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機械 第41回 ⏱ 約24分で読めます

三相同期発電機の出力と並行運転を「3倍するだけ・双子にそろえるだけ」で攻略

電験三種「機械」科目の三相同期発電機の出力P₃と並行運転の条件を解説。P₃=3VE/xs・sinδは一相分の出力を3倍しただけという導出の流れで理解し、電機子抵抗raを無視してよい理由、並行運転の5要素(大きさ・位相・周波数・波形・相順)まで、試験で確実に得点できる形に整理します。

🃏 暗記フレーズ:出力は一相の3倍するだけ、並行運転は起電力を“双子”にそろえるだけ

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この記事で身につくこと

同期発電機の単元は、テキストを開いた瞬間に「うっ」となる代表格です。ベクトル図が出てきて、記号がやたら多くて、しかも公式に 3 だの sinδ だの見慣れないものが並んでいる。ここで手が止まってしまう人は本当に多いです。

ですが、安心してください。この単元でやっていることは、突き詰めると次の2つだけです。

前半でやること後半でやること
一相分の出力を求めて、それを3倍する2台の発電機の起電力を“双子”にそろえる

たったこれだけです。ベクトル図も、無数に見える記号も、この2つを説明するための道具にすぎません。

この記事を読み終えると、次のことができるようになります。

  • 電機子抵抗 ra をなぜ無視してよいのかを、人に説明できる
  • P₃ = 3VE/xs・sinδ を、丸暗記ではなく「導出の流れ」で書き下せる
  • 並行運転の条件を、抜けやすい2つも含めて5つ言える
  • 「大きさが違うと流れる横流は有効か無効か」に即答できる

機械が苦手になる3つの罠

暗記フレーズ:出力は一相の3倍するだけ、並行運転は起電力を“双子”にそろえるだけ

この単元は、覚えることが多いように見えて、幹はこの一言に収まります。

出力は一相の3倍するだけ、並行運転は起電力を“双子”にそろえるだけ

前半の「3倍するだけ」は、公式の 3 がどこから来たのかを教えてくれます。天から降ってきた 3 ではなく、単に相が3つあるから3倍しただけ。後半の「双子にそろえる」は、並行運転の条件が「2台をそっくり同じ電圧にする作業」だと思い出させてくれます。

このフレーズを唱えられれば、公式を半分忘れていても再構成できます。それでは、順番に見ていきましょう。

ステップ1:電機子抵抗 ra は、なぜ無視してよいのか

電機子抵抗raを無視してよい理由

同期発電機の等価回路には、本来なら電機子巻線の抵抗 ra と、同期リアクタンス xs の両方が入っています。ところが試験問題では、たいてい「電機子抵抗は無視できるものとする」と書かれています。

理由は単純で、同期機では ra が xs に比べて桁違いに小さい からです。

記号正体大きさの感覚
ra電機子巻線そのものの抵抗非常に小さい
xs電機子反作用+漏れリアクタンスra よりずっと大きい

同じ回路の中に、大きい要素と極端に小さい要素が並んでいるとき、小さいほうを残しても答えはほとんど変わりません。それどころか計算だけが複雑になります。だから思い切って落としてしまう、というのが同期機の作法です。

「無視していいのか不安」と感じるのは真面目な人ほどよくあることですが、ここは xs ≫ ra だから省く と割り切ってしまってください。試験でも実務でも、この扱いが標準です。

🃏 暗記シート
Q. 三相同期発電機の出力計算で、電機子抵抗 ra を無視してよいのはなぜ?

ステップ2:負荷角δとは何者か

負荷角δとベクトル図の意味

出力の式に出てくる δ(デルタ)は、内部誘導起電力 E と端子電圧 V の位相差です。

発電機の中では E という電圧が発生していますが、端子から外に出てくる電圧 V は、同期リアクタンスでの電圧降下のぶんだけ E とはズレます。大きさもズレますし、位相もズレます。この位相のズレが δ です。

δが大きい=仕事をしている

覚え方としては、こう捉えると腑に落ちます。

δの様子発電機の状態
δ = 0電力を送り出していない(ぶら下がっているだけ)
δが大きくなる送り出す電力が増えている
δ = 90°出力が最大

つまり δ は「この発電機、いまどれだけ踏ん張っているか」を表すメーターです。負荷が重くなるほど δ が開いていく、と考えてください。

ベクトル図そのものが怪しいという人は、先に同期発電機のベクトル図と三相短絡曲線を「引き算の電圧・ほぼ比例の直線」で攻略を読んでおくと、この先の見通しが一気に良くなります。

🃏 暗記シート
Q. 三相同期発電機における負荷角δとは何を表す角度?

ステップ3:一相分の出力 P₁ を3段階で導く

一相分の出力P1の導出3ステップ

いよいよ公式の中身です。ここは丸暗記しようとすると必ず崩れるので、流れで押さえます。

① 出発点はおなじみの電力の式

一相分の電力は、電圧×電流×力率です。

ここまでは理論科目でさんざん見てきた形ですね。特別なことは何もしていません。

② 電流 I を、同期リアクタンスで書き換える

電機子抵抗を無視すると、E と V の差を生んでいるのは xs だけです。したがって電機子電流 I は、E と V のベクトル差を xs で割ったものになります。ここでベクトル図の関係を使って整理すると、I cosθ の部分が (E sinδ)/xs に化ける、というのがこの導出の山場です。

③ まとめて一相分の出力になる

②を①に代入すると、こうなります。

これが一相分の出力です。V も E も xs も、機械が決まればほぼ動かない値なので、出力を左右しているのは実質 sinδ だけということも、この形からすぐ読み取れます。

xs や短絡比まわりがぼんやりしている人は、同期インピーダンスと短絡比を「短絡比は%Zsの裏返し」で丸暗記から卒業を先に通しておくと、この式の分母が何者なのかがはっきりします。

🃏 暗記シート
Q. 三相同期発電機の一相分の出力 P₁ を表す式は?
💡 3倍する前の形

ステップ4:3倍すれば三相出力 P₃

三相出力P3はP1を3倍するだけ

ここが、この単元でいちばん拍子抜けするところです。三相なので、一相分を3倍するだけ

公式の先頭についている 3 の正体は、これだけです。難しい理屈は一切ありません。相が3つあるから3つぶん、という足し算をかけ算にしただけです。

式から読み取れること

何を変えると出力 P₃ はどうなる
E(励磁を強める)比例して増える
V(端子電圧)比例して増える
xs(同期リアクタンス)大きいほど減る(反比例)
δ(負荷角)sinδ に比例、90°で最大

「3VE/xs・sinδ」という並びを呪文として覚えるのではなく、VI cosθ → 一相分 → ×3 という道筋を覚えてください。試験本番で式があやふやになっても、この道筋さえ手が覚えていれば必ず書き戻せます。

🃏 暗記シート
Q. 三相同期発電機の三相出力 P₃ を表す公式は?
🃏 暗記シート
Q. 三相同期発電機の出力 P₃ が最大になるのは負荷角δがいくつのとき?
💡 sinが1になる角度

ステップ5:並行運転とは、母線に仲間を増やすこと

並行運転とは?母線と負荷のつなぎ方

ここから後半です。並行運転(並列運転) とは、すでに動いている発電機がつながっている母線に、もう1台の発電機をつないで一緒に運転することをいいます。

発電所では、需要が増えれば発電機を足し、減れば止めます。1台の巨大な機械ですべてを賄うのではなく、複数台で分担するほうが、故障時にも点検時にも融通が利くからです。

ただし、電圧を出している機械どうしをいきなりつなぐわけですから、条件がそろっていないと大変なことになります。そこで「投入してよい条件」が決められています。

ステップ6:並行運転の条件(前半3つ)

並行運転の条件①大きさ②位相③周波数

まずは、比較的思い出しやすい3つです。

条件一致していないと合わせる手段
① 起電力の大きさ無効循環電流(横流)が流れる励磁電流を調整する
② 位相大きな横流が流れ、機械に衝撃がかかる原動機の回転速度を調整する
③ 周波数位相が合った状態を保てない原動機の回転速度を調整する

ここで押さえておきたいのが、①だけが励磁の担当で、②③は原動機(回転速度)の担当という役割分担です。電気側でいじれるものと、機械側でいじるものが分かれている、と整理しておくと混乱しません。

そして、①がズレたときに流れる横流は 無効電流 です。有効電力を送っているわけではなく、ただ巻線を温めるだけの、まったくありがたくない電流です。ここは試験で狙われます。

外部特性や励磁の効き方があやふやな人は、同期発電機の外部特性曲線と自己励磁現象を「遅れは弱る・進みは強まる」で攻略を挟んでおくと、「励磁を強めると何が起きるのか」が身体に入ります。

🃏 暗記シート
Q. 同期発電機の並行運転で、起電力の大きさが違うときに流れる横流(循環電流)はどんな電流?
💡 有効ではないほう

ステップ7:抜けやすい残り2つ(波形・相順)

抜けやすい条件④波形⑤相順

多くの人が3つ目まで言えて、そこで止まります。合否を分けるのは、残りの2つです。

条件中身調整できるか
④ 波形電圧波形の形(ひずみ具合)が同じであること✕ 設計・構造で決まる
⑤ 相順三相の相が回る順序が同じであること結線を直すしかない

④の波形が特に厄介なのは、運転中の操作では合わせられないという点です。励磁をいくら回しても、波形の形そのものは変わりません。発電機を作った時点で決まっている固有の性質だからです。

⑤の相順は三相機ならではの条件で、単相の説明では出てきません。ここが抜けると、三相を前提とした問題文で足をすくわれます。

覚え方はシンプルに、大きさ・位相・周波数・波形・相順の5点セット。前3つが「運転しながら合わせるもの」、後ろ2つが「合っていることを確認するもの」と色分けしておくと、記憶が崩れません。

🃏 暗記シート
Q. 同期発電機を並行運転するために一致させるべき条件を5つ挙げると?

ステップ8:現場ではどうやって投入しているのか

試験には直接出ませんが、知っておくと条件の意味が一気に立体的になります。

実際の発電所では、同期検定器(同期検定盤)という計器を見ながら並列投入をしています。ランプの点滅の速さや、指針の動きで「いま位相が合った」と分かるようになっており、その瞬間を狙って遮断器を入れます。周波数がわずかにズレていると指針がゆっくり回り続けるので、合っていないことが目で見て分かる仕組みです。

そして、相順を間違えたまま投入してしまうと、大きな循環電流(横流) が流れ、発電機そのものを壊しかねない重大事故になります。教科書の「相順を一致させること」というたった一行は、現場では機械の命がかかった一行なのです。

こう知ると、5つの条件が単なる暗記項目ではなく「守らないと壊れるルール」に見えてきませんか。この感覚が持てると、忘れにくくなります。

まとめ

この単元でやったことを、一枚に畳んでおきます。

論点結論
電機子抵抗 raxs に比べて非常に小さいので無視する
一相分の出力P₁ = (VE/xs) sinδ
三相出力P₃ = 3 × (VE/xs) sinδ(一相分の3倍)
出力が最大になる負荷角δ = 90°
並行運転の条件大きさ・位相・周波数・波形・相順の5つ
大きさがズレたとき無効循環電流(横流)が流れる
位相・周波数を合わせる手段原動機の回転速度

もう一度、合言葉を。出力は一相の3倍するだけ、並行運転は起電力を“双子”にそろえるだけ。ここまで来れば、この単元はもう「苦手なところ」ではありません。

⚠ ここを間違える人が多い

同じところで転ぶ人が本当に多い箇所を、3つだけ挙げておきます。

❌「位相がズレているなら極数を変えればいい」

これはやってしまいがちな勘違いです。極数は発電機を製造した時点で決まっている構造そのもので、運転中に変えられるものではありません。

✅ 位相と周波数の調整は、原動機の回転速度で行います。「電気でいじるのは大きさ(励磁)、機械でいじるのが位相と周波数(回転速度)」と役割で覚えておくと、この取り違えは起きません。

❌「起電力の大きさが違うと、有効電流が流れる」

流れるのは 無効 電流です。選択肢に「有効」と「無効」が並んでいると、なんとなく強そうな「有効」を選んでしまう人がいますが、大きさの差で生じる横流は仕事をしません。ただ巻線を温めるだけです。

大きさのズレ=無効横流。この対応だけは、条件反射で出せるようにしておきましょう。

❌「励磁を調整すれば、どの条件でも合わせられる」

励磁で動かせるのは起電力の大きさだけです。波形は発電機の設計と構造で決まる固有の性質なので、励磁電流や励磁電圧をどう操作しても形は変わりません。

✅ 「励磁で合わせられるのは大きさだけ」と線を引いておけば、「励磁調整で波形も合わせられる」という一見もっともらしい記述を、落ち着いて誤りと判定できます。

計算問題での落とし穴

並行運転で2台の分担を問う計算では、A機の力率を求めるのに B機の電流を代入してしまう取り違えが起きます。どちらの機械について聞かれているかを、式を書く前に指差し確認してください。また三相なので、電力の式は √3 が付いた形(P = √3 V I cosφ)を使います。ここで √3 を落とすと、当然ながら答えが合いません。

過去問ではこう出た

この単元は、電験三種「機械」で安定して出題され続けている定番です。近年だけでも、次のように繰り返し登場しています。

年度問番号
令和8年上期問5
令和7年下期問6
令和7年上期問6
令和6年下期問5・問6
令和4年上期問4
令和1年問15
平成29年問4

出題のされ方には、はっきりした傾向があります。ひとつは並行運転の条件を並べて正誤を問う文章問題で、波形や相順、横流の性質(無効か有効か)が引っかけの中心になります。もうひとつは2台の発電機の負荷分担を計算させる問題で、こちらは B問題(問15など)で腰を据えて解かせる形も出ています。つまり、条件の暗記だけでも、計算だけでも足りず、両輪で仕上げておく必要があるということです。

テーマで照合すると、この単元に関係する過去問は33問あります。まずは条件5つを完璧にしたうえで、負荷分担の計算に手を広げていくのが効率的です。

電験ジムで実際に解いてみる

よくある質問

Q. P₃ の公式に出てくる V と E は、線間電圧ですか?相電圧ですか?

相電圧です。一相分の出力 P₁ = VE/xs・sinδ を3倍して三相ぶんにしている、という導出の流れを思い出してください。一相分の話をしているのですから、そこで使う電圧は当然、一相あたりの電圧=相電圧です。線間電圧が与えられている問題では、√3 で割って相電圧に直してから代入します。ここは「3倍するだけ」の意味を理解していれば、迷わずに処理できるところです。

Q. 電機子抵抗を無視すると、答えがズレて減点されませんか?

なりません。問題文に「電機子抵抗は無視できるものとする」と明記されているのが通例で、それは出題側が「無視した前提で解いてください」と指定しているということです。そもそも同期機では xs ≫ ra なので、ra を残しても結果はほとんど変わりません。真面目な人ほど「省略していいのか」と気にしますが、ここは指定どおり堂々と落としてください。

Q. 並行運転の5条件、どうしても波形と相順が出てきません。

順番に理由づけをすると定着します。前半の3つ(大きさ・位相・周波数)は、運転しながら合わせにいくもの。後半の2つ(波形・相順)は、合わせにいけないので、合っていることを確認するもの。この性格の違いで2グループに分けてしまえば、「調整できない側が2つあったな」という手がかりから思い出せます。相順は三相機だけの条件なので、「三相ならもう1個ある」と紐づけておくのも有効です。

Q. 負荷角δは、実際にどれくらいまで大きくなるものですか?

試験で問われるのは、P₃ が sinδ に比例し、δ=90°で最大になるという関係です。式のうえでは 90°で出力が頂点に達し、それを超えると sinδ が減っていきます。まずは「δが大きいほど踏ん張っている」「90°が頂点」という2点を押さえてください。この関係が入っていれば、グラフを示して最大出力を問うタイプの設問にも対応できます。

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この記事を書いた人

資格LABO

電験三種を含め、さまざまな資格を一発合格した経験をもとに、 忙しい社会人が最短距離で受かるための教材とYouTube解説を作っています。 暗記シート・講義ノートは累計2,000部を突破し、 多くの合格報告をいただいています。

保有資格

電気主任技術者電気工事士公害防止管理者放射線取扱主任者中学校・高等学校 教員免許
  • ⚡ 電験三種・電験二種の解説動画をYouTubeで公開中
  • 📚「勉強の過程」より「結果を重視」した教材の制作・販売
  • 🏋️ 過去問対策Webサービス「電験ジム」を開発・運営

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