計算問題の土台!回路図の基本記号10個を『機能別ファミリー』で攻略
電験三種「理論」の計算問題で必須の電気回路図 基本記号10個を、機能別ファミリーA・B・Cに分類して論理的に整理。電流計・電圧計・電力計・検流計・直流・接地・スイッチ・可変抵抗器・すべり抵抗器・定電流源を『出題頻度×役割』の戦略マップで一気にマスターできます。
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この記事で身につくこと
「計算問題が解けない」と悩んでいる方に、まずお伝えしたいことがあります。
解き方が分からないのではなく、そもそも回路図が読めていない ——このパターン、本当に多いんです。
考えてみてください。問題文の下に描かれた回路図。あの中に並んでいる小さな記号ひとつひとつが、「ここには電源があります」「ここが基準の0 Vです」「ここで抵抗を2つに分けています」と、あなたに語りかけているわけです。その語りかけが聞き取れないまま公式だけ暗記しても、どの数字をどこに入れればいいのか永遠に分かりません。
逆に言えば、記号さえ読めるようになれば、計算問題は一気に手触りのあるものに変わります。「この記号があるということは、こういう式が立つな」と、図から式へまっすぐ橋が架かるんです。
この記事では、電験三種の理論で登場する主な図記号10種類を扱います。ただし、10個をバラバラに丸暗記するのではありません。機能別に3つのファミリーへ分けて、「このグループは何のためにいるのか」という理屈ごと頭に入れていきます。人間の記憶は、意味のかたまりになったものにはめっぽう強い。バラバラの10個は覚えられなくても、3家族の顔ぶれなら覚えられます。
具体的には、こんな状態を目指します。
- 電流計・電圧計・電力計を、単位の頭文字から一瞬で見分けられる
- 検流計を見たら「これは0 Aの確認役だ」と反射的に思える
- 接地の記号を見たら「ここが0 Vの基準だ」と即座に置き換えられる
- すべり抵抗器を見たら「矢印の位置でR₁とR₂に分かれる」と図が浮かぶ
- 出題頻度に応じて、どこに時間をかけるべきか判断できる
記号の学習は、正直なところ地味です。華やかな公式のような達成感もありません。それでも、ここを固めた人と固めていない人とでは、計算問題での失点の量がまるで違ってきます。土台工事だと思って、一緒に丁寧にやっていきましょう。
暗記フレーズ:測る・供給する・変化させる
今日の合言葉はこれです。
測る・供給する・変化させる
10個の記号は、この3つの役割のどれかに必ず当てはまります。
| ファミリー | 役割 | メンバー |
|---|---|---|
| ファミリーA | 測る | 電流計・電圧計・電力計・検流計 |
| ファミリーB | 供給する(基準を決める) | 直流電源・接地・定電流源 |
| ファミリーC | 変化させる | スイッチ・可変抵抗器・すべり抵抗器 |
見慣れない記号が出てきたときも、「これは測る側か、供給する側か、変化させる側か」と自問すれば、意味の見当がつきます。試験会場で記憶があやふやになったとき、この3語が命綱になってくれます。
ステップ1:記号は「計算問題を解くための共通言語」

回路図の記号は、いわば電気の世界の言語です。
外国語の単語を知らないまま文章を読もうとしても、意味が取れませんよね。回路図もまったく同じで、記号という単語が分かって初めて、 のような式へ「翻訳」できるようになります。
だからこそ、記号はただの暗記対象ではなく、問題を解くための道具として理解してほしいのです。「丸の中にAは電流計」で終わらせず、「電流計がここにあるということは、この枝を流れる電流が問われている」というところまで踏み込む。この一歩の差が、そのまま得点の差になります。
そして、優先順位もはっきりしています。電流計・電圧計・電源・抵抗・接地の5つは、基礎中の基礎。これらが分からないと、そもそも問題文が読めません。まずこの5種類を、何も考えずに反応できるレベルまで持っていきましょう。
抵抗そのものの意味があやふやだという方は、先に電気材料と抵抗率:通す・止める・その間が半導体!を読んでおくと、この先の話がずっと楽になります。記号と中身がつながると、理解の速度が変わります。
ステップ2:ファミリーA①──計測器トリオ(電流計・電圧計・電力計)

最初のファミリーは、回路の状態を目に見える形にしてくれる計測器トリオです。
| 図記号 | 名称 | 測るもの | 頭文字の由来 |
|---|---|---|---|
| 丸の中に A | 電流計 | 電流 | アンペア [A] |
| 丸の中に V | 電圧計 | 電圧 | ボルト [V] |
| 丸の中に W | 電力計 | 電力 | ワット [W] |
ありがたいことに、この3つは単位の頭文字がそのまま記号になっているので、覚える苦労がほとんどありません。丸の中の文字を見れば、何を測っているか一目で分かります。
ただし、試験対策として意識してほしいのはその先です。
「回路図の中で、どこを測っているのか」を常に確認する。
計測器は、回路のどこに接続されているかによって、読み取る値が変わります。同じ回路でも、電流計が主回路にあるのか、枝分かれした先にあるのかで、答えるべき電流はまったく別物です。記号を見つけたら、必ず「この計器は回路のどの部分に入っているか」を目で追う癖をつけてください。
ちなみに、機械科目に進むと電圧計の重要性がさらに増します。同じ「電圧」でも、誘導起電力 なのか端子電圧 なのかで値が変わる場面が続々と出てくるからです。測る場所が変われば値も変わる——この感覚は、理論のうちから育てておいて損はありません。
ステップ3:ファミリーA②──検流計は「ゼロの確認役」

計測器ファミリーの4人目、検流計。丸の中に上向きの矢印が入った記号です。
「電流計と何が違うの?」——当然の疑問です。検流計は本来、電流の向きまで分かる計器なのですが、電験の試験では役どころが決まっています。
電流が流れていないこと(0 A)を確認する係。
典型的なのがブリッジ回路です。回路の真ん中に検流計が架け渡されていて、そこに「0 A」と書いてある。これは「検流計の枝には電流が流れていない」=平衡状態が成立しているという宣言なんです。
つまり試験では、こういう流れになります。
検流計の記号と「0 A」を見た瞬間に、平衡条件の式を書き始められる。ここまで反射化できたら理想的です。逆に「検流計=電流を測る計器」という理解のままだと、せっかく出題者が置いてくれたヒントを素通りしてしまいます。
ブリッジ回路そのものの詳しい解説は、理論の第12回で扱う予定です。ここでは「検流計が出てきたら平衡を疑う」という反射だけ、しっかり持ち帰ってください。
ステップ4:ファミリーB──回路のスタートとゴール(直流電源・接地)

2つ目のファミリーは、回路の始点と基準を決める2人組です。
直流電源(DC) は、長い横線と短い横線が並んだ記号。すべての電気の出発点です。
なぜ横線なのか、理由を知ると忘れません。直流は電圧の波形が一定=横一直線だからです。対する交流(AC)は波打つので、記号も波の形をしています。形が中身をそのまま表しているわけですね。
接地(グラウンド) は、縦線から下に向かって短くなる横線が3本並んだ記号。こちらは電位の基準、つまり0 Vを意味します。頻出記号です。
計算問題では、接地点を基準にして各点の電位を求めていく流れが定番です。ですから、この記号を見つけたら反射的に「ここが0 V」と書き込んでしまってかまいません。基準がひとつ決まるだけで、回路図が急に読みやすくなります。
このあたりで「そもそも電位って何だっけ」と引っかかった方は、電位差は『山の高低差』!高い→低いで電気は流れるに立ち寄ってから戻ってきてください。基準面としての0 Vのイメージが、驚くほどクリアになります。
ステップ5:定電流源は「出たらボーナス」
丸の中に赤い横棒が1本——これが定電流源の記号です。
覚え方は、直流電源とまったく同じ発想でいけます。直流は電圧が一定だから横棒。定電流源は電流が一定だから横棒。
一定は横棒で表す。
この記号、正直に言えば出題頻度は高くありません。だからこそ、対策の意味では話が単純です。形を見て名前が即答できる状態にしておけば、それだけで点になります。
ところが、頻度が低いということは、裏を返せば忘れやすいということでもあります。実際、他はスラスラ答えられるのに、定電流源だけ「あれ何だっけ」となる方が本当に多いんです。せっかくのボーナス問題を落とすのは、あまりにもったいない。
深追いは不要です。「丸に横棒1本=定電流源=一定は横棒」。この一行だけ、試験前にもう一度確認してください。
ステップ6:ファミリーC──回路の状態を変える(スイッチ・可変抵抗器)

3つ目のファミリーは、回路の状態を変化させる部品たちです。
スイッチは、線の途中に小さな丸があり、そこから斜めの線が伸びた記号。回路のON/OFFを切り替えます。
ここで注意していただきたいのは、開閉によって計算の前提条件そのものが変わるという点です。スイッチが閉じていれば電流が流れる経路が、開いていれば流れない。同じ回路図なのに、答えが別物になります。問題文に「スイッチSを閉じたとき」といった条件があれば、それは計算の出発点を指定している文言です。必ず確認してから式を立ててください。
小ネタをひとつ。記号にある小さな丸は「端子」を表しています。電線の途中に部品をいきなり挿し込むことはできないので、電線の端は端子になっていて、そこにスイッチや負荷を取り付ける——という構造を記号が忠実に描いているわけです。
可変抵抗器は、四角の中に斜めの矢印が描かれた記号。抵抗値を自由に変えられる部品です。
こちらもスイッチと同じで、どの抵抗値で考えるかが問題文で条件として与えられます。記号だけを見て判断せず、問題文とセットで読む習慣をつけましょう。
ステップ7:すべり抵抗器は「比率で2分割」

ここが本日の山場です。すべり抵抗器は、10種類の中でもっとも計算に直結する記号だからです。
記号は、四角形の上部から矢印が指し示している形。この矢印が動く接触子(スライダ)で、矢印の位置によって、1本の抵抗Rが2つに分割されるのがポイントです。
たとえば全体が10 Ωのすべり抵抗器で、矢印がある位置にあるとします。すると、
というように分かれます。矢印をもっと右へ動かせば になる。合計は常に10 Ωのまま、内訳だけが変わるわけです。
そして、この分割は比率として問題に組み込まれます。「スライダを全体の3割の位置に置いたとき」といった条件が与えられ、そこから を導いて解いていく。これが典型パターンです。
ですから、目指すべきゴールはこうです。
すべり抵抗器の記号を見たら、瞬時に「全体の抵抗がR₁とR₂に分かれる」という式が浮かぶ。
理論科目の直流回路で、計算問題としてよく出題される領域です。ここを得点源にできるかどうかで、本番の手応えがかなり変わります。
なお、抵抗の大きさが材質や太さでどう決まるのかを押さえておくと、抵抗を「分ける」という発想もすんなり入ってきます。「一番は銀、現場は銅」── 抵抗率2位の銅が電線の王様になった理由で、抵抗の中身を覗いてみてください。
ステップ8:戦略マップ──どこに力を注ぐか

10個すべてに同じ労力をかける必要はありません。出題頻度と試験での役割の2軸で整理すると、力の配分がはっきりします。
| エリア | 該当する記号 | 取り組み方 |
|---|---|---|
| 頻度が高い × 単純知識 | 電流計・電圧計・電力計・直流・接地 | 呼吸するように反応できるまで |
| 頻度が高い × 計算の鍵 | スイッチ・可変抵抗器・検流計・すべり抵抗器 | 記号+使い方をセットで身につける |
| 頻度が低い | 定電流源 | 形だけ拾えればよい |
一段目は、覚えているかどうかを問われるだけの領域。取りこぼしはそのまま失点なので、確実に固めます。
二段目が勝負どころです。ここは記号を知っているだけでは足りず、「この記号があるとき、どんな式を立てるのか」まで踏み込まないと点になりません。逆に言えば、差がつくのはここ。学習時間の多くを注ぐべき場所です。
三段目は、形さえ覚えていれば拾える。それ以上の深追いはしなくて大丈夫です。
まとめると——頻出の計測器と電源は呼吸するように、すべり抵抗器と検流計で差をつける、定電流源は形で拾う。 このメリハリが、限られた学習時間を最大限に活かすコツです。
まとめ
回路図の主な図記号10種類を、チートシートの形で並べておきます。試験直前の見直しにお使いください。
| 図記号 | 名称 | 試験対策のポイント |
|---|---|---|
| 丸にA | 電流計 | 回路の電流を測る(基本中の基本) |
| 丸にV | 電圧計 | 回路の電圧を測る(同じく基本中の基本) |
| 丸にW | 電力計 | 回路の電力を測る |
| 丸に上向き矢印 | 検流計 | ⚠要注意。基本は0 A、流れていないことの確認用 |
| 長短の横線 | 直流 | 電源の出発点。一定だから横線 |
| 3本の横線 | 接地 | 電位の基準(0 V)となる絶対的なゴール |
| 丸+斜めの線 | スイッチ | 開閉で計算の前提条件が変わる |
| 四角+斜め矢印 | 可変抵抗器 | 抵抗値を変化させる部品 |
| 四角+上からの矢印 | すべり抵抗器 | 計算の鍵。矢印の位置で2分割し比率で計算 |
| 丸に横棒1本 | 定電流源 | ボーナス。一定は横棒で表す |
そして、すべてを束ねる合言葉が 測る・供給する・変化させる。
記号の学習は、派手さこそありませんが、計算問題という建物の基礎工事にあたります。基礎が傾いていれば、その上にどれだけ立派な解法を積み上げても崩れてしまう。逆に、ここさえ水平に固めておけば、この先の直流回路・交流回路・ブリッジ回路と、学習が驚くほどスムーズに進みます。
焦らなくて大丈夫です。今日はまず、3つのファミリーの顔ぶれを思い出せるようにする。それだけで十分な一歩です。
⚠ ここを間違える人が多い
記号そのものより、記号が示している状態の読み違いでつまずく人が圧倒的に多い。ここを先回りしておきます。
❌「検流計が0 Aだから、回路全体に電流が流れていない」 ✅ 電流が流れていないのは、検流計が架かっている枝だけ
これが最も多い落とし穴です。検流計の指示が0 Aでも、主回路には電流がしっかり流れ続けています。「真ん中の橋を渡る人がいないだけで、両側の道は普通に通行中」というイメージを持ってください。ここを取り違えると、この後の計算で使うべき電流値をまるごと間違えます。
❌ 図で近くに並んでいる抵抗を、なんとなく直列とみなす ✅ 接続の形を、線を目でたどって確認する
回路図は見た目のレイアウトと電気的な接続が一致しないことがよくあります。並んで描かれていても並列、離れて描かれていても直列、というのは日常茶飯事です。直列と並列を取り違えると、立てた方程式が矛盾して「解が出ない」状態に陥ります。答えが出ないときは、計算ミスより先に接続の読み違いを疑う——これは覚えておいて損のない鉄則です。
❌ 問題文の「内部抵抗は無視する」を読み飛ばす ✅ どの機器についての話なのかを確認する
「計器の内部抵抗は無視」と書いてあっても、電源の内部抵抗については別途指定があるかもしれません。何を無視してよくて、何を無視してはいけないのか。この線引きを勝手に広げると、正しい手順を踏んでいるのに答えだけ合わない、という悔しい結果になります。
過去問ではこう出た
この単元の記号は、単独で「これは何の記号か」と問われることもありますが、計算問題の中に部品として組み込まれる形が主流です。
具体的には、平成27年 問15、そして令和7年下期 問7で出題実績があります。
平成27年 問15は、検流計とすべり抵抗器が絡む形式。検流計がゼロを示す条件から回路の状態を読み取り、抵抗の比率を使って未知の値を求めていく流れです。まさに本記事の「検流計=0 Aの確認役」と「すべり抵抗器=比率で2分割」を、両方使う問題と言えます。
令和7年下期 問7も、記号の読み取りが解答の入口になっています。接続関係を正しく把握できるかどうかで、その後の立式がまったく変わってきます。
傾向としてはっきり言えるのは、記号の名前を答えるだけの問題は少ないということ。「記号が読める」の先にある「記号から状態を読み取り、式に翻訳する」ところまでが問われます。だからこそ、暗記で止めずに使い方まで身につける価値があるわけです。
実際の問題で手を動かしてみると、どこが分かっていてどこが曖昧なのかがはっきりします。
よくある質問
Q. 電流計と電圧計は、回路のどこにつなぐのが正しいのですか?
電流計は測りたい電流が通る経路に直列、電圧計は測りたい2点をまたぐように並列につなぎます。理屈はシンプルで、電流は通り道に割り込まないと測れず、電圧は2点間の差なので両側に足をかける必要があるからです。
試験問題では、この接続の形そのものが「何を測っているのか」のヒントになります。図の中で計器がどう入っているかを見れば、問われている量が推測できることも少なくありません。
Q. 可変抵抗器とすべり抵抗器は、どう使い分けるのですか?
記号も名前も似ていますが、問題での使われ方が違います。
可変抵抗器は「抵抗値そのものを変えられる部品」として登場し、条件で与えられた値を使って解きます。一方すべり抵抗器は、1本の抵抗を2つに分けるところに意味があり、R₁とR₂の比率が計算の主役になります。
「値を変える」のか「2つに分ける」のか。ここで区別すると混乱しません。試験で計算の鍵になりやすいのは、圧倒的にすべり抵抗器のほうです。
Q. 記号は書けるようになる必要がありますか?
試験は選択式なので、自分で正確に描けなくても問題ありません。求められるのは「見て分かる」こと。
ただし、練習の段階で一度は手で描いてみることをおすすめします。書いてみると、接地の横線が3本で下に向かって短くなる理由や、直流電源の長短の線の意味など、形の必然性が体に入ってきます。理由とセットで覚えた記号は、忘れにくいんです。
10個すべてを丁寧に描く必要はありません。あやふやなものだけ、紙の隅に何度か描いてみてください。それだけで定着が違います。
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