軽水と重水が両方に出てくる。テキストの表をにらみながら「これ、覚えられる気がしないな」とため息をついた経験、ありませんか。

でも安心してください。ここが苦手な理由は、頭が悪いからでも、記憶力が衰えたからでもありません。覚え方を「名詞」で始めてしまっているから、ただそれだけです。

原子炉は、たった4つの動詞で完結します。「燃料で熱、制御で調整、水で減速・冷却、壁で遮蔽」。この一行さえ口に出せるようになれば、5つの部品も、材質も、試験のひっかけも、芋づる式についてきます。今日でこの単元を、得点源に変えてしまいましょう。

原子炉の構成を一発攻略|魔法のフレーズ

この記事で身につくこと

身につくことどう変わるか
原子炉の5要素を動詞でつなぐ考え方部品名の丸暗記から解放される
各要素の「場所・役割・材質」の3点セット文章題でどの要素の話か即断できる
制御棒の材質と、BWR/PWRの挿入方向頻出の選択肢を確実に切れる
減速材の本当の目的最大のひっかけ問題を落とさなくなる
原子炉容器と格納容器の二重構造遮蔽まわりの記述問題に対応できる

この単元は、計算がほとんどありません。つまり、覚えた人が確実に取れる問題です。裏を返せば、あいまいなまま本番に行くと、確実に落とす問題でもあります。今日で決着をつけましょう。

暗記フレーズ:燃料で熱、制御で調整、水で減速・冷却、壁で遮蔽

まず、この一行を声に出してみてください。

燃料で熱、制御で調整、水で減速・冷却、壁で遮蔽

これが今日の全部です。動詞に着目すると、こう分解できます。

動詞担当する要素
熱を生む燃料棒
出力を調整する制御棒
中性子を減速する減速材
熱を冷却する(運び出す)冷却材
放射線を遮蔽する遮蔽材

動詞が4つで、要素が5つ。数が合わないように見えますが、これは「水で減速・冷却」の部分に、減速材と冷却材の2つがまとめて入っているからです。日本の軽水炉では、水がこの2役を兼ねているので、あえて1つのカタマリで覚えたほうが速いのです。

原子炉の5要素|丸暗記は挫折の元

なぜ名詞ではなく動詞なのか。理由はシンプルで、試験で問われるのが役割のほうだからです。「中性子を吸収して出力を調整するものはどれか」「炉心の熱を運び出すものはどれか」——問題文はこういう聞かれ方をします。部品名だけ覚えていても、動詞と結びついていなければ答えられません。

なお、原子力発電そのものの全体像がまだ曖昧という方は、先に原子力発電は「火力のボイラを原子炉に置換」これだけで一撃攻略を読んでおくと、この記事の内容が驚くほどスッと入ってきます。今日は、その「原子炉」という箱の中身を一つずつ開けていく回です。

🃏 暗記シート
Q. 原子炉の構成要素5つを、役割(動詞)でつないだ暗記フレーズは?

ステップ1:燃料棒は「熱を生む」——連鎖反応の熱源

燃料棒は連鎖反応の熱源|構成要素①

原子炉の一番の中心、炉心に多数配置されているのが燃料棒です。

項目内容
場所原子炉の中心(炉心)に多数配置
役割核分裂を起こして熱を発生させる
中身低濃縮ウラン(U-235)を含むペレットを金属管に封入
形態集合体として炉心に装填
交換1〜2年に一度

文章題では「連鎖反応の熱源」という表現が出てきたら、迷わず燃料棒と即答してください。ここは直感どおりで、まず落としません。

燃料交換は、一気にやらない

ひとつ豆知識を。燃料交換は、全部をまとめて入れ替えるわけではありません。反応度を見ながら少しずつ交換していきます。こうすることで、発電を止めずに済むようにしているのです。24時間動かし続ける施設が、車両や設備を少しずつ入れ替えていくのと同じ発想ですね。

🃏 暗記シート
Q. 原子炉の燃料棒の役割と、その中身は何か?

ステップ2:制御棒は「調整する」——出力のアクセルとブレーキ

制御棒で出力を調整する|構成要素②

燃料棒の間に、上下から出し入れされるのが制御棒です。

項目内容
場所燃料棒の間に上下から挿入
役割中性子を吸収し、核分裂の発生を抑制・調整する
材質ホウ素(B)・カドミウム(Cd)・ハフニウム(Hf)
挿入時中性子を吸って反応が弱まる(出力が下がる)
引き抜き時反応が強まる(出力が上がる)

材質の3つは、試験でそのまま問われます。「ホウ・カド・ハフ」と3点セットで、リズムに乗せて覚えてしまってください。

BWRは下から、PWRは上から

ここが差のつくポイントです。原子炉には大きく分けてBWR(沸騰水型)とPWR(加圧水型)がありますが、制御棒の挿入方向が逆になります。

炉型制御棒の挿入方向理由
BWR(沸騰水型)下から炉の上部で蒸気を取り出すため、上に空間が必要
PWR(加圧水型)上から上部の制約がなく、重力で落とせる

PWRは、緊急時に制御棒を重力で自由落下させられます。この点で「PWRのほうが安全」と言われることがある、という理屈まで押さえておくと、記述の選択肢に強くなります。

スクラム=緊急時の一斉挿入

緊急時に制御棒を一気に挿入して原子炉を止める操作を、スクラムと呼びます。用語として単独で問われることがあるので、名前と動作をセットで押さえておきましょう。

🃏 暗記シート
Q. 原子炉の制御棒に使われる材質を3つ挙げよ。
💡 ホウ・カド・ハフ
🃏 暗記シート
Q. 原子炉の制御棒は、BWR(沸騰水型)とPWR(加圧水型)でどちらから挿入されるか?
💡 上が蒸気で埋まるのはどちらか

ステップ3:減速材は「減速する」——ただし反応は止めない

減速材は中性子を遅く|構成要素③

この単元で、いちばん多くの人が転ぶのがここです。

項目内容
場所炉心全体を満たすスペース
役割高速中性子を衝突で遅くし、熱中性子に変える
材質軽水(普通の水)・重水・黒鉛

流れを式のように書くなら、こうなります。

「減速」という言葉に騙されない

減速材という名前から、つい「反応にブレーキをかけるもの」と読んでしまいます。ところが実際は逆で、中性子を遅くすることで、核分裂を促進・安定化させているのです。

ウランは、高速で飛び回る中性子より、ゆっくりした熱中性子に対してのほうが反応しやすい。だから、わざわざ速度を落としてやる。ここを取り違えていると、選択肢の言い回し一つで正誤が逆転してしまいます。

減速材が減速させるのは「中性子の速度」であって、「核分裂反応そのもの」ではありません。

反応にブレーキをかけるのは、ステップ2で学んだ制御棒の仕事です。中性子を「遅くする」のが減速材、中性子を「吸い取る」のが制御棒。この対比で覚えると、二度と混ざりません。

🃏 暗記シート
Q. 原子炉の減速材の役割は?
🃏 暗記シート
Q. 原子炉の減速材に使われる材質を3つ挙げよ。

ステップ4:冷却材は「運び出す」——熱の宅配便

冷却材は熱を運び出す|構成要素④

燃料棒が熱を生んでも、そのままでは電気になりません。運び出す担当が冷却材です。

項目内容
場所炉心を循環し、タービンや蒸気発生器へ
役割燃料棒で発生した熱エネルギーを運び出し、冷却する
材質軽水・重水・二酸化炭素・液体金属

材質が4つあるのは、炉型によって使うものが変わるからです。日本の軽水炉なら軽水ですが、世界にはガス冷却炉(二酸化炭素)や高速炉(液体金属)もある、という理解でじゅうぶんです。

BWRとPWRで、冷却系の組み方が違う

炉型冷却系の構成
BWR(沸騰水型)炉心で蒸気を直接発生させ、そのままタービンへ
PWR(加圧水型)一次冷却水と二次冷却水に分離し、蒸気発生器で熱交換

BWRは軽水がそのまま蒸気になってタービンを回します。PWRは一次系の熱を蒸気発生器で二次系に渡すので、系統が分かれます。

水は「二刀流」——減速材と冷却材を兼務

気づかれたでしょうか。軽水は、減速材の材質にも、冷却材の材質にも登場します。日本の軽水炉では、同じ水が減速と冷却の両方を担っているのです。

「材質を答えよ」という問題で軽水を書いて、「これ、どっちだったかな」と迷う必要はありません。どちらにも入ります。むしろ軽水が両方に登場することこそが、覚えるべきポイントです。

🃏 暗記シート
Q. 日本の軽水炉において、水(軽水)は原子炉の何と何を兼ねているか?
💡 二刀流
🃏 暗記シート
Q. 原子炉の冷却材に使われる材質を4つ挙げよ。

ステップ5:遮蔽材は「遮蔽する」——最後の砦は二重構造

遮蔽材は放射線を防ぐ|構成要素⑤

5つ目、外側を守る担当です。

項目内容
場所炉心の外側を取り囲む厚い構造物
役割放射線(中性子・γ線)を外部に漏らさない
材質コンクリート・鉛・鉄

原子炉容器と格納容器の違い

遮蔽まわりで問われやすいのが、この2つの容器の呼び分けです。

名称内容
原子炉容器炉心を収める鋼鉄製の圧力容器
格納容器原子炉容器全体を密閉する最終バリア。放射能の拡散を防ぐ

原子炉容器の外側を格納容器がさらに覆う、二重構造になっています。「最終バリアはどちらか」と問われたら格納容器です。内側から順に、炉心 → 原子炉容器 → 格納容器、と並びをイメージしておいてください。

もっとも、この遮蔽が万能というわけではありません。中で反応が止まらないまま高温になれば、燃料が溶け落ちて構造物を突き破る事象も起こり得ます。だからこそ、ステップ2の「確実に止める(スクラム)」が、遮蔽と同じくらい重要な意味を持つわけです。

🃏 暗記シート
Q. 原子炉における、原子炉容器と格納容器の違いは?

ステップ6:立体マップで、中心から外へ並べる

原子炉の立体マップ|空間図解イメージ

ここまでの5要素を、中心から外側へという一本の軸に並べ直します。

位置要素やっていること
中心燃料棒熱を作る
燃料棒の間制御棒反応を調整する
周囲減速材・冷却材水で減速し、熱を運ぶ
外側遮蔽材(原子炉容器+格納容器)閉じ込める

一言でまとめれば、「中心で熱を作り、水で運び、外側で閉じ込める」

この空間イメージを持っておくと、文章題で「炉心を循環し」「燃料棒の間に挿入され」といった表現が出てきたとき、どの要素の話をしているのかが読んだ瞬間に分かります。名前を思い出すのではなく、位置から思い出す。これが一番速いルートです。

なお、燃料棒に入る低濃縮ウランがどこから来て、使い終わったあとどうなるのかを押さえておくと、この単元の理解がもう一段深まります。気になった方は核燃料サイクルを「掘る→作る→使う→再処理→もう一度使う」5語で完全攻略もどうぞ。

まとめ:完全保存版の一覧表

最後に、5要素を一枚にまとめます。ここだけスクリーンショットしてお使いください。

構成要素役割(動詞)主な材質キーワード
燃料棒核分裂で熱を生む低濃縮ウラン(U-235)ペレット、炉心中心、1〜2年で交換
制御棒中性子を吸収し出力を調整ホウ素・カドミウム・ハフニウム挿入と引き抜き、スクラム、BWRは下・PWRは上
減速材高速中性子を熱中性子にする軽水・重水・黒鉛核分裂の促進(止めるのではない)
冷却材炉心の熱を運び出す軽水・重水・二酸化炭素・液体金属BWRとPWR、蒸気発生器
遮蔽材放射線を遮蔽するコンクリート・鉛・鉄原子炉容器+格納容器の二重構造

そして、迷ったら必ずこの一行に戻ってください。

燃料で熱、制御で調整、水で減速・冷却、壁で遮蔽

分解してみれば、たったこれだけのことです。複雑に見えていた原子炉が、4つの動詞に収まってしまいました。ここまで来られたあなたは、もうこの単元を「苦手」と呼ぶ必要はありません。

🃏 暗記シート
Q. 原子炉の構成要素で「ホウ素・カドミウム・ハフニウム」が使われるのはどれか?

⚠ ここを間違える人が多い

原子炉の問題は、部品の名前を知っているかどうかではなく、役割を正しく言えるかどうかで差がつきます。取り違えやすい3つを潰しておきましょう。

❌「減速材は反応を抑えるもの」 → ✅ 反応を促進するもの

これが最大の落とし穴です。名前の印象に引きずられて「減速=ブレーキ」と解釈すると、正しい選択肢を自分から捨ててしまいます。減速するのは中性子の速度であって、反応ではありません。むしろ遅くなった熱中性子のほうが核分裂を起こしやすいので、結果として反応は起こりやすくなる。反応を抑えるのは制御棒の担当です。

❌「減速材と冷却材は別物だから、材質も別」 → ✅ 軽水は両方に入る

役割が違うのだから材質も違うはず、と考えると、軽水がどちらに入るかで迷います。日本の軽水炉では同じ水が両方を兼ねているので、軽水は減速材にも冷却材にも登場して正解です。両方に書けることが答えです。

❌「制御棒は、どの炉でも上から入れる」 → ✅ BWRは下から

図のイメージだけで「棒は上から落とすもの」と決めつけると、BWRで失点します。BWRは上部から蒸気を送り出す構造なので、上に制御棒の駆動空間が取れません。だから下から押し上げます。上が蒸気で埋まるのはどちらか、と考えれば迷いません。

過去問ではこう出た

原子炉の構成要素は、電力科目のなかでも安定して出題される単元です。テーマで照合した範囲では、次の出題実績があります。

年度問番号
令和5年下期問8
令和4年下期問8

問番号が揃っていることからも分かるとおり、この単元は「出る場所」がほぼ決まっています。出題の形は、5要素の役割と材質を入れ替えて正誤を問うものや、材質名から要素を特定させるものが中心です。計算が絡まないぶん、覚えた人がそのまま点を取る問題であり、逆にあいまいなままだと消去法も効きません。

対策としては、まとめの一覧表を「役割 → 材質」「材質 → 役割」の両方向で言えるようにしておくこと。片方向だけだと、材質から要素を当てさせる出題で詰まります。

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よくある質問

Q. 減速材と冷却材が同じ水なら、なぜ2つの名前で呼び分けるのですか?

物質が同じでも、果たしている仕事が違うからです。中性子とぶつかって速度を落とすときは減速材として働き、熱を受け取って炉の外へ運ぶときは冷却材として働いています。試験で問われるのは物質ではなく役割なので、名前も役割ごとに分かれているわけです。実際、黒鉛のように減速材にしかならないものや、二酸化炭素のように冷却材にしかならないものもあります。両方を兼ねられるのは水の性質がたまたま都合よかったから、と理解しておけばじゅうぶんです。

Q. 制御棒の材質は3つとも覚えないといけませんか?

はい、ホウ素・カドミウム・ハフニウムの3つはセットで覚えてください。出題では、この3つのうちどれか1つだけが選択肢に紛れ込む形も多く、1つでも抜けていると判断できなくなります。逆に言えば、この3語が出てきたら制御棒で確定という強力な目印になります。減速材の3つ(軽水・重水・黒鉛)、遮蔽材の3つ(コンクリート・鉛・鉄)とあわせて、要素ごとに固めて覚えるのが結局いちばん速い道です。

Q. BWRとPWRの違いは、どこまで踏み込んで覚えるべきですか?

この単元に関しては、制御棒の挿入方向と、冷却系が1系統か2系統かの2点を押さえておけば十分に戦えます。BWRは炉心で直接蒸気を作るので冷却系は一本、制御棒は下から。PWRは一次系と二次系に分かれ、蒸気発生器で熱交換し、制御棒は上から。この対比だけで、選択肢のかなりの部分をふるい落とせます。炉型そのものの詳細に不安が残る方は、同期機の特性比較を「鉄の力持ち vs 銅のスピードスター」で一撃攻略で使った「2つを対比で覚える」やり方が、ここでもそのまま効きます。

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この記事を書いた人

資格LABO

電験三種を含め、さまざまな資格を一発合格した経験をもとに、 忙しい社会人が最短距離で受かるための教材とYouTube解説を作っています。 暗記シート・講義ノートは累計2,000部を突破し、 多くの合格報告をいただいています。

保有資格

電気主任技術者電気工事士公害防止管理者放射線取扱主任者中学校・高等学校 教員免許
  • ⚡ 電験三種・電験二種の解説動画をYouTubeで公開中
  • 📚「勉強の過程」より「結果を重視」した教材の制作・販売
  • 🏋️ 過去問対策Webサービス「電験ジム」を開発・運営

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